キミの魔王になりたくて   作:赤い靴

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11話目です。
投稿に時間が掛かりました。すみません。
風邪ひいてました。

これから新しい弟子との出来事が始まります。
ミラ同様に、楽しんで読んで頂ければ嬉しいです!!


第11話 弟子2号

 竜王国。その都市の一つのポートゾールは、古くから有る街だ。

 気まぐれで訪れる古竜の被害を抑える為、街のアチコチには分厚い壁が見られる。

 今やその壁は古竜対策のものでは無く、新たに増築・延長させ、人間や亜人に対抗するモノとなった。

 

 一説によると都市を覆う壁は、脱税者を逃がさぬ為とも言われている。

 どの国でも脱税の罪は重い。決まってあらゆる都市は壁に囲まれているのだ。

 ……。まぁ、一文無しの僕には、関係の無い話なんだけどね……。

 

『では!!入団祭を開催する──!!』

 

 拡声石と音魔法の相乗により、竜血帝の一声が闘技場に響いた。

 客席を埋め尽くす人々の歓声。試合に臨む挑戦者達の咆哮。その全てが心地よい。

 古い壁を改造して作られた大きな円形の会場。その観客席に僕は、酒と肴を持ち眺めている。

 

「誰か良い子はいないかなぁ~」

 

 鼻歌交じりに僕は呟いた。

 酒を一口飲み、塩っ気多い鹿肉をゆっくり噛みながら、脚を組み頬突きをする。

 

 出来れば将来が有る若者が良いよな。この入団祭、騎士道意識が高い奴が多いから、期待できる。

 大剣どか、ランスに大盾どか……。いいよなぁ、ロマンあるよな~。

 

 この竜王国。竜血帝の下には、五つの騎士団が存在する。

 その騎士団は、団長を長として竜王国の治安維持や、敵国の斥候、暗殺や護衛など行う精鋭部隊だ。

 一般の兵とは異なる部隊。

 

 騎士団の兵は、その団長および竜血帝の命を受け動く。

 その為、国王の命令には絶対制は無く、王族ならび貴族の不正を迅速に焼き払う権限を持つ。

 

 彼らの存在は、国民から見ればヒーローの様なモノだ。

 治安を守り、悪政を砕き、騎士道を遵守する。その対価として民は騎士団に金を払う。

 その資金で今も剣を振るう……少し頭の可笑しい集団だ。

 

 竜血帝……ヘルマンの後方。美しく作られた石造りの観戦席にて座る五人。それが騎士団の団長達だ。

 白、黒、蒼、緑、紫色。それぞれの騎士団を象徴する宝石のブローチを付けている。

 彼らと数回、剣を交えた事があった。その全てが手強かった。しかし、見ない顔もある……。世代交代したのだろうか?

 

 丁度、竜血帝の長い話も終え、ようやく始まる……と思っていたが、まだ何か有るらしい。

 彼の合図により通路から、艶のあるシルクで本命を隠された台車がやって来た。

 それを豪快な一声と共に捲る――

 

 僕の鎧。黒色の鎧がそこにあった。

 ヘルマンから聞いてはいたが、ここまで早くこの鎧と再会するとは思ってもいなかった。

 

『かの古竜狩りは死に!その鎧は我が国が手中に収めた!!……そして約束しよう!!いかなる敵、いかなる障害も我ら…竜王国、その騎士団が打ち滅ぼすと!!!』

 

 赤銅色の大剣を引き抜き、天に向かい突き刺した。

 ドッと湧く喝采。

 自国のアピールに大成功した竜血帝はゴホンと切り替え、剣先を観客に向けた。

 

『入団試験の前に…余興を開こう。キミ…そうだソコの灰色髪のキミ。この私と模擬線を一つ…いかがかな?』

 

 その切っ先は僕に向けられていて、確実に!狙って!!僕の事情を知って!!!指名しやがった……

 

