いわゆる現代世界が、ゲームの世界観に変わってしまう感じ。
現実世界に異世界が紛れ込むなんて、よくあるなろう系小説じゃよくある話だった。
しかし、そんなことが実際に起きたらどうなるかなんて、誰もわからないじゃないか。
誰かにささやかれたわけでもないし、スキルなんてものもない。
ただわかったのは、老若男女かつ2SLGBTQQIA+関係ないことだった。
僕が仕事から帰ってきてから、NHKと強制的に契約されて以来見ている地デジを見る。
暫く体を休めるためにぐでーっとしていると、緊急速報ですと緊迫した声がスピーカーから発せられた。
頭を起こしその映像を食いつくように見てしまう。
それは謎の黒い穴から触手が出てきて、周囲の人や動物をからめとっている映像だった。
さらにカメラマンやアナウンサーもからめとられてしまう。
絡めとられた後黒い穴に引きずり込まれてしまう。
その先にあるのは沙耶の唄と符合するような世界。
空は血を塗りたくったような色、川は血油に溢れ、土や植物でさえ吐き気を催すほどの醜悪な肉塊に塗れ、
遠くに張り付けられたような雲はもはや雲というのにもおこがましくいろんな色のナニカを降らせていた。
特に目を引くのは、その怪物から延びるものがすべての人の『穴』に入り込み、徐々にすべての者が
金切声を上げながら『女』に変わっていく。
そして遠くに見える最初にとらえられたであろう女性は、肉に塗れ四肢と顔が見えるだけ。
そう認識した瞬間脚の間にある肉塊から白い液体が滝のようにあふれるのと同時に、
物理的に不可能なおおきさまで膨れた白い風船が見える。
その白い風船から何か、おぼれた犬が這い上がってくるかのように、『ソレ』が出てくる。
ソレはたまに見える人の赤子にとりつくのと同時に、一気に17歳くらいまで成長させるのと同時にとりつき、新たなる肉
風船にしたんだ。
たった20秒の映像に、僕は硬直しかできなかった。
カメラは近くの枝にかけられ、黒い穴がこちらとの世界をつないでいる影響か
ずっと映像を垂れ流し最新式のマイクロ充電器を使っているため多くの情報が入ってくる。
あまりにもおぞましかった。
しかしこの映像からわかったことがある。それは、生まれたという言葉さえおこがましい『ソレ』は、
この画面に映っている人全員から出てきたが、すべての個体が赤黒くなって動くなったんだ。
なお、赤ちゃんにとりついた『ソレ』も、赤ちゃん自体が壊れてしまったのか多くの白と赤の液体が1回
出てきただけで動くことがなかった。
殺意と憎悪と嫌悪感が混じり、自分の中でくすぶっていた嗜虐性が刺激され興奮していた。
これこそ、人間のあるべき姿だ。
そう肯定していたが、やるべきことがある。
「ステータス」
やはり出てきた。
この世界は黒い穴が出てきた瞬間から、物理法則以上に数字に支配される世界になったんだ。
ステータスにあるのは、体力といったゲームのような数値のほかにもスキルやアビリティがある。
さらに自分の状態も見れるようだ。
僕のアビリティとスキルに一つずつ能力が付与されている。
これこそが、僕に与えた影響なんだろう。
今、『人の肉を食いたい』気分だ。
アビリティ(恒常的能動能力):性的倒錯
・WHO等国際的に認められている性的思考障害を、非常に激しく発症する代わりそれを達成すると
経験知と経験値が得られる。
スキル(臨時的受動能力):ネクロマンサー
・あらゆる生を失った者に元の魂をつなぎ、永遠の存在とする。
術師が死去すると解除される。また術師がスキルを発動する際の性的指向を著しく刺激する様再構成も行う。
地獄じゃん。
くっそ、あらゆる性的倒錯が頭の中に入ってくる……!
BDSMとか……ぼ、僕は、自分の意思で残業なんかしていないっ!
頭がおかしくなりそうだった。
僕はすぐに服を脱ぎ棄て、何も考えないように風呂に入って冷蔵庫にある在庫を使う。
在庫と言っても、ただの作り置きだ。
ただ、食欲が足りない。
そういえば、こんな地方集落でもあの家には子供がいたなぁ。
どんな味がするんだろう、どんな声で鳴くんだろう、僕を殺してくれるかな。
「ああ、うあっ。う、ぐ……」
僕はいろんな倒錯に犯され、意識が刈り取られそうになった。
いろんな思いが沸いてきてしまう。
それを僕は理性を壊して本能で実行してしまった。
近所のうるさい犬。昔はこの金属バットで、軟式ボールを打ったんだ。
―少年、近所の犬にズー・サディズムを実行中―
一つの命が消えるのと同時に、僕を襲う多幸感。
僕はこの時思い知ったのと同時に、理性がほとんど消えてしまった。
これが真実の愛だ。僕からみんなに送る最高の幸せなんだ。
『レベルが上がりました』
何らかの幻聴が聞こえてしまって、僕はもうだめなんだと悟った。
確かに僕はもう終わっていたんだよ。変わらない毎日が迎えに来てくれたんだ。
これからとびっきりの真実と一緒に出歩ける。
僕のお天道様は禿げ上がった。何もないのに、そこにあらんばかりの既得権益が注がれれば、
嫌にかき乱される。
「スキル:ネクロマンサー」
「わん!」
先ほど見た犬と何ら変わらない。
いや、ちょっとだけ変わったのは、頭の上にレベル2と出現している数字だ。
うん。性的倒錯を満たすと理性的になれるみたい。
だけどこの現状も、徐々に非日常にお出迎えされるんだろうなあ。
嫌だなあ、これから君の門出にバイバイだなんて。
ーー
「君の名前、サンダーっていうのか。アビリティは、不老不死。術死が死んだら死ぬ。
で、スキルは、鋭利な牙。とにかく、今は家族と一緒にいるんだ」
「わん!」
僕は下着一丁で出てきていたことを再認識した。
すぐに帰りたいと思ったけど、ここから見える都心の方向から爆発音が聞こえる。
しかし夜も深いので、自宅に帰って寝た。
翌日。
「ぬああああああ!!!『放送禁止用語』『放送禁止用語』『放送禁止用語』したいよおおおお!」
僕は発狂していた。ただのいぬっころじゃだめだ!
