『ほのぼのした話が書きたいッ』って思って書きました。
もう、超ほのぼのした話です。
………ほのぼのした話です。イイネ?

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ほのぼの系統の話です。


艦娘の絶望

ここは鎮守府の執務室。

その中には1人の男がいた。

 

なんて事はない。ただの提督である。

 

艦娘からは一応、提督として、慕われてはいるが、恋愛感情は皆無という理想的な上官である。

少なくとも自分ではそう思っている。

 

そんな場所で。艦娘が誰もいないのを確かめた後。

 

「・・・あぁ!!!ヤバい!マジでヤバい!!なんなのアイツら!?」

 

 

漢としての欲望がつい口からこぼれだす。

 

男ならみんな欲望に正直だからネ。

 

しょーがない、しょーがない。

艦娘は美しい。

それも半端なく。

そんな美女美少女達。どんなアイドルにも女優にもまけない美貌の持ち主の数々。そんな連中が、執務が終わると同時に競うように我が執務室に来るのだ。

そして俺に寄り添うようにして座る。まるで何かに取り憑かれたように。

 

俺の周りにいて何が楽しいのか。アイツらのせいで、常に性欲が臨界点を突破しそうである。おっぱいか小さいのも大きいのも。よりどりみどりではあるが、手を出すわけにもいくまい。海軍規定で定められているのだ。

 

提督ハ軍規ヲ尊守スベキデアル。故ニ特例トシテ(・・・・・)艦娘ノ同意ヲ得タ場合ヲ除キ、ソノ他ノ婦女子全テト性関係ヲ持ツ事此レヲ禁ズ。

 

コレはわかりやすく言うと、軍事機密を守りましょうって事だ。どこから情報が漏洩するかわかったモンじゃあない。だから、同じ鎮守府の艦娘にのみ手を出していいよって事。

 

ハーレム鎮守府ならともかく。

 

俺は、モテない。

モテない男なんだよコンチクショーおぉおおおお!!!!!

 

故に、艦娘相手とかいう、ハードルが雲の上まで突き抜ける様な事は絶対できやしない。

もう、限界なのだ。

 

見慣れる事はないであろう美しい夜の海をバックに、美女を肴にしながらゆったりと呑む酒は最高だ。

 

・・・艦娘ってめっちゃいい香りするよね。

童貞くさいって?

・・・うるさい。こちとら5年近く艦娘の側にいて、性欲処理もマトモにできてないんじゃ。

なぜわざわざ俺の側に来て笑うのか。

 

・・・そうか。童貞をからかうのがそんなに楽しいのか。

・・・ちくしょうめ(血涙)。

 

かと言って艦娘に手を出すのか、と言うと。

・・・そんなわざわざ爆発するとわかっている地雷を誰が踏み抜くか。俺の事は別にどーとも思っていない女性達だ。特に好意は抱かれていない。そんな女達に囲まれている。そんな女達に手を出したら。・・・俺が物理的に消し飛びかねん。

ならば、と俺はふと思いつく。

「俺の性欲を処理するには」

・・・俺が提督を辞めればいいのか!

 

 提督のまま風俗にいくという選択肢がないワケではない。

 だが俺の鎮守府は離島、しかも無人島にあるので他の人との関わりがほぼない。

 

 しかしだ。本土の土を踏む機会は、月に一度くらいはある。提督達の集まりが本土であるのだ。多いとは言えないが、少なくはないチャンスだ。

 だから、1人の自由時間が普通あるのかもしれない。他の提督はあるのだろう。

 だが、ウチの艦娘達はそこら辺ゆるい様に見えて厳しく、常に誰かしら側にいる。ぴったりと、側に寄り添うように。まるで彼女のように。

 

・・・周りの視線がめちゃくちゃ痛い

 

 前にちょっと俺に貼り付く理由を聞いたら、「貴方をお護りするためです」だそうだ。まぁ俺は弱いからね。

 艦娘に比べたらね。鎮守府の要と言える、そんな男を護るのは、ある種艦娘の必然と言えるのかもしれない。

そんな中で「ちょっと風俗行ってくる」なんて言えるか?

