BLOOD/EMETH   作:オンドゥル大使

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第五十四話 雷音

 

 突如として巻き起こった雷霆に、熟慮を浮かべる時間も惜しく――そして、瞬間の判断に、操縦席のルイスは助けられないと判定するまでの時間は僅か三秒もない。

 

 アマミヤは両腕でデヴィッドとアダムを引っ掴み、戦術ヘリから飛び立っていた。

 

 キャノピーを粉砕し、付近の足場を視認した直後、背面で羽音を散らせていたヘリが爆砕されたのを拡散した熱波で感覚する。

 

「……参ったな。これじゃ、どうやって帰ればいい」

 

「知らんよ、そんなん。考えとる時間もなかったし」

 

 アダムは、と言うと今しがた巻き起こった事実に脳も身体も付いて行っていないのか、心臓だけが高鳴っているのを聴覚に感じ取る。

 

「落ち着きぃ。ウチらは生きとる。“デヴィッド”に成るんやろ? なら、深呼吸、出来るよねぇ?」

 

 アダムは何度か咳き込みながらも深呼吸して、それから状況を飲み込もうとしていた。

 

「……ヘリが、撃ち落とされた? 雷に?」

 

「そうみたいやね」

 

「あり得そうな事象ではないね。天候モニターシステムの異常でもここまでの雷撃はお目にかかれない」

 

 比して、冷静なデヴィッドは襟元を整えてから、うんと首肯する。

 

「少し……危険かもしれないね……」

 

 周囲に展開しているのは下級翼手の群れであった。

 

 雷撃で自分達を叩き落とすと同時に、一気に寄せ集めたのだろう。

 

 翼手の爪に貫かれた“サヤ”候補生の遺骸を目の当たりにする。

 

「……どうやら罠に嵌められたのはウチらのほうみたいやねぇ」

 

「下級翼手と、それに伴わせて上級翼手が居たとしても、ここまで作戦展開が出来るとは思えない。……件の敵かもしれないね」

 

「シュヴァリエ、やっけ? ウチ、遭遇戦した事もないよ?」

 

「――その懸念は必要ない」

 

 声は、自分達が位置する場所より上層から発せられていた。

 

 直上のビルで、満月を背にして一人の男性がこちらを睨んでいる。

 

 その眼差しに浮かんだ侮蔑の感情に、アマミヤは構えていた。

 

「誰やのん? って言うのも無粋やね。上級翼手?」

 

「そうか、この時代の“サヤ”は君のような姿かたちを取るか。私としては、そうだな。――懐かしい、と呼ぶべきだろう」

 

「懐かしい? 会った事もないよ、あんたさんとなんて」

 

「もちろんだ。はじめまして、“小夜”。私の名前はアンシェル。シュヴァリエである」

 

 シュヴァリエ、という単語に反応したのはアダムであった。

 

「……まさか、伝え聞かされる程度だった、エメトピアの中枢を司っている……上級翼手のさらに上の……?」

 

「これはこれは。誤謬もあるようだが、この時代でも私達は恐れられるのだな。なるほど、悪い気はしない」

 

「うろたえとる場合やないよ、アダム。……デヴィッド、やれる?」

 

「それが……僕は露払いをしたほうがいいらしい。目にすれば分かる。彼相手に、僕では五分と持たずに殺されるだろう」

 

「……あんたさんの感覚がそう言っているんなら、そうなんやろうね。ええわ、ウチだけでやる」

 

「アマミヤ、これを」

 

 辛うじて、脱出の前にデヴィッドは持ち出したのだろう。

 

 一振りの刀が投げられ、それを受け取る。

 

「健闘を祈る。僕は、ノノちゃんへと援護に向かいたい」

 

「構わんよ。ウチだけで、シュヴァリエとの初遭遇戦、か。……ちょっとデータ不足になるけれど」

 

「いいさ。いつだって初めての事ならばデータ不足だ」

 

