ガラル旅行から帰ってきたら、昔面倒を見てあげた四天王の後輩チリちゃんに狩られる元四天王の話
深夜テンションで一気に書き上げた為おかしな点があるかも
親戚に純正関西のおばちゃんはいるけど筆者の関西弁は似非止まりなので許し亭ゆるして
「お兄ちゃん! 帰ってきたらポピーに向こうのはがねポケモンさんのこと教えてね!」
「勿論だ! ガラルには伝説の鋼ポケモンもいるらしいからな、しっかり調べてくるさ」
「委員長より『一応視察というお仕事はこなしてくださいね』、とのことです。とはいえ休暇のようなものですし、この機会にガラルで英気を養ってください」
「ありがとうございます。程々にこなしつつゆっくり羽を伸ばしてきます」
「行ってらっしゃいニフェルくん。ガラルでは近頃古代の壁画が見つかったと聞きます、土産話は期待していますよ」
「はい、そちらもしっかり調べてきますね。ハッサク先生もお元気で!」
「……チリくんは、四天王が全員リーグを空けるわけにもいかないだろうとの事でした。今回の出張を前に一悶着あったとは、聞き及んでいます。顔を出しにくかったのでしょう…」
「小生たちに任せてください。彼女ももう大人ですし、何も今生の別れではない。すぐに立ち直れるでしょう」
「えぇ…お気遣いありがとうございます」
その会話を最後に、俺はガラル行きの客船に乗り込んだ。
今回のガラル地方への出張。
6年という長期間をとったこれは、体裁上はパルデアと予てより親交があり、また近年ブラックナイトなる災害を経て復興、改革の進みつつあるガラル地方の視察を任に帯びたものであり、同時にここ数年やりとりの減っていた両リーグ間の架け橋を四天王経験者として担ってのものだ。
…オモダカさんに「旅に行きたい!ガラルの鋼ポケモン捕まえたい!」とねだった末の個人的休暇でもあるのだが。
まぁ、そういった崇高なお仕事をこなすべく俺はガラルで東奔西走した。
ある日はターフタウンで古代の石柱を、またある日はキルクスタウンの温泉を。
またある時にはワイルドエリアを散策して周り、ある時はシュートシティのバトルタワーを体験した。
懐かしの母校からの留学生の受け入れにも一枚噛み、交流の促進も図った。
ガラル特有の文化、ダイマックスとの付き合い方はテラスタル文化のあるパルデアでも参考になるものだし、パルデアでは惜しくも体験不可能なアーマーガァタクシーの乗り心地は最高だった。
こっそりジムチャレンジも参加してみた。
かくして俺は毎月の報告書が簡単に埋まってしまうほどの充実した6年を過ごし、来るときに後輩と交わした約束もすっかり忘れ、ガラル土産とたくさんの思い出話をもってパルデアへの帰途についたのだった。
そして今。
俺は後輩の前で華麗な土下座を繰り出している。
◆◇◆
先輩との出会いは、ウチがパルデアに来た日のことやった。
ウチは元々ジョウト地方のコガネシティの生まれで、パルデアへは父親の転勤についてくる形で引っ越してきた。
当時はまだ幼くてポケモンも自分のは持ってなかったし、なんならジョウトへの愛着とかもほとんどなかった。そら引っ越して友達と離ればなれになるってのは多少辛かったけど、元々人と友達になるのは得意やからパルデアの新しい友達やポケモンたちへの好奇心の方が勝っとった。
そんな訳でパルデアについた時は最初こそ親についてたけど、少し荷物が片付いたらすぐに家のウインディと近くの探検に出掛けたんや。
ウインディは親が育てたポケモンで、まだ拙い指示しかできんウチにもしっかり従ってくれる頼もしい子やった。当然そこらの野生ポケモンに負けるほど弱くはなかったし、嗅覚も良いから多少ウチが離れてもすぐに見つけてくれる。その信頼からはしゃぎすぎたのが悪かった。
気付いたら小道の外れの洞窟に迷い混んでしまっててな。
更に運の悪いことに、そこはデルビルが多く住む巣みたいなもんで、たちまち囲まれてしまったんや。
もちろん幼かったウチは怖くて泣きそうになった。
その時の事は今でも忘れられへん。
目にも止まらぬ速さで駆け抜けて、十何匹はいたであろうデルビルたちをぶちのめしていく金色のブロロン。
それを成したのは当時12歳の先輩やった。
後から聞くに、先輩はその頃鋼ポケモン探しで洞窟やら遺跡やらに行くのが趣味やったらしい。
