ARMORED CORE VI 戦車道の少女達   作:くろがね四駆

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番外編:レッドガン紅茶輸送任務

 ――レイヴン達がこの世界にやってきて数日が経過した。

 若干ではあるが平和な日々の生活にも慣れてきたようで、ウォルターが事前に用意していた住居で静かに睡眠を取っていた。

 

「…………グゥ」

 

 時間としては7時30分、レイヴンは自室で未だ起きずに眠っていた。

 すると廊下から物凄い勢いで足音が近づいてきていた。

 やがてレイヴンの自室の扉が勢いよく開かれた――。

 

「何をしているG13!! もう朝ではないか!! 早く起きて、そのボサボサな寝癖を解いて動いてすらいない脳を目覚めさせろ!!」

 

 ――レッドガン総長ミシガンである。

 彼もまた戦死した後、ウォルターよりも遅くこの世界に流れ着いたのだ。

 そして彼も十分に歳ではあると思うのだが、いたって元気であった。

 イグアス曰く、"ジジィの癖にあんなに動けるのが未だに信じられん"との事。

 なおレッドはミシガンと再び会えたことを大いに喜んでいた。

 

「……ミシガン、朝からその声は耳にくる」

「ならば慣れろ、そうすれば時期に耳が正常になる!」

 

 暴論だと思いながらも、レイヴンはベッドから出て立ち上がる。

 

「ようやく起きたか! 早く下に降りてこい! ウォルターが朝食を用意してくれているからな! 俺は同じく寝ているG5イグアスを叩き起こしに行く、ではな!!」

 

 ミシガンが嵐のように去っていくと、レイヴンは何事もなかったかのように下へ降りていく。

 一階に降りていくと、既にエアが着替えて椅子に座っていた。

 

「レイヴン、遅いですよ」

「……ベッドの寝心地が良かった」

 

「……起きたな、621。 冷めないうちに早く食べておけ」

「ああ、わかった。 ……エア、その恰好は?」

 

 レイヴンがエアの格好に気づく、何故かエアは大洗女子学園の制服を着ていた。

 

「ウォルターの配慮で、大洗女子学園に転校することになりました」

「杏の提案でエアには、戦車道に入部してもらうことになった。 主な理由は、我々が戦車道というものを理解するための情報共有だが……こういった体験もエアには大事だと思ってな」

 

 そう言ってウォルターはエアの頭を撫でる。

 

「……そろそろ登校時間ですね、では行ってきます。 レイヴン、ウォルター」

「ああ、気を付けていけ」

 

 エアが玄関の扉を開けて、住居を後にする。

 するとウォルターがレイヴンを見て言った。

 

「……621、お前にも日常での生活を用意した」

 

 ウォルターは一枚の紙をレイヴンに手渡す。

 手紙には621宛と書かれている、どうやら差出人はミシガンのようだ。

 

【ウォルターから話は聞いているな? これより貴様はレッドガン部隊の仕事に参加する。 それで資金を稼いで、企業達から機体パーツを買い付けるのが目的だ! 貴様の他にG5イグアス、G6レッド約二名の役立たずが参加する! 集合場所は此処だ! さっさと来い、愉快な遠足の始まりだ!!】

 

「…………」

「いたって普通の仕事だ。 頑張ってこい、621」

 

 ――再び自室に戻り、ベッドで夢の世界に入りたいと思ったレイヴンだったが、ウォルターはそれを許さなかった……。

 

 

 

 

「――遅い! やっと来たかG5! G13!」

「ジジィが早すぎるんだよ……」

「G5、まだ減らず口を叩けるようだな? G6を見ろ! G6は貴様らの一時間前に到着していたぞ!」

 

 それはそれで早すぎると思った二人だったが言えるわけもなく、ミシガンは話を続ける。

 集合場所は学園艦の端っこであり、何故か目の前には輸送ヘリが一機だけ置いてあった。

 

「作戦内容を教える! まず我がレッドガン部隊は輸送ヘリで移動して、丁度近くを航海している聖グロリアーナ女学院の学園艦へと向かう! そして紅茶を嗜む淑女達に、香ばしい大量の紅茶を運んでくるのが目的だ!」

 

 ミシガンは大量に置いてあるダンボールに指をさす。

 どうやら箱に入っているのは全て紅茶のようだ。

 

「内容は聞いたな? では出発するぞ、愉快な遠足の始まりだ!!」

 

 ミシガンの合図で紅茶の入っている箱を一つ一つ輸送ヘリに入れていく、そして全員が輸送ヘリに乗り込んだ。

 

「操縦はこのミシガンがする、到着までゆっくり会話でもしていろ!!」

「てかジジィ、輸送ヘリ操縦出来たのかよ……」

 

 イグアスが驚きながらも、輸送ヘリは離陸する。

 レイヴンは空から街を見る、そして改めて此処が船の上だと実感していた。

 

「ところでG13、先程エアが制服で学園に向かっていたが……?」

 

 どうやらレッドは道中、エアを見かけたようだ。

 不思議そうなレッドに、レイヴンが言う。

 

「ウォルターの配慮でな、大洗女子学園に転校という形で入ったんだ」

「なるほど、では心配はなさそうだな」

「レッドには兄弟がいるからなぁ、耳鳴り女が心配なんだろうよ」

 

 その時、ミシガンがレイヴン達の座っている後ろの席に複数の小箱を投げた。

 

「まだ時間はある、貴様らはその菓子でも食っておけ」

「ほぉー、ジジィも良いとこあるじゃ「しかしただの菓子ではない」は?」

「それはこのミシガン特製の激辛菓子が紛れ込んでいる、3回分用意してあるから覚悟して分けて食え!」

 

 ミシガンが放った事実で三人は固まる。

 つまり誰か必ず一人は激辛の犠牲になる、しかし食わなければ恐らくは、輸送ヘリから落とされて縛られた縄で引っ張られる。

 ――悟った途端、三人が睨み合う。

 

「……じゃあ俺から食わさせてもらうぜ」

 

 イグアスの口に菓子が運ばれる、二人は汗を流して食べているイグアスを見ていた。

 

「おっ、なんだ美味ぇじゃねえ‥‥‥‥ガァーッ!?」

「!?」

 

 あまりの辛さにイグアスが気を失う、その恐ろしい光景に二人は息をのむ。

 

「……では次は俺か、どれどれ」

 

 レイヴンは勝利を確信していた。

 イグアスに当たりが出ているならば、もうこの小箱には入っていない。

 

「……ぐ、がはっ」

「G13!? ……貴様の死は、無駄にしない」

 

 そう言ってレッドは一つの菓子を食べた。

 だが三人は忘れていたのだ。

 これを作った人物がミシガンだという事を……。

 

「フッ、やはり俺の勝ちだったよ……う、だ……」

「甘すぎたな貴様ら、俺が普通の味を作ると思うか? ……すべて激辛クッキーだ」

 

 ミシガンは大きく笑いながら、気を失っている三人を無視して輸送ヘリを動かしていた……。

 その後、紅茶全てが聖グロリアーナ女学院へと運ばれていったのだが、レイヴン達の口は少し赤くなっていた――。

 





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