ヒロインはオリジナルのメイドさん好き女子中学生です。

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『小林さんちのメイドラゴン』に出てきた架空のメイドさんゲームがやりたくてどうにかした話

『メイドのアビーとシグルズの財宝』

 メイドが主人と一緒に財宝を見つけるローグライクゲームだ。

 メイド愛好家小林さんも、

 

 あんまりゲームはやらない私だが…

 こういったものには食指が動く…

 

 と発売日に行列に並んでまでご購入。

 

「ム、ムズイ… アビーいいキャラだし、いろんなメイド服も手に入るから着せてあげたいけど… 発売したばかりのゲームじゃ攻略がまったく見当たらない…」

 

 などと嘆きつつもコンプクリアしたご友人を頼って攻略を楽しんでいる模様。

 

『アビー!! 貴様に多次元宇宙が救えるか!?』

 

「なんか壮大な話になってきたな…」

 

 

 

「わ、私もプレイしたい……」

 

 メイドスキーの一員としてぜひともプレイしてみたい私、深山シオン(14歳女子中学生)は血の涙を流していた。

 

「やりゃいいじゃん」

 

 と言うのは義兄のとしあき兄さん。

 でも、

 

「現実には存在しないんだよこれ! マンガ『小林さんちのメイドラゴン』129話の作中で出て来た架空のゲームだからっ!!」

「あ? あーあー、あるよね、そういうの」

 

 サブカルチャー、オタク文化に理解のある義兄さんはそう言ってノートPCのキーボードを叩いてネット検索を始める。

 

「でもメイドが主人公のRPGなんて探せば似たようなのがありそうだ…… よ、ね?」

「ありそう?」

「……現実は非常である」

「ガーン!!」

 

 ショックを口に出して叫ぶ。

 

「いや、ありそうで無いね。あってもインディーズの1時間程度で終わるホラーゲーとか、ソーシャルで主人公がメイドの子を集めて攻略とかは……」

「悪くはないけど……」

「求めてるのとはまた別口かぁ」

 

 そこで義兄さんはさらにPCをいじって考え込むと、不意にこちらを振り返り、ドヤ顔でこう言い放つ。

 

「明日、もう一度来て下さい、本当のメイドが主人公なRPGを見せてあげますよ」

 

 と……

 

 

 

 そんなわけで翌日、としあき兄さんが見せてくれたのは、

 

「昔のドラクエ?」

 

 義兄さんがセッティングしてくれた私のノートPCのディスプレイに表示されたウィンドウ内では、古いレトロゲーらしき低解像度のドット絵だけれど確かにプレイヤーキャラらしいメイドさんが表示されて動いていた。

 

【挿絵表示】

 

 ロングのエプロンドレスにメイド帽、モブキャップとも言われる後頭部を覆う白くて丸い帽子。

 そこから左右斜め後ろに二つ結いにした髪の毛がぴょこんと飛び出て動作と共にふりふり動くのが微妙に、いや、よくよく見ると絶妙にダサ可愛らしい。

 3色しか使っていない16×16のドット絵にも関わらず、とても味のあるデザインだった。

 そして、机に並んでいるのは古いゲームのカセットとよくわからない基盤。

 

「これが今回の素材、ゲームボーイカラー版ドラゴンクエスト3のソフトにROM吸い出し機、そしてゲームボーイカラーのエミュレータ―プログラム。どれもネット経由で簡単に入手が可能だね」

「えーと?」

「ゲームボーイカラー版ドラゴンクエスト3のROMを吸い出し機で吸い出してPC上のエミュレータ―でプレイできるようにして。そのエミュレータ―のチートコード入力機能を使ってゲーム中ランダムに変身ができる『変化の杖』の変化先を通常では選ばれないNPCメイドのグラフィックに固定。同時に変化の杖使用中の歩数カウントを最大値で固定指定してやれば、常にキャラのグラフィックをメイドのままにしてプレイができるわけ」

「なるほど?」

「メイドはスカウト系、というのが一般的なので盗賊スタートにしておいたよ。そして主人である勇者は『ひっこみじあん』な性格なのに勇者オルテガの後継ぎとして母親に「この日のためにお前を勇敢な男の子として育てたつもりです」と生き方を強制された結果、引きこもって棺桶に入ったままに」

「あっ、本当に棺桶を引きまわしてる」

「主人である勇者の代わりに世界を巡って財宝を集め、ついでに魔王を倒してしまうのがアビーの役目だ。『メイドのアビーとシグルズの財宝』は「メイドが主人と一緒に財宝を見つけるローグライクゲーム」らしいけど、ローグ系って基本、操作キャラは一人だから「主人と一緒に」をどう処理しようか迷ったんだけれども、ならこんな感じにって。同行させようにも変化の杖はパーティ全員が同じ姿になってしまうし、だったら棺桶でいいかなって」

「なるほどー」

「実質的には棺桶勇者って言われる一人旅縛りプレイだね。レベル20で盗賊から賢者に転職すれば大体全部の呪文を覚えるころ…… レベル40ちょっとで安定してゾーマ撃破クリアが可能かな? 経験値独り占めで四倍速で成長するし、勇者一人旅よりかは簡単だろうから、そう酷い難易度にはならないはず」

