「それで、作戦はあるようだけど。内容は?」
頼んでいたものを持ってきたウタハはこちらに聞いてくる。私は渡された例のブツ──、超ロケットブースター付きバイクに跨り、調子を確かめながら返事を返す。
「これで空を飛ぶ……んだが、普通にやっても届かねーのは私も理解してる。だからここで必要だったのがそこのクソガキだ」
「私?」
話の中で呼ばれて首を傾げるミカ。人選のチョイスが謎だったからだ。お嬢様然として育ってきたミカに機械を弄る事なんて出来ないし、器用なことなんて自信はない。
「ああ、お前の怪力なら。このバイクごと、空に投げられるだろ?」
身を持ってこいつの拳を受けた私が保証する。お前はキヴォトスでも最高峰の怪力だよ。勝てそうなのは……アリスくらいか?
「はぁ!?そんなの無理に──」
「何も先生のとこまで飛ばせなんて言わねーよ。そりゃ無理がある。欲しいのは最初の勢いを作るきっかけだ」
そう言う意味では望ましかったのはロケットを発射するための発射台のようなもの、だったが。本来このバイクをそんな風に使う想定はしていない。今から作るには時間が足らず、他のもので代用するしかない。
「その後、こいつのブースターの推進力でかっ飛びながら私の力であとは何とかする」
「随分と無茶な作戦だね」
「まあな……だが、考えてみろウタハ。バイクで空を、それも宇宙目指してかっ飛んでいくとか──ロマンだろ?」
「……確かに。そう言われてしまうと、私もやりたくなってしまうじゃないか」
こうして作戦は決まった。後はやるだけだ。部室を出てバイクを外に運び出し、後はミカがそれを持ち上げるだけだ。
「えぇ、本当にやるの?っていうかこれお嬢様がやる事じゃないよね?」
でも、わかったって言っちゃったしなぁ……なんてミカは言う。
「まあ何とかなるだろ。それにほら。これ持ち上げられたらもう何でも武器に出来るぞお前。鬼に金棒、いやゴリラに金棒だな!」
「また殴られたい?」
「すいませんでした」
今殴られると洒落にならないんで勘弁してくれ。迅速に謝罪して、改めて準備を整えた。
「それじゃ、後は頼むよ。私は先生の方のサポートがあるから失礼するよ、流石にずっとは抜けられない。ヒビキとコトリに任せっぱなしだから」
「あぁ、ありがとよ。後は任せろ」
そうしてウタハは戻っていった。
「投げるのは私なんだけどね?」
「あぁはいはい、お前もサンキュー」
「なんか雑なんですけど!」
ぷんぷん、と擬音がつきそうな感じで頰を膨らませるミカを雑に流す。
「それじゃ行くぞ、
「出来てるよ」
「うっし、行くぞ!!」
ギギギ……と軋む音を鳴らしながら、私を乗せたバイクが持ち上がる。
「いっくよーッ!!!」
高々と持ち上げられたバイクは、ミカの体ごと振り回す勢いで空高くぶん投げられる。その勢いが最高点に至ったタイミングで、ハンドルのスイッチを操作。一気に後輪の排気口とは別のロケットブースターが起動。体全体で重力を感じる勢いで一気に空高く加速していった。