強化人間部隊ヴェスパーの9人目 作:ねむい
ノインの朝は早い。
水で口をゆすぎ、顔を洗って眠気を取ると、まずは端末に送られているメールを確認する。
「……うわ、また第2隊長から緊急集会の案内……と?」
送られてきたメールの内容には項目がふたつあった。ひとつはスネイルからの全隊長を集める緊急会議がある旨。もうひとつは、アーキバスの主催する系列企業や中立企業の製品展覧会の案内の旨。
緊急会議の方はどうせベイラムか解放戦線の戦力が展開してきたことへの対策会議なんだろうが、後者の製品展覧会は非常に気になる。
「第9隊長」
「あっ」
ノックが部屋に響く。この声は少し前までは知らない声だったが、会議の時に聞いた事がある。この冷えた様な声は第1隊長……ヴェスパーの総隊長、V.I フロイトだ。
「……フロイト第1隊長」
「おや、面識は無かったと思……いや、定例会議か。何れにせよ、だ」
無遠慮にドアを開き、部屋の中に入ってくる。
「早速だが本題に入ろう。俺と戦え」
「…? それはどういう───」
「無論、シミュレータ上でも構わない。お前の力を確認してみたい」
「え……えぇ…?」
たった10秒の間に行われた程度のやり取りではあるが、それだけで相当に戦闘狂なのだという事がわかった。フロイトの人となりがこの短時間で知れるとは思わなかったが。
「フロイト。……ああ、遅かったか」
「ラスティ? どうしてあなたまで…」
フロイトに続いて部屋に入ってきたのは、第4隊長ラスティ。パイロットスーツに身を包む彼は額から少し汗をかいており、走ってきたのだろうことが窺える。
遅かったか、と言ったあたりは恐らくフロイトを止めに来たのだろう。それは文字通り遅かったわけで、私はこうして彼から模擬戦の催促を受けている。
……というか、なんだ『シミュレータ上でも構わない』って。
脳内で愚痴る。
仮に実戦でも良いと言ったら味方同士で殺し合いをしなくてはならないが。フロイトはその辺りはどう考えているのだろうか。
「で、第9隊長? どうするんだ」
「いえ……シミュレータも何も、やりませんよ。会議もありますし」
「……そうか。邪魔をした」
「あっ! ……行っちゃった」
フロイトは途端に興味をなくしたような素振りを見せて、私の部屋を後にする。ラスティは彼を見届けて、やれやれと言わんばかりに肩を竦めた。そのまま中に入っていいか訪ねて来、私が了承すると恭しく部屋に入り、ドアを閉めて客人用の席に座った。
「君も知っての通りだろうが…今日の午後、アーキバス主催の製品展覧があってね。君のオペレータから聞いたよ、フレームを取り替えたいらしいな」
機体を変えたい事を聞き及んでいたらしく、ラスティは机の上に端末を置き、こちらに見えるように反転させる。
そこには、ACパーツが紹介されていくブースが写った展覧会の案内が表示されていた。フレームパーツやウェポンパーツ、インナーパーツに至るまでが満遍なく並べられている様は、言いようのない高揚感を覚えさせる。
「……このC、っていうのは?」
「ん? ……あぁ、金を使った事が無いのか。
「へぇ〜…」
データ上に存在するこの通貨は、使ったことはないがこれまでの任務の成果として口座に纏められているらしい。私の端末にも、確かに幾ばくかのコームが送金されている。
仕事で得たお金は全て端末で管理され、携帯端末そのものはユーザーの指紋を感じ取ることで本人にしか使えないように設定されているとのことだ。
「その展覧会はいつ始まるんです?」
「時刻は……7時間後。午後の18時からだな」
「会議に行ってからでも充分間に合いますね。ラスティは行くんですか?」
「いや、私は……そうだな、スティールヘイズを気に入っているから、遠慮しておこう。君と一緒にかはわからないが、展覧会に行きたがっているのがもう一人いる。誘われでもしたら……行ってやってあげてくれ」
その人の名前を濁しながら、ラスティは苦笑いを浮かべる。少し嫌な予感もするけど、とりあえず緊急会議には出席しないといけない。ラスティと一緒に部屋を出て、会議室へ向かった。
「……以上です。他に質問は?」
