リメイクを経て彗星の様に現れた異常研究者、ローガン・カーライル。もしラクーンシティ事件後も彼が生き延びて研究を続けていたら、という妄想。

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ある男のラブレター


愛しのスイートハート

君達とこの場所ヘ逃れてきてから
もう3ヶ月になるね。
研究所で君達が産声を上げたとき
僕は感動に打ち震えた。

愛らしいフォルム、絶大な破壊力、
そして尽きることを知らない食欲。
ハンターシリーズの最高傑作が誕生したのだと。

だけど上層部は君達の廃棄を僕に命じた。
兵器として重大な欠点があるからだ。

君達の欠点…
それは熱への耐性のなさ、そして捕食時に
「急所」をさらけ出してしまう無防備さだ。
けれどその不完全さこそ、
僕が君達を愛してやまない理由でもある。

ここで僕とさらなる進化の道を辿り、
そしていつか必ずアンブレラに証明して見せよう。

君達ハンターγこそが、
頂点に立つべき存在なのだと…




ある男のラブレター 続

 

 

 

 

 

施設より回収された研究員のファイル

 

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1999年、9月28日

 

あれからもう1年の年月が経った、僕の中でその記憶は一切が色褪せる事無く残っている。

 

ラクーンシティ、アンブレラ、ウィルス災害、あの日死者の闊歩する地獄と化した街から僕は奇跡的にも逃げ延びることができた。

 

全ては名も知れぬ勇士達、そして唯一僕の研究に協力してくれていた研究助手の彼がいたからこそ、もはや再び語らう事のできない彼に感謝と敬意を示そう。

 

僕の名はローガン・カーライル、かつてアンブレラの闇の事業の一転を担った研究者であり、今は何者でもないただのカーライル。

 

今僕はとある国のとある街に潜んでいる、アメリカでは無い何処かとだけ言っておこう。僕は己の野望、否、使命を今だ諦めてはいないんだ。

 

今日この日記を記したのは過去の感傷に駆られての事では無い、僕にとって、そして何より僕の最愛の者達にとって新たな一歩を踏み出せたんだ!

 

ページが足りなくなってきたね、また明日、詳しい事を書き記すとするよ、この日記にすら後に大いなる価値が与えられる、僕にはその確信がある。

 

 

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1999年、9月29日

 

さて続きだ、まずは僕の事について話そう。

 

僕、ローガン・カーライルはアンブレラの生物兵器作成の任に付いていた、B.O.Wと呼ばれる彼等はやがては世界中の戦場を蹂躙し、取引によってアンブレラに巨万の富をもたらす筈だった。

 

僕が担当したのはその中のハンターシリーズの研究。

 

そう!ハンターだ!タイラントに比肩するアンブレラの偉大なる発明、人間と爬虫類の遺伝子を組み合わせて作られたハンターはもはや芸術品にも等しい。

 

強靭な肉体、冷徹な殺戮本能、無駄のないフォルム、そして命令を忠実に遂行する知性、まさに実戦的生物兵器の完成形とも言える存在だ。

 

その優秀さから後に多くの派生、改良型が作り出された、そう、僕はその内の一つのシリーズを担当していた。

 

僕が閃いて、提案し、そして作り出した。僕の人生を絢爛に彩る天使達、愛しのスイートハート。

 

ハンターγだ。両生類の遺伝子を組み込まれて誕生したこの天使達は他のハンターには無い水中での高いポテンシャルを発揮した。

 

勿論それだけじゃ無い、巨躯による圧倒的な破壊力、僕を魅了してやまない愛らしい姿、無尽蔵の食欲。

 

僕はハンターγこそがハンターシリーズの最高傑作、そしてやがては生物兵器の頂点に君臨する存在だと確信していた。

 

だけど…本社は…

 

あぁ、僕とハンターγに起きた苦難の道を語るには1枚のページでは狭すぎる、また明日、続きを書き記すとしよう。 

 

 

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1999年、9月30日

 

今更だが日記の体をなしていない事に気付いた。

 

反省しよう、愛する者の事になると我を失ってしまう、だが往々にして愛とはその様なものだろう?

