東方傭兵譚 〜The Mercenary and the Sage Trail〜   作:文才の無い本の虫

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九十九「うーんスランプ気味っぽいね」

エディ「作者、5回書き直したけど上手く行かないって嘆いてたわね・・・・・」





4「決戦」

 

 

 

 

 

妖怪桜の花弁が舞う。

 

 

「きちきちきちぎちぎちちちっ!!」

 

 

「く、手強いですな!!セイッ!!ヤァア!!」

 

 

妖怪桜――西行妖――に相対する魂魄妖忌。

 

彼は時間を稼ぐ為に押し寄せてくる枝を斬り伏せ続ける。

 

 

「紫、どうだ?」

 

 

「そうね、用意は大体終わったわ。私、怒ってるの。『黒い鳥』、西行妖を丸焼きにしちゃって頂戴!」

 

 

短時間で大規模な結界術を組み上げた妖怪の賢者こと八雲紫は自身を守っていた『黒い鳥』に言う。

 

『黒い鳥』はその様子に少し笑い、滅多に使わない魔力を廻す(本気の数パーセント)

 

 

「くく、了解した―――"Fire(業火)"」

 

 

「ぎちぎぢぢ?!!」

 

 

魔術。

 

其れはかつて彼が『黒い鳥』と呼ばれることになった所以であり、『到達した』彼が使わない様にしていた過剰な――過去の数百倍の――火力。

 

その片鱗、僅か数パーセント。

 

だが、その魔術は強大な西行妖を丸々と飲み込み、表皮を黒く炭化させる。

 

 

「ふむ、流石大妖怪と言いたい所だが・・・・・違和感があるな」

 

 

「どうしたの『黒い鳥』?」

 

 

「見てみろ」

 

 

『黒い鳥』は黒く炭化した西行妖を指す。

 

 

「きち、きちきちきちきち」

 

 

「?!治ってる?・・・・・いえ、修復しているの?!」

 

 

黒く炭化した表皮が時を戻すかの様に直っていく。

 

正常な治り方ではないな、と『黒い鳥』は原因を調べる為に知覚精度を引き上げる。

 

 

「ふむ、ソレが貴様の力の源泉か。抉らせて貰おうか」

 

 

『黒い鳥』は複数の掌程度の大きさの魔法陣を右の拳の周りに展開。

 

 

「"Compression(焚べる)"――」

 

 

魔法陣が輪転し『黒い鳥』の魔力を純粋な熱量に変換。その熱量で六枚の刃を生成する。

 

その六枚の刃は『黒い鳥』の右拳を囲う様に回転、切先を前に向ける。

 

瞬間、『黒い鳥』は西行妖に急接近し、

 

 

「――"Release(焼き穿つ)"」

 

 

拳を振るった。

 

 

「ぎちぎぢぢぢいいいいいいい?!」

 

 

ごう、と幹の中心が焼かれる。

 

『黒い鳥』はそこから何かを引き抜いた。

 

 

「む?コレは『ほぅ、面白い』・・・・・封印するか」

 

 

その金の杯(・・・)を解析しようとするが、内側から聞こえた声で――危険人物が面白いと思う危険物だと判断――即座に封印し内側に放り込んだ。

 

そうして弱っている西行妖の前に紫が歩み出て言う。

 

 

「『黒い鳥』、作業が終わるまで私を守って頂戴」

 

 

「承知した」

 

 

「・・・・・幽々子、安らかに眠って頂戴。貴女の意思は無駄にはしないわ」

 

 

紫は幽々子の遺体を埋め、それを杭として封印術を行使する。

 

 

「―――無我・十三波紋結界。さようなら、西行妖。もう二度と目覚めないで頂戴」

 

 

十三の線が西行妖を疎らに区切り、力と意志を波紋が広がる様に分散させる。

 

 

「見事な結界だな」

 

 

「あら、ありがとう。これも、貴方のお陰よ『黒い鳥』」

 

 

「紫」

 

 

「きゃっ?!いきなり?!」

 

 

