東方傭兵譚 〜The Mercenary and the Sage Trail〜   作:文才の無い本の虫

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九十九「・・・・・」

エディ「・・・・・」

九十九「惚気話みたいだし帰ろうか、エディ」

エディ「うん」


作者「最近疲れてるんで駄文です」

作者「ラブコメ苦手なんですよ・・・・・」




6「名前を呼ぶよ」

 

 

 

季節は冬。

 

霜が降り、月は真上。

 

山の中腹にぽつりと存在する屋敷の上、其処に紫と『黒い鳥』が並んで座っていた。

 

 

「懐かしいわね」

 

 

夜空を見上げて、紫が微笑む。

 

その微笑みに釣られたのか、『黒い鳥』も少し口角を上げ、紫と同じ様に夜の空を見上げる。

 

 

「そうだな。俺が紫と出逢ったのもこんな夜だった」

 

 

そう言って二人は一昔前の―――――彼と彼女の始まりを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

霜が降っていた。

 

それは、肌寒い夜のことだった。

 

そして―――――俺は彼女に出逢った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜中。

 

俺は大きめな都を上空から見下ろしていた。

 

暫くそうしていると、近くに空間の揺らぎを感じ、その方向を向く。

 

空間の揺らぎは裂け目の様に広がり、其処から紫色の着物の金髪に紫水晶の様な瞳をした美女が現れた。

 

 

「こんばんわ、貴方が『黒い鳥』ね?」

 

 

俺はその言葉に肯定を示す。

 

 

「ああ、その通りだ。で、貴様の名前は?」

 

 

「私は、八雲 紫と申します。伝説の傭兵、『黒い鳥』。貴方にお願いがあって参りましたわ」

 

 

そう、その女――妖怪だろう――は言う。

 

 

「妖怪の女が俺に何用だ?」

 

 

「私の理想の為に貴方の力が必要なの」

 

 

紫水晶の瞳が俺を写す。

 

その瞳は真っ直ぐで、透き通って、そして願いに燃えていた。

 

・・・・・面白い。

 

 

「条件がある」

 

 

「条件?」

 

 

「ああ。貴様の理想を聞かせろ。そして俺を使うというのならその理想を俺に見せてみろ」

 

 

「勿論よ」

 

 

「即答か。契約成立だ、八雲紫」

 

 

俺は右手を彼女に差し出す。

 

彼女は少し驚いたのか瞬きを一回、そしてぎこちなく俺の右手を握り返した。

 

 

「・・・・・ええ。よろしく、『黒い鳥』」

 

 

それが―――――俺と八雲紫の出逢いだった。

 

 

その後、マヨヒガという八雲紫の拠点で彼女の理想を聞いた。

 

彼女は言った。

 

 

「私の理想は、人と妖怪の共存よ」

 

 

その目は、熱く、まるで自分の大切な物を自慢する幼子の様に輝いていた。

 

俺は思わず笑ってしまった。

 

 

「クク、ハハハハ!!」

 

 

「何よ、貴方も否定するの?!」

 

 

「ハハハ!!否定なぞするものか!!俺は人の、あらゆる者の可能性を!!輝きを!!ソレを見たいんだ!!」

 

 

俺は、彼女の"輝き(可能性)"を見て柄にもなくはしゃいでいた。

 

 

「良いじゃないか!!俺は妖怪の賢者ではなく、八雲紫。お前が気に入った!!良いか?紫、お前に(・・・)俺は協力を惜しまない。貴様になら出来る筈だ。必ず叶えてみせろ!!」

 

 

「・・・・・ッ当たり前よ!!」

 

 

ガワが剥がれた、いや脱ぎ捨てた彼女の言葉。

 

―――コレは期待できそうだ。

 

後で聞いたところによると俺は始終ずっと薄く笑っていたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――この時、俺は後に紫が大切な存在になるとは思っても無かっただろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

霜が降っている。

 

それは、透き通った夜のことだった。

 

その日―――――私は彼に出逢った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

漸く、探していた人物を見つけた。

 

場所はとある都の上空。

 

私は急いでスキマを開き、彼の―――――伝説の傭兵、『黒い鳥』の元へ向かった。

 

スキマを潜り、黒髪碧眼の人間(・・・・・・・)に声をかける。

 

 

「こんばんわ、貴方が『黒い鳥』ね?」

 

 

彼は私の言葉に頷く。

 

 

「ああ、その通りだ。で、貴様の名前は?」

 

 

貴様?!

