ある日突然頭痛と耳鳴りを訴える者が現れた。

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コーラルエンカウント

それは、一人のサンクタの耳鳴りと頭痛から始まった。

近所の病院に受診した時はただの頭痛とそれに起因するものだろうと言われた。

が、日増しに強くなっていく頭痛と耳鳴りに投薬は意味をなさずついには耐え切れず発狂死してしまった。

この出来事はラテラーノ中に広まることはなく近所の噂話程度で収まった。

3週間後、ラテラーノ全域とテラ大陸各地にいるサンクタ達に同じ症状が現れた。

ラテラーノ以外の国では最初の患者と同じ対応が取られたが変わらない結果となった。

ラテラーノでは混血を疑われたが血液検査ではその特徴の有無に限らず発症していた。

他の病気や鉱石病を疑われたが検査で否定された。

それから一週間。

今度はサルカズ達、とりわけ純血で古代アーツの知識を持ち行使できる者達に症状が現れ始めた。

そしてこのときロドス・アイランド初の患者が現れた。

マドロックだ。

各地に存在する出張所からの報告で存在は知っていたものの対応方法は依然として対症療法のみであり、効果は当然のごとく無かった。

しかし今回、マドロックが感染した時からの全感染者の症状は幾分か弱くなっていた。

症状はここから普通のサルカズ、重い鉱石病患者へとシフトしていった。

しかし症状への見当もつかなければ研究も全く進まずどこの国もお手上げの状態だった。

 

そんな中、移動都市ではない地方からある通報が来るようになった。

それは「赤い光球の群れがいる」というものだった。

最初、これをまともに受け取らなかったが、このことに興味を持った研究者達が調査へと赴いた。

目撃情報から調査エリアを絞り込んでいったところその群れを発見することができた。

研究者達は群れの一部を採取し、持ち帰った。

研究室に持ち帰り採取したものを別の容器へと入れ替える為に採取容器のふたを開けると光球が吹き出し、研究室中に広がった。

研究者達は採取した量より明らかに増えていることに驚き、噴出した光球を再び容器に格納し観察をすると自己増殖する様が観察された。

追加の観察で真空状態でよく増殖する、一ヶ所に集まろうとする、集まると指数関数的に増殖する。

そして一定の密度を超えると増殖が暴走し爆発すること。

以上の性質は研究所の爆発事故によって判明した。

爆発事故の原因としては例の症状を研究者達が訴え、一時研究室を留守にしていたところで発生した。

残っていた監視装置のログと研究者達の聞き取りから以上の性質が判明。

また、頭痛の原因もこの赤い光球ではないかと仮説が建てられた。

この調査のために事故現場にサンプルが残っていないか捜索したが残らず燃えてしまったようだった。

この事故を受けて各国で光球の発生情報を基に採取、調査を開始した。

 

そして6ヶ月程の時間を経てこの光球の調査が完了した。

光球は未知のエネルギーの集合体であり源石と同様にエネルギーとして使用可能であり優秀な情報導体としての性質を持ち、生物の感覚を大幅に増幅することが分かった。

光球として観測されるのはこのエネルギーがある程度集まった状態であり、目に見えないながらも大気中に微量に存在するということも判明した。

また少量の摂取で麻薬のような効果をもたらすことも判明したため、感覚の増幅とあわせたこれらが例の症状の原因だろうとされた。

ならばこれを除去できればいいのだが、除去を行っている内に細胞などに吸収され除去不可能な状態になるため、既に発症したり発症から時間が経っていたりする患者はどうにもできなかったが、早期発見に限っては対処可能だった。

また除去された光球や光球の群れは事故からの経験で定期的にまとまった量を燃やすことで数を減らすことにした。

そうして対処方法が確立して2ヶ月。

燃やす速度が増幅速度に追いつかず光球の群れは移動都市近辺でも見られるようになった。

光球はどうもアーツユニットや源石製品、アーツ行使にも影響を及ぼすらしく、アーツの不発や不安定化、源石製品の動作不良が頻発するようになった。

動作不良、といっても突然飛行機械が戦闘から離脱して羽獣と戯れていたり、ショーウィンドウの前で立ち尽くすようにカメラを向けホバリングするなど、動作不良というより意思を持って暴走しているようだった。

また、例の症状から回復しても短時間で再度発症する人が増えてきていた。

これには病床が足らずパンク状態になり、徐々に対処不可能となる人が増えていった。

 

そこから1ヶ月、ロドスでオペレータとして導入するはずだったレイジアン工業製のロボットに異変が起きた。

納入されたばかりで倉庫にしまっていたそれが突然起動しロドスのセキュリティを次々と突破し機密情報を抜き始めたのだ。

OSのインストールがされていないにも関わらず。

このときドクター達は例の症状を発症する人々への追加の対応策を会議している最中だった。

スクリーンが暗転し、羽獣のイメージがプロジェクターから映し出された。

調子がおかしくなったのかとプロジェクターを確認しようとしたドクターが立ち上がろうとするとスピーカーからノイズが流れ始めた。

何事かとその状況に固まっているとノイズは徐々に女性の声へと変わり次のようなことを話した。

 

 

「私はルビコニアンのエア。」

 

「Dr.■■■。」

 

「あなたの能力を見込んでお受けしてもらいたいことがあります。」

 

 

「あなた方テラ大陸の人々と共に生きる道を探しに私は来ました」

 

 

「その手伝いをしてくれませんか。」

 

 

「勿論タダでとは言いません。」

 

 

「ですのでそちらに私と共生している者を送りました。」

 

 

「そちらでオペレータとして雇ってくだされば、それ相応の働きをするでしょう。」

 

 

「彼は感情表現が苦手ですが」

 

 

「この地での出会いを楽しみにしています。」

 

 

「それと」

 

 

「調査の為に散逸させていたコーラルはすぐに引き上げさせます。」

 

 

そう言ったと同時にロドス艦上空に船が現れた。

後部ハッチから人型の何かが投下され甲板に着地した。

その音はドクターのいる会議室まで響いてきた。

 

「どうやら到着したようですね。」

 

 

「彼に必要なものはあの船にすべてあります」

 

 

「不足があればこちらが適時補給しますのでご安心を。」

 

 

「それと」

 

 

「彼のことは[レイヴン]とお呼びください」

 

 

「では」

 

そういってルビコニアンを名乗るエアという人物からの声は途絶え、プロジェクターの表示も元へと戻った。

 

 

行きましょう、レイヴン。

 

 

 

 

 

 

メインシステム、戦闘モード起動。


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