スネイルのその問いに全員が頭を横に振るか、またはありませんと返事をして答える。
「よろしい。では誰か補足事項等はありますか?」
「俺からひとつある」
「……珍しいですね、フロイト」
「数時間後に控える合同製品展覧会の事だが」
……まさか、ラスティの言っていた
「スネイルが展覧会の主催として参加するが、俺はパスだ。メーテルリンクが行きたがっているそうだから、誰か連れて行ってやれ」
「ん゛っ……!!」
何か飲み物を飲んでいたらしいメーテルリンクが、唐突に名前を呼ばれたせいか噎せて咳き込んでいた。どうやら、ラスティの言っていた行きたい人とはメーテルリンクの事だったらしい。噎せていたあたり、本当は行くことを隠したかったのだろうか。
それもフロイトの無神経な一撃によって暴かれてしまったのだが。恥ずかしそうにしているメーテルリンクが、私の目には少し不憫に映った。
「な、何故それを…」
呆れたスネイルが書類を纏めて帰る支度をしながら、最後に何かあるかを聞く。
「…要件はそれだけですか?」
「俺からもある」
次に挙手をしたのはオキーフだった。
「独立傭兵……登録番号Rb23 レイヴンについてだ。ペイターがレイヴンへ依頼を飛ばそうとしたのだが、連絡がつかん。ハンドラー・ウォルター諸共だ。何をしようとしているかはわからんが、各員用心はしておく事を薦める」
「……今度こそ終わりですね? では、私はこれから展覧会場設営の準備があるのでこれで」
スネイルが会議を終わらせ、そして用事が終わった、あるいは他の用事がある他の隊長達もぞろぞろと会議室から出ていく。
残ったのは私と……顔を手で覆って俯くメーテルリンクの二人だけだった。
「メーテルリンク……」
「……なんでしょう…」
「…一緒に行く?」
「行きます…」
時刻は大体18時ごろ。ルビコン3の外から不当な手段でこの星にやってきた企業の船団は、物資輸送の名目でしばしば汎用兵器やMT、ACに至るまで多彩な兵器を販売するのだという。
そしてそれらのスペックや値段は全て配布されたカタログに記載されており、リアルタイムで性能と値段差を見比べながら購入を検討できるらしい。
メーテルリンクと私は、主催者であるスネイル第2隊長の部下なので特別待遇になっているらしく、他の独立傭兵が入り交じってくる19時以前に入場が可能だ。という事で私たちは今、パンフレットとカタログデータの転送された端末を片手に製品を見て回っていた。
今までであればこんな場には誰も連れずに一人で行っていただろう。しかし、何度かの休憩と交流を挟んで、メーテルリンクとはある種の友人のようになっていた。年齢こそ7つ離れているが、同じ下位隊長でもあるし。
「あ、見てくださいノイン! プラズマキャノンです!」
先程のフロイトによる暴露が嘘のように、メーテルリンクは元気になっていた。製品を見て回るのが楽しい気持ちがわかる。彼女もきっと楽しいんだろう。
「え〜っと……あ、シュナイダー製か。FASAN/60E、チャージによってプラズマの出力を高め、威力の高い広範囲EN攻撃が可能……強そう」
「強そうですね! ……うわ重っ……!?」
「キャノンだからなぁ…負荷も相応だね」
「ですね……でも欲しいなぁ……強そう…」
物欲しそうにしながらプラズマキャノンを眺めるメーテルリンクを置いて、私はフレームパーツのブースへと向かう。そこには見覚えのあるシュナイダー製フレームNACHTREIHERシリーズや、その派生脚部を装備したKASUARシリーズのフレームが並べられている。
その中にはもちろん、アーキバスの手になる第二世代型フレーム、VP-40シリーズもあった。
シュナイダー系ACの鋭角な見た目とは異なり、流線型が各部に取り入れられ、この装甲設計によって対エネルギー装甲の強度が確保されているようだ。
より多くの損傷に耐えられる機体。それはつまり、機体ダメージに余裕があるときに取れる択が増えるという事でもある。
「私はこれが欲しいな…」
端末に映し出されている所持金と、カタログのパーツ値段とを見比べる。持ち金は100万コーム近くある。ACを相手したり壁を襲撃したり、特に機体損傷を抑えつつ戦ってきたから、貯金自体は有り余っているのだ。