 

僕はハンターγを管理した、毎日欠かすこと無く観察と性能テストを繰り返し、アンブレラ本社に兵器としてのデータを送る日々を送った。

 

その結果…本社はハンターγの研究打ち切りを発表した、同時に今いるハンターγは全て処分せよと。

 

意外に思うかもしれないがそれを聞いても僕は冷静だった、本社がその様な決断を下すと薄々解っていたからだ。

 

ハニー達には欠点があった、炎という明確な弱点、攻撃の際に急所である口内を露出させること。

 

それらを加味し本社は実戦投入には満たない出来だと判断したんだ、愚かな、とは言わないでおく。

 

欠点があるのは事実だ、僕にはその欠点すらも愛おしいというだけ、勿論そのまま従うつもりは無かった。

 

秘密裏に優秀な個体を新たなラボに移した、幸運なことに理解のある助手も手を貸してくれた。

 

そこで僕は研究を続けた、最後には例の事件によりそのラボと研究も捨てざるを得なくなったが…

 

あぁ、またページが残り少ない…うん、結果だけを記そう、その研究を再開させる目処が立ったんだ。

 

アンブレラのヨーロッパ支社が僕を探し出して連絡を取った、もう一度ハンターγの研究に手を貸すつもりは無いかと!

 

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1999年、11月16日

 

少し間が空いたね、日記を記す時間も惜しい程に充実した新たな日々を送っていたのだから仕方が無い。

 

僕はヨーロッパ支部の提案にすぐさま乗った、報酬の事なんてどうでも良かった、ただもう一度愛した者達と再開できるのならば全ての事が些事なんだ。

 

ヨーロッパ支部が打ち止めとなった研究を再開させる理由はハンターγのデータが目に入ったからだ。

 

その機会を作ったのは優秀なる我が研究助手!あの事件の前にヨーロッパ支部にハンターγの実用性を説く報告書を送付していたのだ。

 

あぁ、僕の右腕よ、やはり君はあの時あの街で終わって良い人材では無かった、彼の意思を引き継ぐ思いで僕は用意された新たな研究所へと足を踏み入れた。

 

感動の余り僕は声を出せなかった、頬を涙がつたる。

 

僕の天使達がそこには居た、報告書を呼んだヨーロッパ支部はあのアウトブレイクの最中、街に残ったハンターγの回収に乗り出していたのだ。

 

救いはここにあった、あの日、断腸の思いでラクーンシティの下水道に彼等を置き去りにした後悔と屈辱が今晴れた。

 

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2000年、1月4日

 

新しい研究所に来てから数ヶ月が経過、ハンターγの経過は良好、データも着々と揃いつつある。

 

ヨーロッパ支部はハンターγの実戦投入を検討している、その為には弱点の克服が必須であり、僕が期待されている役回りがまさにそれだ。

 

だが僕はそんなに焦る必要は無いと考えている、ハンターγが全生物兵器の頂点に君臨することはもう決定している、弱点なんてゆっくりと克服していけば良い。

 

勿論与えられた仕事を放棄するという意味では無い、だからこう提案した、今は弱点の克服よりも別のアプローチが適切では無いかと。

 

即ち改良だ、兼ねてより検討していたハニー達の新たなる境地の開拓に乗り出す時が来たんだ。

 

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2000年、2月26日

 

研究は今までに無い速さで進んでいった、僅か二ヶ月で新たなる生物兵器の開発に成功した。

 

僕には解っていた、ハンターγのポテンシャルを誰よりも理解している、驚愕に浮足立つ助手達よ、ハンターγの可能性の全てはこんなものでは無いよ。

 

完成した派生系、ニュービーとでも呼ぼうか。

 

ハンターγをよりコンパクトに改良したこの個体は従来のハンターαに似ている、つまり組み合わされた生物の特徴を併せ持ちながらも人間に似た骨格を持つ。

 

ハンターαがトカゲ人間ならばニュービーはカエル人間と言ったところか、両者はよく似ているね。

 

知能指数も良好、巨体による破壊力は失われたがハンターαに近づけたお陰で同じ運用が可能となった。

 

特に水中に長時間潜伏できる隠密性はオリジナルのハンターαには無い特徴として高い評価を受けている。

 

次は戦闘能力のデータ採取実験を行う、これには助手の中から不安の声が幾つか上がった。

 

だけど戦闘能力の実験とは言っても単純な破壊力だけが評価基準じゃ無い、そうであるならばハンターγが廃棄を命じられるなどあり得ない事だ。

 

