「──で?その姫が囚われてるって所はどこだよ」
「ま、まだ本拠地は先ですけど……ここは使われてない廃墟。ちょ、ちょっと待ちましょう。多分リーダー達が来るはずです」
「あん?時間がないって──」
言いながらバイクから降りようとして、不恰好に足元がもつれて片膝をつく。まだ回復もしてないのに体力を使う事をしたせいだ。
「チッ……仕方ねー。あーやだやだ、歳をとるってのは」
「な、何の話ですか……」
お前も歳を取れば分かるさ。まあ私の場合は些か特殊だが。それに……ここに着いてからずっと気持ち悪い視線を感じる。監視でもされてるのか?まあ派手に動いたからバレるのは想定済みだ。気にせず休むとするか。
適当に瓦礫を蹴り、場所を作って壁に寄りかかる。ヒヨリはオロオロしながら控えめに私の向かいに座った。
お互いに言葉はなく、静かな時間が流れる。私は眼を瞑り少し眠ろうとしていた。
が、その静寂はすぐに終わりを迎える。足音が聞こえ始め、姿を現したのはアリウススクワッド残りのメンバー。錠前サオリと戒野ミサキだったか。名前はヒヨリに聞いた。しかし驚いたのはその後ろから「先生」が現れた事だ。お互いここに居るとは思ってなかったからびっくりしていたが。
──鬼巫女!?
「よー、先生。また会ったな」
おおかた私と同じようにメンバーに頼まれたんだろうな。お人好しだからノータイムでヨシ!したのが顔を見ればすぐ分かる。
──どうやってここに?
「突っ切ってきた」
言いながら先程まで通ってきたであろう「先生」の後ろの道を指差す。それだけで察したのだろう。
──あの派手な音と穴は鬼巫女かぁ……
納得と同時に呆れられた。解せぬ。速さが命なんだからできるショートカットはしないとダメだろ。
あ、後ろでビックリしてるわサオリとミサキ。っていうかなんか震えてねーか特にミサキ。
──鬼巫女、詳細は聞いてないんだけど何かした?
そんな様子を「先生」も気づき、私に聞いてくる。ふむ……。
今までやった事……あっ。
「そういや一回フルボッコにした事が」
あぁ……ミサキは特に殴った記憶がある。私も手加減はしたつもりだが容赦はなかった。トラウマになっててもおかしくはないな。
「……先生、フォローよろしく」
あの様子じゃ私が何言っても良い方向には向かない、むしろ悪化しそうだ。「先生」にジト目を向けられ私は眼を背ける。
ち、違うんだ。あの時は間違いなく敵だったしミサイルまでぶっ放して私も巻き込まれてたから頭に血が昇ってたから。
震えるミサキを宥めるように「先生」が背中を撫で続けて数分、ようやく落ち着き、話が進んだ。どうもサオリも限界が近いようで結局休む事になった。
その中で、アリウス分校であったこいつらの過去を聞いた。私が思ったのは一つだ。
──なんだ、コイツらにもちゃんと『それでも』と足掻けるものがあるじゃないか。
あれだけボコられたら普通にトラウマ物です。サオリ等の精神的に強い人。単純に図太いヒヨリとかはまだ平気な方ですが。割と精神的に脆い人には特に。
具体的にはトラウマ発症によるSAN値チェック1d3/1d6です。