強化人間部隊ヴェスパーの9人目   作:ねむい

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2話 ベイラム偵察部隊殲滅

 

 

 

 

 私はペイターに呼び出され、ヴェスパーの宿舎にあるブリーフィングルームに来ていた。試験の時は端末を用いた映像上での説明だったが……。

 

「来ましたね、ノイン。これよりスネイル第2隊長閣下から下された任務を伝えます」

 

 ペイターがそう言うと、プロジェクターから投影されるホログラフィーに作戦概要が映し出される。

 

 

 ───ヴェスパー第9隊長ノインに通達します。これはアーキバス本社からルビコンでの陣頭指揮を一任されている私が考案した作戦です。作戦地域はグリッド135。殲滅目標は、ベイラム偵察部隊となります。

 

 スネイルの声と同時に、地図が映し出される。

 グリッド135。アーキバス、ベイラム、ルビコン解放戦線の三大戦力が入り交じるベリウス南部の汚染市街だ。

 地図の後に主要のポイントが映し出される。

 

 ───そのポイントでベイラムの偵察部隊を待ち伏せし、好機を見て一挙に殲滅するのが貴女の任務です。その際作戦成功に必要な行動は、ヴェスパー第8隊長ペイターの一任で決定しなさい。

 

 続いて、敵部隊の主力となる兵器が幾つか表示される。シールドを持つMT、マシンガンとグレネードキャノンで武装するMTの他、ベイラム製四脚MTの姿も確認できる。

 この中で最も脅威となるのは、やはり四脚型だろう。豊富な積載力からなる重武装は機動力に劣るものの、火力に長けるそれは、並のACを凌駕するからだ。

 

 ───説明は以上です。ヴェスパー第9隊長ノイン。貴女の活躍を大いに期待します。貴女が役に立つ存在であるということ、この作戦で存分に示しなさい。

 

 

 

 ……ブリーフィングはそこで終了する。ACの準備に取り掛かろうとする私を、ペイターが引き留める。

 

「ノイン」

 

「なんでしょうか、ペイター」

 

「敵主力はMTだけに見えますが、恐らくACが相手になる可能性が高いでしょうね。良くて大豊核心工業集団(ダーフォン)の重ACあたりか。あなたの敵では無いと思いますが、警戒してください」

 

「わかりました、ペイター」

 

 そこで会話は終わり、私はガレージへと向かう。

 途中で第6隊長メーテルリンクとすれ違う。

 

「おや。こんにちは、ノイン。これから仕事ですか?」

 

「はい。スネイルの指示でグリッド135に」

 

「そうでしたか、閣下のご命令で……。あまり気負わず励むんですよ」

 

「わかりました、メーテルリンク」

 

 話もそこそこに、ガレージに到着した。中で何十人もの整備士が慌ただしくしているが、そのうちの一人が私の事を見つける。どうやらその整備士はガレージでACを整備する班を束ねる整備管理責任者だったらしい。私を見つけ、敬礼をすると、話しかけてきた。

 

「お疲れ様です、第9隊長。任務の件は聞いています。整備はもう20分頂ければ、直ぐに出発可能です」

 

「わかった。コクピットには乗っていてもいい?」

 

「是非! OSチューニングや操作系統周りの調整は既に終了していますので」

 

 私は責任者に礼を言い、コクピット内に入る。

 

 質素だった無骨なシートは、衝撃吸収材の敷き詰められた豪華な素材に差し替えられ、コクピット内部も綺麗に手入れされていた。

 前回ACに搭乗した試験の時からあと数時間で一日が立つが、その程度の時間で巨大な兵器を完全に整備する事が可能なのは凄い、と思った。それもたった数十人のグループだけで9機のACを万全の体制にする必要があるのだから、その苦労は推して測るべきだろう。

 

「はぁ……」

 

 一人きりの空間で、ため息を吐く。

 