・・・俺は言えなかった。

 

ヘタレだと笑いたければ笑え。

 

 もちろん、妖精さんが見える提督は貴重であり、そうそういない。辞めると人材不足になりかねない為に、辞めたらダメだと思う人もいるかもしれない。

 

 だが裏を返せばそうそういないというだけで、そこそこはいるのだ。10000人に1人くらいの確率と言えば少ない。だが、日本に単純計算で1万人弱ほどいると考えれば多いだろう。だから後釜の心配をする必要はあまりない。

 

 提督を辞めて、今まで貯めたお金で風俗に行き、童貞を捨てる。その後はかなり切り詰めれば、なんとか生活ができるだけの軍資金はある。

 

遊んでは暮らせないが、食うのに困る事はないだろう。

 

よし。提督辞めよう!

 

 困ったら軍以外で働けばいいさ。あんな危険と隣り合わせの職場なんてまっぴらだ。

一度はやったけど、あんな職場。女性が多いのに、絶対に手を出せない職場なんてまっぴらだ。

 

いつ深海棲艦が攻めて来るのかもわからんし。

深海棲艦が攻めて来た所で、俺の艦娘で対抗できるのかもわからんし。

もっと有能な提督に指示をもらった方が、アイツらも幸せだろう。

 

まっとうに、事務系の資格取りまくったからそれを別の就活で活かそう!

 

・・・フフフ。何故か日商簿記2級まで持ってるんだぜ?

 というか、無人島で働くならば、税理士関係がいなくてすべて自分達でやるしかなかったとも言う。

だが、最低限これさえあれば就職に困る事は少ないと思う。

少なくとも、何も持ってない人よりは有利に立ち回れるだろう。

 

で、退職届を書いた事は書いたのだが。

 

これもまためんどうで、艦娘の許可がいる。

 

・・・なぜ俺が辞めるのに艦娘の許可がいるのかは謎だが、これも決まり。

 

まぁ、あんまり関係ないだろ。艦娘達には。

 

・・・もし、俺が辞めれば。

艦娘達は大喜びだろう。もっと有能な提督が来てくれると尚喜ぶだろう。この5年で培った仲が犠牲となるのなら、少し悲しいが。

 

「性欲を処理してくれ」と頼む提督のいる鎮守府だ。喜んでよそへ行くだろう。口止めさえ忘れなければ、特に問題ない。また俺の鎮守府の秘密をバラさない様に言っとけばそれでアイツらは話さない。

 

・・・より正確に言うならば、『話せなくなる』が正しいんじゃないかな。深海棲艦も別の鎮守府も我々の弱みを握って攻められたら、たまったもんではないからな。

 

じゃあ笑って済ませてくれそうな艦娘を呼んでみよう。

ダイジョーブダイジョーブ。きっと笑顔で済ませてくれるさ。

ダメなら海の藻屑になるだけだからヘーキヘーキ。

 

コンコン。

 

ノックの音。

 

冗談で済ませてくれそうな艦娘1号!!!カモン!!!

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「鈴谷、入るよ〜」

そう。鈴谷。

この娘こそが冗談で済ませてくれそうな艦娘1号だ。

ちなみに2号は古鷹。3号以降未定。

 

「・・・鈴谷。ちょっと頼みがあるんだが」

「なぁに?提督?」

「何も聞かず、何も言わず、何も見ずにコレにサインしてくれないか?お前達の不利益には、絶対にならないと約束する」

 

「・・・それはちょっと鈴谷にはできないかなー」

「資材の水増しとかではないと約束する。お前らの不利益には絶対ならない。むしろ利益しかないから!!!」

 

「じゃあ見てもいいよね?鈴谷、自分の処理する書類くらい、少しでも責任持ちたいからさ!」

 

・・・なん・・・だと・・・!!!鈴谷が書類をみる、だと・・・!

 

・・・まぁ見てもいいか。俺の退職届くらい。

せいぜい、ちょっと悲しんで、バイバイって言うくらいだろ。

 

「ほらよ」

裏向きにしたのはせめてもの抵抗だ。見られないといいな、という。

 

鈴谷は俺の内なる願いを容易く裏切る。書類をいきなりひっくり返しやがった。

 

・・・まぁ、当たり前か。サインすんのも裏向きだとできないし。

 

そして表向きにして、書類をよくみる。

 

よくみる。

またよくみる。

陽に透かしたり、角度を変えたり、色々とした。十分に満足するまで俺の退職届をいじくりまわして。

そして。

 

「提督♡」

鈴谷にこれ以上ないほどの可愛らしい声でよばれた。

サインしてくれるのか!!!

