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聖剣──
それは若かりし頃、僕が夢見ていた剣だ。
しかしある程度、
だが、腐っても鯛。とても強力な武器なのは変わりはしない。
「──だから、身体作りから始めよう」
僕はアルベールにそう言った。
古竜の心臓程では無いが、その剣は所持しているだけで魔力を増幅、付与させる。
しかも身体能力も上昇し、本領発揮した暁には、その持ち主の名を轟かせるだろう。
けれどその効果は、担い手が聖剣を持ってる時にしか発揮しない。
強力故に、使用者の基礎を疎かにさせる。
強大故に、担い手の警戒心を薄らさせ、慢心に陥らせる。
聖剣のバフ効果を、あたかも自身の実力と勘違いした者共の寿命は短い。
現に第一次古竜狩りでは、僕よりも力があった『彼ら』は、儚く散っていった。
しかし喜ばしい事に、この弟子。アルベールは聖剣を入手し、一年しか経っていないと言う。
そして入団試験での大敗。
この大いなる挫折は、彼をより強くするキッカケを与えた。
このまま行けば素晴らしい騎士に成ることを約束されている
そう……そのハズなのだけど……
「……ヨシ、これで終了」
「…ハァハァ…クソッ…。つくづく俺は…体力が、無い…な」
地面にへたり込み空を仰ぐアルベールは言う。
額には薄ら汗をかき、早い呼吸を繰り返していた。
腹筋、腕立て、走り込み……。
それらを五セット分やりたかったが三セットで中断させた。
思った以上に体力が無いぞ、この子は……
「ま、休憩…ご飯にしよう。重い荷物を背負って一時間は移動できたし…キミの体力も大まか分かったよ」
「…水、俺が汲みに…行きます…」
「休んでな。汗かいてるから、しっかり焚火で暖まれよ?」
指を差し彼を制す。
そのまま僕はポットに魔法で生成した水を満たす。
それをハンガーに掛け、アルベールと同じく丸太に座った。
「昼ご飯、昼ご飯……。あ、嫌いな食べ物ある?」
「なんでも食べます」
ポートゾールで新調した大きいバックを漁る。
そこから乾燥された木の実、豆、果物を取り出した。
アルベールの筋トレ中に、小鳥を三羽仕留めた。下処理は済ませている。煮ようか。
まな板で鳥肉をナイフで切る。鍋に油とニンニク、肉を入れ、炒めていく。
火が通ったらそこに、豆、香草、塩コショウに水。
で、放置。……煮る料理は良い。簡単で、ヘンな物を入れない限り大体美味しい。
「でさ、聞きたい事があるんだが…質問してもいいかい?アルベール君」
「君はいらない……。アルベールで」
「そうか。じゃあ僕も『お師匠』だの畏まらないで、気楽に読んで欲しいな」
「…分かった。じゃあ……『じいさん』、か?」
それを聞いて僕は驚いた。
やや確信めいた呼び名に困惑したのだ。
こう見えて中身はオッサンもオッサンだからな……
「どどどど…どうぢて?」
噛んでしまった。恥ずかしい…!!
「立ち上がる時どか…座るときに…「どっこいせ」って言うだろ?」
「あー」
言われて気づく自分のクセ。
確実に言ってるわコレ。もっと恥ずかしいんだけど……
「だから、じいさんね…。分かった分かった……。で、話を戻すけどさ」
僕は聞いた。昨日、アルベールが言っていた『約束』について。
上手く使えば、もっと磨きがかかるかも知れない。
……あと、純粋に気になるんだ……
「お師……じいさんには、言わないとだよな……。俺、現騎士団長と約束したんです。必ずその騎士団に入り肩を並べる、って」
「ほー。良いじゃん良いじゃん」
ポットの水が沸騰したようだ。
コップを二つ取り出し、ミントの葉を入れお湯を注ぐ。
その片方を彼に渡し、僕は口をつけた。
ん?『現』騎士団長???