無論、戦闘能力の方面でも良い結果を出すのがベストではある…実験は2日後、期待する他に無いね。

 

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2000年、2月28日

 

ニュービーの戦闘実験当日、結果を記す。

 

 

T−ウィルス末期感染者(活性死者)、3体

 

戦闘開始から1分41秒、2体を解体、1体を捕食。

 

末期感染者の反撃を受けたが外傷無し、命令無視等の暴走の兆候は見られず、懸念であった攻撃能力の消失も無し。

 

 

T−ウィルスに感染した両生類(以後ラーカーと呼ぶ)

 

戦闘開始から1分3秒、解体

 

実験の最中に偶発的に誕生したBOWとの交戦、結果あらゆるスペックでニュービー(以後ハンターγ改と呼ぶ)がラーカーを上回っていると確認。

 

 

T−ウィルス変異感染死者(本部はクリムゾンヘッドと呼称、以後その様に呼ぶ)1体

 

戦闘開始から3分42秒、解体

 

ハンターγ改にも外傷あり、機動力に置いてはクリムゾンヘッドが上回るも膂力に置いてはハンターγ改が勝る、ダメージによる制御性の低下、暴走等は無し。

 

 

ハンターα 1体

 

戦闘開始から2分13秒 ハンターγ改 死亡

 

ハンターαにも軽度の外傷あり、これによりハンターγ改の攻撃能力、耐久性、機動力等の戦闘能力は全てハンターαに劣っていると判明。

 

 

以上が今回の実験記録、一研究者として贔屓せず評価しても決して悪くは無い結果だと僕は判断する。

 

助手達の懸念であった攻撃能力の低下、ハンターγ改の水掻きの爪が武装としての水準を満たすのかという懸念であったが問題は無し。

 

ハンターαに遅れを取ったのは残念だけど逆に言えば戦いとして成立するくらいには戦闘能力も保有していると証明された訳だ。

 

ハンターγ改は単純な戦闘能力を低下させる代償により広い運用が可能となる、支部もその事を加味して評価を下すだろう、早速このデータを送らなくては。

 

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2000年、4月2日

 

あれから支部はハンターγ改を商品として正式に決定すると発表した、当然驚きはしない、そんな事は解っていたからね。

 

既に南米の戦場に親であるハンターγと共に実戦投入されていると聞く、これは勿論僕の天使、ハンターγの魅了あってのことだが、ハンターαを参考にして改良したことも大きい。

 

というのもハンターαとはまさに完成された生物兵器、その形跡をなぞるだけでも一定の評価は得られるだろう(一研究者としてその事に思うところが無い訳では無いが)

 

僕は夢想する、ジャングルの水没した森の中を進むゲリラ達…その背後に広がる水中から予想外の一撃をハンターγ達は繰り出す。

 

水中に引きずり込まれればどんなに訓練を積んだ歴戦の兵だって無力、その後は尽きる事の無い食欲で死体は跡形もなく消し去られる。

 

そう、やはり水中なんだ、水辺からの奇襲こそがハンターγの本領、弱点である火も近場に水があるならカバーできる。

 

もし実験場に水場があれば、死んでいたのはハンターαの方だったろう、存分に暴れるといいよ、僕の天使達。

 

世界が君達の存在を無視出来なくなるその時まで。

 

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2000年、11月2日

 

僕達の研究は危機的状態にある。

 

このままではハンターγの研究はかつての様に打ち切られるだろう、チームの誰もがそう確信している。

 

原因の一つはハンターγ、及びハンターγ改の商品としての需要が芳しく無い事だ。

 

水場で真価を発揮するハニー達は逆を言ってしまえば水のない場所ならば他のハンターシリーズに兵器として劣る。

 

弱点である炎と口内の露出に関しても克服の糸口を見出だせずにいる、他のハンター、主にハンターαが今は目玉商品、売れ残りはやがてひっそりと店頭から消える運命だ。

 

当然ながら諦めたりはしない、愛しのスイートハート達よ、誓って僕は君達を諦めない、生涯を掛けて奉仕しよう。

 

だけど僕の意思とは関係無くその時は迫るだろう、それが第二の理由、第一の理由よりもともすれば深刻だ。

 

アンブレラはアウトブレイクの責任を全国から問われ株価は暴落、その力は目に見えて縮小していった。

 

根と幹が枯れれば枝も葉も等しく散るだろう?