 デヴィッドはアダムへと手を差し伸べ、こちらへと一瞥を振り向ける。

 

「……死なないでくれよ。僕らの“サヤ”」

 

「誰に言っとるん? ウチは簡単には死なんよ」

 

「……そうだったね。それでこそ、僕らの“サヤ”だ」

 

 デヴィッドがビル内部へと駆け出し、下級翼手の待つ階層へと降りて行ったのを確認してから、アマミヤは口火を切っていた。

 

「ええの? 見逃しても」

 

「私が生きていた時代では、もう少し厄介で勇猛果敢だったものだが……“赤い盾”も堕ちたものだな」

 

「“赤い盾”? 何を言っとるんか、ちょっと分からんけれど、ウチ相手にただで通れるとは思わん事やね」

 

 抜刀した自分にアンシェルはうろたえた様子もない。

 

「もちろんだ。君達、“小夜”は私達にとって唯一の毒。……しかして、こうも言わせてもらおう。弱くなったものだな。頭数だけ増やして、血の質は随分と落ちた。こうして増殖した我々が言える義理でもないが……これが理想郷か。なるほど、ネイサンがぼやくのも分かる。永劫の時とは、安息と等価ではないのだと」

 

「回るんは舌だけ? やったら、そろそろ時間やね。あんたさん、死に時やろ? 長い間生きとるみたいやけれど、ウチみたいな“サヤ”と遭遇するんは初めてに映るけれど」

 

「ああ、その通りだとも。落ちた血族とは言え、手合わせ願おうか。何せ、私の用があるのは君ではない。血の臭いが、まだ残っている。もう一人、居たな? そちらのほうが随分と近い」

 

 まさか、ノノが狙いか、と判じてから、意味を理解しかねていた。

 

 まだ“サヤ”に満たないノノを付け狙う理由がない。

 

 因縁もなければ、情報も横流しされているとは思えない。

 

「……ええけれど、あんたさん、ちょっと注意不足やわ。力だけあっても、その真髄を使いこなせるかどうかは別やね」

 

 直後、青い加速度を帯びてアマミヤは相手の眼前へと躍り出ている。

 

 確実に獲った――そう確信しただけの太刀筋をアンシェルは指先だけで留めてみせる。

 

 それを認識した直後、彼は口角を吊り上げていた。

 

「おや、それは意見の相違だな。あまりに遅いのは、そちらかと思っていた」

 

 血飛沫が舞う。

 

 アマミヤは身体を寸断された衝撃でよろめくも、追撃を予感して刃を翳す。

 

 火花が散り、アマミヤは後退を選んでいた。

 

「……手品が得意なんやね。ついさっきの雷と言い……手の込んだのが」

 

「手品? 君が視えていなかっただけだろう? まさか、“小夜”はここまで弱くなったとは思いも寄るまい。何ならローギアに入れてやろうか? そうすれば少しはマシになる」

 

「……敵に手心を加えられるほど、落ちぶれちゃおらんつもりなんやけれどねぇ。まぁ、ええわ。上を取っているのが何も優位とは思わん事やね」

 

 首筋に巻かれた首輪へと“声”で呼び掛ける。

 

 直後、別動隊の戦術ヘリが高空を位置取り、白銀の砲撃を見舞っていた。

 

 二発の砲弾が食い込み、アンシェルを射抜かんとした一撃が至近距離の地面を爆ぜさせる。

 

『特殊弾頭の着弾を確認。これより増援を向かわせる』

 

 通信を震わせる二機の戦術ヘリよりワイヤーを伝って戦場へと舞い降りたのは二人の“小夜”であった。

 

「……アマミヤ、貴女ほどの実力者に手傷を?」

 

 驚嘆したのはカナデの小夜のほうで、もう一人、ウキフネの小夜はアンシェルへと好戦的な眼差しを投げる。

 

「……情報通りなら、あれが……」

 