 私はたまたまACのパイロット適性があった幸運な人間だ。もっと言えば、もう身体が成熟して戦える年齢であるのも、生きたままアーキバスに捕らえられたのも幸運と言えた。

 そうでなければ、私は今頃身を売ることでしか生きられなかったのかもしれないのだから。

 

 ……いや、こうして戦場に身を売り出している時点でそう変わらないだろうか。変わるのは、売る事で失われるのが尊厳か命かの違いだけだ。

 

『V.IX、こちらV.VIIIペイター』

 

『聞こえています、V.VIII』

 

『よし。作戦は前もって聞いていた通りです。あなたは、やるべき事を終えてください』

 

『第9隊長殿! 整備終了しました! カタパルトデッキ解放します!』

 

 話が終わると、私とこの機を衝撃が襲う。カタパルトで作戦地域まで飛翔する為に、デッキへと続くリフトが動き始めたのだ。

 

 みるみるうちに全ての行程が終了し、残るは私を乗せたACを射出するだけとなった。カタパルトが斜めを向き、その向かう先はベイラム南部の汚染市街、グリッド135。先日戦ったのはろくに訓練を受けていない解放戦線の末端だったが、今回の相手は偵察部隊とはいえベイラムの正規部隊だ。

 

 身体を固定するための器具に腕と足、胴体を嵌め込み、ACのOSと神経を接続する。

 

 ……視界が歪み、やがて先ほど以上にクリアになっていく。清々しい気分さえ感じさせる。

 

『発射用意完了、いつでも行けます!』

 

「……発射を」

 

『了解! AC射出!!』

 

 その言葉と同時に、肉体に凄まじい重力が襲いかかる。パイロットスーツだけでは無い、義足によっても肉体の対G能力を高めてはいるが、それでも凄まじい圧を感じさせた。

 そのままジェネレータの余剰出力を全てブースタに回し、巡航状態に入る。速度は維持されており、武装や頭部コンピュータに必要以上の電力を回す必要も無いため、低高度を長時間飛行できるという寸法だ。

 

 やがてこのGにも慣れ始めてきた頃に、コンピュータが作戦領域への接近を報告する。

 

『メインシステム、戦闘モード起動』

 

 COMボイスが脳内に流れると共に機体が高度を大きく下げ、オイルの漏れる汚染市街区に突入・着陸する。

 

「V.IX、現着。作戦開始する」

 

『ノイン、こちら第8隊長ペイター。無事に到着した様ですね。私が君をサポートします、冷静に作戦行動に従事するよう務めてください』

 

「了解です、ペイター」

 

 ACを歩かせ、敵を冷静に探す。ヘッドの索敵スキャナーを展開し、敵の位置を壁越しに補捉できるように動く。

 曲がり角でぶつからないのがACのスキャナーの利点だ。MTには無い専用の機能を駆使すれば、敵の包囲網を会敵することなく突破しさえできる。

 

 しかし、目的は敵の目を逃れることではない。敵を見つけ出し、待ち伏せし、殲滅することにある。

 

 スキャンに反応があった。

 

 大勢のMTが、開けた道路を行軍している。数は15、うち1機が大型の四脚型MT。私は機体を路地に潜ませ、静かに奇襲の時を待った。

 傍受している無線通信から、声が聞こえてくる。

 

『──かし、ルビコニアンどもめ、急に静かになりやがった。ドンパチしようとしてたくせして、少しやられただけで逃げ出すなんてよ』

 

『やつらは腰抜けなんだろ、エドソン。まあ、逃げてくれなきゃあACを連れてきた意味もないがな』

 

 どうやら話を聞くに、ルビコン解放戦線の兵士がベイラム偵察部隊に攻撃を仕掛けたらしい。どうにも戦果が奮わず、ACの存在を受けて撤退したとも聞くが……。

 ースキャナーをもう一度起動し、辺りを調べてみるも、どこにもACの姿は見えない。

 

「V.VIII。敵ACがいたようですが、姿はありません」

 