 

アンブレラの終焉が近いのだ。

 

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2001年、2月3日

 

ヨーロッパ支部は遂にハンターγの研究を打ち切った、あの時の様に今いるハンターγは全て処分せよとの事だ。

 

解っていたとも、窮地に立たされたアンブレラに残された生き残る方法は生物兵器による莫大な利益の他には無い。

 

金にならない道具は切り捨てて当然、というわけだ。

 

怒りは無い、焦燥も。僕の準備も既に終わっている、彼等が僕達を見限ると同時に、僕達もまた彼等を見限るのだ。

 

アンブレラを捨てる、もう先の無い者達に従っていてもハンターγのさらなる飛躍の道は開かれない。

 

そもそも廃棄を命じられるのは初めてじゃ無い、ハンターγをラクーンシティの隠しラボに移した時から、言うなればアンブレラに逆らっている。

 

あの時と同じく秘密のラボは用意した、ハニー達はそこに移すつもりだ、アンブレラを捨てるのは今すぐでは無い。

 

従うフリをするだけだ、だがそうなれば…大変不本意ながらハンターγ以外の生物兵器研究に回されるだろう。

 

愛おしい者達よ、今こそは忍耐の時。

 

いずれちっぽけな池を捨て大海に取り出す時が来る。

 

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2003年、3月12日

 

その時が来た、アンブレラの終焉だ。

 

各国に点在していた支部も次々も閉鎖に追いやられた、合衆国政府との裁判でも全面敗訴。

 

ずっと拒んできた企業停止命令が遂に突き付けられた形だ、呆気ないものだね、もはや未練も無い。

 

アンブレラは滅んだ、だがアンブレラの生み出した生物兵器は滅びなかった、ブラックマーケットに生物兵器のデータが流出したんだ。

 

これにより生物兵器達は完全にアンブレラから解き放たれた、金さえ積めば所属も思想も関係無く、誰もが生物兵器の力を手にできる時代が訪れる。

 

愛すべき者よ、君達の時代だ。

 

もはや君達は何処にでも行ける、証明しよう、アンブレラ亡き後の世界に君臨するのが何物なのかを。

 

この2年間、僕も無意味な研究に明け暮れていた訳じゃ無い、ハニー達の進化の道筋は常に模索していた。

 

見つけたんだ、君達を在るべき地位へと押し上げるマスターピースを、あと必要なのは設備と資金だけ。

 

これはどうとでもなる、生物兵器を利用したい人間は大勢いるさ、当然ながら生物兵器を作り出すノウハウもだ。

 

此方から声を掛けよう、独裁政治の小国、テロリスト、或いはもっと壮大な野心を持つ者、誰でも良い。

 

愛しのスイートハートよ、希望に満ちた大海は目の前には広がっているよ!

 

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2006年、10月6日

 

完成した、完成した、完成した、完成した!

 

遂に!ハンターγの究極形が誕生した!

 

散らばった無数のピース、それらを繋ぎ合わせて答えに辿り着いた僕はその発想を現実の物とした!

 

まず初めは2年間の間ハニー達と離れて研究を続けた、その過程で他の生物兵器の詳しいデータを得た。

 

見つけたんだ、ラクーンシティにて採取されたサンプルを、偉大なる天才、故ウィリアム・バーキン氏による人造の奇跡!

 

G−ウィルス、その恐るべき力を!

 

確信した、これこそが僕の求めていた物、ハンターγという最愛の人に捧ぐ供物となり得ると。

 

僕の理想、僕の到達点、ハンターγがハンターγのまま頂点に到達する、誰もがその姿に畏怖と感動を覚えるだろう。

 

今なら言える、新しいγは最強だ。

 

賛辞の声が聞こえる、研究資金と施設を得るために取り入ったとある小国の者達だ。

 

興味ないね、全てが些事で全てが過去。

 

さぁ、共に行こう、伝説を打ち立てよう。

 

僕の愛の純結晶、【G(グラトニー)−γ】よ!