「そうみたいやね。あれが――シュヴァリエ」

 

 二人に緊張が走る。

 

 シュヴァリエとの遭遇戦を加味した訓練は行ってきたものの、完全に想定外だ。

 

 カナデは特殊弾頭より花開いた得物を携えていた。

 

 大仰な鎌が殺意を宿して可変し、刃を下段に構える。

 

「……本当に、勝てるんでしょうね、これ……」

 

「勝てなければ死ぬだけやさかい、下手な肩ひじ張るよりかは少しはマシやろ。ウキフネ、敵は相当に素早い。ウチとカナデで好機を作るから、あんたさんは一撃にかけて」

 

 ウキフネの熟練度は決して高いとは言えないが、自分達の中では最も一撃に価値がある小夜だ。

 

 まず、自分とカナデで挟み撃ちにしてから、アンシェルの手数を少しずつ減らしていく。

 

 不意打ちの一閃が通用しなかった以上、相手の仕損じる可能性を加味するのは難しいだろう。

 

「……カナデ、合わせぇ」

 

「……言われなくっても」

 

 直後、青い加速に身を浸した二人は躍り上がっていた。

 

 まずはカナデの鎌が下段より振り上げられ、アンシェルの肉体を両断しようとするが、それは紙一重で回避される。

 

 ――否、紙一重などではない。

 

 計算尽くされている距離と、そして余力。

 

 だからこそ、自分の振るう太刀筋が活きてくる。

 

 アマミヤは直上からアンシェルの心臓を狙って刺突を見舞っていた。

 

 その切っ先は彼によって握り止められる。

 

「遅いな、小夜。二人がかりでこれか」

 

「それでも――触れたやんな?」

 

 翼手は一滴でも体内に“サヤ”の血が入り込めば結晶化現象が始まるはず――その前提条件をアンシェルは事もなさげに言ってのけていた。

 

「ああ、そうか。残念だな。私の皮膚に、君らは傷一つ付けられない」

 

 アンシェルの片腕は異形化さえもしていない。

 

 だと言うのに――硬質化した表皮は刃を通さなかった。

 

 無論、流れる真紅の血潮でさえもである。

 

 このままでは、と持ち直そうとしたその時には、カナデの腹腔へとアンシェルは裏拳を放っていた。

 

 さほど力が入っているようには映らないのに、それだけでカナデは反対側のビルのガラス面を抜け、オフィスを滑っていく。

 

 アンシェルはこちらを見据えて、それからフッと笑みを刻んでいた。

 

「私を殺すのに、三人がかりなのは評価しよう。相手を軽んじず、そして確定の攻撃手段に打って出て、不確定を殺す。それこそ、確かに“小夜”の本懐だ。しかし……少し迂闊だとは思わなかったのか?」

 

 アンシェルにとっては自分とカナデ、そしてウキフネによる一斉攻撃が関の山だという確証があるのだろう。

 

 事実、それは正しい。

 

 事実、それは作戦において重要だ。

 

 刃が通らない可能性はあった、カナデが打ち破られる可能性はあった――だが、これは予見出来ないはずだ。

 

「……あんたさん、見えてへんみたいやねぇ。それがシュヴァリエの実力の底値っていうわけ」

 

「どうせ別の角度から私の心臓を狙っての奇襲だろう? 予測するまでもない」

 

「せやね。けれど――それがどの角度から来るんかって言う事を、あんたさんは想像出来てへんのよ」

 

 それを言い切った瞬間であった。

 

 アンシェルの左胸を、杭打機が貫く。

 

「……な、に……?」

 

 アンシェルにしてみれば、確実に防御出来たはずのウキフネの主武装。

 

 それが何故、ここで届いているのかといえば――。

 

 静謐なる夜を満たす月明かりに照らされ、アンシェルの直下に伸びた影より――ウキフネと、そして彼女の武装が出現している。

 