「おぉ…兄ちゃん、運が良いな…。竜血帝の指名だ、ほら行け行け!」「マジかよ!?…あとで感想聞かせてくれよ!」「その酒と肴は、オレが責任をもって持っててやる。少し無くなってるかも知れんが…妖精の所為だ、がはははは」

 

 周りの男共が僕を囲む。

 こうなってしまっては、仕方がない……。

 

「はぁ……」

 

 深い深いため息を漏らしながら、階段を下がり向かう。

 大歓声と各団長が僕を睨む中、剣を一本借りた僕はヘルマンの前に行く。

 この状況を作り出した彼はとてもとても、上機嫌だった。

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 入団試験は、二日間ポートゾールで行われる。

 大量の受験者を厳選し、各騎士団に八~十五人程度入団する。

 しかし、騎士団の稽古や任務はハードそのもので、最終的には二人程度残れば御の字だそうだ。

 

 時は夕暮れ。一日目がもう終わる。

 この時点で八割以上が脱落した。

 そして僕は……目星を見つけた。

 

 入団試験は騎士団から支給される武器を使用する。

 魔法を生業とする者は別なのだけれど、基本的にそうなっている。

 

 その中で、あからさまに武器の振りが覚束ない青年が居た。

 そして僕は、その元凶であって現象を知っている。

 

「なぁ君。僕の弟子にならないか?」

 

 闘技場から出る人混みの中、僕は青年に言った。

 金髪碧眼。背には一本の剣と、パンパンのバック。

 遠い土地からここまで来たのだろうか。靴は酷くくたびれていた。

 

「なんだよ…おっさん」

 

 振り向く彼は、まだ幼さを残していて、夕日がその青い瞳を照らした。

 目の周りが少し赤い。言うまでも無く泣いた跡だろう。

 

「強くなりたいだろう?そうだろう?()()()()()()

 

 聖剣と言う言葉が突き刺さったのか、彼は大きく目を見開いた。

 

「まぁここは寒いし…もう暗いし……。ご飯でも食べながら話そうか?奢るよ」

 

 

 見事、飯で彼を釣り上げた僕は、この機会を逃さぬよう慎重に言葉を選んだ。

 自身の身分を『古竜狩りの隠し弟子』と偽り、『その技術の継承の為に各地を渡り歩いている』と嘘を吐いた。

 日中の竜血帝との白熱した一戦(もちろんお互い手加減し、僕の敗北で終わった)もあり、信用してくれた。

 

 食べ終わった空皿を返し、新たにホットワインを注文した。

 彼はお酒に弱いらしく、少量の白ワインにハチミツと生姜、ホットミルクが入ったコップが置かれる。

 僕はお酒をチビチビ飲みつつ、話を進めた。

 

 騎士団になりたくて此処まで来たが、不合格となった。

 次回。半年後に行われる入団試験に再度挑戦する、と。

 それまで僕の下で励むと言う。

 

「大体、キミの事は分かったよ。じゃあもう一回、自己紹介を…。かの古竜狩りの隠し弟子、キニスだ。宜しく」

「…俺は<アルベール>。竜王国の北部の村出身。……騎士団に入り…約束を果たす男だ…!」

 

 弱弱しくも、そう宣言したアルベールは、僕の差し出した手を握った。

 弟子二号の誕生した瞬間だった。

 

 

 




お疲れさまでした。
次回からアルベールとの稽古などをがっつり書いて行きたいと思います。

ここで少し蛇足を……

『竜血帝』の位が出来た理由は、竜王国が王国(キニス)に対抗するべく、ヘルマンを指名しました。その後ヘルマンは、独自の組織を作り上げ、現在の騎士団となっています。

竜血帝と言う大げさな名前は、他国に「我が国にも強い男が居るぞ!!」というアピールなのです。ですが、古竜狩りの名の下では影に隠れる存在でした。永遠のNo.2。

しかしキニスによって古竜狩りが死すと文字通り、『帝』に相応しい存在になりました。

以上になります。
次回も読んで頂ければ嬉しいです!!

では、また~
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