 

・・・・・我慢、我慢よ私。

 

 

「私は、八雲 紫と申します。伝説の傭兵、『黒い鳥』。貴方にお願いがあって参りましたわ」

 

 

私は苛つく心を隠し、丁寧に言う。

 

 

「妖怪の女が俺に何用だ?」

 

 

「私の理想の為に貴方の力が必要なの」

 

 

「条件がある」

 

 

「条件?」

 

 

条件とは何なのだろうか。

 

 

「ああ。貴様の理想を聞かせろ。そして俺を使うというのならその理想を俺に見せてみろ」

 

 

理想を聞くとは驚いた。

 

―――彼は今迄の奴等とは違うのかもしれない。

 

驚きを隠し、答える。

 

 

「勿論よ」

 

 

「即答か。契約成立だ、八雲紫」

 

 

彼は右手を私に差し出す。

 

初めてだった。

 

わざわざ私に握手なんてモノを求めてきたのは。

 

―――先程の条件といい、不思議なヒトね。

 

私は少しぎこちなく彼の手を取った。

 

 

「・・・・・ええ。よろしく、『黒い鳥』」

 

 

それが―――――私と『黒い鳥』の出逢いだった。

 

 

その後、私はマヨヒガに協力者で共犯者となった彼を招待した。

 

彼が提示した条件の通り、私は言った。

 

 

「私の理想は、人と妖怪の共存よ」

 

 

そう言った途端、彼は笑い出した。

 

 

「クク、ハハハハ!!」

 

 

「何よ、貴方も否定するの?!」

 

 

ついカッとなった。

 

あんな条件を提示したのに、此れ迄の奴等と同じ様に嘲笑うのか、私の理想を。

 

だが、彼は此れ迄の奴等と違った。

 

 

「ハハハ!!否定なぞするものか!!俺は人の、あらゆる者の可能性を!!輝きを!!ソレを見たいんだ!!」

 

 

彼は言った。

 

 

「良いじゃないか!!俺は妖怪の賢者ではなく、八雲紫。お前が気に入った!!良いか?紫、お前に(・・・)俺は協力を惜しまない。貴様になら出来る筈だ。必ず叶えてみせろ!!」

 

 

その言葉に、胸の奥がじんとアツくなる。

 

 

「・・・・・ッ当たり前よ!!」

 

 

思わず、私はそう声を上げた。

 

彼は始終ご機嫌そうに薄く笑っていた。

 

・・・・・少し、その微笑みにドキリとしたのは墓の下まで持って行こうと決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――この時、私は後に彼のことが大切になるとは思っても無かったでしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「ねぇ、『黒い鳥』」

 

 

「どうした?」

 

 

「貴方って名前無かったわ(ナナシ)よね」

 

 

「ああ」

 

 

「今日の月を見て、ふと思ったのよ。貴方に名前をあげようって。最近は私が貰ってばかりだし、嫌じゃなければ貰ってくれないかしら?」

 

 

―――名前、か。

 

『いい機会だ、貰っておけ』

 

言われなくとも貰うさ。

 

彼女に悪感情なぞ無いしな。

 

『惚気か貴様()?』

 

惚気とは?

 

『はぁ・・・・・もういい』

 

俺は『朱い月』――最近、『緋月』と名乗り始めた――との会話を切り上げ、紫の方を向いて言った。

 

 

「紫からの贈り物だ。有り難く貰おう」

 

 

「んっ・・・・・(心臓に悪いわね?!)・・・・・こほん。そう言ってくれると嬉しいわね」

 

 

そして間を置き、紫は俺を真っ直ぐ見て言った。

 

 

「貴方の名前は、霜月(ソウゲツ)。八雲 霜月よ」

 

 

「霜月、八雲 霜月か・・・・・」

 

 

俺は紫からの贈り物である名前を反芻する。

 

そうしていると紫が心配そうに話しかけてきた。

 

 

「気に入らなかったかしら?」

 

 

「いや、気に入ったよ。ありがとう、紫」

 

 

霜月という名前に思わず笑顔になってしまう。

 

 

「〜〜っ」

 

 

紫は顔を赤く染める。

 

 

「どうした?!」

 

 

「っ、な、何でも無いわ!!」

 

 

「・・・・・まぁ良い。改めてよろしく、紫」

 

 

「ええ・・・・・よろしく、霜月」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







・・・・・うーん、駄文だけどこういうの書くのは愉しい。こんな作者で済まんね。


▷Material


・八雲 霜月(Character)
読みはヤクモ ソウゲツ。『黒い鳥』が八雲紫から貰った名前。出逢った日(霜の降りた夜)と、『黒い鳥』の瞳(冷たく澄んだ月の様)が由来。尚、綿月姉妹の育て親である彼は『綿月』を名乗る事を月夜見から許されており、『都』では『綿月の黒い鳥』として歴史書に載っている。その為、彼は八雲霜月でありながら綿月霜月でもある。顔は整っているし、普段は表情が硬いので不意打ちの笑顔の破壊力は推して知るべし。

因みに作者は緋月との繋がりで(瞳の色から)蒼月にするか迷ったが八雲藍と被りそうなので霜月にした。


・八雲紫(Character)
緋月との契約の時に世間一般でいう惚気話をしたのは覚えている。霜月の笑顔の破壊力に赤面。

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