『離れて偵察しているのか……? 了解です、V.IX。そのまま敵を殲滅してください』

 

「了解です、V.VIII」

 

 高速道路の陰を素早く移動し、敵の視界に入らないよう迂回しつつ、敵部隊の背後へと立つ。

 

 ダーフォンやメリニットの発売しているグレネードランチャーのような、強力な爆風のある範囲攻撃用重火器は携行していない。となると、一気に広範囲を叩ける武装はひとつしかない。

 

 前方の敵部隊の一団へ向かってクイックブーストし、急速接近する。左腕のレーザーハンドガンをハンガーのレーザーブレードに切り替え、ブレードのレーザー集束口にチャージする。

 ブレードから僅かに漏れる光を見たMTが振り返り、叫ぶ。

 

『……っ!? 敵───』

 

「遅い」

 

 青い円月は、二度描かれる。一度目は、後列を歩いていたMT4機を。二度目は四脚MTを大きく削り、その近くを行軍していたMT2機を溶断し、弾き飛ばす。

 

 事前に捉えていた敵影は15。これで6機を倒し、残るは9機。雑魚は8だ。敵に姿を捉えられる前に飛び上がり、建物を挟んで離脱する。

 この数と真正面からやり合って、来るかもしれないACの相手を前に消耗する理由も無い。クレバーにやらせてもらおう。

 

 敵が私の隠れる建物を包囲しようと散開したタイミングで、散らばったMTの2機を叩く。レーザーショットガンで1機を即撃破し、ハンガーを切り替えてパルスガンを照射して2機目を潰す。飛んでくるミサイルを回避し、そのミサイルの主へと高速で接近(アサルトブースト)すると、角度をつけて急停止し、ドリフトしつつもレーザーブレードを展開。

 その空いた背にブレードの刀身を叩きつけ、破壊する。

 

 これで3機撃破。残るは四脚MTと軽MTが5機。

 

『くそ、ACは何をやってるんだ!』

 

『もうダメだ! レッドガンを呼べ!!』

 

 レッドガン……ベイラム勢力の擁するAC部隊だ。ベイラムはレッドガン以外にも多数のACを抱えるが、レッドガンはその中でも精鋭揃いだ。そんなのを呼ばれれば、多対一でこちらの不利は確実。マシンガンを数発食らった程度の機体損耗率だが、AC相手だとどうなるかわからない。ここですべて仕留める必要がある。

 

「そこ」

 

 ハンガーから取り出してチャージしたハンドガンから、5発のEN弾が飛び出す。接近してきていたMTを貫くと、四脚からのレールキャノンの照準がコクピット内に警告を促す。

 

 右方向に急加速して弾を回避し、撃たれにくい上方向に飛び上がってレーザーの雨を振らせる。狙うはACSの制御負荷限界によるスタッガー(制御不能状態)と、その状態に攻撃を()()()()()ことだ。

 

 動きに僅かな硬直が見られ、もう限界が近いと踏んだ私は、ハンドガンを数発お見舞いした後にレーザーショットガンを取り出し、チャージする。四脚MTからのレーザーブレードを回避すると、反撃とばかりに集束したレーザーの刺突をMTに撃ち込む。ACSの限界を引き起こした四脚MTに、溜めたレーザーブレードの二連撃を叩きつけた。

 

 完全に爆発し、無力化されたのを確認すると、残るMTを殲滅する。シールドを構えながらマシンガンを点射して抵抗してくるが、そもそも当たらないうえに機動力で勝る相手にシールドなど意味が無い。多少の反動を受け流せるとはいえ、それ以前に迂回されれば敵を捉えられないシールドなど意味が無いのだから。

 パルスガンの照射を浴びせて無力化すると、残る一機のシールドをレーザーブレードの円を描く二連撃で諸共切り伏せる。

 

 これで、偵察部隊は全てだろうか?