「影に隠れる……だと、そのような能力、私の知っている小夜では……!」

 

「生憎やけれど、あんたさんの知っとる“サヤ”の情報、ちょっと古いんよ。ウキフネ、血を流し込んで確実に仕留める」

 

 首肯したウキフネはパイルバンカーのカートリッジへと自らの血を流し込んでいた。

 

 充填された呪詛の血脈が、アンシェルの身を打ち砕かんとする。

 

「……こんなところで……! 私は死ねんのだよ! まだ――ディーヴァに会ってすらいないのだ! それを貴様らのような、組織の走狗でしかない量産型の小夜に、阻まれて堪るか!」

 

「ディーヴァ? まぁ、それが断末魔やって言うんなら、それで終い――」

 

「――轟け」

 

 その瞬間、アマミヤはアンシェルの掌底へと充填されゆく、紫色の稲光を視野に入れていた。

 

 眼前まで迫ったそれを、アマミヤは防御行動に移る事も出来ずに直撃を受ける。

 

 先刻、ヘリを撃ち落とした雷撃がアマミヤの臓腑を焼き尽くしていた。

 

 内臓が全て炭化したかのような感覚――否、感覚ではない。

 

 これは事実、そうなのだ。

 

 アマミヤは脱力し、意識の一点まで焦がされたその身をよろめかせたが、“サヤ”の力がそれを許さない。

 

 最後の一線で刀を握り締め、蹴り上げてアンシェルから距離を取る。

 

 声帯も焼けている。

 

 肉体が燃やされている。

 

 燻る稲光の熱量と“サヤ”としての権能がぶつかり合い、衝突する激痛だけで意識の糸を手離してしまいそうだ。

 

 アンシェルは心臓を貫いたウキフネへと両腕に滾らせた紫色の電磁を振るう。

 

 平時ならば逃げろとでも、避けろとでも言えたであろう自分は、何も言えないまま、ウキフネの頭蓋が高電圧に焼かれていくのを目にしていた。

 

 絶叫が上がり、ウキフネは影から身を出して後ずさる。

 

 即死でないのが、自分達にとっては逆効果だ。

 

 次の戦いを講じるべく、肉体の損耗も、たとえ脳細胞の損傷でさえも修復しようとする。

 

 だからこそ――ウキフネにとっては不幸な宿縁であったのだろう。

 

 アンシェルは電磁を鞭のように払い、ウキフネの痩躯を叩き伏せる。

 

 死に体であろうのに、ウキフネの身体はまだ動こうとするのをアンシェルは足蹴にしていた。

 

「この一撃……! よくも、と言わせてもらおう。しかし……私も考えていたよりもずっと、幸運であったようだ。小夜、君らの血は明らかに弱まっている。結晶化でさえも不可能なほどに」

 

「……ウチらの血が……弱い、やって……?」

 

「何度も言わなければ分からないか? それとも、そこまで愚鈍に成り下がったのがこの世界の君達か」

 

 ウキフネの喉笛へとアンシェルは踏みしだく。

 

「や、め……」

 

 嗚咽を漏らすウキフネの涙の懇願が届く事はなく、アンシェルは喉を踏み抜いていた。

 

 血溜まりが広がり、ウキフネの腕が一度痙攣して、力を失っていく。

 

「小夜の耐久力にも個体差がある様子。興味深いな。ある一面での強さと、弱点。そして人類であるという事を捨てた、頑強さ。ここまでかけ離れていながら、君達はまだ、幼い抵抗を続ける」

 

 ウキフネの喉が砕かれていたが、それと同時に再生も始まっている。

 

 その様子を観察するアンシェルへと、躍り上がった影はカナデの太刀筋であった。

 

 鎌がその首を狩らんと迫るも、直後にはアンシェルは彼女の背後へと回り込んでいる。

 

 ハッと感覚したその時には、至近距離の雷撃がカナデの頭蓋を射抜いていた。

 

