PS.サオリもミカも幸せになれーっ!(ちいかわ)
「はぁ!?時間がねーってどう言うことだよ!?」
「で、ですから!その儀式までの時間です!それに間に合わなければ行っても無駄なんです!」
あの騒動の場から離れ、片っ端から情報聞いたわけだが内容がまあ酷いのなんの。もう1時間もねーってどうしろと??とにかくアリウス自治区の最奥まで急いで行かなきゃならない。だったら手段は選べない。
道路に路駐されてたバイクのチェーンロックを蹴りで引きちぎり、跨る。
「おら、早く後ろに乗りな。最速で向かうぞ。今からお前の仲間に合流するのも惜しい。どうせ目的が同じなら向こうで会うだろ」
「え、えぇ……多分リーダーも同じように動いてるだろうけど……うぅ。い、痛くないようにお願いしますね……?」
恐る恐るシートの後ろに座り、私の腹に手を回す生徒こと、槌永ヒヨリ。
エンジンを掛けるキーは強引にぶち破り、ブルンッとエンジンを唸らせる。
「そいつは無理な相談だな、私が言えるのは舌を噛まないよーに忠告する事だけだ」
一気にエンジンを開放、何もかもを置き去りにする速度へと到達するのは数秒だ。
「──ひ、ひええええええ!!!?や、やっぱりこの人に頼むのは失敗だったかもーッ!!!???」
ガッタンガッタン人、車を避けたり狭い裏路地を強引に抜けるたびに車体が大きく縦に横に揺れまくり、後ろでヒヨリは叫ぶ。
「耳元で叫ぶなうっせぇ!その口に肉まん突っ込むぞこの野郎!?」
「野郎じゃないですぅぅぅぅう!!どうせなら豚まんくださぁぁぁぁあい!!」
──図々しいなこいつ!?実は余裕あるだろ!?
確かミサイルが落ちた聖堂跡地の近くだったよな、カタコンベとやらは!そこまで急ぐしかねぇ!
そうして雨の中、爆速で進むバイクはそこまで時間かかることなく到着する。
「こ、ここを抜けなきゃならないんですけど……も、もしかしてリーダー達はもう向かった……?」
だったら戦闘の跡でもありそうだが……今のところ人気がない。見張りくらいあると思ったけどな。ええい、合流に手間をかける暇がねーって言ってんのに。仕方ない。どうせ後でバレるんだったら派手にやるか。その音で仲間も察するだろ。
「あ、あのぅ……なんでエンジン吹かしてるんです……?もう到着してますけど……」
そんな私の考えを薄く察したのか、怯え気味に聞いてくる。それに対する私の答えはこれだ。
「真正面から突っ込む。迷路なんてしゃらくせーもんはまとめて吹き飛ばすからしっかり掴まれよ」
「やっぱり変な事しようとしてる!?」
拒否権はない。私に任せると言う事はそうなるのは既定路線なのだから。
再び加速、狭いカタコンベ内をバイクで爆走し始める。時々アリウス生徒だろう奴らが居たが、纏めてバイクで轢いた。頑丈だからこの程度じゃ死にはしないだろう。
「そ、そこ左です左!何やってるんです!?このままだと壁にぶつかりますよぅぅう!!」
相変わらず耳元で叫ぶヒヨリ。片手でハンドルを握りながら後ろに空いた片手を振りかぶり、拳を握る。
「何するつもりなんですかーッ!!!??」
「真正面って言ったらこうなるだろ!!」
思いっきり拳を正面に振り抜く。
ドゴゴゴゴーンッッッ!!!!!
拳が空気を圧縮するように叩き、それは衝撃波となり硬い岩を砕く。掘削機のように何度も拳を振い、できた道をバイクで爆走し続けた。
それによって目的のアリウス自治区に到着するのはすぐだった。
「この手に限る」
「ぜ、絶対違う気がしますぅ……」
ようやく止まったバイクから地面に倒れ込むように降りてヒヨリは嘆いた。
ショートカット(物理)