 

「V.VIII、付近に敵影は?」

 

『待ってください……ACの反応が二つ。争っているようですね。向かってください、V.IX』

 

「了解です、V.VIII」

 

 言われた通りに向かう。2キロメートル先で、確かになにかが戦っているようだ。弾丸が何発かこちらに流れてくるのも見えた。機体が弾丸を跳弾する。そのままアサルトブーストを活用して高速で飛行する。上空を飛びながら敵対反応を偵察する。

 

 片方は、全く色の塗られていないBAWS製中量二脚AC。もう片方は、大豊製フレームに身を包む重量二脚AC。

 

「データ送信。情報照合を願います」

 

『受け取りました。照合完了、重量二脚がレッドガンのメンバー、G7 ハークラー。もう片方がトーマス・カーク。どちらもランク圏内ですね』

 

「どちらをやるべきですか?」

 

『ベイラムの戦力を削るなら、ハークラーでしょうね』

 

「わかりました、ではそうします」

 

 ジェネレータ内エネルギーが切れる前に、その二人の撃ち合う最中へ飛び降りる。

 

『……なぁっ!? なんだ、お前はっ!!』

 

『くそっ、こいつも追っ手なのか!?』

 

 ハークラーからバズーカを、トーマス・カークからバーストライフルを、それぞれ向けられる。トーマスに歩み寄り、ハークラーのACへと銃口を向ける。

 

「トーマス・カーク。死にたくない?」

 

『あ…? し、死にたくないに決まってる!』

 

「なら、共闘しましょう」

 

『わ、わかった!!』

 

 トーマスが右に、私が左に移動する。ハークラーはどちらを狙おうか迷ったようだが、一拍遅れて私にミサイルとバズーカの矛先を向けた

 

『ちっ、よく見りゃコイツ、アーキバスの!』

 

 両肩の10連装ミサイルが同時に火を噴くが、そんなのは簡単に回避出来る。むしろやつにとって本命は……。

 

『そこだっ!! ……なに!?』

 

 やはり、ミサイルに対する一方向への回避挙動を、バズーカで刈り取るやり方だった。派手さで目を引くミサイルは囮、本命は右手のバズーカだ。

 

『おっ、俺の戦法が通用しない!?』

 

 考えは間違っていないが、武器のチョイスが雑だ。わざわざバズーカを用いるのではなく、爆風による命中率が期待できるグレネードにするべきだ。それに、ミサイルも同型種を二つじゃなくて、別種を一つずつの方が撹乱には向く。ずれている。

 

『なんて動きだ……あれが、アーキバスの……!』

 

 トーマスがライフルとハンドミサイルを撃ち込みながら呟く。二人での挟撃で、敵ACはかなりの損害を受けていた。

 私はACの機動力によって、ハークラーを極めて一方的に翻弄する。無論敵もただ黙ってやられるわけではなく、反撃を試みてくる。だがミサイルミサイルと来て大味なバズーカでは当たるものも当たらない。

 それに左腕のパルスブレードだって息をしていないかのように動かそうとしない。無駄が多い。

 

 全ての武器がリロードに入り、攻撃が途切れる僅かな瞬間がある。そこを狙って……。

 

「いま」

 

『なっ! 速っ……!?』

 

 弾幕の切れ目にレーザーブレードで切りつける。敵機体に備わるACSが悲鳴を上げ、回復の為にその機能が一瞬遮断される。即ち、スタッガー。ENを溜めたレーザーショットガンと、ハンガーから出してチャージさせたハンドガンが、交互に火を噴く。

 

『ばかなっ!? このハークラー様が、こんなっ───』

 

 レーザーによる鋭い刺突とEN弾の5連射を受け、機体が持たなくなったハークラーが、道路の脇に倒れ込んで爆発する。

 反応が消えた。敵は無力化され、死亡した。

 

 私は後ろにいた独立傭兵へと振り返る。色無しのトーマス・カークだ。

 

『た、助かったよ。アイツもオレも、リペアキットを使い切って……どっちが死ぬかわかんなかった…』

 

