2x0=0
0にかけても0になるんです。
これは宇宙創生以来、人類に課された課題。
さて、大前提としてわたしはココロがわかりません。
いえ、転生的なをする前はわか……る?
はい。わかっていたはずですが、ココロが今はわかりません。
なぜそうなったのか。キッカケは願ったものに付随した要素がたまたまそうだったとしか言えないのかもしれませんね。
生まれ変わる前に言わられたコト。
それは次にうまれるのは、キラキラ光るアイドルが主体の世界。
そう言われた……言われた? 言われました。
だったら、昔からTS願望のあるヘンタイなわたしとしましては、美少女になりたいと真っ先に願い、ついでに15歳になるときには上から96/56/89のスリサを搭載した巨乳美少女になりたいと願いました。
あと、ついでに歌もうまくなりたいなと。
だって、せっかくそんなアイドル的な世界なら、別に人に見せるわけでもないけれど、色々歌ってみたいって思うじゃありませんか。
そんなわけで真っ先に浮かんだのは、過去を改変するために奮闘した作品のアニメでした。
あの主人公に酷く惹きつけられたのを覚えています。
あの娘のように、歌いたい。あんなふうに歌ってみたい。
そう思ったんです。
そうるとどうでしょう。どういうわけか、ココロというものを理解できなくなりました。
ちなみに、わたし、今11さいです。
女子小学生ってやつですね。
親は良い人で、わたしのコトをとてもあいしてくれてますよ?
はい。そのキモチ? は理解できないですが。
ご飯くれるし、顔を合わせれば、えがおっていう昔は理解できてたはずの顔を向けてきますし。たぶんそうです
それに対して、わたしも言うんですよね。
【ただいま! 今日のごはんなにー!?】
あいての表情を。再現
「おかえりぃ! 今日も元気ねぇ。今日はハンバーグよ!」
【ホント!? ちょうど食べたかったんだぁ……たのしみ!】
はんばーぐ。ひき肉をこねたもの。つまりは、ただの肉です。
肉を焼いただけの食料。
それ以外になんの意味もありません。
----かたい。やわらかい。あふれる。あつい----
はんばーぐって、こういうものだったんですね。
眼の前の人は、わらってます。
どうしてわらってるのでしょうか。
あぁ……
【これ、すっごいオイシイよ! ママの作るの全部わたし、だいすき!!】
「お! なら、パパの作った漬物はどうだぁ?」
【もっちろん! これもすっごいおいしぃぃぃ!】
きもちわるい。
なんてきもちわるい。
そのかお。ひょうじょう。ココロがわらかない。
こころってなに?
えがお。
はりつけた記号でしょ?
タンパク質の塊が電気信号で形作ってるただの記号。
こえ? 音。
ただの振動じゃないですか。
そこにキレイもキタナイもない。
せっかく願って、備えてもらったうた。
カラオケとかの機械採点では、その機械によりますけど、100とか、99.9とかしか、出したことはありません。
だからの、ひとがわたしに、言ったように、そういう舞台に立つ行動をとってみたのも必然だったんじゃないんでしょうか。
【みんなー! 今日ももりあがって、わたしにみんなのココロを届けてねぇ!】
『愛してるー! 好きー!』
かがやく、舞台。わたしはまんなかにヒトリ。
うしろも、左右も、だれも、いない。
わたしは、ひとり
今日も、ただただ、ココロがわからなくて、ココロを込めるっていうのがわからなくて、それが致命的だと、りかいしていても。
わたしはうたうんです。
ここに集まっている人達を笑って、泣いて、感動させて。
歌う。
わたしの心が届けて言わんばかりに、精一杯に歌う。
キモチワルイ……
「それでは、普段お休みの日はどういう事して過ごしていますか?」
【はい! 普段は歌の勉強? とかで、ボイトレしたり、体力づくりにランニングとか……あ! あとあとっ最近すっごくハマってるアイドルグループめぐりとかしてますっ!】
「へぇ! すごいがんばってるんですねぇ。ところでそのアイドルグループ巡りって?」
【できたばっかりの事務所さんとかがやってる、アイドルグループをこっそり見に行ったりすることです!】
「なるほどぉ……それで、どこか気になるグループとかはありましたか?」
【それはぁ……う~ん……ナイショ★ですっ!】
「えぇ! 気になるなぁ……後で、教えてくれたり?」
【ナイショはナイショですよっ!】
レンズに囲まれて、ただ話す。
アイドルグループめぐり。
アイドル。偶像。見たい人に、見てる人にココロを届ける役。
わたしはそう思ってます。
だから、こころがきっとそこにある。
わたしがわたしのコトを映像越しに見返してもそれは、わたし。
ココロがない。
今日もきもちわるい空気振動と、皮の記号をうかべてる。
だから、探してみた。
どこまでも。
わかる。むかし? のように、理解できるんじゃって、思って。
今日も、無名のじむしょが開催するライブへ行く。
そこにわたしの求めてるものがあるんじゃないかと考えて。
目が合った。きもちわるいわたしの目ときもちわるい目があった。
まわりには、10コくらいの肉の塊があって、ステージの上にもいくつかの塊があるだけだったのに、わたしが、目だと認識できた、それと目が合った。
きもちわるい、わたしと、きもちわるいあの塊。
でも、輪郭が、ひとみたいにみえたんだ。
ココロがない。
違うのかな?
