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騎士長アラミス。我が最初の弟子、吸血鬼ミラの決闘が始まった。
人気が無い古びた広間。周りを照らす月が傾き始めた。
武器を持つアラミスと公平を保つ為に、即興で剣を作成しミラに渡した。
そして──
キン……カンッ!!と音が響く。
ミラの剣捌きはほぼ素人で、終始圧倒させている。
それも当然だろうか。アラミスは王の血族と言えど、その実力は上から数えた方が早い。
しかしその『中途半端』が、この国を腐らせたと言えようか──
古い出来事だが、第十一次にて、僕と同行した<ダリア>と言う豪快な青年が居た。
その男は僕と同じように、古竜撃破後この王国に属した。
ダリアの実力は素晴らしいものだった。その為彼は、若くして戦士長に選ばれた。
だが八年前。齢十五のアラミスが権力によって騎士長なった。
剣技は折り紙付きだった。しかし、アラミスは部下を率いる能力が欠乏していた。
兵を捨て駒同然の様に扱い、その兵を救う為にダリアは戦死した。
老衰もあったのだろう。
ダリアは僕に「いつまでも若々しいな!!!」と豪快に笑っていた。
僕は、ダリアの直接の死因は、アラミスと断言はしない。
しかし、ダリアの死によって王国の風向きは大きく変わったのも事実だ。
惜しい人を亡くしたものだ──
……。マズいマズい……。我が弟子の戦いを見なければ……
「どうした!!それが…!!私の愛する方の……弟子か!!」
「…ッ…!!」
勢いよく切り上げられた一撃を、ミラは紙一重で受け止める。
そろそろ
「ミラ。なにふざけているんだ…」
「で…ですが……。う、受け止めるだけでッ…!!精一杯……です……!!」
「それは当たり前だ……。
ミラは僕の血を飲む時に言っていた。
『はじめて』『これも生きる為』と──
つまるところ彼女は、吸血鬼として産まれたのでは無い。
ましてや、吸血鬼に噛まれ、その眷属になった訳でも無い。
こうして導き出した解はただ一つしかない──
彼女は真祖だ。吸血鬼。その最初の始まり。
だってほら……今なお、あの戦士長の攻撃をいなしている。
しかも一度も剣を落としていない。
それは真祖由来の動体視力と、圧倒的な怪力によるものだ。
いいなソレ……
「……!は……はい…!!」
ミラは僕に向けて威勢の良い返事を返した。
「くぅぅうぅ……!!汚れた女が…!!その
アラミスは剣を構え直し、ミラの首に狙いを定め、突きをした。
彼の最速、最高の攻撃。その速度は並大抵の人間に追えるモノでは無く、あのダリアに一泡吹かせた剣技だ。
だが残念なことに、相手は人間では無い。
吸血鬼。その上位に君臨する『真祖』だ。
故にミラは見事に対応し、その一撃を弾き返した。
攻撃の主は鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべた。無理も無い、ざまぁ見ろ。
その後ミラは水が高所から落ちるかの様に、可憐に体勢を移し剣を振るった。
通常、ミスリルの鎧は非常に硬い為、脇や膝裏。メイスなどの打撃武器などで対処するのが一般的である。
しかし……
グシャリッッ!!!!