しかし、VP-40シリーズは兎角高い。フレームパーツの合計値を計算していく。
「……124,000……が、えーと………うぇっ!?」
合算すると実に968,000コーム。私の貯金がほぼ丸々飛んでいく値段だ。流石に、第二世代の傑作パーツ群なだけある。性能の高さはすなわち、値段の高さに他ならないのだ。
「うーん……フレーム全部とっかえるのは無理だなぁ…」
財布と要相談だが、少なくとも機体丸ごと取り換えて武器も内装も、なんて事は不可能となったわけだ。
なら、コアか腕か頭か…どこかふたつまでを取り替えて、残る金額のいくつかを内装と武装に注ぐというのが良いだろう。少なくとも今の装備は中距離射撃戦には向かない。というよりは、FCSがそうさせてくれないのだ。
ヴァンダーファルケの装備は、レーザーハンドガンとレーザーショットガン、パルスガンにレーザーダガー。清々しいまでの至近距離戦用装備群だ。だが、FCSの方はそうではない。
貸与されていた機体にインストールされていたFCS制御チップは、ファーロン製の中距離特化型FCS、G2/P05。
これはレーザーライフルやレーザーキャノンといった中距離戦で効力を発揮する装備との相性が良い反面、長距離や近距離ではロック性能に天と地ほどの差がある。
「変えたい所が山積みだ…そもそもこういうのって専門のアーキテクトを雇うんじゃなかったっけ……」
細かい事を考えると気が滅入ってくるように感じた。しかし各部フレームや装備の強さが機体の強さに直結する訳でもないだろう。
今の機体で例えるなら……中距離戦用のFCSを積んでいるのに近接戦闘に用いるような装備群では噛み合わせが悪い……といったように、強い武器ばかりを積んでもそのまま強くなるわけではないと思う。
実際、動かない相手ならレーザーやパルスガンは面白いように当たるが、それがAC相手だと途端に命中率が怪しくなる。
クイックブーストの吹かし終わりに撃てば当たるやつは当たるだろう。だが射撃の兆候を見逃さないような敵が相手になった時、それは致命的な隙になる。
それを踏まえると、今買うべきはレーザーライフルとプラズマミサイル、あとはACS負荷限界を狙う為にもファーロン製のミサイル辺りだろうか。ただ、そうするには現状の機体では積載状況もEN負荷状況も、両方が限界を超えてしまう。
となれば、それらに加えて購入するのはコアと脚。ただそれらはべらぼうに高い。そのふたつだけで合計650,000コームぐらいする。アホすぎる。
命を賭けることになるACパーツなだけある金額だが、その値段は流石に高い。となると、より安価なパーツが欲しいところだが……。
……倒した敵ACのパーツを奪えば無料では?
積載状況は芳しくないので。このままでは追加の武装を買うこともできないし。
そういえば、私のACのアセンブルを担当したシュナイダーの技師曰く『機体負荷はかなりギリギリを攻めましたが、その分近距離での状況対応力に優れています!』。
FCSどうするのよ。
FCSのことに気が付いたのは、いくつかの作戦に従事したあとに近距離での銃口の追尾性に違和感を覚えた時だった。
これからのヴァンダーファルケをどうするかでうんうん唸っていると、追いついてきたメーテルリンクが声をかけてくる。
「あっ、いたいた。ノイン!」
「……ああ、メーテルリンク」
「何を買うか決めたのですか?」
「いや……決めたには決めたけれど、お金が無いから。この展覧会ってしばらく続くの?」
「続くというか……ここにあるのは全部見本のようなものです。パーツ自体はしばらく残り続けますよ。
それに、見本パーツは組み立てれば即座に動かせこそしますが、例えばエネルギーカートリッジには何も充填されていませんし、アクチュエータ系なんてまともな調節もされてませんから、私たちみたいな強化人間は乗れないんです」
「乗ったらダメなの?」
「指とか脚とか、関節が折れるような感覚が好きなら乗ってもいいんですけどね。オススメはしません」