 トーマスは私にお礼を言う。成り行きで共闘することになっただけなので礼を言われる筋合いはないのだが、彼にとって私は命の恩人。礼を言っておきたいのだろう。詳しくは知らないが……。

 とにかく、これで仕事は終わった。

 

「偵察部隊を無力化。ACを撃破しました。ミッションは完了です」

 

『了解しました、V.VIII。第2隊長閣下へは私から伝えておきます。帰投し、休息を摂ってください』

 

「了解」

 

『あ……ま、待ってくれ!』

 

「……?」

 

 トーマスがまだ呼び止めようとする。私は帰って休みたいのだけど。

 

『オレ、ルビコン解放戦線から追われてて…今のでベイラムとも敵対しちまって……頼む! オレをアンタの専属傭兵にしてくれ! 囮でも何でもするっ!!』

 

「……はぁ……ペイター?」

 

 尋ねるとペイターはすぐに応答する。

 

『話は聞いていました。あなたはもうヴェスパーの第9隊長。部下を擁したり傭兵を雇う分には自由です。もちろん彼の経費は依頼費用や賃金から一定額引かれますが』

 

「……うーん」

 

 つまり、トーマス・カークをここで拾っておけば後々囮や火力補助など役に立つ場面はあるだろうが、そもそもの話、私たちの駆るACは兎にも角にも金のかかる兵器。雇った挙句の破産は自己責任、ヴェスパーは責任を負わないということだろう。

 

 ……まあ、()()()()()()に役立つ駒は多い方が助かる。私はハークラーに背を向けて歩き始めた。

 

『待って! どうなんだ、雇ってくれるのか?』

 

「……ついてきて。でも私の命令には絶対に従うのが絶対条件。それでもいいならね」

 

『……!! ああ、もちろんだとも……敵だらけのところで孤立なんてしたくもないぜ…』

 

 

 

 駒その1ゲット。

 長い目で見て、長期的に使っていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰ってきた私達を迎えたのは、ペイターとホーキンス、スウィンバーンの3人だ。

 

「ご苦労様です、ノイン」

 

「おかえり。無事で何よりだよ、ノイン君。と、専属傭兵の……」

 

「……あっ、ト、トーマス・カーク……です」

 

「ふむ……登録番号Rb18、識別名トーマス・カーク、ランクは26/E……まあ、教育せずともノインの配下となっているのなら再教育センターには送らずともよいか。貴様も励むのだぞ」

 

「はっ、はいっ! 頑張ります!!」

 

 トーマスがビシッと背を伸ばして敬礼している。再教育センターというワードに不安を感じたのだろう。別に、少し痛いだけで怖くはないのに。

 

「もう良いでしょう、スウィンバーン。私は休憩を取ります」

 

「呼び捨てか……。貴様はもう少しこのスウィンバーンに敬意というものをだな……まあ良いわ」

 

 スウィンバーンが肩を竦めてやれやれといったようなジェスチャーを取る。別に嫌な人では無いと思うのだが……強いて挙げるなら、なんでも疑ってかかる癖だけは治した方がいいと思う。

 

「ではこれで。行こう、トーマス」

 

「え? あ、はい……で、ではオレはこれで」

 

「ああ、またね」

 

 ホーキンスが手を振る。なんでも、生きてきた中で辛いことを沢山乗り越えてきたからこそ、あんなに温和な性格なのだそうだ。

 良い人だ。

 

 ペイターも、時たま空気を読めないけど基本的には良い人だ。メーテルリンクも、少し話しただけだけど実直そうな雰囲気で嫌いじゃない。スウィンバーンも……まあ。

 

 話した事がないのは、トップのフロイト、第3隊長オキーフ、第4隊長ラスティの3人だけだ。非常に忙しいと聞いていて、どんな人なのか想像もつかない。特にオキーフは諜報部の長官とも聞いているから、その忙しさは並のものではないだろう。

 

