ARMORED CORE VI 戦車道の少女達 作:くろがね四駆
――ウォルターはレイヴンとレッドの無人MT機体撃破の報告を聞いていた。
するとウォルターは、
「621。 生徒達を襲撃した無人MT機体は、他の学園艦にも出現報告がある」
「なんだと? ではいったい誰が何の目的で……」
レッドが疑問を言う前にウォルターは、軽くだがまとめられた書類を二人に手渡した。
「……今回の敵は企業ではない、文科省の人間達だ」
「文科省……?」
「連中はどうやら戦車道、そして学園艦の存在すらも金食い虫としか思っていないらしい」
レイヴンとレッドは貰った書類を一通り読んでいく。
するとそこには無人MTの事も明記されていた。
「俺達と同じくこの世界にやってきて、MT機体と情報を文科省に提供した奴がいる……」
「誰かは知らねえがな、厄介な事をしてくれたぜ……」
溜め息を吐きながら、イグアスは言う。
さらにページをめくっていくと、レイヴン達には聞き慣れない名前がいくつも載っていた。
「MT機体を提供した奴は起業して、表向きでは生産業だが……本来の仕事は、無人MT機体の設計や生産をして文科省に提供しているという。 そこで俺は世界各国の企業にこの事を説明し、協力を約束してもらった」
「これで俺達は、ひとまず武器の弾数とかを気にする必要はなくなったってわけだな」
つまりこの載っているいくつもの名前は、系列の軍需企業の事だろう。
流石に弾薬の補充が無ければ、ろくに戦闘も出来ない。
その必要が無くなったと理解した時、レッドは安心してホッと息を吐く。
「しばらくすれば戦車道連盟から依頼が来る、……それまでしっかり休め」
――ウォルターに休めと言われ、レイヴンはエアと一緒に街を歩く事にした。
レッドはイグアスと別行動をしていて、エアとしては初めて人型でレイヴンと歩く道であった。
エアは少し嬉しそうな顔をしている。
レイヴンとエアの身長差は大人と高校生ぐらいの差であった。
「……実体があるというのは良いものですね」
エアはベンチに座りながら、実体があることを素直に喜んでいた。
今までレイヴン以外に認知されることはなかった彼女は、人という実体を持ったことにより、他とも対話できるようになった。
それがエアにとって、今一番の喜びであった。
するとレイヴンが、食べ物を買って戻ってくる。
出かける前にウォルターからお金を貰っていた二人は、試しに食べ物を買っている最中であった。
「待たせたな、買ってきたぞ」
「ありがとうございます、レイヴン」
レイヴンもエアの隣に座って食事を始める、買ってきたものは唐揚げであった。
するとエアは、近くで遊んでいる少年達を見た。
「レイヴン、この世界は平和ですね」
「……そうだな、俺もそう思う」
――その時だった。
少年達が蹴っていたボールが道路に飛んで行ってしまった。
「あっ……」
ボールは道路を越えてレイヴン達の方へやってきた。
すると頭にバイザーを付けた一人の男がボールを蹴った。
ボールは少年達の足元に飛んで行った。
「お前達、道路近くでのサッカーは気を付けろ」
「はーい! ありがとう、チャティ!」
レイヴン達は、チャティという名前を聞いて驚く。
チャティは振り向き、口を開いた。
「久しぶりだなビジター、元気そうで何よりだ」
「チャティ……バイザーを付けているという事は」
「ああ、これはカーラが開発した機体だ」
チャティ・スティック、武器商人集団RaD頭目であるシンダー・カーラの補佐であり腹心。
そしてカーラが作成した提案型AIである。
……レイヴンは以前、シンダー・カーラを含めチャティを破壊した。
なので恨まれてるかと思ったが、チャティな何事もなかったかのように会話を続ける。
「ビジター、ボスがお前に会いたがっている」
「カーラが……?」
RaDの頭目、ウォルターの知人であるシンダー・カーラ。
レイヴンが決断し、殺した相手である……。
「そこにいるお前もだ。 ……エアだったな、ボスがビジターの友人であるお前にも会いたがっている」
「……わかりました」
二人はチャティに案内されて、カーラのいる場所へと向かっていった。
――チャティは足を止める、目の前には一般家庭よりも大きな建築物が建っていた。
看板には『株式会社RaD』と書かれている。
「着いたぞ、此処がボスが立ち上げた会社だ」
扉を開けて中に入る、そこには開発途中のロボットや、生産中の戦車の部品などが置いてあった。
進んでいくと最終的に『オフィス』と書かれた部屋にたどり着いた。
「ボス、ビジターとその友人を連れてきた」
『よくやったねチャティ、入っていいよ』
部屋の扉を開く、そこにはレイヴン達にとって馴染みのある人物が立っていた。
「しばらくだね、ビジター」
「カーラ……」
「ん? ああ、アンタがビジターの友人かい? ウォルターから聞いてるよ」
ウォルターの情報共有速度に驚きながらも、エアはコクリと頷く。
しかしエアはカーラに対して申し訳なさそうにしていた。
「……もしかして計画を邪魔したことを気にしてるのかい?」
「……はい」
エアの反応を見てカーラは溜め息を吐く、するとカーラはエアに対しこう返した。
「アンタはコーラルの同胞達を救いたかったんだろ? そりゃあんな計画を聞いたら黙っていもいられなくなるさ……」
そう言ってカーラはエアの方を軽く叩いた。
「少しでも守れたんだ。 それを誇りに思いな」
「カーラ……」
「さてっ、今回はアンタらに会いたかっただけだったが……手ぶらで帰らせるのも申し訳ないねぇ、土産でも持っていきな」
カーラは二つの紙袋をレイヴンに手渡した。
紙袋には何かのパーツが数個ずつ入っていた。
「あまり変わらないだろうが、それは戦車のパーツだよ。 あそこの学園で戦車道をやるんだってね? ただで良いから渡してあげな」
「……わかった。 杏に渡しておこう」
「俺達RaDからも依頼が来るだろうが、ビジターなら達成可能だろう……俺からは以上だ。 じゃあな」
――その後、大洗女子学園に訪れて杏達にカーラから渡された土産の戦車パーツを渡したところ、大いに喜ばれたのであった……。
性癖解放戦線とか強そう。