 

 そんなわけで、いざプレイ。

 

「アビーは性格『しあわせもの』なんだ……」

「ドラクエ3の一人旅で一番ストレスが溜まるのがマヒによる全滅だから」

 

 ドラクエ3ではパーティ全員がマヒした時点で全滅扱いになる。

 つまり一人旅だとマヒは受けてしまったら即全滅、即死攻撃と同じということ。

 さらに言えばザキ、ザラキといった即死呪文は防ぐ手立てがあるけど、マヒ攻撃にはそれが無く、しかも効果を受けてしまう確率はマヒの方が高い。

 その上、序盤のカザーブ周囲のキラービーから始まって、海上のしびれくらげ、ネクロゴンドの洞窟の地獄の騎士とマヒ攻撃を行う敵は多いのが厄介という話みたい。

 

「マヒ攻撃してくるモンスターの出る地域は盗賊の特技『しのびあし』でエンカウントまでの歩数を倍に延ばして回避するのが良策だけど、それでも避けきれないときのために状態異常の抵抗率を上げる運の良さを伸ばす性格がお勧めなんだ。特にスーパーファミコン版より状態異常になる確率が上がっているゲームボーイカラー版だと」

「なるほど」

「とはいえマイナス補正無しでオールマイティーに強いセクシーギャルも運は伸びる方だから、それと比べても差はそんなに無いんだけどね。運の良さが良く伸びるおかげでパーセンテージで効く成長補正の効果が大きくなる盗賊でも転職時、レベル20で5ポイント程度しか変わらないし」

 

 だったら他の能力値も伸びるセクシーギャルで良いかって話になるんだけど、

 

「でも……」

 

 と口ごもる私に義兄さんは、お見通しだとばかりに微笑んで。

 

「セクシーギャルなメイドって、イメージと違う感じでしょ」

「うんうん」

 

 そう、それ!

 アキバで見かけるメイド喫茶のセクシーなふりふりメイドさんを否定するわけじゃないんだけど、私的な好みは黒や暗い紺のロングワンピースに白のエプロンといった、シックで落ち着いた気品の感じられる古式ゆかしいヴィクトリアンメイド。

 漫画『エマ』や『シャーリー』の世界だ。

 

「それにカザーブまで行けば身に着けた者の性格をセクシーギャルに変えるガーターベルトが手に入って、それはイシスで星降る腕輪を手に入れるまで使えるから」

「セクシーギャルで始めた場合とそれほど変わらなくなる?」

 

 なるほどぉ。

 でも今のでティンときた!

 つまり、

 

「セクシーギャルなメイドは何か違うけど、素の性格が『しあわせもの』っていう純朴なメイドがガーターベルトを付けたせいでセクシーに見えるようになるっていうのは逆に」

「いい……」

 

 義兄さんもうなずいてくれて、だから思わず意気込んで語ってしまう。

 

「そう、そうなんだよね! あー、なんだろうこれ。元のドラクエ3からキャラのグラフィックが変わっただけのはずなのに、別ゲーみたいにワクワクする!」

 

 何でこんなにテンション上がるの!?

 私がメイド好きってだけじゃ説明がつかないよねっ!!

 

「パーフェクトだよ、お義兄ちゃん!」

 

 私がそう褒めたたえると、義兄さんはメイドと対の存在、執事のように気取った仕草で恭しく一礼して、

 

「感謝の極み」

 

 と笑ってくれるのだった。

 

 

 

TO BE CONTINUED?




『小林さんちのメイドラゴン』作中に出て来た架空のメイドさんゲームが死ぬほどやりたくて、どうにかしたお話でした。
 こういうの、ありますよね。
 アニメや漫画の中の作中劇とか、
「なにそれ、滅茶苦茶見てみたいんだけど!」
 って言いたくなるやつ。


>「ゲームボーイカラー版のドラゴンクエスト3のROMを吸い出し器で吸い出してエミュレータ―でプレイできるようにして。そのエミュレータ―のチートコード入力機能を使ってゲーム中ランダムに変身ができる『変化の杖』の変化先を通常では選ばれないNPCメイドのグラフィックに固定。同時に変化の杖使用中の歩数カウントを最大値で固定指定してやれば、常にキャラのグラフィックをメイドのままにしてプレイができるわけ」

 具体的には『013D48C5』と『01FF49C5』を入力すればOKです。
 詳しい内容については、
013D48C5(01yy48C5 へんげのつえの変化状態 yyに3Dを入れるとメイドに。ちなみに3Cでシスターになります)
01FF49C5(01xx49C5 へんげのつえ・レムオルきえさりそうの有効時間 xxに00~FFを入力)
 ということで。

 なおスーパーファミコン版ではNPCキャラのグラフィックの扱いが違うのでメイドさんもシスターさんも選べなかったりします。


 毎度衝動のままに色々と思い付きを書いてるんですけど、今回のこれは続きに需要が有るんですかね?
 ヒロインちゃんがプレイの様子をお義兄ちゃんに語りながら進めるお話とかで『TO BE CONTINUED』するのもいいかも、なんて考えますが……


 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の作品の参考にさせていただきますので。


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