──鬼巫女って、見てる事が多いよね。
真夏の暑い日。エアコンがあるシャーレの部屋に来ていた鬼巫女は応対用のソファに横になり、アイスバーを齧る姿のまま
「藪から棒だな、どう言う意味だよそれ」
私もまた書類を捌く手を止めず、その書類に書かれた文字に目を走らせる。
──これまで色んな事件に関わってるけど、自分から動く事はなかったよね。殆ど。
カイザーPMCの時も、アリスの時も、エデン条約の時も。彼女は手伝う事はあっても根本的な解決に手を出した事はない。鬼巫女の事を全て知っているわけではないが……やろうと思えば解決できたのではないかと薄々感じている。
「あー、まあな」
煮え切らないその態度に私はその思いを強くした。ならば何故やらないのだろうか?と。
そんな私の思惑を彼女は察したのだろう。棒だけになったアイスの残骸をプラプラと手で弄びながら
「それじゃ意味がないだろ」
──意味?
「確かにやろうと思えば解決できた事は多い。だが私に頼るのはガキ共の為にならん。あくまで私は流れ者、言ってしまえば部外者なんだよ」
ズルを覚えたやつの成長はそこで止まる。それはアイツらのためにならないしやる気はない、と彼女は続けた。
「それでも私が本格的に出る事があるとすれば、それだけの案件だったり。あとは……私が原因の一つだったり、知り合いが巻き込まれたりだな」
そのスタンスは今後も変える気はない。と話を締めてアイスの残骸をゴミ箱に投げ捨てる鬼巫女。
──驚いた。そこまで考えてたんだ
「私を何だと思ってたんだ?いやまあ日頃の行いってやつなのかもしれないが。──出来るなら私なんて要らない方がいいのさ。私の今の幸せはバカ笑いして酒が飲める事だぞ」
そう言って目を細める彼女。だけど、それは悲しい。
自分は要らないなんて悲しい事を言わないで欲しい。彼女もまたキヴォトスに必要な1人で、自分にとって気のおけない友人だ。
キヴォトスに来て、私も彼女も部外者では無くなったはずだ。要らないなんて、言わないで欲しい。
だから私はそんな思いを込めて彼女に言うのだ。
──じゃあ、全て片付いた時には。生徒の皆も呼んで花見でもしようよ。春になれば桜も咲く
「ほー?私も入れてか。いいが、美味い酒を用意しろよ?」
──もちろん。とっておきのを用意しておくよ。
普段飲んでいる酒ではきっと満足しないだろう。ブラックマーケットにならグレードのいいものがあるだろうか。一度足を運んでみようと思った。
アイテムゲット!『最高級日本酒』
先生が奮発して買ったお酒。いつかくるその日の為に、生徒には見つからない場所に保管している。タイムカプセルのようにその瞬間はきっと、おいしい。