それでその日入った洞窟が偶然にもそこやったとか。
ちなみにそこに鋼ポケモンは生息しとらんから、無駄な探検だったんやけど。
かくして助けられたウチは無事ウインディと合流して、家に帰ったんやけど、更に驚いたことにお隣さんがその先輩の実家やった。
以来ウチは先輩とよくつるむようになった。
よく一緒に近所を散策した。
ウチが自分のポケモンを持つことを許されたときには一緒にウパーを捕まえに行ったし、アカデミーに入ることになった時は既に入学してバッジを集めてた先輩に色々助けてもらった。
放っとけばふらっと旅に出る先輩の唐突な鋼タイプ探しにも付き合ったし、結晶洞窟に潜り込んだこともあった。なんとか強敵から逃げ延びた夜に一緒に食べたサンドイッチはとても美味しかった。
先輩のお姉さんに娘さんが出来たときには一緒にお祝いに顔を出させてもらいもした。
こうしていつまでも先輩に付いて回って、世話を焼かれて。勉強を教えてもらったり旅をしたりするのだと、幼心に思っていた。
だが先輩のアカデミー卒業を機に、その日々は終わる。
先輩はいつの間にかポケモンリーグに就職を決めていた。
大好きな鋼タイプのエキスパートとして、いずれジムリーダーになるのだと。
……そう記した手紙が届いたのは、先輩が卒業してどこともなくいなくなってからだった。
ウチが一抹の寂しさを抱えながらも地面タイプを中心にポケモンを育てあげ、チャンピオンロードの終盤にさしかかり。
同時にアカデミーの勉強も終盤、卒業に向けて勉強も忙しくなった頃のこと。
以前から先輩共々お世話になっていたハッサク先生から呼び出しを受けた。
簡潔に言ってしまえば、卒業後ポケモンリーグのトレーナー部門に入らないかとのお誘いだった。
まだチャンピオンクラスになっていないとはいえバッジを7個以上獲得したトレーナーは少なく、リーグは万年人手不足に喘いでいるらしい。
所属後は適正のあるタイプのエキスパートトレーナーとして研鑽を積み、ジムリーダー、果ては四天王を目指すことができるという…。
ジムリーダーになる。そう便りを、手紙だけを寄越した先輩が不意に浮かべていた
ウチはポケモンリーグへの誘いを受けることにした。
四天王ともなれば、個人或いはチャンピオンを通しジムリーダー相手に幾らか
チャンピオンクラスになって、四天王になり。
ジムリーダーの先輩を……
なんて一瞬でも考えたウチのチャンピオンへの挑戦を阻んだのは。
見慣れたブロロロームを繰り出した先輩だった。
四天王になった、なんて。何も聞いてないんやけど…??
◇◆◇
互いのメインタイプで一方的に相性不利をとっていたとは言え、自慢の5匹が突破され。
消えていくテラスタルの余韻に悔しさを重ねながらも、挑戦者に賛辞を述べる。
「いやー、負けた!チリも強くなったな!自慢の相棒たちが見事にぶち抜かれちまった!あとはハッサク先生を倒せばチャンピオンに王手だ!」
「…ありがとうございます。先輩こそ、少し前にジムリーダーになったと聞いたばっかやのにもう四天王入りなんて、凄いですね」
「ありがと、そういえばチリには言えてなかったな。最近仕事漬けだったからなぁ。ま、積もる話はチリちゃんのチャンピオン祝いと合わせて後で話すとして、今は続きといこう。
ハッサクさーん!お願いしまーす!」
そう簡単な道のりではないと知りつつも、自慢の後輩の彼女ならチャンピオンになれる。そう確信してるから、ひとまずここはチャレンジの続きを優先してハッサク先生を呼ぶ。
先生もまたチリの勝ち抜きに嬉しげで─一瞬俺の方を見遣って。
「チリくん、やはりここまで辿り着きましたか。流石ですね。ニフェルくんは…彼女ともう少し話しておかなくて大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ、このまま進めてもらって。また後で話す機会もありますし」
「左様ですか……君は大事なことを伝えるのが遅いですから、どうにもやきもきさせられます…。
まあここは続きといきましょうか。チリくん、行きますよ!」
先生の言葉に自分も自覚するところである連絡不精を指摘されてつい考えがそれる……とその間に、ハッサク先生とチリが向かい合い互いの1匹目を繰り出した。
