【悲報】ワイ、呪術界に異世界転移する。 作:なんか変な色の翼
管理人を書くコツは
「コイツ死んだ方がいんじゃね?」レベルで生き汚くする事。
それはそうと初投稿です。
この世界に来てから、俺はずっと心の底から笑えていない。
最初の三年は地獄だった。
幼児どころか赤子の肉体で山を彷徨い、何度も獣に喰われかけた。親も殺され、頼れる者もいない。痛む頭を抱えながら、文字通り這いずって時が過ぎるのを只管に待った。
次の七年も地獄だった。
呪力を認知できたとはいえ、独学でソレを無理矢理に成長させようとする過程で何度も死にかけた。食う事も飲む事も必要としない肉体のおかげで死ぬ事は無いものの、飢えと渇きの苦しみからは解放されていない事を何度も呪った。
次の三年も地獄だった。
来る日も来る日も鍛錬と墓荒らし。この時代に棺なんて御大層な文化は無い。骨壷が有れば良い方で、悪臭の漂う白骨死体を掘り当てた時は眩暈がした。輪廻転生を使い蘇らせてリスキル、そして黒杖を肉体に埋め込む事の繰り返し。発狂しなかった事は奇跡だろう。
何故?どんな大義があれば耐えられるのかって?
"生きていたい"からに決まってるだろ。
そうだよ、そんな単純な理由なんだよ。
俺は死にたく無いから生きているし、生きていたいから今を生きてるんだ。
幸せになりたいわけじゃ無い。ただ死にたく無いだけ。
それだけしか望んでいない。望んでいないのに─────
「─────オイオイ、何でなんだよ」
十三年の結晶が、鼻で笑うように叩き壊されていく。
最初に襲い掛かった魔虚羅は、「解」一つで頭部を切断されて沈没した。次に飛び掛かった魔虚羅は術式すら使われず、呪力の込められた回し蹴り一発で頸部を砕かれて動かなくなった。"あらゆる事象への適応"という後出しジャンケンにも等しい能力を持つ魔虚羅にとって、一番恐ろしいのは初見殺し。しかし、こうして五体同時に招来させればそうもいかないだろう。
「さあ、何でだろうな?
そんな浅はかな理屈はコイツには通用しない。三体目の魔虚羅が「解」を防ぎきれずに破壊された。一発目の「解」よりも出力を上げて撃っただけで、魔虚羅の適応能力を超えたのかよ。これで人間とか有り得んだろ。
「どうした、お前の愚策が上手くいかない理由を教えてやろうか?」
「結構」
「まあ聞け。それはな、お前が自分自身を勝負の天秤に乗せていないからだ」
畜生道の能力を使い、万象をモデルとした式神を十数体呼び出して突貫させる。しかし宿儺は止まらない。蠅でも払うかのように薙ぎ払い、鞠でも蹴るかのように吹き飛ばす。
「お前は勝負の何たるかを理解していない。式神だか死人だか都合の良い者を呼び、物見遊山か闘牛でも見るかのように戦わせているだけだ。そんな児戯が通じるのは凡夫までだろうに」
修羅ノ攻・遠を囮にし、四体目の魔虚羅で首を狙う。だが宿儺は止まらない。止められない。赤子の手をひねるように魔虚羅の腕を千切り、それを振って修羅ノ攻を叩き落した。
「卓に着かぬ者に飯が振舞われる道理など無い。戦おうともせぬお前が勝てる筈も無い」
宿儺が飛ばしてきた「捌」を間一髪で避け───顔を上げると、すぐ其処まで肉薄していたのに気づく。
「【捌、蜘蛛の糸】」
「───魔虚羅ッ!!!」
最後の魔虚羅を犠牲にし、斬撃の巣から逃れる。魔虚羅は勿体無いが致し方無い。他の式神を盾にしていたら絶対に貫通して達磨にされていた。
「どうした、どうせ死ぬのなら一矢報いろうと励まぬか」
「生憎、死なないのが第一条件なんだけどな」
「.....お前、本気で言っているのか?」
原作でも見せたことのない「つまらん」という顔をしてくる宿儺。
というかコレは.....憐れみ?