じゅあ当時、まだ団長じゃあ無かったって事だよな……
「まさか……蒼の…」
「そうです…『蒼天の翼』、団長<クラリス・フェルト・オードラン>。……『氷華』『氷の女』などの二つ名を持つ彼女です」
「あっ……まじぃ?」
トンだラブコメ展開に脳が追い付いていない。
一旦息を吐き、お茶を飲み、十分落ち着いてから、アルベールに突き詰めた。
「で?おじさんに話をもっと聞かせてくれるかい????」
◇◇◇◇
幼少期、アルベールは病弱であった。
村の中では、やや裕福な家に生まれ為に、病死は免れ一年、また一年と歳を重ねた。
だが家族は彼を、心から愛しはしなかった。
四つ子の末に生まれた所為でもあったからだ。
三人の兄弟は、すこぶる健康で体付きも良く、子供たちの中ではリーダー的な存在であった。
それと対称にアルベールは仲間外れにされ、外で満足に遊べる体力も無く、自室で本を読んでいた。
その本は、
竜王国は王国と敵対していた為、古竜狩りの内容は薄く、その後の竜血帝による騎士団の話がメインであった。
それもあり、自然と騎士団に憧れを持ったアルベールは、夢を見た。純白の甲冑に身を包み、悪を退治する騎士の姿を──
転機が訪れたのは十五の秋だった。
数ある騎士団の内の一つ、『蒼天の翼』が魔物退治の為、村を数日間拠点にした時だった。
この村も魔物の被害に遇い、アルベールの家族は、彼と老いた召使いを残し、出て行ってしまった。
その為、空き部屋に騎士団を──
◇◇
「いやいや、ちょっと待て。……あっ(察し)。
「何を言っているのか分からないけど……違います。続けます…」
「残念。彼女との出来事を期待して聞くよ」
「……」
アルベールは話を続けた。
◇◇
魔物の捜索は困難を極め「一度体制を整える」と当時の団長であるノーゼフは部下に告げ、村を去った。
そして再び訪れたのは、二週間後だった。
彼ら騎士団と共に、ノーゼフの愛娘であるクラリスも同行させた。
ノーゼフの家系は元々、貴族の地位にあった。しかし、その地位を捨て民の為にノーゼフは、騎士団に成り下がった。騎士団は時として、貴族・王族に制裁を与える。
その為『蒼天の翼』は、地位有る者達からは「裏切り者」として蔑視されていた。
ノーゼフの一人娘であるクラリスも、その被害を受けた。
『将来の騎士団長として経験を積ませる』と言う言葉の裏には、彼女を気遣う父としての思いが有った。
クラリスの方が二つ歳上だったが、アルベールと打ち解けるのに時間は掛からず、お互い過去の鬱憤を搔き消すように過ごした。
ある時、村近くの森で標的と出会ってしまった。
それは古竜大戦中に創られた
主人を亡くし、目敵すら無くした荒ぶる負の遺物。
応戦するも、腕のある魔術師が創ったゴーレムには、クラリスの魔法は無意味だった。
湖の
そしてアルベールは聖剣を抜いた。
負の遺物。ゴーレムと相対する為に──
◇◇◇◇
「あぁもういいよ。大体分かった…」
少し気分が悪くなった僕は、アルベールを止め食事の準備にと移った。
彼は気づいていない。この元凶を生み出した存在を……
聖剣、魔剣は妖精によって造られる。その妖精の匙加減により剣の分類が決まる。
担い手を祝福すれば聖剣と成り、呪われれば魔剣と成る。
それともう一つ、妖精たちは非情な程に自分勝手な存在だ。
きっとこの聖剣は……その妖精が思い描いたストーリーを演じた報酬なのだろう。
でなければ、ゴーレムなど暴走などしない。あの魔術師たちは…そんな些細なミスを犯すワケが無い。
「ところで聞きたいんだが……。そのゴーレムで、どのぐらいの被害が出たんだ?」
「詳しくは分からない……。だけど、村の人々が…。俺が分かる範囲だと、二十人は超える」
「そうか……。大変だったな」
己が快楽の為に、二十を殺すか……。逃げ残りがまだ居たのか……
もう一度、殺し尽くした方が良かったか?
はやり妖精は最悪最低な存在だ。
この知識があるから僕は、聖剣を望まないのだ。
興味すら無くなった。
「あぁ。だが、
「そうだな。だが!聖剣の依存はダメだぞぉ!依存の末が今のキミだ」
「そうだな……。試験では痛い目を見た……」
「ははは。だから食え。食って鍛えて、基礎を固める。そして
笑いながら僕は、アルベールに肉が入った皿を差し出す。
話を聞いて、彼の人となりが分かった気がする。
寡黙、病弱だが正義感溢れる青年。
憧れと約束を胸に、恐怖と戦う青年。
そんな彼を打ち砕きたくない。
今回のケースは妖精が巨悪の元凶だ。アルベールは被害者だ。
今この瞬間、彼に打ち明けた所で心が折れるだけだ。
まだ今では無い。アルベールの精神が成長した時に打ち明けよう。
このまま黙っていても良いが……後々、彼の大きな壁となる。
この男、アルベールは確実に強くなる。僕はそう信じている。
だってほら、よく言うだろう?
決意を固めた人間ほど恐ろしい生き物は居ない──ってさ。
お疲れさまでした。
いかがでしょうか?
誤字脱字など有りましたら連絡下さい。
今回は、アルベールの過去話でした。
最後の方、彼は語りませんでしたが、そのままの勢いでクラリスに「騎士団に入って、キミと肩を並べる!!!」と宣言し分かれています。
試験の際、自分の武器携帯可となれば、一発合格でした。
~少し蛇足~
聖剣・魔剣を創り出す妖精は、妖精の中でも『上位種』しか出来ません。
下位種の妖精は基本バカで、幼児とお花畑で遊んでいる程度の知能と力しか有りません。
よく鳥に食われています。
しかしご安心。妖精は時間が経てば復活します。
キニスは特殊な方法で、上位種の妖精を殺しました。
それ故最近、聖剣(魔剣)の担い手は減少しています。
以上になります。
これからアルベール強化計画が始まります。
無事に『蒼天の翼』に入団できるか、最後まで読んで頂ければ嬉しいです!!!
では、また~