 

 

 

「ウソつき」

 

 

 

ゾクリとするほど冷たい声だった。

さっきの呼びかけが夏の南国のハワイだったとするならば、今の言葉はブリザード吹き荒れる真冬の南極。

 

同じ南でも北半球と南半球くらい、南の関係が真逆であった。

 

 

「ねぇ。提督。メリットしかない?どこが、どこがメリットなの?ねぇ鈴谷に教えてよ鈴谷にはデメリットしかわからないよ提督がここを出る事でうちの鎮守府にはデメリットしかうまれないよねぇ提督そんな最悪の悪手をどうしてメリットしかないなんて言い切れるの?ドッキリだよね?ドッキリでも笑えないドッキリはしちゃダメだって教わらなかったの?提督は大好きだけど笑えないドッキリをする提督は好きではないかも笑えないドッキリって言えない提督も好きではないかもでも提督は大好きだよどんな提督も大好きだし愛してるけど辞めるって言っちゃう提督はもう二度とそんな事が言えない身体にしちゃいたいかもいったい何が不満なの?鈴谷にはその不満を取り除く事ができないの?鈴谷にできる事なら何でもするよもし提督が轟沈しろって命令なら今すぐするしその覚悟はあるけどそれで提督の不安が取り除かれるの?まさかと思うけど他の女が好きになったの?ならなおさらここから出したくないかも他の女のもとに行っちゃうくらいなら鈴谷が一生ここで満足させる様な生活を送らせてあげるから絶対離したくないかもそれすら振り切って逃げるなら鈴谷は鈴谷の全てを賭けて追いかけて一生を掛けてでも捕まえるから逃げてもムダだって教えてあげたいよどんな状態でも逃げるなら両手両足をへし折ったあと拘束してイスに縛りつけて一生鈴谷がお世話してあげたいなそんな状態でも助けを求める提督逃げ出そうと必死に努力する提督無駄だと知って諦めて鈴谷に全てを委ねる提督あぁなんて凄そう提督が鈴谷に全てを委ねるしかないなんて想像だけで果てちゃいそうもしそれが現実になったらなんて思ってみたいでももし現実になったらこんな甘美な響きは鈴谷の一生の中でもそうそうないかも―」

 

「悪かった。悪かった。俺が悪かった」

・・まさか俺が辞める事で壊れるとはな。

 

全く予想の範囲外だった。

 

取り扱い注意過ぎる。そんな事を考えながら。

 

慌てて事の経緯を説明する。

 

「お前らに対して、俺の指揮があっているのか疑問を抱いたからだ。俺が辞めるコトで、もっとより良い鎮守府になるかもしれない。お前らの事を、俺は5年も掛けて十全に知りきれていないしな。もちろん後釜の提督は俺よりももっと有能な提督が着任する様に努力は怠らないつもりだ」

 

・・・嘘八百の説明を。

むしろ嘘じゃない所を教えてくれ。

 

「・・・な〜んだ。鈴谷てっきり」

 

「・・・てっきり、なんだ?」

 

「鈴谷達を放ってどこの誰ともしれない売女(ばいた)を抱きにいくのかとおもっちゃった♡」

 

・・・正解(エサクタ)

 

「・・・もし、そうだと言ったら…ア。言わなくていい」

一瞬でバチンと音がなったみたいに・・

 

・・・目の、ハイライトが・・・消えた・・・?

 

恐怖でガタガタである。

「もし、そんな事を提督が言ったら。両腕と両足を切り落として監禁しちゃうなぁ♡」

 

言わなくていいって言ったのにィ!