 磁場が拡散し、カナデが力なく横たわる。

 

「危ないな。しかし、君達は何故、ここまでする? 自分達が何者なのだか、知らないわけではあるまいに」

 

「……黙りぃ……。今に……そっちに……」

 

「不可能だ。臓腑を焼いたのだぞ? 簡単に再生されればそれこそ……ああ、そうか。君らには怪物としての自覚は薄いか」

 

「……翼手がよく言う……」

 

「ほう、吼えるかね? だが、それにしたところで奇妙な帰結だと、そう思わざるを得ない」

 

 カナデの頭部を引っ掴み、アンシェルは値踏みの眼差しを向けていた。

 

「……ふむ。脳細胞を焼けば、少しは大人しくなる。それでも、死んではいない。耐久力だけならば私の時代の“小夜”を遥かに凌駕する。ネイサンから聞いていたが、小夜の血の質が落ちた代わりに、自動修復能力や個体ごとのばらつきが多いのは確かなようだな」

 

 アマミヤは首筋に巻かれた通信機器を、二三度、トントンと叩く。

 

 それは、ある事態への合図でもあった。

 

『……“雨宮小夜”より緊急伝達信号を受諾。特殊弾頭離脱型を射出する。タイミングはアマミヤに譲渡』

 

「……逃げるかね? それも当然だろう。君らでは私には勝てんよ」

 

「……戦略的撤退って言わしてもらいたいやね。けれど……今度は殺す。それだけは……覚えておくとええわ」

 

「これはこれは。小夜は血の質だけではなく、敵対者としての性能も落ちたか? そのような三下の言葉繰りをするような存在ではなかっただろう?」

 

『特殊弾頭離脱型、発射』

 

 直後、戦術ヘリより発射された白銀の砲弾をアンシェルは回避すれば、自分達は無事に帰投出来るはずであった。

 

 ――それを相手が片手で掴むなど、誰が想像出来ようか。

 

「……特殊弾頭が……」

 

「逃げに徹する相手を、まさかここで取り逃すとでも? 私の本懐は君達ではないが、同時にこうも思う。ここで逃せば、下手を打つ。だから――君達三人の小夜はここで死ぬ」

 

 アンシェルの片腕が雷霆を帯び、直後には膨れ上がった熱波が特殊弾頭を粉砕していた。

 

 アマミヤはしかし、それに対し絶望的な悲観を持ち込まない。

 

 何故ならば――それさえも織り込み済みの作戦であったからだ。

 

「……砕いたやんね?」

 

 特殊弾頭が赤熱化し、アンシェルはその意味を判ずる前に爆ぜていた。

 

 アンシェルの片腕を根元から削ぎ落した火力に、相手はここに来て初めて想定外によろめく。

 

「……何だと……」

 

「翼手の耳がいいんはよく知っとるさかい。これは罠なんよ。三回のコールは炸裂型の特殊弾頭の発射。そして、その三秒後に」

 

 別の角度から放たれた特殊弾頭がアマミヤの背後へと突き刺さる。

 

 刀を投擲し、アンシェルの気勢を削いでから、アマミヤはウキフネとカナデを回収していた。

 

「……逃げるのかね。ここで殺す事も不可能ではないだろう」

 

「せやね。けど、ウチ、不確定要素を持ち込む気はないんよ。それに、あんたさん相手に持久戦、思ったよりも不利そうやし」

 

 上昇していく景色の中で、アマミヤはようやく、詰めていた呼気を解く。

 

 全身から流れ出した脂汗が、これまでの緊迫感を物語っていた。

 

 何度も呼吸を荒立たせ、それから額に浮かんだ汗を拭う。

 

「……これが、シュヴァリエ……。逃げるんが精いっぱいやんか……」

 

 だが、そうだとすれば――。

 

「……あかんね。ノノが危ない。デヴィッド、そっちは?」

 

 

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