絶対にデレない敵役生徒   作:有機栽培茶

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サオリのお腹を舐めまわしたい。
あ、間違えた。
高評価やコメント諸々よろしくお願いします!(挨拶)



5.青春の物語

「委員長は……」

「やあやあ諸君!」

 

 

 ミサイルで荒れ果てた街並みに、積み上げられた瓦礫。そして灰色に染まった暗い空。なるほど、決戦の場にはもってこいと言ったところか。

 

 

「揃いも揃ってやる気満々と言ったところかい?しかし、ふむ。どうやらパーティはギリギリ始まっていないようだ!滑り込みセーフといったところかな?」

「貴方は…!どうしてここに……!?」

 

 

 驚くアコちゃんを見下ろし、少し格好をつけて名乗り出る。

 

 

「元ゲヘナ風紀委員副委員長にして、現シャーレ所属の戦華ヒバナ。そして我らが風紀委員長、空崎ヒナ!……ただいま現着だ」

「……待たせてごめん、アコ。みんなも無事でよかった」

 

 

 こうしてヒナちゃんの隣に立ってみんなを見下ろすのも久しぶりかな。

 

 

「委員長!無事でよかったです!そして副委員長……いや、ヒバナさん…!貴方、よくのうのうと私たちの前に顔を出せましたね…!貴方がこのことを黙っていなかったら──」

 

「すまなかった」

 

「──こんなことに、は……へ?」

「これは全て僕のせいだ。僕のせいでみんなは傷つき、こんなことになってしまった」

「……ヒバナさん」

「だから謝らせてほしい」

 

 

 そういって僕はみんなの元に降りていって、頭を下げる。

 

 

「ごめんなさい」

「っ!」

 

 

 正直いえば、怖い。この謝罪が受け入れられないのではないか。友達だと思っていた子達に拒絶されるのではないかという恐ろしさ。さっきまでのように、いつもの“戦華ヒバナ”という像を被ったままでいたかった。でもそれじゃダメだと教えてもらったから。

 そして、先生が背中を押してくれたから。ヒナちゃんが手を握ってくれたから。

 僕はこうしてみんなに……己の罪に向き合えている。

 

 コレで拒絶されても……仕方はない。彼女たちが許してくれるまで、俺は自分の罪を償い続けることになるだけだ。それさえも許してくれないのなら、俺は…俺は……

 

 

「……はぁ……ヒバナさん」

「っ…!」

「私は…怒っています。貴方のせいで私たちは、委員長は傷ついてしまった」

「あ、アコ……!」

「委員長は黙っていてください!」

「っ…!?」

 

 

 アコちゃんの、昔はよく聞いた……かつては笑い飛ばしていた恐ろしい怒りの声を、僕は黙って聞き続ける。

 

 

「……はぁ」

「……」

「顔を上げてくださいヒバナさん」

「ぅ……」

「目を閉じないで。ちゃんとこっちを見てください」

「……は、い…?」

 

 

 恐る恐る目を開けば、予想とは違って目の前には呆れたような、少し優しげな表情を浮かべたアコの顔があった。

 

 

「……貴方がしたことは消えません」

「……」

「ですが、貴方は私たちに謝ってくれました。だからまずは許します」

「……ぇ?」

「貴方が謝って、心の底から反省しているのなら許すしかないでしょう?友達なんですから。それに委員長だって許したんでしょう?」

「……と、友達で、いい、の?」

「逆に友達じゃないんですか?」

「そ、そんなことない!」

「うわ!急に叫ばないでください!」

「ひぅ…ご、ごめん…」

「はぁ……まったく。ひとまずは許します。ですが罪は消えません。だからこれからその罪を償ってください。こき使って上げますからね。キビキビ働いてください」

「あ、アコちゃん…」

「……え?」

 

 

 彼女はあんなにも思い詰めて潰れそうな暗い重たい罪悪感を背負って拒絶されることも覚悟して捻り出した僕の謝罪を彼女は軽く受け止めて、友達でいいのかという疑問さえも軽く吹き飛ばしちゃって、それがおかしくて、いつもの調子で僕をあしらってくれる彼女が嬉しくて、つい気が緩んでしまった俺の目からは雫がポトリポトリと溢れ出して……体はもう、気づいた時には抑えが効かなくなっていた。

 

 

「ア゛コ゛ちゃああああん!!!!!」

「うわぁ!?抱き付かないでください!涙が、は、鼻水を拭かないでください!」

「だぁ゛い゛す゛き゛だよ゛ぉぉぉぉ!!!」

「わ、私もヒバナちゃんのこと友達だと思っているぞ!?」

「イ゛オ゛リ゛ち゛ゃ゛ん゛!!!!」

「私もいますよ」

「チ゛ナ゛ツ゛ち゛ゃ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ん゛!」

「わ、私たちも友達だと思ってます!」

「み゛ん゛な゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

 