 

「・・・ハハハ。両腕を切り落としたらお前を抱きしめられないだろ?」

 

・・・我ながらキモいセリフであったが、鈴谷には刺さったらしい。

「じゃあ、両足を切り落とすね」

 

「・・・ハハハ。足を切り落としたら、同じ目線でのデートができないじゃあないか。俺は上目遣いの女の娘に心奪われるんだけど、鈴谷の自然な上目遣いも見てみたいなぁ。あと、お姫様抱っこもしてみたいし」

「・・・提督の理想のデート。鈴谷の上目遣い。お姫様抱っこ。確かに今ならできなくはないかも…?」

 

ただの性癖の暴露であったが、鈴谷は割りと本気で悩んでいた。

 

 ちなみにお姫様抱っこはかなりの力が必要なため、やる場合は相手の体重との兼ね合いをよく考える様に。下手したら、腰や膝が崩御なさる。

 

・・・そういえば艦娘の体重って、アニメでは・・・。

「提督?今、失礼な事を考えてなかった?」

「全くもって」

考えてました。アニメでは体重計の単位が―

「・・・提督。それ以上考えたら撃つよ」

「そんな!!日本国憲法で思考自体の保証はされて―」

「やっぱり余計な事を考えてたんだぁ・・・。イケない提督だね」

 

・・・バレたか。

思考が読めるとかイミフ過ぎる。

 

「コレが女の勘ってやつだよ」

 

・・・その言葉便利すぎない・・・?

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

鈴谷はルンルン気分だった。

だって大好きな提督から呼ばれたんだよ?

提督の性欲が溜まっているのは知ってるから、その処理に呼ばれたのかな。

 

・・・まさかケッコンの申し込みとか?

 

でも鈴谷はどっちでもいいかな?

どっちでもこの上ないほどに幸せだから。

 

「鈴谷。入るよ〜」

 

この挨拶は恒例。

ホントはちゃんとした挨拶をしなくちゃいけないんだけど。

提督は寛大だから許してくれてる。「それもお前達だろ」って。

 

好き。

 

そんな私の前に、とある書類を出された。提督が言うには「読まずにサインしてくれ」との事らしい。

ケッコンの書類かな。だったらむしろ何度も読み返して嬉しさを噛みしめたい。

 

 

・・・え?

退職届?

 

冗談だよね?

 

何度見ても何度見ても目をこすっても陽に透かしても。退職届の文字が変化を起こす事はない。

 

 

な〜んだ。提督のお茶目さん。

 

 

「ウソつき」

 

 

なんか提督がガタガタ震えてるけど、鈴谷おかしな事言ったかな?

 

寒いのかな?じゃあ鈴谷があっためてあげないと。

 

まさか遠くに行ったりしないよね?許さないよ、鈴谷の許しなしで遠くに行くなんて

 

そもそも、本土に月1で行くのもいやなのに。

 

他の女の、鼻が曲がりそうな嫌な臭い。それが鈴谷の大事な大事な提督に移っちゃう。

 

鈴谷達は徹底的に他の下賤な女達を遠ざけている。提督に常にぴったり寄り添って。彼女のようにみられるっていうのは鈴谷達の役得。それなのに、提督からその努力はムダだと突きつけられるのは辛い。役得を取り上げられるのはかなり辛い。

 

提督のために無駄骨を折るのはいい。鈴谷は、鈴谷達、『提督親衛隊』の無駄かもしれない努力で大事な大事な提督を護れるのならいい。そのための努力ならこの命を賭けても惜しくはない。

 

でも、提督が提督を辞めたら護れなくなっちゃう。

 

護れなくなるのはイヤだ。

 

鈴谷は提督が大好きなんだから。愛しているんだから。

 

 

絶対にニガサナイカラネ

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

恐怖であったが、なんとか口を開く。

 

「これはお前達を護るためなんだ!お前達だって好きでもない相手に抱かれるのは本意ではないだろう!!」

 

「・・・その為に提督は辞めるの?」 

 

「あぁ。俺が辞めないと、お前が望まぬ相手に抱かれる事になる。だから俺が辞めるんだ」

 

望まぬ相手に初めてを捧げるのはイヤだろう。

 

もう、そろそろ限界なんだよ。俺の理性が……欲望に喰い潰されてしまう・・・!

 

鈴谷はうつむいている。

ショックだったのだろう。ムリもない。

だが、望まぬ相手(オレ)に抱かれるよりはいいと思ってもらうほかない。

 

「・・・鈴谷、我慢する」

 

は?

 

「鈴谷、我慢するよ提督。望まない相手に抱かれるよ。だから、だから」

捨てないで。鈴谷を。

 

ヘ?

マジで?