『黒い鳥』は異常を感知し、紫を抱き寄せる。

 

 

「妖忌、警戒しろ」

 

 

「承知しております」

 

 

妖忌は剣を抜き、『黒い鳥』は構える。

 

封印された西行妖の根本から、がさりと何者かが立ち上がった。

 

 

「うぅん、良く寝たわ〜」

 

 

「幽々子?!」

 

 

「ゆ、幽々子さま?!」

 

 

「・・・・・亡霊か」

 

 

現れたのは、死んたはずの西行寺幽々子だった。

 

 

「・・・・・ってどうしたのよ妖忌、そんなお通夜みたいな顔しちゃって」

 

 

「そんな、幽々子さまはもう・・・・・」

 

 

「幽々子、幽々子なの?!」

 

 

「え、ええ・・・・・あ、そう云うこと。ねぇ、紫。私死んじゃったのね?」

 

 

「・・・・・そうよ」

 

 

「うーん、死んじゃったのはしょうがないわ。前向きに行きましょう?・・・・・取り敢えず、何があったのか教えて?」

 

 

〜少女(?)説明中〜

 

 

「成程ね〜。紫、ありがとう」

 

 

「良いのよ・・・・・友達でしょう?」

 

 

「ええ。亡霊になっちゃったけど、よろしくね?」

 

 

「ええ・・・・・勿論よ」

 

 

そうして、限りなくハッピーエンドに近い形で戦いに終止符は打たれた。

 

 

 

 

 

妖怪の賢者の心に大きな爪痕を残して。

 

 

 

 

 

「私は・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

あれから、一晩が経った。

 

紫は気丈に振る舞ってはいるが、未だ引きずっているのだろう。

 

涙の跡が見えたから、少し苦しい。

 

 

・・・・・『苦しい』?

 

笑止千万。

 

まさか、俺にそんな情緒があったとはな。

 

『ククク・・・・・愛を知ったバケモノはどう成るんだろうな?』

 

まぁ、成るように成るだろう。

 

時間は豊潤にある。

 

『・・・・・案外、直ぐ来たな。行って来い、白馬の王子様?』

 

・・・・・俺には似合わんよ。

 

 

縁側に座って目を閉じていた俺は、瞑想――内側に潜ること――を止め、意識を浮上させる。

 

隣には紫が座っていた。

 

 

「・・・・・月が綺麗ね」

 

 

「そうだな」

 

 

沈黙。

 

決して短く無い時間が過ぎ、紫は口を開いた。

 

 

「・・・・・ねぇ、『黒い鳥』。知ってる?人間ってね、物凄く、不味いの。そうね、まるで吐瀉物を処理した雑巾の様な気分がする程に」

 

 

彼女は自身の肩を抱き、感情を吐露する。

 

 

「私が、もっと強ければ、もっと人を食べてれば!!きっと幽々子が死ぬ必要は!!亡霊にだって成ることなんて無かったのよ!!・・・・・・・・・・・・・・・私は、どうすれば良かったの・・・・・?」

 

 

「紫、俺はお前に掛ける都合の良い言葉は持ち合わせていない」

 

 

――だから、

 

俺は紫を抱き寄せる。

 

 

「気が済むまで泣けば良い」

 

 

いきなりのことに俺を見上げていた紫は、少し驚いた後にぼそりと何か呟き、顔を伏せた。

 

 

「・・・・・ぐすっ・・・・・ううぅぅぅ!!」

 

 

主様(・・)よ、背中でも擦ってやれ』

 

 

「・・・・・あぁ」

 

 

俺は出来るだけ優しく彼女の背中を擦った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







・・・・・上手く行かん。コレが、スランプか…



▷Material

・『黒い鳥』(Character)
彼の渦に取り込まれたモノは基本的に彼に隷属することになる。『到達した』彼は〇で一、一にして全。人としてはちょっと終わってる。

・八雲紫(Character)
ヒロインの風格出していこう。心情は次回。この時点で彼女を害せるのは『黒い鳥』や『観測者』、龍神位であるが、全てに手が届く訳では無い。


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