わたしはわからない。全部わからないけど、あのコは一部がわからない。
わからないのにわたしみたいにうたってる。
でも、たぶん……わたしとはちがう。
わたしは願ってこうなった。
あのこは違う。
肉の塊に囲まれて、きこえたコトを最適に再現する。
そうすると、震えている。
肉が、ね。
今日、わたしはあの娘以外に目が合ったって認識できた、塊に出会った。
こっちもあの娘みたいにきもちわるい。
でも、あのこよりも……
最近、あの娘の様子がおかしい。わたしが今認識できるひとで、あの娘がおかしい。
隠しているつもり。
それはない。だって、あんなにはっきりとわたしがわかるんだもの。
わたしもそうなったことがある。
けれど、あの娘はわたしが経験していない状態になっているのはわかる。
股から感じる? 電気信号がそれがきもちいいってコトらしいんだ
それがはじけて、あたまがかすんで
どうにかなってしまう程になった翌日のあるきかた。
でも、だから?
それがなんなのだろう。
きもちわるいあの娘の歌は、どうして……
今日も歌う。すごい、ひろいところで。
モノは、すごいことだという。
わからないけれど
【流石に緊張するよぉ……】
「マジか、お前、初ドームの時も能天気だったのに、緊張することがあったのか……」
【あ~~! ヒドイんだぁ! わたしだって緊張くらいするんだよっ】
【でも、いいよ。今日だってこぉんなにたくさんの人が、わたしにココロを届けてくれるんだもん! わたしも、精一杯がんばるんだから、近くで見ててね★】
はきそう。
こんなところでうたって、ココロなんてわかんない。
わたしはあの娘のうたをきいていたい。
その時だけ、何かがわかるように気がする。
どうして、あの娘がいないの?
わたしはここで歌ってるのに。
あの娘はどうしてここにいないの?
あの、ココロはたぶんあるのに、一部が欠けたこえ。
ココロがわからなくて、全部無いわたしと話すあの娘。
わたしと見つめ合って、貼り付けた顔で、わたしもおんなじような
あの娘もきもちわるい顔で
わたしもきもちわるい顔で
ほしが浮かぶような目とわたしの、目で
見つめ合う、そういえば、あの子のほしもきれい? だった。
わたしのきもちわるい顔で
あの子のきもちわるい顔で
ほしの目とわたしの、目で
あの娘には歌ってほしい
あの子には見つめてほしい
だから、わたしはここで歌っている。
どうすれば、あの娘の歌を聴いていられるのだろう
どうすれば、あの子に見つめてもらえるのだろう
あぁ……あの娘の歌を聴きながら、あの子に見つめてもらう。
それはなんて……
【~~~♪ っ~~~♪】
イった。
歌いながらそれを想像して、わたしはイった。
5万コ以上の肉の塊に見つめられながら、わたしはイった。
気づく、にく、はいただろうか?
だいたいの肉はわたしの揺れる胸をみているし、脚に伝っているのを見ているのはいないのかもしれない。
そういえば、あの子にわたしの中を擦り上げられたときは何度もイってたな。
あの娘の歌を聴いている時もわたしはなんどもイっていた。
キモチワルイ
ここが崩れて肉は全部焼けてしまえ。
つぶれてしまえ。
だいじょうぶ。アレは肉なんだから。
潰して焼いて、わたしが全部食べてあげるわ。
だから……あんしんて?
数週間? 数ヶ月? にかけて、いろいろなおおきなところで、にく、の前でうたう。
ガラスのはめられたプラスチックの、なにかの前や
にくに、囲まれた中ではなす。
どうしてだろう?
もう、ヒトっていうのがわからない。
おかしいよね。こ、ころがわからないだけのはずだったのに
今は、見える……視える? この、わたしに映るすべてが、にくにみえる。
なにこれ……わからない
そう考え、る? 考えているの?
わたしはわからない。
でも、やっぱりヒトっていたんだなぁ……
ほら、吸い込まれそうなほしを宿した瞳の男の子、とか
ほら、きらきら輝いてるほしを宿した瞳の女の子、とか
今のわたしにわかるのはあの二人だけ。
吸い込まれそうなほしには、わたしはずっと見つめられていたいし
輝くほしには、わたしとずっとお話して、いっしょにうたってほしい
たぶん、どっちかがいなくなったとしたら、わたしはわたしでなくなる
きっと、たぶん、にくをにくとして処理したくなる。
だから、吸い込まれそうなほしの君。おねがい。
おねがいだから、ほしをなくさないで?