 

・・・鈴谷の目は、光っていた。

「・・・ごめんね。提督。でも今は1人になりたいんだ」

「あ、あぁ。今日の晩にその相手は来るから、鍵は開けとく様にな」

「・・・うん。わかった」

「あと、お前のベッドの場所はどこだ?」

「・・・ドアから入って左下」

「わかった。帰っていいぞ」

 

ドアがガチャリと音を立てる。

 

・・・泣いてた、な。

そのまま執務室を出ていっちゃった。

やっぱ俺とそういう行為をするのはイヤなんだろなぁ・・・。

 

でも、そういう相手に容赦なくするのが俺の好みだ。

AVでそんな作品をいくつも観た。ハマった。超絶ハマった。

逆にほとんど観なかったのは純愛もの。

『こんな事ありえないよな』って思っちゃうんだよネ。

 

クズと言いたければ言え。

 

むしろ俺でさえクズと思うのだから、真性のクズなのだろう。

 

でも観ちゃう。

 

『悔しい!!でも感じちゃう!!!』

をリアルにやりたいと思うのはきっと俺だけではないハズだ。

 

鈴谷には一番似合うと思うんだよ。レ○プもの。

 

そんな事を考えていたら。

 

執務室にノックの音が響く。

「最上だよ。入室しても?」

「入れ」

顔を向けるとやっぱり最上の姿が。

「提督にお願いがあるんだ!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「提督にお願いがあるんだ」

いったいなんだ?

「・・・言ってみろ」

「鈴谷の初めてを、今、提督が奪ってあげてください・・・!」

え?なんで?

「意味ねぇじゃん」

「意味ないってどういう事だい・・・?」

 

怒っている。最上が怒っている。ありえないほどに珍しい。

 だが、ほんとに意味ないんだよ。お前が言った事の意味が。

「鈴谷が今泣いてるんだよ。誰とも知らない相手に初めてを奪われると知って。せめて、せめて初めてくらい提督が貰ってやったらどうだい?」

 

???

 

「俺に奪われるのが嫌で泣いてるんじゃあねぇの?なら尚更意味ないじゃん。夜、鈴谷の相手するの誰だと思ってんの?」

 

「男の人」

 

そうそう。

 

「・・・この島に男がどれだけいるか知ってるか?」

 

「提督1人だけしかいないのは知ってるよ」

憲兵すらもいない。なぜかって?最前線に憲兵(そんなモン)派遣すると、すぐに巻き込まれて死にかねないからだ。頻繁に変わるくらいならむしろいない方がマシ、と言う大本営の判断らしい。あと、大本営からは俺の運営で、五年の間マトモに機能しているという信頼もある。

 

・・・その信頼すらも海底に沈めようとしているのが俺だけど。

 

・・・提督(オレ)は大丈夫なのかって?

 

危険がないとは言わないが、艦娘達が護ってくれる。

護りやすい位置に執務室があるのだ。

だから、危険は少なめである。「決してないワケではない」という所が、らしいな。あと、艦娘に裏切られたら、ソッコーで死ぬ。艦娘に護って貰わないとガチですぐに死ぬのだ。(何度も体感している)

 

「そんで、俺が鎮守府に入る許可なんて出すと思う?あんな七面倒くさいのを」

 

 ちなみにだが、鎮守府に入るためには、部外者は入館許可願を発行する必要がある。見学する場所全ての見学許可証をだ。どれも責任者の艦娘に許可を貰う必要があるのだ。

 入館許可願を出す場合、向こうにもこちらにも面倒くさい書類を文字通り山ほど、書く必要がある。

 

当たり前だ。目にする物全てが軍事機密なのだから。

だから、よっぽど積極的な提督でない限り書類選考でハネる。

・・・大抵ひっかかるし。

 

 更にそれを乗り越えて来たとしても、深海棲艦の恐怖を乗り越えられる者がどれだけいるか。

 

ここは離島。艦娘の保護があるとはいえ、全くもって安全とは言えない。そこに来る勇気のある者がどれだけいるか。

 

 ではなぜにそんな所に鎮守府を作るか。それは戦略的に重要度の高い拠点だからである。

もしも深海棲艦が攻めて来たら、ここが最前線もしくは軍事拠点になるレベルの場所だ。

 

・・・え?そんな所の配属の提督が辞めていいのかって?