その言葉だけで何となく察した。強化人間はACを操縦する事に特化している。正確には、強化人間用にチューンナップされたACを動かすための神経系に接続する事で特化する。
メーテルリンクが言っているのは誇張でも何でもない。非強化人間が乗る分にはレバーやトリガー、ペダルなんかを自分の体で押せばいいだけの話だ。
だけど、強化人間は文字通りACと繋がる。神経がACと一体になることで、生身の延長線上の存在としてのAC戦闘が可能になるのだ。
それはつまりACとの同期直後、痛覚遮断が行われていない間に機体の不具合という形で、肉体へのダメージフィードバックを受けてしまうということである。
普段強化人間用ACには神経接続と同時に、肉体への負荷を極力避けるために機体損傷から来る神経への
恐ろしい想像に身震いしつつ、自分が買いたいパーツの話に戻る。別に強化人間が使えないACに乗る意味は無いし。要らない想像だったと少し後悔する。
「と…とりあえず。 私はレーザーライフルとプラズマミサイル、コアと脚部を買おうかなって思ってる」
「んーと? ………わっ、結構高いですね。ノインの所持金はどれくらいあります?」
「大体100万。足りるには足りるけど、しばらく何も買えない」
「買って良いと思いますよ。大方、FCSで悩んでるんですよね?」
「あれ? なんでそれを?」
「想像はつきます。近接戦闘用のFCSはベイラムしか生産してませんからね。買いたいという装備も全て中距離戦向けのものですし」
……そう言うメーテルリンクも、過去に装備選びで悩んだことがあるらしかった。任務の度に機体が戦闘スタイルと合致していない事に首を傾げ、専属のアーキテクトと話し合って今の機体構成に落ち着いたのだとか。
「正直、載りさえすれば良いと思いますよ。そんな状態でもACはしっかり動くものです」
そう言われながらメーテルリンクが差し出す彼女の端末には、乗機インフェクションのフレームと武装、インナーパーツの詳細が映されている。
よく見てみれば、クイックブーストの性能保証重量をオーバーしている。理由は、先程彼女が購入を決めたプラズマキャノンをシミュレータ上のACに搭載しているからだった。
元々の機体にはパルスガン二丁にパルスシールド、そしてプラズマミサイルを搭載していたようだ。
「多少動きが悪くなっても、技術で充分カバーできますからね」
そしてプラズマミサイルとキャノンとの性能差をデータに直して見せてくる。細かいところで差異があるが、最も違うのはやはりその威力だろう。様々な要素を合算することで明確な数値化が施された範囲ダメージは、その効果範囲も相まってミサイルに搭載可能なプラズマ発生器とは比較にならないだろう。
単体に対する高い打撃力を欲したメーテルリンクは、プラズマミサイルを排してキャノンを搭載した。手数と攻撃力を両立させれば、結果的には状況対応能力も高められるという事になる。
自身の戦法に合わせて、機体を最適化させる。とどのつまりアセンブルとはそういうことなのだろう。
「ノインはいつ買うか決めました? 私はもう今すぐ買っちゃいますけど…」
「うーん…修理費とか弾薬費は確保しときたいんだけど…」
正直なところ、10万くらいは残しておきたい。次の任務で失敗しない保証などあるはずもないし、であれば保険は確保しておくに越したことはない。
しかし、命を賭ける商売道具に金を出し渋って今のまま、という訳にも行かないだろう。とりあえず、ジェネレータとコア、レーザーライフルを買うことにしよう。
カタログデータから購入案内のページに飛び、いくつか見繕った装備を購入する。
レーザーライフルVP-66LR、98,000C。
コアVP-40S、354,000C。
ジェネレータVP-20C、229,000C。
しめて681,000コームの支払いだ。
フレームそのものを取っ替えるよりも安く済むし、重いジェネレータで補っていたEN最終出力も、コアを変えることで出力補正を向上させ、結果として軽いジェネレータでも運用が可能となり、軽量化した隙間にレーザーライフルを載せることも出来た。
これは良い感じにアセンブル出来たんじゃないだろうか?