「来季から四天王の一戦目担当をチリさんにお願いすることにしました。ニフェルくん、先輩として色々教えてあげてくださいね」
「ええ、任されました!」
チリはあの後危うげなくオモダカさんまで突破し、当時最年少でのチャンピオンクラスに到達。
アカデミーも優秀な成績を修めて卒業、ポケモンリーグに就職した。
また今季で四天王の一人が引退することもあり、ほとんどの四天王がジムリーダーから昇格して就任する過程をすっとばして次期四天王に内定した。
俺も早い段階で四天王になった方だと自負していたが、流石にチリは才覚が違ったらしい。やんちゃしつつも、素直で従順に俺に着いて回っていた彼女は、もうトレーナーとしての最鋼位に手を掛けんとする立派な女性になっていた。
縁あって共に旅をした先輩として、とても誇らしく思う。
「先輩。またお世話になります」
◆◇◆
チリが正式に四天王として就任しあっという間に数年が経った。
元々チリは複数タイプは勿論、メインの地面タイプの扱いについてはエキスパートといってよく。
四天王として課せられた縛りがあって尚、慣れ親しんだドオーを中心に組んだ地面タイプのパーティは四天王の仕事をこなすのに十分以上の練度となっていた。
教えるとすれば四天王という肩書きについてくる多少の事務処理と地方の活性化という名目の芸能的露出への対応くらいのもの。
それすらも真面目に学ぶ姿勢を見せ、とにかく指示をこなして経験を積む様にすぐに教えることはなくなっていった。
彼女は今でも先輩と慕ってくれるが、むしろ生来の連絡不精、忘れっぽくハマりやすい性格の俺の方が彼女に窘められる機会は多く、周りから見れば俺の方が世話されてる後輩のように見えるのではないかと思う。
また周囲の面子が面子故フォローやツッコミに回ることの方が多く、俺たち男三人に比べてよっぽど男前な格好も相まって頼れる存在としての認識が強くなっていった。
だからだろうか。
俺の中で共に旅した頃の彼女の存在は……年相応に未知に目を輝かせ、時に目の離せなかった少女のことは、消えていって。
───チリも四天王として立派に果たせそうだし、いいかな
俺はオモダカさんに以前から提案していた仕事の体裁で掛け合って、一人旅に行くことにした。
◇◆◇
その日ウチはテレビ番組の収録を終え、先日終えた今季のジムチャレンジ挑戦結果をまとめるためにポケモンリーグへ向かっていた。
まぁ資料は8割方まとめ終えていて、その後に今日も今日とてリーグでぐうたらしていそうな先輩を連れ出す方がメインだったが。
そういうわけでリーグに戻り、書類を仕上げた頃。ふと見慣れた顔が視界に映った。
──あれは…
「ポピーちゃんやないの。どしたん?叔父さんに用?」
「チリちゃん!」
リーグの事務員さんの後に付いていた、見知った少女。先輩の姪っ子にあたるポピーちゃんだ。
こうしてオフシーズンに遊びに来ること自体は珍しくないのだが…
「いえ。ポピー、チャンピオンさんから呼ばれたのです!おじちゃんのお手伝いですって!」
「……先輩の手伝い…?」
ポピーちゃんは天才ではあるが、流石に事務手伝いってことはないだろうから……バトル関係やろうか…?
書類を上げるついでに同席させてもらうことにした。
「いらっしゃいポピーちゃん。 ……あら、チリさんもご一緒でしたか。頼んでいた資料は出来ましたか?」
「はい。こないな感じで良いでしょうか。中々チャンピオンクラスはおろか、バッジコンプリートもおりませんね。
……それと、今日はポピーちゃんに何の用があったんです?」
「……? ニフェルくんからは伺ってないので?」
オモダカさんは僅かに困惑を示した。
最近は軽くお昼を一緒にとったくらいで、何か用件を聞いた覚えはないが…。
反射的に困惑を返しながらも、特に聞いてない旨を伝えると彼女はまぁ私からでも構わないでしょうか、と前置きして切り出した。
「今季を以てニフェルくんは四天王を降りることになりました」
……は?
ドンッ!とデカハンマーでも打ち付けられたみたいな音がしたかと思えば、そこにいたのは憤慨を湛えたチリで。
「……それ、何?」
荷造りしていた俺を見て。鞄を指して問うた。
流石に荷造りしてることは一目瞭然…理由……。 !