 

・・・いいんだよ。俺の後釜なんていくらでもいるさ。

 

 

ともかく、提督達はそれだけの覚悟があるか試さねばならない。命を賭けても鎮守府を覗きに来るのかと。

 そう言った意味で素行調査をして、OKのもののみ、鎮守府の門をくぐる事ができる。

 

その人達を上から指示を貰って、許可を出すか決める。

 

今まで、一人残らず、ハネてきた。

そもそも、今回は申し込みがない。

 

・・・正直に言って、鎮守府の見学に来るよりも、提督になる方がよっぽど簡単だ。

それでもかなりの狭き門だけど。

 

「・・・出すとは思わない」

「だろ?この島には男が1人しかいない。なら自ずと答えはわかるな。誰が相手なのか」

だから意味ないって言ったんだ。

 

「・・・え?提督が相手なの・・・?」

俺が頷くと。

 

最上は拍子抜けしたって顔で去っていった。

 

・・・何がしたかったんだ?

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

僕は驚いた。

そしてそれ以上に慌てた。

 

なぜかって?

僕の大事な可愛い可愛い妹が泣きながら帰って来たら、誰でも慌てるだろう。

 

で、事のあらましをなんとか聞き取る。

泣きながらだから、話の要領が得ないんだよね。

 

でもなんとか聞き取れた所によると。

 

好きでもない男に初めてを捧げるのはイヤという事らしい。

 

提督の童貞と交換するためにとっていた初めてを。

『提督の童貞と交換するためにとっていた初めて』という言葉は許しがたいが、(僕が交換するから)それでも可愛い僕の妹だ。

 

ちょっとの願いくらい叶えてあげたい。

 

そんな事を胸に誓って提督の執務室の扉を叩く。

 

 

 

結果から言うと、全くもって杞憂であった。

鈴谷は望む相手に初めてを捧げられて、ひたすらに幸せだろう。

 

それを僕が伝えて鈴谷の杞憂な願いを取り払ってあげるのは簡単だ。

 

でも、なんかムカムカする。

僕は妹の幸せを、素直に祝ってあげられない姉なのだ。

だって僕の想い人でもあるのだから。

だからイジワルで、『初めての相手が提督だと伝えずに』慰める事にした。

 

なんとか持ち直したが、それでも我慢した顔には違いなかった。

 

大丈夫って言ってるけど、全然大丈夫な顔してないよね。

でもすぐに大丈夫になると思う。

あっという間に夜になった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

こんばんはー。提督でーす。

こちら蛇。任務を開始する!

鈴谷に本当の恐怖を教えてやる。

 

恐怖。恐怖だ!恐怖を感じろ!恐怖(フィアー)!!!

 

爆発はしないけど。

 

 

・・・資本主義側なのか、社会主義側なのかの立場すらも明確じゃねえな。

 

イヤ。ボスの配下だから資本主義側か。

 

まぁそんなくだらん事を考えながらも(このネタもだいぶ古い)、俺は鈴谷達の部屋の前につく。

 

・・・鍵は空いているだろうか。

 

ドアノブを捻ると、苦もなく俺を迎え入れてくれた。

ホッと息を吐く。

静かに潜入任務(スニーキングミッション)に成功し、ふっと息をつくと。

 

静かに寝息をたてる鈴谷がそこにはいた。・・・ネグリジェ姿は股間に悪い。

念の為か、枕の下に手を突っ込んでいる。・・・コレはちょうどいい。

鈴谷の手をベッドの柱に手錠で拘束する。四肢を少し余裕を保たせた妖精印の金属輪で固定した。

 

なぜ妖精印なのかというと、妖精さんじゃなきゃ、艦娘を拘束できる手錠は創れないからだ。

 

1つ拘束した時点で、起きかけた。だが、なんとか睡眠に戻って一安心である。

 

枕の下には不自然な盛り上がりがある。

 

・・・寝にくくない?

 

きっと武器などを隠してあるのだろう。

取り上げるために、枕をめくりあげると、そこには!

 

・・・俺の写真が山の様に詰め込まれていた。

 

・・・ちょっと見なかった事にしよう。

 

若干狂気を感じるし。そのままそっと戻し。一つ息を吐くと。

勢いよく布団を引っペがした!!!

