過酷な世界でヒスりたくない   作:腹切りたい焼き

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お久しぶりです。
約一ヶ月ペースで投稿出来ていることに驚きを隠せません。

来月の中旬に博多行くことしたので、時間が取れればもう一話ぐらい更新したいです。

もはやサブタイは雰囲気。一ヶ月考えても思いつかないのは私のネーミングセンスがないせい。

後スパロボ新作もボチボチやりたいので、時間捻出します。


14.モモフレンズは偉大

 補習授業があるからと言って、日々のトレーニングを忘れるわけにはいかない。

 

 いつものように5時には起床して、先生を起こさないようジャージに着替えてからランニングを始めた。

 

 普段はランニングに加えて自重トレーニング、射撃訓練、武器の整備とやれることはやっている。

 

 唯一優位を取れる狙撃は決定打にならない。体格が小さい相手にも力負けする。なのにこっちは1発もらったら即アウト。今でさえ頭回して小細工して、それでギリギリ勝ってるのにサボる気にはなれない。

 

 とは言え今は勉強優先だから、合宿所の内周をランニングするのと自重トレーニングぐらいしか時間が取れないけど。

 

 生きていく以上、好きなことだけやって生きていくことは出来ない。我をある程度通して好きにしたいなら、最低限の努力と能力は必須になる。

 

 …まあ、面倒臭いのが本音だけどな。

 

 大した運動はしてないけど、暑い中走ったので汗をかいた。流石にシャワー浴びずにこの後の授業に参加するのも気が引けるな。

 

 いい時間だとトレーニングを切り上げ、合宿所のシャワールームに入る。

 

 お湯を被り、身体に纏わりついていた汗を洗い流す。出来れば湯舟にも浸かってゆっくりしたいけど、色んな意味で時間がない。

 

 たまには百鬼夜行の温泉でも行きたいな。ゲヘナだと熱過ぎて入ってらんないし、トリニティだと無駄に豪華過ぎて落ち着かない。風景写真撮影(趣味)の延長で旅館とかにもよく泊まってたせいか、日本っぽさがあって百鬼夜行が一番落ち着く。

 

 …よし。エデン条約のゴタゴタ全部終わったら百鬼夜行行くか。まだ百鬼夜行にあるセーフティーハウス引き払ってないし、メンテの意味も込めて行って温泉は入浴だけにすれば金も浮く。それにあそこは年中祭りやってるから退屈もしないだろう。なんなら銀鏡誘ってもいいし。

 

 さっぱりしたので身体から軽く水気を払い、更衣室へ向かおうと立ち上がる。

 

 

「うわぁっ! ちょ、ちょっと! 脱がさないで! ひゃっ!」

 

「? 脱がないとシャワーは浴びれない」

 

 

 なんか更衣室が騒がしい──

 

 疑問に思うとほぼ同時に勢いよくシャワールームの扉が開け放たれ、下江と白洲が全裸で入って──

 

 

「ゔぅんっ!!!!」

 

 

 思いっ切り右拳で自分の右頬打ち抜く!

 

 認識し切る前に視界を逸らし、殴った反動そのままに身体も反転させる。

 

 

「き、きゃあああああ!! な、なんでいるのよ! へ、変態! ケダモノ!  し、死刑!! 死刑ぃ!!!!」

 

「む? 遠山カナタも入っていたのか」

 

 

 背後から聞こえるのは下江と白洲の声だけ。全員じゃないだけマシ、か?

 

 ただあんな大声を出したんだから、このまま放置してたら浦和たちも様子を見に来る。タオルも持っていない現状、せめて腰に1枚巻きたい。

 

 てか両極端な様子の割に、2人からの視線はがっつり感じる。せめて下江は視線逸らせ。

 

 と、とりあえず騒いでも解決しない。他の連中にケツ見られる前に追い出さないと。

 

 

「とりあえず、いつまでも見てないで出てってくれ」

 

「み、みみ、見てないわよっ!!」

 

 

 否定の声とともに乱暴に扉が閉まった音を聞いて、その場に座り込む。

 

 危なかった。冗談抜きでヒスるところだった。いくら低身長貧乳(ストライクゾーン外)だったとは言え、異性の裸は──

 

 

「ふんっ!!」

 

 

 痛い。

 

 危うく思い出すところだった。何度もヒステリアモードになっているとは言え、お互い裸の状態で成るのは始めてだ。その結果どうなるかなんて、想像もつかない。

 

 そう言う対象として阿慈谷と浦和は警戒してて、下江と白洲は好みじゃないのも合わさって省いてたけどこう言うハプニングはダメだな。己の女性経験のなさが憎い。次から看板でも立てておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「ううぅ……」

 

「うふふ♡」

 

「あ、あはは…」

 

「はぁ……」

 

 

 シャワールームの騒動の後、補習授業をバックれるわけにもいかないので結局顔を合わせることになる。

 

