澄んだ記録を目指して   作:上条@そぉい!

34 / 76
ちょっとずつストーリー見てます……大丈夫?ハッピーエンドになるよね??って疑心暗鬼です。

PS.終了前にガチャ引いたら体操着ピックアップキャラ全員当たったので私はもうダメかもしれない。近日中に不幸が起こる可能性が……


『喧嘩売られた』

 セイアは何やら決心したらしく、なんかキリッとした顔でトリニティに戻っていった。外は日が落ち、雨が窓ガラスを叩いている。私はいまだに病室に閉じ込められていた。

 

 ──酒が欲しい。切実に。

 

 傷は治るかもしれないが私の精神的傷は酒が飲めない事で増えていくんだから治療として酒を要求できないだろうか?いや、セリナはおっとりしてそうでその実、治療に関してはめちゃくちゃ頑固だから多分説得できない。

 うーん、いっそのこと監視も振り切って窓をブチ破るか……?真面目に検討を始める私だが──

 

 ズドドドッ!!!!

 

 

 銃声が外から聞こえると同時に窓ガラスが派手に破壊され、部屋の中を弾丸が蹂躙する。すぐさまベットの上を転がり、ベットの下の隙間に身体を捩じ込む。

 

「おいおいおいおい!弾丸の出前は頼んだ覚えがねーぞ!」

 

 未だに銃声は止まず、部屋の壁にはびっしりと弾痕が現代アートのように刻まれる。この様子じゃ部屋の中に入り口で見張ってた監視役の生徒も入れないだろう。精々できるのは応援を呼ぶくらいだ。

 と、なれば──

 

「私がなんとかするしかねーか!」

 

 備え付けの机の上に置いていたリボルバー拳銃をベットの下から身体を伸ばしなんとか回収し、シリンダーを開けて残弾を確認。

 

「六発あるな……いや、この銃声の数からして1人や2人じゃねー。これじゃ心許ないな」

 

 せめて医学部に回収されちまった弾の予備でもありゃ、ここから銃で反撃してやるんだが……いっそ体力の消耗考えず暴れた方が楽か……?

 一瞬の選択、鬼巫女が選んだのは──

 

「プランAだ!」

 

 ベットの下から足で蹴り上げ、自分の体を隠す障害物にし。弾丸の雨が弾薬の再装填(リロード)で止まる瞬間を狙って顔を出し、窓の外にいる敵に射撃。一発一発を荒々しく、しかし正確に額を撃ち抜く。致命傷にはならないだろうが、相手を怯ませる有効打とはなるだろう。

 障害物を乗り越え、窓の外に飛び出す。弾のなくなった拳銃をこちらを見つけて一瞬硬直する敵の顔に投げつけ、視界を一瞬遮りその隙を狙って腕を掴む。

 

「そぉい!」

 

 背中に背負って身体ごとぶん投げる。一本背負いで1人オトす。

 

「こいつがマダムの言っていた──撃て撃て!当たればすぐに死ぬ筈だ!」

 

 確かにダメージにはなるだろう。()()()()()

 相手の行動も訓練された生徒らしく、予想外の事態からの復帰は流石の一言だったが。相手が悪かった。

 それよりも早く、投げオトした生徒の腰につけられたホルスターから拳銃を抜き取り自身を狙う生徒達を射撃。完全沈黙まで数秒だった。

 雨が全身を叩く。今の攻防だけでずぶ濡れだ。しかし、彼女の視線はまだ鋭い。

 

「何の真似だ?降参でもするのか」

 

 視線の先に居たのは、1人の生徒。アリウススクワッドメンバーの1人だった。でかいカバンを背負い、帽子を被る生徒は気弱そうであちこちに視線を移しながらも、私の前に姿を現していた。

 

「あ、あなたを殺せば。裏切りは許すとい、言われたんですけどねぇ……」

 

 すぐに攻撃しなかったのはコイツだけ、今の攻防で何もせず敵意を見せなかったからだ。こうして顔を合わせた以上私はこいつに落とし前をつけなきゃならん、がしかし。

 

「それで?結果はどうだ?」

 

 エデン条約の時も襲ってきたガスマスクをつけた所属不明の生徒達が倒れ伏す現状。どうみてもそれは失敗だろう。

 

「とても勝てる気がしません……」

 

「だろうな」

 

 ハナから諦めていたんだろう。なら、逃げもせずここにいる理由はなんだ?

 

「アツコちゃんが……アツコちゃんが攫われたんです。私たちを庇って」

 

 足は震え、今にも崩れ落ちそうだが。それでも視線だけは必死に抑えて私の目を見る。

 

「図々しいのはわ、分かってます。あんな事をしたのに今更何を言ってるんだって私でも思います──だ、だけど!」

 

 雨降り頻る中、地面に両手をつけて土下座する彼女。顔こそ見えないがその声は次第に涙を纏う。

 

「お、お願い……します。どうか助けてください……!」

 

 既に戦闘態勢は解き、私は腕を組んで溜め息を吐く。

 

 ──先生なら助けるんだろうが……

 

 私はそこまで優しくするほどお人好しにはなれない。こいつ含めアリウススクワッドはやり過ぎた。それに対して全てチャラにしろ、というのは問屋が下さない。しかし。

 

 ──1人でも多く。生徒を助けて欲しい。

 

 先生の言葉が過ぎる。既に達成した、と判断した依頼だったが……ここでそれを破るというのは気分が悪い。だから私は一つの判断を下す。

 

「報酬は」

 

「へ?」

 

 土下座していた顔を挙げてこちらを見る彼女。ぶっきらぼうに私は繰り返す。

 

「だから報酬だよ報酬。こちとら便利屋、タダ働きは社長に怒られ……」

 

 いや、多分あの社長なら無報酬で受けるな、絶対。見栄っ張りだから。

 

「……まあ、動けないわけだ。だから依頼なら受けてやる。報酬は」

 

 その言葉に表情を明るくして、彼女は言った。

 

「何でもします!雑用でも何でも!一生掛けて払います!だからお願いします!」

 

 そう言って再び頭を下げた。

 

「……しゃーねーな。受けたぞ、その依頼」

 

 どっちにしろ、私が狙われたのは確かだ。このままというのは無し……これを計画したバカにお灸を据える必要がある。売られた喧嘩をそのまま、なんてするわけが無いしな?




今何でも(ry
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。