東方傭兵譚 〜The Mercenary and the Sage Trail〜   作:文才の無い本の虫

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作者「結局、ショートカットした」

エディ「まぁ、このままだと依姫とか永琳とかがヒロインになっちゃいそうだしね」

作者「というかこれが真のプロローグで一話かな?そろそろ『黒い鳥』の一人称視点を書こうと思いまして」


作者&エディ「「ではでは〜」」



第弐章「妖怪の賢者」
1「出会い」


 

 

 

「・・・・・ヒトの輝き、か」

 

 

上空で大きな都を見下ろしながら黒い衣装に身を包んだ銀髪の男――『黒い鳥』は言う。

 

『黒い鳥』が永琳との契約を満了し、『月の都』から地球に降り立ってから数千数万の時が流れた。未だ幼かった『ヒト』という種は何時しか野生の揺り籠を離れ、理性を持ち、自ら歩む様に成った。

 

そして、『黒い鳥』が見慣れた現象――怪異も発生する様になった。

 

怖れが妖怪に成り、無機物に魂が宿る。

 

『黒い鳥』は闘争の絶えぬ世界を周りながら(偶に能力を制限して傭兵として渡り歩いたりもした)その様を見続けた。

 

求道の極致へ辿り着き、一つの世界と化した『黒い鳥』には無限の時間が有り、魂を視る能力もあった。それを用い、彼は『ヒト』を、『この世界』を見続けた。

 

久遠の先に居た『無貌神』の様に手帳に書き留めながら、出会いと別れを繰り返した。

 

 

『黒い鳥』は永琳から今を貰い、

 

死合った朱い月から魂を譲り受け、

 

育てた綿月姉妹から成長と愛を知り、

 

出会った王から傲慢さと高潔さを学び、

 

そういった数多の出会いと別れからその輝きに目を細めた。

 

 

そうやって『黒い鳥』は、『ナナシ』は、漸く唯一無二の『彼』と成った。

 

 

 

 

・・・・・そして、『黒い鳥』は自身の運命と出逢うことになる。

 

 

 

 

「こんばんわ、貴方が『黒い鳥』ね?」

 

 

 

美しく響く声、紫色を基調とした着物に紫の傘。

 

『黒い鳥』の横の空間が裂け、金髪に紫水晶の様な瞳をした美女が現れた。

 

明らかに人ではないその女に『黒い鳥』は蒼い瞳を向ける。

 

 

 

「ああ、その通りだ。で、貴様の名前は?」

 

 

 

「私は、八雲 紫と申します。伝説の傭兵、『黒い鳥』。貴方にお願いがあって参りましたわ」

 

 

 

「妖怪の女が俺に何用だ?」

 

 

 

月を背に、八雲紫と名乗った彼女は言う。

 

 

――――貴方を雇いたいの、と。

 

 

 

 

 

◆◆◎◆

 

 

 

 

スキマを開き、彼に与えた家の庭に出る。

 

彼との付き合いもかれこれ数年が経とうとしている。

 

何時もの様に、私は、岩の上で修行している――胡座をかいて寝ている様にしか見えないのだけれど――彼に声をかけた。

 

 

「『黒い鳥』、仕事よ」

 

 

「内容は?」

 

 

目を開けた彼――『黒い鳥』に仕事内容を伝える。

 

 

「今日は私の付き添いよ」

 

 

「ふむ・・・・・旧地獄に行くといったところか?」

 

 

「ええ。鬼の相手をするのは面倒なのよ」

 

 

彼は、とても良い。

 

圧倒的な強さを持ち、使い勝手が良く、私の考えを察することができる程の頭脳がある。

 

有象無象や強さしか見ない妖怪とは異なり、『妖怪の賢者』ではなく、『八雲紫』と云う個を見てくれる。

 

 

「わかった・・・・・ん?」

 

 

「どうしたのかしら?」

 

 

彼が此方を見て、額に手を当てる。

 

本当にどうしたのかしら?