いとも容易くミスリル製の鎧。その脇腹を豪快に引き裂いた――
「…アハハハ…。まるで…まるで、その豪快さはダリアのようだ……」
感傷に浸る英雄。それを目で捉えた騎士長は、地に伏した。
「凄い…。…とても…ゆっくりに見えた……あの…!コレは…!?」
ミラはシッポを振る子犬の様に、僕の下に駆け寄ってきた。
「だから言ったでしょうよ。キミはもう人間じゃないって……」
「で、でも…私、つい三日前まで…人間だったんですよ!!」
Oh…マジかよ。吸血鬼の肉体を少しは熟知してると思っていたが……
可能性の塊。いつか僕を殺せるほど……好敵手になる程のセンスが備わっていただなんて……
てかさ、、、
「ミラ……決闘主、どこ行ったか分かる?」
「え!?」
ミラは後ろを振り向く。
赤い血が水溜まりの様にある。しかし、アラミスの姿は無かった。
ポタポタと血痕があるので追跡は容易だ。
「決闘って…殺さないといけないんですか?」
「イヤ…そんなことは…」
アラミスは僕の正体を知っている。
その事実を拡散される前にどうにかしたい。
ならばこの先は……僕の出番だ。
「キミはここで待機。すぐ戻るから」
僕の言葉に勘付いたミラは口を開いた。
「こ、殺すんですか…?知り合いでは…無いんですか……?」
「あぁ、知り合いだよ。なんなら彼が小さい頃からの付き合いだ。だからこそ最期に挨拶しないといけないんだ」
「あいさつ……ですか……」
「そう……。最期のね」
◇◇◇◇
「はぁ……はぁ…ぅうっ!!……クソ!」
自身の血で汚れた右手を握りしめ、古い壁を殴りつけた。
パラパラと砂埃が舞い落ち、父親と同じ美しい金髪が汚れてしまった。
絶えず流れる血を左手で抑え、壁に背を任せ座り込む。
痛みと屈辱で気が狂いそうになる。
アラミスは歯を食いしばり耐えた。
いつか自分の配下が助けに来る事に希望をもって──
「随分苦しそうだな?……ダリアはそれ以上の屈辱と痛みに耐え……死んだぞ?」
「……!!グレイ…マッド……!!」
アラミスの目先には、薄青色の眼の男が居た。
「……だから……ですから、なんなのです…!?あ、あんな老いぼれ!私の…ゴホッ……。私の、命令を聞いていれば……良かったんです……!!」
「そうか…最期に言う事はあるか?」
「……はっ……。アナタは……ッ……。何を、企んで…いるのですか……?グレイマッド……」
「それは…」
男は口を閉じた。しかし再度口を開け、嬉々として語った。
「僕の宿敵を育てる…。もう一度…あの戦いを…もう一度、あの興奮を……味わいたいんだ」
「………。……やはり……私は、アナタを最後まで……理解できなかった……」
「悪いな。コレは僕だけの願望だ……。僕だけのモノだ。だから……他人に理解されたくも無い」
「やはりアナタ、は……既にゴホッッ!!にん、げんでは…無っ――――
「……あぁそうだとも。古竜を殺すために化け物に成り変わった……か弱い人間だよ」
◇◇◇◇
アラミアの遺体と痕跡の全てを灰に化し、ミラが待つ広間に向かう。
そこには騎士長の血が付いた剣を舐める少女の姿が。
「おぉ、順応が早いな……。しかしまぁ……喜ばしい事だ……」
ボツりと独り言とを呟く。
「あ!……えっと……お師匠……?」
「何とでも呼べ。あ、僕の名前はキニスだ……。自己紹介を忘れてた……」
「キニス……さん……。あ、あの……さっきの男の人が言っていた『
「それはおいおいね……。ところでさ…美味しいの?ソレ?」
僕はミラの隣で地べたに座り質問した。
「凄いです……全然味が違います……!!砂とお砂糖ぐらい違います!!!」
「僕の血は砂か?」
「お砂糖です!!!!」
「おぉ……。嬉しい事言ってくれるじゃないの…」
「私は……私なりに頑張りました……!!ので……。…………。ご褒美を、下さい……!」
「はいはい」
僕は自身の吐いた言葉に従う羽目になった。
約束は守らなければ……。特に僕の弟子となれば猶更だ……
僕はミラに首を差し出す。どうぞ、と言わんばかりに。
「で……では!い……いただきます!!」
その後、夜が明けるまでヒルの様に吸い続けた。
そして──
「もうお腹いっぱいです~」
イカメシの様に腹をパンパンに膨らませた吸血鬼が一人。
そのままムニャムニャと眠りについてしまった。
どうすんだよコレ……
とりあえず抱きかかえる。
流石に王都周辺では、僕の死と戦士長の捜索で五月蠅くなるだろう。
行く先は無く、宛ても無い。
「……。進むか……」
両腕にミラの体重を感じ足を動かす。
この娘はどこまで強くなるのだろうか……?楽しみだ。
お疲れ様でした!
いかがでしょうか?
ようやくキニスの2日目が始まろうとしています。
ミラに正体がバレていますね……。
次回も読んで頂けると嬉しいです!!
では、また~