そして、彼は恐ろしき闇の開拓を願った。
⚠︎オリジナルクエスト作ってみた、ってやつです!
ネタバレなし、とてもあんぜん!
ずっと昔から、ぼくには嫌いなものがある。
それは、この時間────夜だ。
僕は、夜の包み込む様な闇が嫌いだ。
人も、モンスターも、剰え光すらも覆い尽くし、そしてそれら全てを自分のものだと言わんばかりに貪る。僕は、そんな夜の傲慢さが忌々しかった。その癖星々の明かりだけは残して雰囲気を演出する所なんて、一体お前は何様なのか。あまりの賢しさに反吐が出る。
太陽がいない間だけ威張り散らし、世界をなめとってしまう暴食の獣。それが夜だ。
僕は、夜の死を直観させる静寂が嫌いだ。
夜には、声というものが聞こえてこない。人は自然と眠りにつき、恐ろしいモンスターたちもじっと息を潜めて明日を待っている。世界中に無数の命があって、皆が時に傷つけ合い、時に助け合う世界。それこそが生き物のあるべき姿なのに、夜はその行動を阻害する。
世界の理を破壊し、僕らから繋がりを奪う障害。それが夜だ。
僕は、夜の責める様な視線が嫌いだ。
なんにも無いはずなのに、誰もいないはずなのに、夜は、どこかからじっと僕を見つめている。暗闇に浮かぶ瞳は遍在し、決して逃れることなどできはしない。普段はそれでも無視しているけれど、一度それに気がつけばもう頭から離れなくなって、気が狂ってしまいそうになる。
僕から正気と安寧を奪う。だから、僕は夜が嫌いだ。
……でも、僕が一番嫌いな夜は。
僕の一番畏れる「夜」は。
やはり、あの、悍ましくも気高く、そして強大な、夜襲の狼に違いないのだ。
◇
そうして僕は、たった一人でベッドに潜る。今日も、心に一片の翳りを残して。
無力にその身を震わせながら。
悔しさに涙を滲ませながら。
僕は、いつの日か来たる夜明けを待つ。
ああ、どうか願わくは。
君たちが、本当に「未知を進む者」ならば。
「歩み照らす者」だというならば。
開拓者よ。
僕たちとは違う者たちよ。
どうか、どうか。
あの「夜」に、僕の心に、安寧を───
『ユニーククエスト「襲いくる夜を襲う夜」が開始されました』
「………………ありがとう」
「………ん? なあエムル。なんか知らないうちに俺のインベントリに変なアイテム入ってんだけど。これ何か知ってる?」
「変なアイテム、ですわー?…………さあ、知らないですわ。サンラクさんのことだからまた何処かで勝手に拾ってきたんだと思うんですわ〜」
「よーしエムルーちょっとそこでじっとしてろよー」
「けけ、剣は、剣はやめるですわ、せめて拳にしてほしいですわ〜〜〜〜!!!」
以下設定
クエスト名:「襲いくる夜を襲う夜」
受注条件:誰でも(ユニーククエストだが複数人同時に受注可能。ただし報酬は一つだけ)
受注方法:○○○の三番街に暮らす孤児「ポロン」に話しかける
クリア条件:夜襲のリュカオーンに対して一定の戦果(呪いを付与される、撃破する)を挙げる
内容:
背景ストーリーがあるタイプのクエスト。
少年に話しかけると彼自身の過去について聞かされる。(ある日の夜に親が失踪したこと、それ以来夜が怖いこと、など)
それから適切なロールプレイ(自分は開拓者ではないと嘘でもつかない限りはなんでも構わない)を行うことで、少年からの願いとして「夜」に一矢報いてほしい、とクエストが伝えられる。
少年の願いを聞くことでウィンドウが表示され、クエストを承認することで受注完了。
対夜襲のリュカオーン情報は少年からは一切得られない。またエンカウントも自力で探し出す必要がある。
クエスト条件を達成した後、その証拠を見せることでクエスト終了。呪いを受けたならばそれを見せるだけで良い。
クリア報酬:「小さなお守り」×1
→効力、売却値段、フレーバーテキストは市販の物と全く変わらないが、唯一見た目だけ異なっており、側面に「僕の太陽へ」と刻まれている。
備考:クリア後の別日に話しかけると、最近は夜にもよく眠れている、と語ってくれる。
貰った「小さなお守り」をつけて話しかけると、好感度が上昇しやすくなる。