東方傭兵譚 〜The Mercenary and the Sage Trail〜 作:文才の無い本の虫
作者「駄文ですがどうぞよろしくお願いします。仕事もあるんで取り敢えずは週一話四千文字程度を目安に書いて行こうかなぁ」
スキマ「頑張りなさいよ作者ぁ!!このままじゃ私出て来るのに何年掛かるのよ?!」
作者「さあ?」
1「ナナシ」
「・・・・・此処は?」
差し込む木漏れ日、頬を撫でる風。葉の擦れる音が聴こえる。
彼――『黒い鳥』と呼ばれていた男――が目を覚ましたのは深い森の中だった。
『黒い鳥』は身体を起こし、記憶を辿る。
「・・・・・確か、俺は
彼は状況を把握するために立ち上がり、自身や周囲を見る。
「一本だけか・・・・・
横に落ちていた空のスキットルは拾ってコートのポケットに突っ込む。
先ずは五体満足。衣服の所々が焦げている事から『朱い月』と戦ったこと、空間爆裂に巻き込まれた事は間違いない様だ。
では持ち物は?
『黒い鳥』は自身の胸に手を当て、自身の能力を確認する。
「うん、能力はちゃんと使えるな」
『黒い鳥』は能力で保存していた黒い手袋の予備を取り出し、能力が使えることを確認する。
彼の能力――異能や特殊能力と呼ばれるもの――は【保存する程度の能力】。『黒い鳥』を最強足らしめた力の一つ。あらゆるもの、それこそ時間などの概念的なものすら保存し、ストックして置けるという規格外の能力。
「これで当分は食事とかの心配はしなくて良い・・・・・どうするか」
『黒い鳥』は先程コートのポケットに突っ込んだスキットルを引っ張り出し、中身の安酒――アルコール度数50――を一口含む。
不味くはないが何か違う。『黒い鳥』は少し顔を顰め、安酒が入ったスキットルを能力で仕舞い込む。
「・・・・・取り敢えず歩くか」
『黒い鳥』は深い森の中を真っ直ぐ歩き始めた。
・・・・・だが、向かう先が森の中心である事を本人はまだ知らないのだった。
「そう言えばそもそも此処地球なのか?」
因みに周囲の植物は『黒い鳥』が知らない植物だらけである。良く言えば未知の興味深い造形。
・・・・・悪い例ではウネウネしててキモい。
コレ本当に植物か?『黒い鳥』はそう思った。
◇◇◇◇
『黒い鳥』が森の中心に向かって歩き始めてから三日が経った。
彼は足を止めずに森の植物を観察しながら歩く。
「・・・・・不眠不休で三日歩き続けて植生に変化が無いだと?俺の知っている植物とはカテゴリーが違うのか?」
周囲には人の手が入った痕跡は無く、あるのは数メートルの足跡位だ。
足跡が数メートルの動物・・・・・此処は魔境か何かか?『黒い鳥』は面倒な場所に来たものだとため息をつく。
「まぁ、死んでないだけ儲けものだな」
その時、ガサガサと草木を分ける音が近づいて来た。
『黒い鳥』は足を止め、音が聴こえてきた方を向く。そこから現れたのは恐竜だった。
「・・・・・ギャオー」
その恐竜は
「恐竜がいるってことは・・・・・
そして恐竜は尻尾を巻いて回れ右。『黒い鳥』に背を向けて去って行った。
『黒い鳥』は方向を修正し、また歩き出した。
・・・・・頭痛に苛まれながら。
「・・・・・俺の知っている歴史と同じ様に此処の歴史が進んで行くなら
恐竜の全盛期から現代迄は約一億年。ホモ・サピエンスが登場したのは現代から五百万年前である。
暫くして『黒い鳥』は額に手を当て、大きなため息をついた。
「考えてもしょうがない。まぁ、
『黒い鳥』は前向きに考えることにした。
面倒臭くなったとも言う。
◇◇◇◇
更に二日が経った頃。変化は唐突に訪れた。
「うん?・・・・・女の悲鳴?」
『黒い鳥』の耳に女性の悲鳴が届く。
取り敢えず行ってみよう。そうして『黒い鳥』は声が聴こえてきた方へ走り出した。
瞬く間に風景は後ろに流れて行き、『黒い鳥』は木々の合間を縫う様に速度――ソニックブームが出ない程度の速度――を保ったまま駆け抜ける。
走り出してから二秒。『黒い鳥』は森の開けた場所で見たことも無いような場面に遭遇した。
「あら、良い声で鳴くわね」
「ア゛ア゛アアアアァ!!」
・・・・・マンドラゴラかよ。と『黒い鳥』の目からハイライトが消える。
だが、『黒い鳥』はそのマンドラゴラ――『黒い鳥』にとっては引き抜くと女、又は赤児の声で鳴く植物という認識――を抜いている女性に目を向けた。
「あら、この森では見たこと無い顔ね」
長い銀髪に銀の瞳。真っ白な肌に赤と青の法衣のようなものを身に着けている。
『黒い鳥』が元いた場所でなら十人中十人が美女と言う様な美貌。その美貌を微かに歪める。
「・・・・・この距離でもわかる程の死の香り。貴方、名前は?」
彼女は『黒い鳥』に問い掛ける。
『黒い鳥』は少し考えた後に言う。
「・・・・・ナナシ。元いた場所では『黒い鳥』と呼ばれていた」
「そう、ナナシね。私は八意☓☓・・・・・そうね、『森の賢者』といったところかしら?此処で話すのもなんだし私の家に行きましょう」
『
「・・・・・ふふっ(労働力がほしかったから丁度良いわね)」
何故か悪寒がする。
『黒い鳥』、逃げ道が無くなる二時間前の出来事であった。
・・・・・ホイホイ考え無しに着いていくと酷い目に会います。皆さん、注意しましょう。
▷Material
・『黒い鳥』(Character)
漂流者。銀髪に蒼い瞳の男。黒い服を好んで着る。本名は実験体七七四番を捩ってナナシ。規格外の身体能力と後述の能力、熱を扱う魔術により真祖にも劣らない戦闘能力を有する。その時代の人間での最強。暗い過去がある様だが・・・・・。
・保存する程度の能力(Ability)
『黒い鳥』を最強足らしめた能力の一つ。あらゆるもの、時間や権能などの概念的なものすらも保存してストック出来る。容量に限界は無いが『黒い鳥』が全てを把握し切れ無いので実質は百種類ぐらいが限度らしい。
・マンドラゴラ(Plant)
引っこ抜いちゃダメなやつ。地面から引き抜くと女性又は赤児の声で悲鳴を上げる。この声を聞くと精神に著しいショックを受けて正気を失ってしまう・・・・・らしい。見た目は根の先が二股の顔が付いた緑色の人参。