「お前、自分の事が嫌いだろう?」
「大正解」
「そんなお前を取り巻く世界も嫌いだろう?」
「そうだな」
「では、何故お前は生きている?」
「
今度は「ダメだコイツ」と言わんばかりに目元を抑えやがったぞ。
ゲラゲラすら放棄されたらコッチもドン引きするんだが。
「何故今まで自決しなかったのか分かったものでは無いな」
「はぁ?」
「意味も無く生き、その虚ろな生を理由として死を遠ざけ才を腐らせる。もはや全ての呪術師の怒りと嘆息を買う存在だぞ、小僧。そんなに生きたいのなら目を渡せばよかろうに、何故そうしない?」
.....何言ってんだコイツ?さっぱり意味が分からんのだが。
「小僧、お前は異常だ。頭の中身を一度入れ替えた方が良い程にな」
「いや、言ってる事の意味がわか───」
「『解』」
ザックリと右肩から腰にかけて、胴体を斜めに斬られた。
マジでノータイムでそんな事するのやめろ。心臓に悪いわ。
「いッッたいなぁ.....」
「良いか、そんな考えは強者に縋り傘の内で震える凡夫の物だ。だがお前が真に凡夫であれば自棄になり、不遜にも俺に向かってくるだろう。窮鼠猫を嚙むと言うようにな」
「嚙んだところでその前に殺すだろ、お前」
「諦観するフリはよせと言っているのだ。こうでもせぬと分からんか?」
閻魔天の掌印を結ぶ宿儺。その意味は分かっている。
原作では天元にも神業と言わしめた領域だ、俺では立ち向かえるはずもない。
「さあ、最後の足搔きを見せてみろ」
口寄せの印を結び、ため息を吐く長門。
"何の為に生きている"だなんて問いを投げられたのだ。無理もあるまい。
全ての感情は
生き甲斐は無い。求めるつもりも無ければ、それを悔いるつもりも無い。
(嘘だな)
ただ、今までの十三年の地獄が惜しいから生き続けるだけ。
(勇気が出ないだけだ)
ただ死にたくないから生き続けるだけ。
(本当は消えて無くなりたいけど)
生きた事を生きる理由にする、永久機関の地獄絵図。
只管に積み上がる、己への憎しみと呪い。
(本当に阿呆だな)
分かっている、反吐が出る程に自分が愚かしいと。
「地獄道」
「伏魔御廚子」
閻魔の領域と閻魔天の領域が衝突し、空気が唸りを上げる。
お互いの必中効果は中和され、状況はイーブン....というわけではない。
「馬鹿か、お前」
伏魔御廚子は、外殻を持たない「閉じない結界」
その半径は縛りにより200mに至る。必然的に、規模の小さい地獄道の領域を包み込むように展開される。地獄道の領域が幾ら強靭であろうと、外側からの攻撃が続けば崩壊するのは必然。
威力が対象の呪力量に依存する「捌」であれば尚更だ。
「この調子なら八秒が限界か。どうする小僧?」
「─────殺す」
「ほう、ようやく
宿儺へと向かって駆ける長門。確かにまだ手は有る。
この八秒の間、宿儺は生得術式付与した領域を地獄道の領域の外に展開している。つまり長門に対して術式を行使する事が出来ない。叩くなら今が、絶好にして最後の好機だ。
「ほれほれ、もっと気張って走らんか」
「─────ッ!」
「頑張れ頑張れ.....間に合わんくなっても知らんぞ?」
後二歩という所まで踏み込んだところで、宿儺が指を弾き斬撃を飛ばした。
「解」や「捌」ではない。呪力操作により生み出した刃、「解」に限りなく近い不意打ちである。
生得術式は使えないという先入観を与えた上での奇襲。それを長門は────
「封術吸印ッ!!!!」
「.....そうかそうか、魅せてくれるではないか!!」
待っていたとばかりに"餓鬼道"で吸収した。
術式を用いた斬撃と違い、呪力操作による単なる斬撃は複雑性が無い。
よって、圧倒的な威力を誇ろうとも吸収無効化は可能。
「─────人間道、吸魂の術」
呪力操作を行った一瞬の隙を見逃さず、宿儺の頭部へと右手を突き出す。
完璧な構図、完全な策略。手本のような大判返しに、見本のような勝利への道程。
五百年振りに、宿儺の身体に戦慄が走る。そして、
「残念だな。もう少し歳を食えば話は違ったやもしれぬ」
その顔に、再び邪悪な笑みが浮かぶ。
響き渡る轟音。崩れ去る領域。長門は当然、宿儺さえ予想できなかった誤算。
地獄道の領域が、七秒目に崩壊したのである。
・管理人(過去)
転生前から頭おかしかったのが転生して表に出てきた感じ。
"生きる"事に対する執着が凄まじい。希望も生き甲斐も無いけど生きてる。
・宿儺
輪廻眼欲しいけど管理人が予想以上に頭おかしいのに気づいた。
気に入る、というより珍妙な動物を見ている気分。
・羂索
何も知らない大泉メロンパン
次の投稿は本編一部が完結してからです。