「ふむ、この双頭の鷲があると言うことは聖王家の書籍で間違いないな」
「はい、聖王家の書籍は必ず双頭の鷲の紋章付本である聞いてますが、本当だったですね。」
ホープはそう言うと本をそのままユーノに渡した。
「そうだよ聖王家の本は必ずと言っていい紋章付本だからね、双頭の鷲は聖王家にとってのシンボルみたいな物だよ。」
双頭の鷲の紋章は古代ベルカにおいて聖王の誕生とともに生み出され、それ以来聖王家にとって神聖なる存在であり、聖王家を表す象徴と言う意味もあった。聖王家の本などが紋章付本であるのは、盗難や捏造などを防ぐため紋章付本にしたと言われている。特に双頭の鷲の紋章には特殊の魔法がかけられているため、コピーや模写は不可能である。
「にしてもすごいですね。何百年前にかけられてる魔法が現代になっても解明できないなんて古代ベルカの技術はここまで高かったですね。ベルカだけでここまで高い技術があるのならベルカより遥か古代にあるアルハザードが時を操る、死者を蘇らせると言われてるのはもしかしたら本当かもしれませんね」
「そうかもね。でもそうだとしたらアルハザードが次元震で次元断層に沈んで滅亡したと考えられにくい。そこまで高い技術があるのになんで滅亡したのか他にも次元震を防ぐ技術や手立てはあっただろうに。」
「案外今もどこかに存在してるやもしれませんね」
「はは、それこそ世紀の大発見だよ。」
ユーノは乾いた笑いをした後、再び本に目を合わせた。
「しかし聖王の書籍にしてはボロすぎるな」
「そうですね、聖王関連の本はもっと高級感がある気がしますけど」
「話がずれたね。とりあえず、この本は僕がS級保管室に入れとくよ。あと聖王教会にも連絡入れといて。」
「あそこ聖王関連の話になるとうるさいですもんね。」
「聖王教会にとって聖王は神みたいな存在だよ、聖王に関する本なら尚更だね。その本に聖王の姿や性格などが記されてかもしれない。もし記されて本の聖王が暴君だったら?彼らにとって聖王は神聖なる存在。その存在が世間に否定されたら?それこそ彼らにとって悪夢以外なにも無い。下手すると教会自体が危うくなるから彼らも必死になるよ。」
「いつの時代になっても宗教は面倒臭いですね。」
「僕個人としては宗教自体否定してるわけじゃないけど、個人の信仰は自由だし宗教の教えもいいと思うし教えを広めたい事もわかる。だけど、もっとも許せないのは他人に押し付けたり、自分たちの欲を満たそうとする人たちが許せないだけだよ。」
「以外ですね、てっきり先生は宗教が嫌いかと思いましたよ。」
「まさか、僕が考古学者だった頃、多くの次元世界などを探検したり遺跡を発掘する時に現地の文化を理解する必要があるからね。一番手っ取り早い方法は習慣や信仰を理解する事。多くの次元世界見てきたけど、文明の発達には常に宗教とともにある。宗教とは人々の精神や心を支える存在だから。いくら技術が発達しようが宗教は無くならない。宗教は人々にとって無くてはならない存在だよ。」
「妄信すぎるのも良くないですけどね」
「そうだね、要はほどほどに」
「さて、僕もそろそろ行くとするよ」
「わかりました。先生また連休あけにお会いしましょう」
「うん、君もくれぐれ体調管理しっかりしてね」
ユーノはそう言って出口の方に向かった
(古代ベルカか・・・魔法でミッド式とベルカ式の二大魔法勢力を築き、尚且つ聖王教会が出来るほどのベルカ・・・その割に資料や実態が謎だらけ。ベルカが滅亡したのもあるけど、もしかしたら聖王教会がわざと隠してるのかもしれない。でも隠すメリットは?わからない何か知られたくない事があるのかな?いやいや考えすぎだ・・・こうも考えるとキリがないやめよう)
(おっと、考えてる間にいつの間にか着いたね)
その言葉とともに目の前のドアの横にある指紋スキャナに指を当てると、ピピと言う音とともに自動ドアが開く。あたり一面は本棚に埋め尽くされていた光景がユーノ目に入る。ここは保管室と呼ばれてる場所で、歴史的に重要書物や参考書物などが保存されており中には国家機密や管理局の重要な書類なども保管されてる場所でもある。あたり人はいないが24時間体制で魔法や監視カメラなどにより監視されており、書物の持ち出しは禁止されていた。本や書物を朗読する場合は管理局無限書庫書記長であるユーノの許可や管理局上層部の許可が必要であった。
(さて、保管場所に置いて速く帰るかな)