ドラゴンカーなんたらとか、そんなもんじゃ断じてない!
人だ。人をよこせええええ!!!
僕はエキジビショニズムを発症して周囲を走り回るのと同時に、何かがうごめく音を聞く。
何だろうと思ってスコプトフィリアを発症させると、そこには黒い穴から例の肉塊が出現し周囲の人を
むさぼって『女』にしているところだった。
その瞬間、僕の中のいろんなものが溢れ出てきた。
と同時に、被エメトフィリアをしてしまう。こんな状況でも自分に酔いしれるとか、終わってんなっ!
少し軽くなったが目の前でフェティシズムが行われると知ったら、黙っていられる程アビリティが黙っていない。
すぐに無敵の尖兵サンダーを向かわせた。
レベル1の触手に、レベル2のサンダーが負けるわけないだろ、いい加減にしろ!
「わん!」
「『断末魔』」
『レベルがあがりました』
僕とサンダーのレベルが上がった。
やった。サディズムとカニバリズム・エキシビショニズム・クロスマフィリア・
アノレクタル・ウロフィリア・
コプロフィリア・スコプトフィリア・ハイポクシフィリア・ステノラグニア・
トランスヴェストフィリア・トリコフィリア・
ジェネミメトフィリア・ハイグロフィリア・ピゴフィリア・ファロフィリア・
フォレスキン、フート、ブレストフェティシズム・
メイシオフェリア・メノフィリア・ラクトフィリア・エフェボフィリア・
ジェロントフィリア・インファントフィリア・
ニンフォフィリア・ペドフィリア・アンダーウェアフェティシズム・
ミソフィリア・シューフェティシズム・
クロッシングフェティシズム・アムロフィリア・アルゴラグニア・
エンドソーマフィリア・
オクロフィリア・オートアサシノフィリア・ソムノフィリア・ダクライフィリア・トランスヴェスティズム・バイストフィリア・
ハーマトフィリア・フォボフィリア・ホメオヴェスティズム・ボラレフィリア・
ポリテロフィリア・ミクソピックズーフィリア。
こいつらによって、経験値が爆増。
『レベルがあがりました』
僕とサンダーは、一気にレベル18になった。
というか、フェティシズムの経験値多くない?
とにかく周辺の人を救助するのと同時に、黒い穴に突っ込んだ。
サンダーも一緒だ。
すると黒穴からこっちに飛び込んだ時と同じ姿勢と運動エネルギーで外に出る。
華麗に着地すると、そこは地獄のような世界だった。
沙耶の唄そのままの世界観だけど、この場所は森ということもあってSAN値が直葬されそうだった。
しかし僕はある一点を見ることで正気に戻される。
それこそニュースで今でも放送され続けている映像に映る『ソレ』だ。
ソレというのは、例の風船の事。
といっても人の肌をしておらず、おぞましい色をした肉塊にほとんど包まれているんだ。
暫く隠れて周囲を見張っていたんだけど、例の触手はいない。
どこかに移動したんだろうと2分ほど待機して分かった。
さらに3分間待っていると、目の前にある風船に動きがみられた。
醜悪なそれは膨張するのと同時に、大量の赤と白が混じったものが滝のように流れ落ちる。
その滝あら出てきたのは、小さな触手……赤ん坊は?
とにかく俺とサンダーは、その小さな触手を踏みつけたりかみちぎったりした。
処理し終えたと思ったら、他の肉風船も震えだす。
「まずっ」
僕は一か八か風船を包んでいる触手をかみちぎってやると、風船を包んでいた触手が真っ黒になって崩壊。
そこからカニバリズムを発症させた俺が、その風船になっていた少女をその場でペドフィリア・ネクロフィリア・ブレストフェティシズム・ラクトフィリア・
ライヒェンシエンドゥング・ピゴフィリア・オルファクトフィリア・
アクロトモフィリア・クリスマフィリア・エロトフォノフィリア・アノレクタル・
ウロフィリア・エキシビショニズムを少女に行うのと共に、スキルを発動。
スキル効果が表れるまでこの少女を背中に背負って、僕が出てきた場所とは違う黒い穴に入ってしまった。
サンダーは殿をしてくれて、僕らを外へ連れて行ってくれたんだ。
君のおかげで、僕らは生きている。