なんだかやべぇ事になりもうして。   作:灯火011

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やっぱり電車は分岐点

 感覚がない。真っ白な空間に放り出されている。ただ、身体はある。不思議な感覚だ。

 

「…」

 

 言葉も出ない。どうにも、こうにも、ならない。おっと、どうやら目は動かせるっぽい。のだけれど、やっぱり目を動かしたとしても、真っ白な空間がどこまでも広がっている。目眩が起きそうだ。

 

「…」

 

 でも言葉は出ないってやつだね。うーんと、ちょっと思い返してみるか。

 

 確か、着替えて諸々の説明を受けてから、エントリープラグの本物に乗り込んで、不安もあったけれどすごくテンション上がったんだよね。で、そっから、おそらくはプラグがエヴァに入った衝撃音があって、それからモニターに電源が入った。

 

『問題ないか?A1』

『問題ありません』

 

 確か、そんな短い会話をしていた気もする。で、そっからシンクロしようかーと色々手順を踏んでいったら。

 

「…」

 

 これだ。真っ白な空間に浮かんでやがんの。なーんも出来ない。

 

 いや、なんか嫌な予感してたけど、その予想通りにこうなるもんかねぇ?ただ、救いなのは痛くもなければ恐怖もないってところだろう。エヴァを見ていた経験上、結末もだいたい決まっている。大体こういう場合、エヴァが暴れている感じ。それで、時が経つと。

 

 知らない天井だ。

 

 というパターンが思い浮かぶ。…いやまて、そんな甘い話あるか?ここはエヴァの世界だぞ。別ケースの方が濃厚じゃないか?例えばほら、溶けちゃってる場合もあるし、よくわからんがエヴァに取り込まれている場合もある。

 

 いやぁ…それはちょっとご勘弁願いたい。もうちょっと美味しいご飯は食っていたいからさ。

 

『あなたはだれ?』

 

 ふと、体の感覚が戻った。夕闇が、視界を包む。

 

『あなたは、だれ?』

 

 ガタン、ゴトン。カン、カン、カン、カン。どうやら、私は電車に乗っているようだ。

 

『あなたは、だれ?』

 

 いい加減に目の前を見た。逆光の中で、一人の少女らしきものがこちらに語りかけているようだ。…ははぁん?やっぱりエヴァの世界だなぁ。これあれでしょ?エヴァの素体の中の人みたいな奴でしょ?

 

『…あなたは、だれ?』

 

 いやぁ、それにしても、電車が古くない?ガタンゴトンて。最近聞かないぞ。うん。いやしかし、目の前の少女らしきものは一体誰なのかね?初号機とか零号機の場合、碇シンジ君が出会うのはレイっぽいからー。

 

 綾波レイ?

 

『…あなたは、綾波、レイ?』

 

 ちゃうわ。そんな中心人物違うからね。どちらかっていうとアスカじゃないかな?

 

『あなたは、アスカ?』

 

 どちらかというとね。なんだかクローンっぽいけどさ。あー、だから私は本物じゃあないんだろうけどね。

 

『…本物じゃ、ない』

 

 そうそう。ま、ただ。そうだな。ただただ本物じゃないって言っても、私もいっぱしのオタクだ。せっかくなんで、私について少し考えてみようか。

 

 まぁ、といっても答えは簡単。私を鏡で見ると明らかに外国人っぽい少女。大体14歳ぐらいだろうね。それでいて、赤い髪で青い目。そんで名前の呼ばれ方がA1ときたもんだ。 

 

『じゃあ、あなたは、だれ?』

 

 そうだなぁ。流れで言えば、多分、式波・アスカ・ラングレーのクローンみたいなもんだろう。

 

 だぁがしかし。

 

「知りたい?」

『知りたい』

 

 おっと、声がようやく出た。ならば、こう名乗らせていただきましょうか。

 

「蒼龍・アスカ・ツェッペリン」

『蒼龍・アスカ・ツェッペリン』

 

 蒼龍。惣流の元ネタと言われる軍艦の一つ。そして、ツェッペリンは旧のアスカの母親の姓であるとともに、ドイツで蒼龍の技術を参考に作られた、なーんて言われている軍艦のお名前だ。ちょっとオタクっぽい名前だが、それっぽいだろう?

 

『判った。これからも、よろしく』

「よろしく。で、君の名前は?」

 

 ガタンゴトン。古めかしいレールの音が響く。少女の顔が、夕闇に照らされた。

 

()()()()()は―』

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