 

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2006年、10月21日

 

 

ハンターα 3体

 

戦闘開始から42秒、解体

 

 

T−ウィルス変異感染者(リッカーと呼称)4体

 

戦闘開始から1分23秒 解体

 

 

ハンターα 3体、ハンターβ 4体

 

戦闘開始から1分58秒 解体

 

 

 

素晴らしい、そう表現する他無い、他のハンターシリーズを完全に超えたのだ、戦闘能力と食欲が比べようも無く上昇している。

 

G−γ、ハンターγの新たなる進化、それに必要だったのはG−ウィルスがもたらす圧倒的な生命力と異常変異。

 

それらをハンターγの強化に利用したんだ、無論長く険しい道程だった、何よりもG−ウィルスの特性に苦心した。

 

Gは他の存在と掛け合わせるには強すぎた、遺伝子もウィルスも何もかもを取り込みGの媒介だけを目的とする手の付けられない怪物へと変貌させた。

 

幾つもの失敗、前に所属していたテロリストの本拠地は実験の失敗により壊滅した。

 

カギはGの派生とも言える副産物、G不完全体の幼体だった、Gに感染した生物は変異後、己と近しい遺伝子の宿主に胚を植え付けて繁殖する。

 

その過程で生み出されるのがG不完全体、遺伝子の合致しなかった宿主から生まれし子、G生物に比べれば汎ゆるスペックで比べようも無く劣る。

 

だがGの性質はしっかりと持ち合わせる、そして原液では無いからこそ、そこに共生の道筋が生まれるのだ。

 

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2006年、10月22日

 

G−γは驚くべき速度で成長する、元のハンターγすらそれには及ばない、あるはずのなかった口内の眼球が僕を見つめる。

 

堪らなく愛おしいよ、Gの特性だ、魅了は数倍増し。

 

大きさや赤みがかった体色を除けばG−γは元のハンターγと骨格や見た目は同じだ。

 

だが搭載された筋骨の強度、繰り出される破壊力、何よりも耐久性と生命力が段違いに増している。

 

これぞ正当進化、僕の愛した欠点すらもそのままに、Gのもたらす圧倒的な生命力がそれを補って余りある。

 

そう、どうやって生み出したかの話だったね。

 

G不完全体は宿主から孵った時はまだ小さい幼体だ、やがて成長して不完全体の成体となる。

 

その幼体に人間と両生類の遺伝子をT−ウィルスと共に打ち込んで作り出したのがG−γなんだ。

 

いわばGの幼体をハンターγに改造したんだ、成長の過程で両者の特徴を取り込み、それが調和して生み出される。

 

この天秤を水平に保つが如きバランスに何よりも苦労した、Gの暴走を抑え、ハンターシリーズの強みである制御性も両立させる。

 

でも僕はそれをやり遂げた、今までの僕の人生においてこれ程誇らしい事は無い。

 

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20(塗りつぶされた後)

 

今が何年何月かなどどうでもいいよ、僕の使命は果たされた、今僕の眼前に広がるは数えることすら馬鹿らしい程の培養液で満たされたカプセル達。

 

中は勿論全てがG−γ、産声をあげる瞬間を今か今かと待ち望んでいる、これら全てがいずれ汎ゆる戦場で解き放たれる。

 

G−γの開発により僕の小国内での地位は確かなものとなった、Gの特性を持つハニー達はどんな場所でも戦って、多大なる戦果を出した。

 

水のない陸地、凍える凍土、弱点である乾燥地帯すらもG−ウィルスの生命力が強引に突破する。

 

そしてその感動的な破壊力で全てを薙ぎ倒す、炎?口内?無駄だよ、G−γが息絶える前に不届き者達の全身を噛み砕くのが先だろう。

 

欠点と克服の両立、矛盾すらも内包した究極にして完全なる美の存在、それがG−γなのだ。

 

僕の永遠のハニー達がもたらす利益も絶大だ、生産性のコストの観点から見ても優れていたG−γは生物兵器に求められる需要の全てを満たしている。

 

いずれはハニー達の軍団が世界を飲み込むだろう。

 

ようやく辿り着いた僕達の愛の巣であるこの場所から、世界に向けて君達は飛び立つのだ。

 

もう日記を付ける必要は無い、輝かしい未来が僕達を祝福している、愛はあらゆる障害を超えて煌めく。

 

あぁハニー、愛しのスイートハートよ。

 

これからも、僕の世界を照らしておくれ。

 

 

             Dr.ローガン・カーライル

 

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