 

 

 

 部屋についた。

 

 あっ、と声が漏れた。私の部屋しか用意されていない。トーマスは私が急に連れてきたせいで部屋の割り当てなど無いのも当然のことだった。どうしようか……と、悩んでいたところでトーマスが声を上げた。

 

「オレ部屋要らねぇ。機体があるからコクピットで寝るよ。座り心地は最悪だけどずっと寝泊まりしてきたしな」

 

 一歩下がった謙虚な意見だが、私としては部下となるパイロットにはしっかり休んでもらいたいとも思う。

 

 ……私のベッドを使わせよう。代わりに私はソファで寝る。採用されるつい一日前までは床で雑魚寝する生活だったから別に慣れっこ、むしろソファという物が天の遣わした宝物とさえ思えるくらいだ。

 

「じゃあベッドで寝て。私はソファでいい」

 

「は…いや、いやいや、そりゃダメだろ! あんたが上でオレが下なんだからよぉ。示しがつかねえんじゃねえのか?」

 

「誰に示しをつけるの。いいから。私は慣れてる」

 

「おっ、おわっ……!」

 

 そう言って私はトーマスを無理やりベッドに座らせると、ソファに横になった。明日になったらトーマス用に部屋を用意してもらおう……。

 

「おやすみ……」

 

「えぇ……お、おやすみ? ……うーん」

 

 久しぶりにそう言ったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──今回の拾得物

 

 独立傭兵トーマス・カーク×1

 

 






 V.VII スウィンバーン
 アーキバス指折りの精鋭の一人。28歳。
 第5隊長ホーキンスと並ぶ第7世代型強化人間であるが、第7世代型手術は当時最新でありながらコーラル代替技術と呼ばれる、神経をコーラルの高い情報伝達能力で補うという不安定な試みが為された最初の世代でもあった。結果としては成功だが、その術後の後遺症に怯えていたがために、スウィンバーンの猜疑心は完成したと言うべきだろう。
 スネイルから預かった再教育センターおよびファクトリーにて、ノインに眠る高い能力を見出している。

 V.VI メーテルリンク
 アーキバス指折りの精鋭の一人。24歳。
 若くして実力が高く、慎重な性格も手伝って高水準の任務達成率を誇る。第8世代型強化人間は旧世代型を過去の物とした、と言わしめるほど優れた能力を見せており、メーテルリンクもその一人である。戦闘能力も上位陣に引けを取らないが、思い切った踏み込みや発想が足りずにV.IV ラスティとの模擬戦闘では負け越している。

 トーマス・カーク
 ノインが専属とした傭兵。21歳。
 元々はルビコニアンに雇われていた傭兵だったが、ベイラムグループの傭兵部隊と衝突した際に友軍を見捨てて逃亡。後にベイラムの主力AC部隊レッドガンの一員、G7 ハークラーを殺害した事で、縋る先が偶然共闘したノインしかなくなってしまい、ノインがこれを受け入れる形でアーキバスグループの強化人間部隊ヴェスパーの傘下となる。
 勢いはあるが冷静さに欠け、また強化人間ではない。




 あとがき
 ノインは上の人間には敬語で、下の人間には素っ気ない態度で話す、総じて他人には冷ための17歳140cm47kgショートヘア色白貧相目の下に隈アリ義足非合法ロリです。(属性過多)
 ミールワームだけでは栄養が足りなかったので色々育ちませんでした。ヴェスパーの全員で並ぶと、一人だけ小さすぎて誰かのお子さんと間違えられます。
 中の人はガチればこの機体でベイラム主力MT部隊+αを轢殺できますが、ノインは多分疲労困憊で死ぬので出来ません。機体名は隼のドイツ語読みから取ってヴァンダーファルケ(Wanderfalke)と言います。かっこいい。
 陰のあるショートロリいい……
 17歳はロリじゃないけど…


 あとスウィンバーンくんすき
 メーテルリンク不憫かわいい
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