澄んだ記録を目指して   作:上条@そぉい!

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ワタシ、モット、カク


『友達』

 ポケットに手を突っ込み、壁に寄りかかる。時間はまだあるけど、時間通りになる気がしないのでイヤホンを取り出し音楽を流す。今日はロックの気分だ。

 場所は人通りの激しい大通り。便利屋の仕事はオフなのでショップ巡りをしようと思い先生を誘ったのだが、どうやら忙しいみたい。

 その話を聞いたあの人が代わりに来るというので待ち合わせをしている。そもそもあの人時間にちゃんと来るんだろうか?

 

 こうして待っていると不良と勘違いした人が逃げていくので早くして欲しい。自身の目つきの悪さは自覚してるけど、実際目の前でヒソヒソこっち見ながら有る事無い事言われるのはそれなりに響く。

 

「うぃー、待ったかカヨコ」

 

 そんな事を考えていると横から聞き慣れた声が。そちらに顔を向ければジーパンにTシャツのラフな格好の鬼巫女がいた。

 

「それなりにね、もう少し時間掛かると思った」

 

 待たされたのだ、これくらいは言っても良いはずだ

 

「そこは今来たところ、くらい言って欲しいな」

 

「だったらもう少し早く来る事だね」

 

 いつもの軽口を言い合いながら音楽ショップへ向かった。

 その道中、特に会話は無かったけれど。考えてみたらこうして2人で何処かへ、というのは一度もなかった事を思い出した。彼女とは出会いこそ突然でこうも長い付き合いになるとは思わなかったけど、今では悪くないなんて考えている。

 便利屋にはいなかったタイプの人間だ、自堕落だけど、その横にいるのが居心地よく感じてしまうタイプ。自分よりもダメダメな人間がいるから安心する、みたいな。

 

「っと、ほれこっち来い」

 

 突然グイッと引っ張られる。ビックリしていると先程までいたところを凄い速さで走り抜けていく子供が。

 

「全くあぶねーな、元気があるのはいいが周りも見ろよなー」

 

 そんなふうに愚痴る鬼巫女。そのまま私を壁と鬼巫女で挟み込む形で歩かせ始めた。

 ズルいなぁ、いつもダメ人間なのに。こういう時だけ大人になる。普段はどっちが大人なのかわからなくなるのに。

 

 そんな事をしてるうち、目的地についた。いつも通っている音楽ショップではなく、新しく出来たという店だ。新たな音楽との出会いを求めてたまにこうして探しに来るのだ。

 鬼巫女は普段来ないのか、ほー、だとかへー、なんて言いながらCDを手に取る。

 私も気になるCDを手に取りながら、ふと思いつく事があった。

 

 ──そう言えば彼女の好きな事とか、そういった内面について聞いたことがなかった。

 

「鬼巫女は普段どんな音楽聴いてるの?」

 

「んー?特定のジャンルで聴いてねーな、良いなーって思った曲を闇鍋で聴いてるよ」

 

「じゃあ拘りはないの?」

 

 気に入ったCDを買い物カゴに入れながら彼女に聞き返す。

 

「あー、拘りね。あるとしたら……聴いてて楽しい事とか?」

 

「それ最低条件じゃない?」

 

「かもな」

 

「あ、これなんてどう?『歌う愚か者』シリーズ。ロックな曲が多いけど最近久しぶりにニューシングル出したんだ」

 

「どれどれ、ロックにはうるさいぜ私は」

 

 試聴用のヘッドボンを被り暫し聴き入る。聴きながら体はリズムを刻むように揺れ、時折頷いている。どうやら気に入ったみたいだ。

 

「悪くないな」

 

 ヘッドホンを外し笑みを浮かべそう言う彼女に私もと聴いてみた。

 耳元で流れる一定のリズムと激しい音。歌詞もよく自分にしても好みだった。

 

「いいね、これ」

 

 友達と音楽を聴きながら意見を交わす、なんてした事がなかったけど。楽しい。

 

「ほんと、いいねこれ」




カヨコは私がブルーアーカイブを始めるきっかけになった一つです。推しキャラは何人もいますが一目惚れしたのは彼女と数名だけです
 そんな推しとこうやって会話しながら店巡りしてみてぇなぁ!という衝動がこの話を作りました
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