星の旅人物語   作:ぷにぷに狸

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序章:いつかの便り

 

 

 

 

これから旅立つ君たちへ

 

見えているものが真実だと思い込むのは、旅人にとって最も危うい思考だ。

 光の加減、風の流れ、誰かの言葉、積み重ねられた歴史──それらはすべて、まるで本物のような顔をして近づいてくる。目に映る景色の九割が真実でできていたとしても、残る一割に潜む影が、時にすべてを覆すほどの力を持っていることがある。

 覚えておくといい。世界は、真実と虚構の境界を曖昧にしたまま、君たちを試してくる。

 

 人は皆、生まれた土地、育った空、出会った仲間、そして信じてきた物語をもとに世界を理解しようとする。それ自体は間違いではない。だが、その理解が絶対だと思った瞬間、心は閉ざされ、真実に触れる機会は遠ざかってしまう。だからこそ、旅に出る者には柔軟な目と耳、そして胸を開いた心が必要なのだ。

 

 世界には、まだ君たちが知らないものがあまりにも多い。

 空の果てに浮かぶ島々の謎も、古の時代から囁かれる神話も、決して書物だけで語り尽くせるものではない。人々が信じる常識すら、過去に誰かが見た一つの景色にすぎないのかもしれない。

 九割が事実に思えても、その一割を軽視するな。その一片にこそ、運命を変える鍵が隠れていることがあるのだから。

 

 君たちがもし、この世界の真実の全てを知りたいと願うなら──迷わずに行け。

 

 〝星の故郷〟へ。

 

 そこには世界の始まりと終わり、そして誰も語ろうとしなかった「真相」が眠っている。大地が生まれた理由も、空が裂けた日も、天星の力が流れ出した起源も、すべてはあの場所へ行かなければ顔を見せてはくれない。

 

 だが、道のりは決して優しくはないだろう。星の故郷へ向かう旅は、ただの冒険ではなく、君たち自身と向き合う試練でもある。疑い、迷い、恐れ、誤解──人が抱える弱さのすべてが行く手を遮るだろう。それでも歩みを止めない者だけが、真実へ辿り着く資格を得る。

 

 どうか忘れないでほしい。

 真実とは、与えられるものではない。

 別の誰かが語った言葉でもなければ、日記の中に記された答えでもない。

 君たち自身の目で確かめ、心で咀嚼し、仲間と共に乗り越えたその先にだけ、真実は姿を現す。

 

 旅は孤独ではない。

 空には君たちを照らす星々がある。大地には君たちを支える風がある。

 そして何より、君たちの旅を見守る者が必ずどこかにいる。

 

 さあ、歩き出せ。恐れずに、しかし油断せずに。

 真実を求める旅は、君たちが思う以上に困難で、そして美しい。

 星々が導くその先で、君たちの選ぶ未来が輝くことを願っている。

 

星の旅人より

 

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