 下江は顔を赤くしながらこっちをチラチラ見てるし、浦和は楽し気に微笑んでるし、阿慈谷はまたしても苦笑いしている。オレはオレで割と気まずいし微妙に恥ずかしい。

 

 …まあ、理不尽に吊し上げられるよりかマシか。

 

 

「恥ずかしがることはない。遠山カナタの身体は立派なものだ」

 

「ご立派!?」

 

 

 白洲は腕を組んで頷いて人の身体評価してるし、なんかもうよく分からん。

 

 てか、ご立派とは言ってねえだろムッツリピンク。言葉狩りが過ぎる。

 

 

「待ってくださいアズサちゃん、コハルちゃん」

 

 

 浦和が2人に近付き、神妙な面持ちで口を開く。

 

 

「遠山くんのはご立派だったんですか!?」

 

「阿慈谷ぃ! 進行を、今日の補習授業の進行を頼む! このまま放っておくと収集つかなくなるぞ!」

 

「は、はいぃぃ!!」

 

 

 先生と阿慈谷の尽力のお陰で少し時間が掛かりつつも、落ち着きを取り戻した教室で阿慈谷が初日の音頭を取る。

 

 

「きょ、今日は補習授業部の合宿、その大切な初日です! 私たちは大変な状況で慌ててしまいがちな状況ではありますが、難しく考える必要はありません! 1週間後の第2次特別学力試験で合格する、それだけです! そこで、まずは模擬試験から始めたいと思います!」

 

 

 突然の模擬試験の実施に、他の奴らはやや困惑しているけど阿慈谷は話を続ける。

 

 

「私たちは今、何が出来て何が出来ないのか、今どのくらいの立ち位置にいるのか、分からない状態です。そんな状態で闇雲に勉強しても、あまり効率がいいとは言えません。と言うわけで、こちらを用意しました」

 

 

 そして見せられるトリニティの過去問と模範解答。多分先生が用意したものだろう。

 

 …実は偽物掴まされてないよな、ってのは考え過ぎか。オレならやるだろうけど、桐藤ナギサならそこまで狡い手は使わないはずだ。

 

 

「本番と同じで、試験時間は60分の100点満点中60点取れば合格です。まずはこれを解いてみましょう!」

 

 

 そうして始まった第1次補習授業部模試。

 

 試験範囲は前回とあまり変わらないし、寧ろ勉強してきた部分だから理解度も高まっている。理数は応用問題多くて部分点狙いになりそうだけど、古代語も多少分かるようになったからなんとか補えると思う。

 

 とりあえずここで全力出して問題に噛り付いても仕方がない。気楽にやろう。

 

 早々に模試に見切りをつけ、確実に分かる部分をまず埋めてケアレスミスの確認をした後、残った時間で部分点目当てで記載する。

 

 そうやって問題を解いていると、先生がそこまでと声を上げた。

 

 採点を待ち、出た結果は63点。合格点だ。

 

 他のメンツはそれぞれ点数は上がってるけど、阿慈谷以外は変わらず不合格ライン。…ここまでは原作通りだったはず。

 

 ただ今回の模試で63点程度だと、まだまだ勉強不足に変わりはない。最終試験の合格ラインは90点以上だったはずだし、その最終試験が実施される次期もそう遠くない。正直、他のことに気を回してる暇はなさそうだ。

 

 風紀委員会の仕事で緊急性のないのは一旦放置して、アリウス関連の情報収集も進展がないから打ち切って。ゲヘナ関連もこれ以上進展を望むのは厳しそうだからこれも打ち切りして、万魔殿の仕事は…やらなきゃ後々面倒だからある程度やるしかないか。ここまで削れば今までよりも勉強の時間が取れるだろ。

 

 阿慈谷も模試の結果を見てそれぞれに指示飛ばしてるし、オレはオレでギア上げて頑張るか。

 

 

「それと遠山くん!」

 

 

 無関係な振りして軽く欠伸をしていたら、急に呼ばれて思わず肩が跳ねる。

 

 

「文系科目が私より良い点取れていますので、遠山くんも一緒に勉強のお手伝いをお願いします! 代わりに苦手な理数系と古代語を教えますので!」

 

「…いや、前にも言ったが」

 

「今ここに他の生徒の目なんてありません! それに特別学力試験に合格したいと言うのは全員の共通した目標です。先生だって他のお仕事でずっといられるわけではないですし、目的は一緒なはずです!」

 

 

 否定出来ない内容と強い言葉に、いつもなら出てくる屁理屈が出てこない。

 

 感情で言うならどうとでも反論出来るけど、オレが最初に持ち出した懸念点の解消と妥当性のある共通目標。正直ほぼ独力で勉強している以上、勉強の質は良くないからデメリットも少ない。

 

