なかがき
どうも皆さん、お久しぶり、あるいははじめましてでしょうか。オンドゥル大使です。
本作『BLOOD/EMETH』は第一部完と言う事で、一旦このお話を書くに当たって何があったのか、とかどうして「BLOOD」シリーズなんて言う、言ってしまえば「キワモノ」に手を出したのか……ここではそういうことをつらつら書いていこうと思います。
そもそも、構想自体は2018年時点であり、第三章くらいまでのプロットもあったのですが、ガンダムの二次創作をやることにしたのと、それと同期して世界規模でのコロナウイルス蔓延があったのが原因としてあります。
何故ならば最初から「“SAYA”と言う名のウイルスが流行っている楽園で、その“SAYA”に感染した少女が戦う」という基本コンセプトがあり、これは崩せないと思ったからです。
コロナ禍が想像以上に苦しかったのも含め、今はその時ではない、と一旦この作品を封じ込めて、他の二次創作や作品に邁進しようと思ったのですが、どうしても頭の隅には「BLOODをやってみたい」と言う思いがありました。
それは私が無印BLOODである『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の大ファンであり、そしてその派生作品である『BLOOD+』とそして色々な意味で物議を醸した『BLOOD-C』を愛してやまない一個人であったからです。
いつかは……と言う思いでいたのでガンダムダレトが終わった今、そう今しかないと書き始めました。
本来ならば停止しているダンバインとダーカーとHEXA第十部を書くのが筋なのですが、どうしても我慢できなかったのです。
ですが、その結果、こうして産声を上げた『BLOOD/EMETH』は久しぶりにとても書くのが楽しい、純粋に自分の書きたい事をぶつける作品となりました。
書いている間は、「ここは無印BLOODの雰囲気で……ここはBLOOD+、そしてC……」と何だかんだで自分の好きを叩きつけていた時間となりました。
だからこそ、ある意味でとてもピーキーと言うか、読む人を選ぶ作品だったのかもとは思っています。
とは言え、ちゃんと考えて書いてはいるので、はい。
まず主人公の真那ですが、お察しのいい方には分かりやすく劇場版BLOOD-Cのヒロイン名から拝借しました。
ただ、そのままだとまんまなので、漢字を変えて猫背で前髪で顔を隠した、いわゆる「陰キャ」あるいは「芋女子」として設定しました。
そんな何の変哲もない少女が、とある夜に鮮烈な出会いを果たし、そして血のキスで覚醒する――この流れはお分かりの通り、『BLOOD+』第一話のオマージュです。
サブタイトルも「ファーストキス」なので、「もうこれBLOOD+じゃん!」と思われた方も居るかと思います。
ちなみに意外と気付かれなかったのが第一話「深紅の月暈」で、これは劇場版BLOOD-Cの主題歌「METRO BAROQUE」のサビの一節です。気づかれたかった……。
ただ、そこからの流れに独自性を持たせようと思いました。
――この世界は既に翼手人類に支配されており、一割の純正人類が抵抗するための手段として“SAYA”の因子に選ばれた少女らで戦っている――これは『BLOOD+』、あるいは無印や『BLOOD-C』とは正反対の要素として組み込みました。
関連書籍や小説などを読めば分かるのですが、どのシリーズでも翼手や古きものはこのままでは数が減り、生きていけなくなると描写されています。
それの正反対。
世界はもう支配されている、と言うのは私が好きな作品の一つである『強殖装甲ガイバー』のような感じやディストピア感を出したかったのもあります。
そして、+での要素としてサヤの血は翼手を殺す唯一の毒、Cからの要素としてサヤは人間だけは殺せない、これは無印の要素でもあるのですが。
これらをハイブリッドさせて、色々と混ぜこぜした結果、出来上がったのがこの作品です。
思えば、「BLOOD」の要素はかなりあるのですが、作り方としてはオリジナルに近い感覚でした。
新要素と言えばサヤは一人ではなく、ウイルスの名前であり、そしてそれぞれ別の名を持つ、いわばコードネームのようなものにしました。
これは「音無小夜」や他のサヤだけでは話の展開が早々に辛くなるのは見えていたからと言うのと、「ガンダムだって何体も出ているんだから、サヤが一体である必要性はない」という考えの下です。
なので、キザハシやイザヨイ、そしてイスルギ達など、サヤに選ばれた少女らの葛藤や、その宿命の血の話にしていければと考えて構築しました。