 

 もう自分が今まで被っていた『優しくてかっこよくて頼りになる王子様のようなお姉さん』という仮面は剥がれ落ちており、僕じゃない。ありのままの俺がそこにはいた。自分のことを友達と言ってくれたことが嬉しくて、許してくれたことが嬉しくて、受け入れてくれたことが嬉しくて。外面なんて知らず泣きじゃくってしまった。

 

 

「……言ったでしょ。みんな許してくれるって」

「ヒ゛ナ゛ち゛ゃ゛ん゛……」

「だからまずはその涙を拭って……立って。私たちの仕事は、これからでしょ?」

「………そう、だね」

 

 

 ヒナちゃんの手をとって、僕は立ち上がる。

 

 

「さぁ。大仕事だ。手早く済まそうじゃないか」

「今更カッコつけたってさっきの泣きじゃくってた姿は忘れませんからね。写真に撮ってますので」

「アコちゃん!?」

 

 

 そして同時刻。

 俺と同じように、その青い一幕が。青春の一幕が、響き渡るような宣言と共に開かれようとしていた。

 

──私には、好きなものがあります!

 

──友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことは慰めて、お友達と慰め合って……!

 

──苦しいことがあっても……誰もが最後は、笑顔になれるような!

 

──そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!

 

 辿々しく、ただただ我儘な。非常で残酷な現実を、ひたすらに虚しい現実を否定するような───リアリティにかけた“夢物語“を肯定するような。そんな馬鹿馬鹿しい願い。

 

──誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!

 

 そんな酷く辛く悲しい現実を知らない子供の言葉。

 

──私たちの描くお話は、私たちが決めるんです!

 

 現実に打ちのめされていない、子供の言葉。

 

──終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!

 

 そんなくだらない、不可能だと一蹴されるような、理想論者が語る口先だけの戯言で終わるはずの物語が。

 

──私たちの物語……

 

 1人の少女が心の底から叫んだ透き通るような声が。

 

「私たちの、青春の物語(Blue Archive)を!!」

 

 

 

───奇跡を起こした。

 

 

「……雨雲が…」

 

 

“ここに宣言する”

“私たちが、新しいエデン条約機構“

 

 ズルにはズルで。イカサマにはイカサマで。

 「大人のやり方」には「大人のやり方」で。

 

 1人の少女の起こした奇跡と共に行われる、超法規的機関「シャーレ」の権限を持って連邦生徒会長を代行したエデン条約機構成立の宣言。それによってこの場に存在することとなった二つのエデン条約機構。

 これにより引き起こされるアリウス側の主戦力たるユスティナ聖徒会の混乱。

 

 まさに、反撃の狼煙。

 

 

「ハッピーエンドだと!?ふざけるな!そんな言葉で世界が変わるとでも!?それだけでこの憎しみが、負の世界が変わるとでも言うつもりか!?何を夢のような話を……!」

 

“生徒たちの夢を……その実現を助けるのは、大人の義務だから。”

 

「……っ!」

 

"私は生徒たちが願う夢をじて、それを支える。”

"生徒たち自身が心から願う夢を。"

 

 

 

 その日、古聖堂で起こったアリウスによる暴動はトリニティ及びゲヘナの生徒たちによって鎮圧されることとなった。ユスティナ聖徒会の亡霊は全て殲滅され、アリウスの生徒4人は逃亡。その姿をくらませた。

 何やらあの後、トリニティのアズサという生徒と先生で彼女たちを追って古聖堂の地下に向かった際何やら色々あったらしいが、僕はそれを知らない。別に見たいと思わないと言えば嘘になるが、アレは彼女たち──ヒフミたち補習授業部の物語だ。

 

 ……また、こうして先生は馬鹿馬鹿しい小説のようなハッピーエンドを現実にしたのだ。

 

 全く、眩しいね。ああいう大人に、誰かを救うことができる大人に、いつか僕もなれるのだろうか。

 

 

「ねー!ヒバナちゃん聞いてるー?無視しないでよー」

 

 

 ……そう、こんな子供っぽくて情けなくて見ていてこっちまで恥ずかしくなるようなヤツじゃない、立派な大人に。

 

 

「きーいーてーるー?」

「……酒飲んだだろ君」

「よってらーい!」

「……はぁ」

 

 

 エデン条約の騒動が終わった後、僕の日常において何かが劇的に変わった……ということはなかった。バスはいつも通りの時刻表で動いているし、生徒たちの通学路だって変わらない。古聖堂周辺の街並みだって、もう元通りになりつつある。エデン条約だって、詳しいことはわからないが……僕が危惧していたようなことにはならず、相変わらずトリニティとゲヘナは啀み合ったまま。

