古代ベルカ
かつて平和だった時代は今では過去のものとなり数多くの国々が群雄割拠する時代となっていた
豊かな大地は荒廃し戦争や殺戮だけが広がり恐怖や絶望が人々の心を支配していた
しかし、荒れ果てた大地とは違い空は平和だった
そこには争いが存在せず、ただ濁った色の空だけが広がっていた
空中に一隻の空中戦艦の姿があった
数キロメートルの長さを誇る巨大戦艦
通称『聖王のゆりかご』である
聖王のゆりかご内部の一室に新たな生命が誕生する
「おお、ついに生まれたか」
歓喜の声を上げたのは金色の髪に右目が緑・左目が赤の虹彩中年の男性である
「おめでとうこざいます。どうやら男の子のようです」
女従者は手に抱える赤子を優しく中年の男の手に渡した
「しかし、泣かないとは不気味だな」
男は顔を顰めながら言った
「そんな事言わないのオリアス。私たちの子なんだから」
その言葉を口にしたのは男と同じ目の色で金色の髪を腰まで伸ばした女性である
「そうだなマリーナ、我が子に間違いない」
オリアスと呼ばれた男性はマリーナと目を合わせた後。視線を再び赤子に向けた
「ええ、でも左目の色が私たちと違うのが気になるだけど」
赤子の右目は彼らと同じ色ではあったが、左目は赤の虹彩ではなく碧色である
「まあ、今はこの子の名前を決める方が大事だ」
「そうね……フライアでどうかしら?」
「フライア、フライア・ゼーゲブレヒト。いい名だ」
「そうと決まれば家臣の皆に知らせなければ」
オリアスはドアの方に向かい部屋から立ち去っていた
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「陛下」
部屋から出た後オリアスは声をかけられた方に振り向くと、部下の騎士がオリアスの方に近づく
「どうした?」
「ガレア王国の軍勢がシュヴァーベン王国に向かってるとの事です」
「なんだと?すぐに騎士たちを徴集し向かわせよ」
「はっ」
騎士は急ぎその場から去った
残されたオリアスは一人で考え込む
…この時期に侵攻して来る意味は何だ?
シュヴァーベン王国が弱小とは言え、聖王家の同盟国でもある
シュヴァーベン王国に侵攻すれば、我等聖王家が出てくるのが必然だとわかるはずだ
いくら無限の軍勢を誇るガレア王国でもゆりかごの前では無力だ
撃退されるのが、目に見えている
ならば、なぜ?
なんだこの感じ…
…嫌な予感がする……