今、わたしにわかるのは、君が、きみのほしがなくなっちゃいそうなコト。
わたしはそれでもほしがなくなっても、君をきみとして見ることが、認識することができると思うけれど……
その結果として、どちらかがいなくなる
わたし、そうおもったんだ
『姫川夫妻が先日----』
【ねぇ見て! 君の、キミのほしをなくそうとした肉は、わたしが処理したんだよ★ だいじょうぶ! キミは、キミはなぁんにもわるくないよっ! わるいのは、あいつだから! わたしはずぅぅぅぅっとキミの側にいるからねっ】
【まぁ、たしかに? あの肉は当然としてさぁ、おまけの肉も処理しちゃったのはアレかなぁ? って思ったけど、遅かれ早かれそうした方がいいと思ったんだっ! そんなことよりさ、わたしもあの娘みたいにキミとセックスしたじゃん? 子供、ほしぃ? わたしも妊娠したよ★】
彼女の両の瞳は、無数の散りばめられた星が浮かぶ。
それは、いくつも輝き、いくつも輝きがなく。
まるで天使のように、見る角度によっては、白く、金色で、黒くて、青くて、赤くて
きれいな髪を広げて、見る者を一瞬して信者たらしめる笑みを浮かべていた。
テレビで流れるニュースを無邪気に指さしながら彼に告げ。
持ち込んだ記録メディアを流れるように再生機器へ挿入して更に告げる。
【これ、これもみてほしぃなぁ……?】
頬を上気させ、かわいらしく、小首を傾げながら
『や、やめて、もうやめてぇえええええええええ!』
『やめるわけないでしょぉ? 何言ってるの? にくなんだからさ★ ほら、つぎ脚つぶすね? とってもいい刺激だと思うけど、がんばって★』
それは、端的に表現するなら食肉の処理のように人をただの肉に変える映像。
『あは★ みてみて! こぅやってね、脚の付け根とか、脇の下とかっしっかりと切って、おふろに沈めてあげると……じゃーんっ! しっかりと血抜きができるのでしたぁ★』
【どう? すごいでしょ~? このあとね、ハンマーで頭叩いてみたらさ、血がとびちちゃって、カメラ壊れちゃったんだぁ。だから、ここまでなんだけどね? あ、だいじょうぶだよ? ちゃんとこの肉は処理してスタッフが……あ、もちろんわたしね? だってスタッフわたししかいないし。おいしくたべました★】
【ねね、話はもどるんだけどね。わたし、キミの子供産んでもいいかなぁ? いまさ、わたし、キミとあの娘だけなんだよね。肉じゃないって思えるの。だからさ、キミとわたしの子供ならさ、この世界に肉じゃない人が増えると思うんだ。ね? だから……いいよね?】
【じゃないとさ、わたし、ココロがいつまでたってもわからないと思うんだよねぇ……あ、別に断ってくれてもいいんだ。絶対そうしなきゃいけないってわけでもないしさ。もし、断れて、その時にわたしにもココロがわかればそれでいいって思ってるし……勘違いしないでね。もちろんキミとの子供を産んだ方がわたしがココロを理解できるかもしれないっていう可能性の方が高いとは思うんだけど……うぅぅん。どうだろう。だから、できれば断らないでほしいなって】
どうしよう。彼との子供。すっごくかわいいし、彼も吸い込まれそうなほしだったのが、すごくきらきらして、あの娘。アイちゃんみたいな輝く瞳をしてる。
でも、わたしは……とりかえしのつかないことをした。
人を何人も殺した。
ただ、わたしがココロがわからないっていうそんな理由だけで。
子供はかわいい。彼もすてきな人。まぁ、アイちゃんも彼との子供いるんだけどさ……
でも、それよりも……
こんなわたしが母親でいいの? よくないよね。だって、人殺しだよ?
それも常軌を逸した殺人鬼だよ?
世間にはバレてない。っていうかそんな証拠残すわけないよね。
彼と一緒に見たっていうか見せた映像は処分済みだし、悪いと思ったんだけど、彼にはあのときの事はわすれてもらった。
あぁ……やばいなぁ……わたしがいなくなったら、彼悲しむかな……かなしんでほしぃな。
アイちゃんにも悲しまれるだろうなぁ……
でも、仕方ないよね?
こんなわたしがいたって
『次のニュースです。本日早朝に世界的アイドル天野かなたさんが自宅マンション前で亡くなっいたことが地元警察の捜査により、判明しました。死因は、落下死と見られ----』
『あの天使と言われた彼女はなぜ、自殺してしまったのでしょうか。心理学に詳しい----』
『はい、はい今でも信じられないです。どうして----』
「かなた。キミが死んでしまった時、こんなことを言うべきでも、考えるべきでも、ないのはわかっているんだ。けれど、どうしても……自分の命の価値っていうのがすごく重くなって、興奮してしまったんだ。それにキミは言ってたよね。人に見えるのが、子供と僕と彼女だけだって。なら、わかるよね? だいじょうぶ。すぐにみんなまとめてキミのところに行くよ」
『今朝、人気アイドルグループB小町所属の星野アイさんが----』
『今朝、人気俳優の----』
今の人の世に、0に何をかけても0になってしまう。
これは、そんな物語
あとがきって
食べようと思って買ったハーゲンダッツが、買ったのを忘れたまま1時間たって、中身取り出したらハーゲンドリンクになってたくらいの衝撃だと思うんだ。