星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~ 作:イワシロ&マリモ
またジョンさんの髪型が大変なことになっちゃったし、朝霧さんやジャッキーさんが地味に強化されちゃった。
なんでこんなことが起きたかと言えば、会議のために来ていたジョンさん達三人にセシリアが労いを込めてドリンクを提供した。それだけなんだよねぇ。
「飲ませちゃダメって言ったじゃん、セシリア~」
「済まない、ティナ。
地球人が変化すると聞いていたのだが、既に変化した者ならば問題ないと勝手に判断してしまった。申し訳ない」
「まあまあ、彼女も反省している様だからあんまり怒らないであげてくれないか?ティナ」
「ジョンさんがそう言うなら」
本人が許してるなら私も言わない方が良いかな?でも髪の毛が凄いことになってるし、明らかに日常生活で邪魔になりそうだけど。
私の視線に気付いたみたいで、ジョンさんは笑顔を浮かべた。
「ああ、これかい?最初はビックリしたけど、実はこれ取り外せるんだよ」
「え!?」
そう言いながらジョンさんは頭から生えていた特徴的な髪を掴んで、割りとあっさり引き抜いちゃった!
もしかしてカツラみたいなものなのかな?
「しかも自由自在でね、ほらこの通り」
ジョンさんが良く見えるように屈んでくれた瞬間、また頭から特徴的な髪の毛が生えた!
「えぇ……」
流石の私もドン引きだ。取り敢えずジョンさんはまた引き抜いて、ヤシの木みたいな髪の毛を二本手に持ってる。
「ふむ?これは面白いな。ティナ、これは中々の強度があるぞ。つまり、鈍器の代わりになるくらいには固い」
ジョンさんから一本借りたセシリアが振り回しながら感心してる。
……どんどん人間離れしていくなぁ、ジョンさん。
まあ原因は私だから反省しかないんだけど、取り敢えず“採取”した髪の毛二本は本星の研究機関へ送ることにした。
……美咲ちゃんだけじゃなくて、ジョンさん達も一度精密検査をした方が良さそうだ。ビックリ人間になっちゃってる。
「悲観的になることはありません。色々ありますが、得られる恩恵も大きなものがあります。
私も健康診断であちこちが悪かったんですが、今では健康そのものです。
毎日のように感じていた倦怠感も解消しましたよ」
朝霧さんが笑顔で教えてくれた。ネットの皆さんやばっちゃんからは朝ギリーなんて呼ばれてるけど、普段は背広が良く似合うスマートな外交官さんだ。
ただ力を発揮する時に朝ギリーへ変身するタイプ。つまりジャッキーさんみたいな感じだ。
「あっ、飲んじゃダメですからね?飲ませちゃってる私が言うのもなんですけど、何が起きるか分からないんです。
もしかしたらとんでもない副作用があるかもしれませんし」
談話室にある栄養ドリンクへ手を伸ばしていたヤンさん達に注意しとく。
どの口がって話だけどさ、こればっかりは止めるしかない。ジョンさん達が奇跡的にプラスになっただけかもしれないし。
……それに前世からの偏見と先入観だけど、中華が栄養ドリンクを手に入れたら大変なことになりそうだし。
「それは残念です。私としても変化に興味はあるのですが」
「ジョンさん達は事故の結果です。まあ今回も……つまり私達の不手際ですから……ごめんなさい」
「ヤン殿、また何れかの機会に。アード側もデメリットが無いと確信すれば、快く私達へ提供してくれるようになりますよ。
先ほどティナ嬢が仰有ったように、我々が偶然“当たり”を引いた可能性の方が高いのですから」
「……なるほど、万が一があれば確かに外交問題となりますな」
「左様、事故と自発的な提供では意味合いが違いますからな」
困っていたら、ジャッキーさんが助け船を出してくれた。
ジョンさん達の変化は、前例がなかったから起きた事故だ。
……美月さんはお母さんが自主的に飲ませたみたいだけどさ。
正直ジャッキーさんのフォローに助けられたよ。
紆余曲折はあったけど、特に問題も起きずに私達は無事アード星系へ辿り着いた。
「わぁっ!!テレビで見ましたけど、アレがアードですか!」
「そう、私達の母星だよ!ようこそ、アード星系へ!」
展望室から見える惑星アードの大きなリングを見て、美咲ちゃんも興奮してる。
感情に合わせて羽がパタパタしてるのも可愛らしい。
こればっかりは翼や羽がある種族の弱点かなぁ。
感情が一目で分かるし、地球の政治家さんやセールスマンさん達はアード人と交渉するのも楽だろうね。
騙した場合は大変なことになるだろうから、地球の皆さんには頑張って欲しいけど。
「まさか本当にアードへ行けるなんて……半月前からは想像も出来ないです」
「色々あったからねぇ。大丈夫だとは思うけど、検査もしておかないとね」
美咲ちゃんはリーフ人になっちゃったけど、それまではずっと病院生活だ。
リーフ人になっても体力が増えた訳じゃないし、身体も満足に動かせない生活が長かった影響で、今もリハビリも続けてる。
アリアが無理の無い範囲でメニューを組んでくれたし、本人もヤル気満々だ。もう車椅子を使わなくて良いくらいに足腰も回復してる。
羽の使い方もフェル達が教えてくれているし、飛ぶのも上手くなってる。
毎日の検査でも今のところ異常は無いけど、やっぱり本格的な検査も必要だ。
「……いつか、お母さんと一緒に来たいです」
「うん、美月さんも一緒にアードの色んな場所を案内するのが今から楽しみだよ」
美月さんもアードへ招待するのは、叶えたい夢のひとつだ。まあ総理大臣さんだから物凄く難しいだろうなぁ。今度会ったらちょっと相談してみよう。
「アードかぁ……またティルちゃんに振り回されるんだろうなぁ」
マコくんが器用に嬉しそうな顔をしながら遠い目をしてる。
「あはは、妹が我が儘でごめんね?」
マコくんに関しては完全にティルの我が儘だ。お姫様の我が儘なんだもん、アードが断る筈がない。
「いえ、僕もまたアードへ行くことが出来て嬉しいです!
僕よりも、ティナお姉さんの方が大変だから」
「まぁねぇ」
美咲ちゃんはマコくんの意味深な言葉に首を傾げてるけど、マコくんは私の正体を知ってる。
ばっちゃんから、前来た時に女王陛下に会ってるって聞いた。
……まだ十歳なのに色々巻き込まれ過ぎじゃない?私達家族からすれば妹を助けてくれたヒーローだけどさ。
「ティナ、ちゃんとお話出来ますよ。私も一緒に行きますから」
「頼りにしてるよ、フェル」
頼りになる親友に笑顔で返事をして、宇宙ステーションへドッキングする。さあ、外交団の皆さんは当然として私も女王陛下と色々お話ししなくゃね!