 …てか、損得を持ち出して説得するところがなんというか、『阿慈谷ヒフミ』らしくないセリフにも思える。

 

 確かに明確なメリットデメリットを提示される方が好みではあるけど、これまで避けてたせいでそんなこと分からないはず。

 

 まさかと先生の方を見ると、オレの視線に気付いてにっこりと笑う。間違いなく先生の仕込みだ。

 

 オレと先生の付き合いは浅い。となると、他に交流のある生徒からオレのことを聞いたか。候補が多くて絞れないけど。

 

 思わず深い溜め息が漏れ、その様子に阿慈谷がびくりと肩を震わせる。

 

 

「そ、それに、ご褒美も用意してます! 男の子にはちょっと可愛すぎるかもしれませんけど…」

 

 

 そう言って持ってきていた袋から、モモフレンズのグッズをいくつか取り出す。

 

 有名どころのペロロにスカルマン、ウェーブキャット。他にはビッグブラザーにMr.ニコライとひと通り揃っている。

 

 

「…ぬいぐるみで釣れると思ってんのか」

 

「うっ…そ、それは……」

 

 

 今度は呆れて溜め息を吐くが、そのやり取りを尻目に目を輝かせた白洲がフラフラとモモフレンズに寄って行く。

 

 

「か、可愛い…!!」

 

「!?」

 

「え゛っ」

 

「あら…?」

 

「可愛すぎる…! なんだ、この丸くてフワフワした生物は…!?」

 

「こ、これはモモフレンズと言って──」

 

 

 モモフレンズに反応を示した白洲に対して、オレのことは放って熱烈に布教し始める阿慈谷。

 

 自分が好きで、何故か嫌厭されがちなものに好意的な反応を示したらそれは嬉しくもなるだろう。ただ浦和と下江は原作通り、そこまで興味を示していないけど。

 

 暴走気味な阿慈谷に苦笑しつつ、オレもペロロのぬいぐるみを手に取る。

 

 

「オレも結果残したら、これ貰えるんだよな?」

 

「!!!? はい!! 遠山くんも実はお好きなんですか!?」

 

 

 目を異常にギラつかせながら、新たな同士を逃さんとオレの腕を掴んでくる。

 

 振り解こうとするけど、びくともしねぇなこいつ。

 

 

「ゲヘナの後輩でモモフレンズ好きなのがいるから、その子にあげるだけだから」

 

「ゲヘナにもモモフレンズ好きな子がいるんですね!」

 

 

 モモフレンズと言うよりは、年齢相応に可愛いものとかぬいぐるみが好きって気もするけど言わぬが仏か。実際会えば気は合うだろうし。

 

 オレも別にモモフレンズは嫌いじゃないし、スカルマンに関しては前世でも今世でもぬいぐるみ部屋に置く程度には気に入ってる。

 

 それと、ここら辺が引き際だろう。

 

 合宿所出たら今まで通り対応してもらうのは当然だけど、他の目がない以上オレの杞憂は解消されている。勉強もいずれ手詰まりになって、足を引っ張るかもしれない。1番の目標はこの『補習授業部編』をなるべく原作通り終えることだけど、前提としてオレも特別学力試験をパスする必要がある。

 

 当然補習授業部に深入りするつもりはない。てかそもそも、勉強教え合う程度で何かあるわけじゃない。もしこれでフラグ立つようなら、前世でとっくに彼女出来てるわ。

 

 後、モモフレンズを後輩にあげるって建前も出来た。あくまで利害が一致したからと言える状態になったわけだ。

 

 

「と、遠山くんは、遠山くん用にもいかがですか!?」

 

「いや、このスカルマンは持ってるし別に──」

 

「アズサちゃんと同じでスカルマンがお好きなんですね!!」

 

 

 普通に口が滑った。

 

 さっき以上にニコニコ笑いながら詰め寄ってくる阿慈谷に後悔しつつ、自身の口の軽さを恨む。

 

 このままだと補習授業部に深入りすることに…

 

 いや、どうせ補習授業部から離れたら交流も減ってくはずだ。他校の生徒なんてそんなもんだし。何より今この状態の阿慈谷をどうにかすることが出来ないと思う。

 

 オタク怖いなぁ、と思いつつもう後に退けないだろうと諦めるしななかったのだった。

 

 

 

 

 




ちなみに今後投稿予定のイベストや番外編の話として、以下の辺りを構想してます。

・カナタとイオリの温泉調査(227号温泉郷の運営記録)
・遠山カナタ(体だけ)幼児になる(ネバーランドでつかまえて要素)
・風紀委員会の夏合宿(ヒナ委員長のなつやすみっ!)
・晄輪大祭の四方山話
・IFルート(便利屋所属のカナタ、TS転生IFなど)

夏合宿は補習授業部編とエデン条約編の間に入れる予定ですが、それ以外は投稿時期未定となります。
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