軽さを損なわず、より中距離戦闘に対応可能になったことで、今後の作戦でもより多くの戦果を挙げられるはず。
独立傭兵が注文した場合、フレームや装備パーツが届くには数日以上かかるとの事だが、やはりそこでもヴェスパーの隊長という立場が有利に働いて、即日配達を行ってくれるらしい。
ということなので、購入したパーツが届く旨をガレージにいるAC整備員達にメールを送って伝え、メーテルリンクと一緒に挨拶のためスネイルへ会いに行こうと、関係者席へと向かう。
そこではいつもと変わらないスネイルの姿があった。主賓の歓迎を終え、独立傭兵用の会場設営の指揮を取っていた。
「スネイル第2隊長閣下」
「…おや、第6隊長……に、第9隊長も一緒ですか。お目当てのものはありましたか?」
「はい、スネイル閣下、お陰様で」
「私も機体調節の目処が立ちました」
「……ほう? あの貸与したシュナイダーACでは満足出来なかったようですね?」
「…任務遂行を確実なものにするための準備です。決してあの機体に不満があったわけでは」
スネイルはちらりとこちらを一瞥すると、ずれた眼鏡を元の位置に戻しながら言う。
「──まあ、どのようにしようと構いません。かつての無人機、少なくともそれ以上の成績を貴方には期待していますよ、第9隊長」
…無人機?
それ以上の疑問を解消するすべは無く、私達は帰りの輸送ヘリに揺られて基地へと帰還したのだった。
事態が急変したのは、その日の深夜1時ごろだった。
ベリウス北方の港、その周辺にあるベイエリア全てが小規模のコーラル爆発によって消滅し、周囲一体をコーラルの群体が浮かんでいるとの情報が入った。
ヴェスパー隊の全員が調査や敵対勢力への牽制のために出撃した事もあってか、その日は急変した状況に煽られてルビコン解放戦線やベイラムが独立傭兵を伴って動き、各地での小競り合いや、場合によってはAC同士の激しい戦闘が続いたのだ。
「スウィンバーン! 援護します!」
『私を舐めるなよ、ノイン…これでもV.VIIの名を閣下より賜ったのだ、援護など無くとも……おあっ!?』
スウィンバーンの機体、ガイダンスがACS負荷限界から打撃を受けて損傷し、スウィンバーンはパルスシールドを構えつつ後退する。ガイダンスからのミサイル援護を受けながら、ベイラム四脚MTへ近付きつつレーザーライフルを撃ち込む。
『畜生…アーキバスめ……!!』
断末魔と共に四脚MTが爆発し、取り巻きの軽MTを破壊していく。使い切りのリペアキットを消費して装甲を緊急補修し終えれば、もう残っている機体は確認できなかった。
私もスウィンバーンもお互いに機体の損耗が激しいが、それだけ多くの敵を倒した証拠でもあった。周辺には多くのMTが黒煙を上げて沈黙しており、補給無しで戦ったにしては相当数を撃破していたと感じる。
レーザーライフルとレーザーハンドガンの弾持ちが良いのもあって、やろうと思えば戦闘継続は可能だが、ベイラム側にそのつもりは無いらしい。残る部隊が遠方で撤退しているのを見、ため息を吐いた。
「ようやく終わった…」
『かなり長丁場だったな。こちらのMT部隊が来たら我々は下がるぞ』
妥当な判断に頷き、増援を待つ。
やがて四脚MTを含んだ防衛戦力が補填されると、彼らへ対する詳細を省いた大まかな状況説明を終え、補充のために基地に帰り、泥のように眠った。
近く、コーラル集積地点の本格調査が開始されるらしいが、眠たかった私はそんな事を覚えていられるはずもなく……。
新しいACの感想を喉から出すこともないまま、半日近くをベッドで過ごしたのだった。
ノインの各隊長へ対する寸評
フロイト
第1隊長、よく分からないけどバトルジャンキー。
スネイル
第2隊長、話し方が鼻につく嫌な人だけど、仕事はできる。
オキーフ
第3隊長、いつも気だるげそう、たまにフィーカをくれる。
ラスティ
第4隊長、スラッとしてる、多分二番目に実力がある。
ホーキンス
第5隊長、物腰がとても穏やかで、話していて疲れない。
メーテルリンク
第6隊長、いつも親身になってくれる、今の私の友達。
スウィンバーン
第7隊長、頼りないけど頼れる先輩で、会計責任者?
ペイター
第8隊長、誠実だけどたまに変。
一番好感度が高いのはメーテルリンク、次点でペイターとホーキンス、その次にスウィンバーンとオキーフとラスティ。
仕事の都合上一緒に組むことが多いので、ラスティの実力の高さは認めている。