 

 

「・・・・・紫、今日は何か食べたか?」

 

 

「いいえ、朝から何も食べてないわよ」

 

 

人や恐怖を食べる妖怪に食事は要らないし、そもそも特殊な妖怪である私は恐怖を食べる必要すらない。

 

最近は人間が作ったものを偶に食べる位かしら。

 

 

「はぁ・・・・・旧地獄に行くの迄時間はあるか?」

 

 

「ええ。昼頃に行く予定だったから」

 

 

「今から簡単なものを作るから食べてけ。不摂生は心身に悪い」

 

 

「・・・・・頂くわ」

 

 

私は人間じゃ無いのよ?

 

・・・・・でも、貴方の気遣いは有り難く貰っておくわ。

 

 

 

 

 

◇◎◇◇

 

 

 

 

あの日、俺が八雲紫に雇われてから数年が経った。

 

雇われた俺の仕事は、彼女の護衛や身の回りのいざこざの解決、不穏分子の抹消。

 

さして永琳の時と変わらない仕事内容だ。

 

異なることと言えば暇潰しが目的だった永琳とは異なり、彼女には夢があるということだろうか。

 

『幻想郷』。彼女が目指し、創り上げようとするモノ。妖怪・・・・・いや、怪異(幻想)とヒトの共存。いずれ消えてしまう幻想の受け皿。

 

素直に見てみたいと、面白いと思った。

 

だから俺は今も紫の『雇われ』として過ごしている。

 

 

「・・・・・」

 

 

何時もの様に岩――正確には紫が用意した家の庭にある平たい岩――の上に座り、目を閉じて、"内側"に潜る。

 

最近は鍛錬というよりも瞑想の方が長くなった。力を使うことが無くなったからだ。

 

正直言って、俺は強く成り過ぎた。永琳が「理不尽の方が可愛く見えるわね」と称する程に。

 

だから俺は(最強)を圧倒出来る程度に力を抑えることにした。

 

出来るだけ素手は避けて(手加減し)木刀で(枷を付けて)戦う様にした。

 

何故なら面白く無いから(・・・・・・・)

 

人も怪異も、俺よりも圧倒的に弱い。だが、(壮大な夢)ギルガメッシュ(王たる矜持)朱い月(悪のカリスマ)綿月姉妹(奢らぬ天才)の様に輝くもの達は確かに存在する。

 

何も無い俺が見つけた輝き。

 

ソレを見ることが俺の生きる目的と言っても良い。

 

 

『貴様も随分と捻くれているな』

 

 

貴様(お前)に言われたく無い台詞だな。

 

まぁ、良い。

 

そろそろ朝食でも作るか。

 

じゃあな、また来る。

 

 

『ふっ・・・・・また来い。此処は退屈でたまらん』

 

 

俺は"内側"から浮上する。

 

近くにスキマ――世界の裏側というべき空間――が開くのを感知する。どうやら俺の雇い主である彼女が来た様だ。

 

 

「『黒い鳥』、仕事よ」

 

 

彼女の声が聞こえる。俺は閉じていた瞼を開け、何時もの様に彼女に問う。

 

 

「内容は?」

 

 

今日もまた、俺の一日が始まった。

 

 

 

 







・・・・・うーむ、言い回しを考えるのに3日掛かったんだが?



▷Material


・『黒い鳥』(Character)
容姿は銀髪蒼眼の青年。伝説の傭兵。ちらほらと後の歴史書にも載っている。彼を題材とした創作小説も存在するとか。剣仙とも化生とも云われているが真偽は定かでは無い。

・八雲 紫(Character)
容姿は金髪紫眼の美女。妖怪の賢者。怪異と人の共存する『幻想郷』を創り上げようとしている。全ての事象を根底から覆す能力を持っており、最強クラスの妖怪。

・怪異(Word)
妖怪や幻想等の不可解なものの総称。正確には「怖れに因って妖怪が産まれる現象」や「信仰に力が宿る土着神」、「無機物に魂が宿る付喪神」等を怪異と呼称する。因みに留意が産み出した神は怪異ではなく神秘の一種で、土着神は性質上は怖れの代わりに信仰に因って産まれた妖怪に近い。神秘の一種。『恐怖』と呼称されることもある。

・神秘(Word)
奇跡、物理法則を無視した現象、唯一無二、有り得ないものの総称。

・『希望』(Word)
反転すると『恐怖』となる。魔法とも呼称される力。
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