「すまん、お前には言ってなかったか。
明日からしばらくガラルの方に出張することになったんだ。それでポピーに後を「自分。流石にふざけとるんちゃうか」任せ…」
「自覚しとるんか知らんけどな。昔から毎度毎度ウチにだけ何も話がない、いつも事後報告や!
というかジムリーダーはまだしも、四天王になっとったことなんてなんも言うてこんかったやん。今回なんて、仕事に全く差し支えん話題でもないのにええ大人が迫られるまで連絡の1つも寄越してくれんのはアカンやろ…」
「……すまん。自覚が足りてなかった」
「…なんか説教くさくなってしもうたけど…そうやなくて。
言いたいんは……ウチが先輩にとってその程度なんやろかっていうか…そらまぁウチらは所詮先輩と後輩止まりの関係で。 ……付き合っとる訳でなし、他の人らなら言わんこともあるかもしれんけど!
…でもウチと先輩は、話し合えるって思っとった……。なんか、おかしかったやろか?重かったやろうか……?」
ウチは……幼馴染みとして。一緒に旅した仲間として、先輩のことをずっと気にしてた。
───先輩にとってウチは…そうでもなかったんやろか?
思いの丈を話してくれた、チリの顔が…見づらかった。
チリはバトルも仕事もできる、胸を張って誇れる後輩で…。
……少し年は離れているけれど、いつもどこにでも一緒に付いてきてくれていた、親友のような…
目の離せない、そそっかしいとこもある妹のような存在でもあった。
忘れっぽい。報連相ができてない。すぐ周りが見えなくなる。
自覚はしてるつもりだったけど…あくまで
ちゃんと、伝えないと。
「…チリ。すまなかった。俺は──
◆◇◆
──俺は……なんて言ったんやっけ、なぁ?先輩?
6年ぶりに聞く声は、懐かしいというよりも、どこか、重かった…。
「
毎月の報告書はオモダカさんに言うて真っ先に読ませてもらってたし。どんなに出張が長引いても、どんなに休暇を満喫してても、どんなに何かに熱中してても。
あの時の約束は覚えててくれてるって。帰ってきたらどう声かけようかって考えてた」
考えてたんやけど、なぁ……。
「先輩」
「まずはお帰り。そんで、帰ってきて真っ先に誰に
……まず。船から降りた後。
アカデミーに行きました。そこでハッサク先生や先に帰ってた留学生ちゃんに会って話をしました。
その後リーグに顔だして、アオキさんに会ったので軽く挨拶とお土産を渡した後、オモダカさんに報告を…。
「ほんで?ポピーちゃんにも会ったやんな?」
「……まぁ。はい」
「みんな元気しとったやろ?久しぶりに会う顔は明るかった?久しぶりに聞く声は弾んどった?」
あー、違うな。そういやガラルから時々電話しとったらしいし……久しぶりって程でもないか。
「それで、その後チリちゃんの居るハズのリーグルームにも顔だしてくれてたらしいやん! ……いやぁ、嬉しいわぁ…。でも悪いことしたなぁ。この5.6年、チリちゃんはバトルない日の大半は
顔、あげてくれる?」
チリの意の成すがままに。重い頭を上げて、なんとか目を合わせようとして。
「広いやろ?この家。チリちゃん、使える人脈は全部使ぅて一番
条件。
これ幸いと見回せば、この寝室の外、広いリビングの奥には幾つも部屋があり、それこそファミリー向けといった感じの──
「ねぇ…
不意に首筋をしたでなめるかのように発せられた、
我に返ると、背後を取られていた。
「あの日、なんて言うてくれたか……そろそろ思い出した?」
チリの腕が肩に伸び、俺に正面を向かせる。
「お前のこと、大切に思ってるって」
───だから帰ってきたら今度こそ、ちゃんと伝える
そう言ったっけ。
「チリちゃんかて女の子やから、こういうのはちゃんと伝えてほしかったけど…」
後ろの正面…つまり背後にあるのは、さっきまでチリが座っていた………。
「流石にこれは許されへん、いい加減にしてもらわんといかんから…」
そういえば旅の途中、チリが単に先輩と呼ぶだけでじゃなく名前を加えて呼ぶ時があった。
「ニフェル先輩」
その意味は…なんだったのだろう
「愛してます」
忘れっぽいじゃすまないクズ記憶力主人公ですが、幼馴染みバフ+ヒーローバフ+チリちゃんの包容力の前には無問題。
happy end
気が向いたらこの設定で続き書くかも、と思って幾つか要素置いたけど他に書きたいのあるから書かんかも分からん