ユーノは頭でそう考えつつ、歩く速度を速めた。
(はぁ・・・せっかく明日から大型連休なのに聖王教会に行かないといけないのか・・・)
(相手がカリム見たいな良識な人だったらいいけど、誰が好き好んで腹黒い狸爺さんたちの相手をするか)
(どうせ、文句や嫌味しか言われないと思うけど、今から考えると気が減るな~)
(そう考えると聖王関連の書物は厄介だな)
以前一度聖王関連の書物が無限書庫に現れた事があった。当時書庫の職員たちはパニックになって大変な思いをした事がユーノにはあった。パニックだけなら別にたいしたことじゃないのだが、その後聖王教会から書物譲渡要請が来たのだ。古代ベルカ関連の物やロストロギアは基本聖王教会により管理されてる。そのため聖王教会と管理局の関係は基本密接ではあるが、別に仲が良いってわけじゃない。管理局内では強い権力や独自の軍事力騎士団を持つ聖王教会を敵視、危惧している者もいる。話がそれたが、無限書庫とは管理局が保有する書庫である。その中にある本や出現する本は基本無限書庫の本と言うことだ。つまり管理局が保有していることとなる。書庫にはたまに古代ベルカの書籍が出現するが、それらはたいして価値があるとは言いがたい。たまに、考古学に貢献する書物もあるが基本価値が高いものではない。しかし聖王関連の書物となると話が違ってくる。聖王は教会にとって神聖なる存在である。その聖王の書物は当然教会の人にとって自分たちで保管すべきものと彼らは考えている。たとえ聖王関連書物だとしても無限書庫に出現した今所有権は当然管理局にある。これは明らかに越権行為であり、当然管理局が認めるはずがない。当然裁判となり、結局無限書庫にある以上所有権は管理局のものとなった。ただし、今後聖王関連の書物や古代ベルカの重要書物が出現した場合は教会に連絡することで決まった。
(S級物はここかな?)
ユーノは目の前の棚を確認すると、ふと本の内容が気になったのである。
(この書物は誰がしるしたのだろう?聖王関連なのは確かだけど、それにしては少々ボロすぎる。どっちかと言えば日記みたいな感じだな)
(いや、待てよ代々聖王家の人間は日記なんて書くはずがない。ならば誰が?)
(そういえば聖王家の最後の聖王オリヴィエ聖王女には一人の血の繋がった親族がいたな)
(名は確かフライアだった気がする。)
(戦乱ベルカ末期における人物で、オリヴィエ聖王女、シュトゥラの覇王クラウス・G・S・イングヴァルトと同時代の人物でもあった。)
(戦乱ベルカ末期における最重要人物であるにも関わらず、残ってる資料が少ない。いや無いに等しいな)
(ベルカ戦乱を終息させたにも関わらず、資料や書物が残ってないなんておかしいよ)
(いったいどんな人物なんだろう?)
(もしかしたらこの日記はかの聖帝フライアの物かもなー)
(はは、いやまさかね)
(まあ、とりあえず中身傷がないか確かめるか)
ユーノはそう言うとたちまち本を開き目の前の文字を読み始めた
「ええと、なになに?リック・アドル聖帝フライア・ゼーゲブレヒト陛下の生涯をここで記す。」
「って、リック・アドルだって!?アドルと言えば代々聖王家に仕える忠臣のアドル家じゃないか!?そしてリック・アドルは聖帝フライア・ゼーゲブレヒトの家臣でありながら生涯聖帝フライア・ゼーゲブレヒトの無二の親友とも言われてる人物ではないか!ベルカ戦乱終息させた英雄でもあるリック・アドル!」
ユーノの歓喜の声を上げながら、同時に保存室の周りを走り回った。
(リック・アドルの日記だけで大発見なのにフライア・ゼーゲブレヒトの生涯だと!?これぞ世紀の大発見ではないか!?こんな気持ちになるのはなのはと出会って以来だ!)
(フライア・ゼーゲブレヒトの生涯となれば、こうもうかうかしてられないな!)
ユーノは再び出口の方へ向かって走り去っていた。
StrikerSでドゥーエが聖王教会に潜入し、聖遺物の管理者を誘惑して聖王の遺伝子を手に入れたけど。それが原因でヴィヴィオが作られ、挙句聖王のゆりかごが起動して大惨事となった。あれって元たどれば聖王教会が管理をしっかりしてなかったからああなったじゃないのかな?それなのに最終的に地上本部のレジアスが死に管理局の最高評議会の三人が死に、見方を変えれば聖王教会の一人勝ち状態にも見える。もしかしたら最初から聖王教会の陰謀だったやもしれないな