真那はほとんど巻き込まれて、ですが他のサヤは様々で、キザハシなんかはどちらかと言えば、こいつが主人公なんじゃ……? と言う感じで書いたのはわざとです。
+の小夜と同じように、相克する血を持つ双子の妹、レクイエムディーヴァことレクディの存在。
レクディ自体はかなり早めに決めていたので、キザハシとの絡みになるのはちょっと想定外な部分もありました。
+からの要素で言うのならばシュヴァリエもそうですね。
シュヴァリエはサヤから直接血分けされた存在、原典と同じく高度な戦闘能力を持つ翼手です。
ここで考えたのは、シュヴァリエを縛る存在と言うか、如何にしてその強さが底なしに見えるようにするかと言う演出でした。
原典では割と裏切ったり裏切られたり、完全翼手化したりしなかったりだったので、+本編よりも強く設定する事にしました。
そのため、ソロモンのように最後のほうにちょっとだけ出てきただけだったり、アンシェルのように過去編だけ出てきた場合もありましたがこれで正解だったと思っています。
そう言えば、ハッキリさせていませんでしたがアンシェルと、この時代ではマハラルの名前を取っているネイサンは、原典、つまりBLOOD+本編からの参加キャラとなっています。
ソロモンやジェイムズ、アダムなど他の名前が同じシュヴァリエは仕掛けがあるのですが、今のところ別人と捉えていただければ……。
アンシェルはあれで死んだとは思えなかったのと、長い時間が経てば復活もあり得たのではないかと思えたので……。
ネイサンだけは絶対に出したかったのがあります。
それは名優、藤原啓治さんのキャラだったのと、そして本編でもそうですが明確に死んだ描写がなかったので(実際、続編である『BLOOD♯』では生存しているので)、ここで出さなければいつ出すんだと考えた次第です。
真那は「音無小夜」として戦わざるを得ない宿命に晒されながら、それが最も辛い運命であったのも、ある種、決められていた事なのでしょう。
ただ、+の要素はキザハシが担っていたのと、真那本人が独りではなく、優しさを持ったまま戦いに臨めたのはとても大きな収穫だったと思います。
実際、第四章まではほとんどノンストップで行けたのですが、問題は第五章以降でした。
割と本気で「ここから先、書く事はあるのだろうか……」と一種のスランプに陥ったのです。
そのせいで半年ほどお待たせすることになりましたが、それを無事突破する要因となったのが「最強のサヤ」である雨宮小夜の存在でした。
京言葉で話すおっとりとした、それでいて他のサヤを凌駕する実力の持ち主……彼女のお陰で戦闘や緊迫感にメリハリが出て、アンシェルを出せたのも雨宮小夜が居てこそでした。
「最強」を出す、と言うのはちょっと少年漫画的文法だったのですが、それが突破口になるとは、いやはや勉強になりました。
過去編において、カインとアベルの故事や、Cにてかつて文人に仕えていた九頭の登場、それに古きものの存在にと少しは度肝を抜けたかなと思います。
名前を取り戻した結果、兄は七原文人へ、弟はジョエルとなりお互いに憎しみ合う――その構図がしっくり来たので、過去編は想定外のボリュームに成ったのもあります。
あとは、これは補足でしかないのですが、クラブドールはCの実写版から取り寄せた要素です。
また、この作品、恐らくですが「名前」にまつわる意味がとても濃くなりました。
真那自身もそうですし、サヤ達はそれぞれの「名前」に固執しています。
それは一種の役割であり、仮面であり、そして存在証明なのでしょう。
四神官に関してはまだ描写されていない部分があり、それらとシュヴァリエとの決着、そしてエメトピアの内包する真の闇は持ち越しとなりました。
そう、この作品、なんと二部があります。
自分でもまさか第二部をやるとは思っていなかったのですが、色々と第一部だけで済ますのには惜しい要素が出て来たのと、決着をつけさせるのならば第二部を経て、と思えたからです。
なので、これは「なかがき」であり、「あとがき」ではありません。
第二部では“SAYA”収束宣言が出されたエメトピアがどうなったのか、灯里達、生き残れたサヤ達はどうやって生きていくのか。
2025年1月4日に、『BLOOD/EMETH』、第二部開幕予定です。
どうか、引き続きこの作品を楽しみにしていただければそれに勝る幸せはありません。
血の宿命を辿る物語は、次の領域へ。
どうぞよろしくお願いします。
2024年12月14日 オンドゥル大使より