俺が布団を剥ぎ取ると、案の定目を覚ます鈴谷。

 

俺はそこで覆いかぶさった。

この時、口を塞がないのがコツ。

 

あくまで俺の目的は風俗に行く事である。そのためには、『絶対に抵抗できない』という状況。そして『絶叫できる環境』が必須のためだ。

 

「・・・よう。鈴谷。お前を、ぐちゃぐちゃにしに来た。・・・意味は、わかるな?」

噛んで含めるように。ゆっくりと告げる。顔に気持ち悪い笑みを浮かべながら。きっと擬音はニチャアなんだろうな。

 

・・・イケメンが羨ましい。擬音がニヤリになるから。

 

「・・・鈴谷を犯すっていう事?」

「その通りだ。犯されたくなければ、コレにサインしな」

目の前に退職願を突きつけてやる。

鈴谷がフルフルと首を横に振った。

「・・・残念だよ。サインしさえしてくれれば、こんな事をしなくても済んだのにな。俺に一生消えないキズを残されなくても済んだ。俺に永遠の愛を身体と精神に刻まれなくても済んだのにな!」

 大嫌いな相手に、どれだけ愛情を伝えられても迷惑なだけである。

さぁ叫べ!

好きなだけ叫べ!

全力で抵抗しろ!

 

「鈴谷。・・愛している」

鈴谷はあまりの気持ち悪さにだろう。身震いをしている。

よしよし。…サラッと言えた。よしよし。これで気持ち悪がって……。

嬉しい(・・・)

 

は?

・・・絶叫は?

 

「それって鈴谷にデメリットってあるの?メリットは?」

「・・・俺に命ある限り愛を伝えられるっていうデメリットがあるな。精神(こころ)身体(からだ)に欲しくもない俺の愛が叩きつけられるっていうモンだ。あと秘書艦とケッコンは強制。給料が十倍になるっていうメリットがあるが」

「・・・わかった」

よし。わかってくれたか。

「鈴谷にメリットしかないってわかったよ。提督」

 

は?

 

「ちょっと待てちょっと待て。……今日の昼、泣いてたよな?」

 

そう。コイツは今日の昼、泣いてたのだ。好きでもない男に犯されると思って。

だからこそ悲鳴をあげられるために、ここに来た。

安全に風俗に行くために。

 

「・・・うん。提督以外の男にされるんじゃないかって思った時、泣けてきちゃった。でも提督ならバッチ来いだよ!!!」

・・・古いなぁ。

「提督の性処理と秘書艦とケッコンができるんでしょ?お金も十倍貰えて。なに?その理想の仕事!その仕事、やるよ!」

「その代わり、戦闘はナシ。お前の全ての時間を俺の奉仕に使ってもらう」

「わかった!!!」

アレ?

アレレレ?

おかしいな。

 

安全に風俗に行くための布石だったハズなのに。

そもそも俺は艦娘達(みんな)に好かれてないハズなのに。

 

なんでこうなるんだ?

 

でも、やる事は変わらない。レッツ風俗!!!

「・・・うわぁッ。私はなんて事をしてしまったんだ!!!」

 

若干、棒読みなのはご愛嬌。

拘束した鈴谷をそのままに勢いよく逃げたした!!!

 

大事なのは、我が部下を拘束したという事だ。ムリヤリ関係を迫ろうとした事実。それが大事だ。

コレで辞める口実ができた!!!

 

扉を、バーン!!!と開けた時。俺は瞠目した。

ウチの鎮守府のほとんどの艦娘が(・・・・・・・・・・・・・・・)扉を開けた場所に立っていたからだ(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

誰かが言う。むしろその場の全員だったのかもしれない。

「・・・ましい」

「・・・あ。通ります。通して」

なんか聞いたらダメだという本能が働き、そう声をかける。

だが目の前にいた(たまたま前にいた)陸奥は、俺の顔を見上げて。

「羨ましい。提督に襲ってもらえるなんて」

は?

いやいや。ムッちゃんは特にそういう事なかったじゃん?

俺が困惑していると、後ろから柔らかい感触が。

「でも鈴谷に一番最初に来たんだよ?だから鈴谷が正妻だよね?」

 

背中に鈴谷のおっぱいが!当たっている!ハズ。嬉しいハズなのに、ほとんど感触が感じられない!

 

……え?なんでこんな尋問みたいな雰囲気になってるの…?

 

なんで、どうして、鈴谷を絶望させるハズだったのに。

 

・・・他の艦娘が絶望しているんだ?

 

 

……………地獄?

 

 

 

 




ほのぼのしてるなぁ。

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