 

 変わらない日常。それは良いことでもあり、悪いことでもある。

 

 

「ひぃーばぁーなぁーちゃーん!」

「……くっさ」

 

 

 まずこの馬鹿がバカに戻ったこと。どうやら地下でのあれこれが終わった直後に戻ったらしい。足ガックガクにして涙をポロポロ流す彼女の肩を支えて戻ってきたアズサちゃんが教えてくれた。

 

 

「はぁ…」

 

 

 限界だって泣いてたヒナちゃんは相変わらずゲヘナの治安維持に頑張ってるし、にも関わらずゲヘナの治安は悪いまま。エデン条約後は先生と相談してヒナちゃんを手伝う時間を増やすことができるようになったとは言え、僕が副委員長だった頃よりかは絶対に大変なはず。なんとかして上げたいとは思っているけど……それは問屋が卸さない。ゲヘナの治安維持において彼女は必要不可欠であるし、僕もエデン条約のあと、アリウスの手助け(正確には犯行を見て見ぬ振りをした)をしたとして罰を受け、シャーレに所属する期間を伸ばされてしまった。

 一応今までも期間内の入部って契約だったんだ。まあ、その期間が終わったとしてもゲヘナに戻って風紀委員会に入れるとは思っていなかったが……ああ、こいつと一緒にいる時間が長くなると考えると憂鬱になってくる。

 

 一応、変わったこともある。

 ヒナちゃんからのモモトークが少し活発になったり、彼女との距離感が少し近くなったり。まあ、良い傾向なんだろう。

 

 あとは……友達が増えた。

 ヒフミちゃんに紹介してもらった補習授業部のみんなや、害獣ばかりだと思っていたトリニティの救護騎士団やシスターフッドの子達に正義実現委員会の奴ら。先生を通じて話して見たけれど、良い子ばかりだった。

 

 救いようのない害獣ばかりだと思っていたけど、そんなことはなかった。むしろ一方的に害獣扱いしていた僕の方がよっぽどクズだったのかもしれない。言葉を交わさないとわからないものだ。

 

 風紀委員会の子達とも、前より一層仲良くなった。いや、なんて言うのだろう。心を許せるようになった?これはよくよく考えてみれば僕の変化だね。ゲヘナだからと心に壁を作っていた彼女たちを、素直に好きになれるようになった。彼女たちは初めから友達だって言ってくれていたのにね。本当にバカだったよ僕は。

 

 

 とはいえ、だ。

 

 

「…ん?あ、ヒバナちゃん。また誰か暴れてるみたい。お願いできる?」

「あいよ」

 

 

 相変わらず、話の通じない害獣はいる。トリニティやゲヘナにも良い奴がいるって分かっただけで、所構わず暴れ回るようなやつや、陰湿ないじめを行う奴もいる。

 

 

「それを駆除するのが、両校に干渉できるシャーレ所属の僕の仕事ってわけだ!」

 

 

 ん?その『僕』ってのはやめないのかって?

 やめないさ。だってこっちの方がカッコいいだろう?

 

 ……それに、せっかく作ったんだ。あの子とまた出会った時のために、あの子の為に作った仮面は被り続けておくことにしたよ。

 

 だって彼女にもかっこいい僕を見て欲しいだろ?素の僕の方がいいって言うならその時はその時考えればいいのさ。

 

 

「さぁて!今日もお仕事頑張るとしますか!」

 

 

 こうして、今日も変わらない日常は変わらないまま続いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「左様でしたか」

「あのロイヤルブラッド、逃げたのですね」

「捕まえてください。怪我のないよう、丁重に──」

 

『……ベアトリーチェ、その依頼は私に任せてくれないか。コレは、“予言”に関する事項だ』

 

「……いいでしょう。わかりました。ロイヤルブラッドは貴方に任せましょう。彼女以外は、全員処理しても構いません。よろしいですね?」

 

 

 その終わりが近いことも、知らずにね。

 

 

「──掃除屋」

『……ああ、了解した』




書き終わった後あの場にアコちゃんいないってこと気づいたんですけど、まあこの時空じゃいるってことで。許し亭。
ちなみに次回からエデン条約4章入るけど、ヒバナちゃんの物語じゃない以上活躍しないから駆け抜けていきます。原作のそのまま書いてちゃ二次創作の意味ないじゃんね。
あとコレから本格的に前作主人公が関与してきます。読まなくてもいいようわかりやすく自然に書こうと頑張りますが………読んだ方がわかりやすいかもですね!読んで!(宣伝)
『引き篭もりアーカイブ』
https://syosetu.org/novel/311960/
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