星、宙より落ち来たる   作:明暗キレイ

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 それは、始まりの夜が訪れる遥か前。

 星は、使命を抱えてやってきた。




PROLOGUE:B.C.2000, “星”の落来

 

マルチバース。

 

漢字では多元宇宙論とも訳されるそれは、同質にして異なる宇宙が複数存在するという理論物理学の一説である。

故に同じ銀河、同じ天体が存在すると仮定しているが、それぞれに内在する物理法則、進化の過程、紡いできた歴史は変化しているとされている。

 

 

その日は、いつもであれば取るに足らない細波のような揺らぎがあった。

しかし、異なる波動はある地点にて重なり合い、大きな波になった。

その合成地点に、たまたま“怪物”が居合わせていた。

ただそれだけだった。

 

それだけのはずだったのだ。

 

 

 

 

 

この物語は、ある“怪物”が次元移動を行うと同時に『次元の揺らぎの合成地点』に居合わせたおかげで別宇宙へと飛んでいってしまった。

そんな()()()()()ところから、物語が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次元歪曲式星間航行、終了。

 

通常航行、移行開始。

 

四次元座標、確認。

 

予測座標位置、及び直径0.0001光年*1内の衛星位置及び移動速度、共に変化無し。

 

目標座標、中級恒星*2系所属第三惑星(地球)の存在、確認。

 

当該惑星の周回軌道変化、無し。

 

当該惑星の生命反応、及び惑星内の生存環境、共に異常なし。

 

当該惑星内の外来生命体、確認されず。

 

当該惑星の抑止力(ガイア)反応、()()

 

小規模の異常事態と推測、確認行動を実施。

 

当該惑星方向へ、小規模の宇宙線(コズミック・レイ)を非断続的に発射。

 

再度、反応を確認…………無し。

 

当該惑星に関する事前情報に若干の乖離有りと仮定。

 

落着後に当該惑星抑止力(ガイア)の存在確認を再度実行、設定。

 

反応の有無を確認後、別途対応を思索。

 

稼働状態を休止段階へ移行。

 

落着後に再度起動状態へと移行設定、完了。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして“怪物”は、微睡みの中に居ながらにして地球へと航行を続け…紀元前2000年頃に到着した。

到着、というにはあまりにも残酷が過ぎるものとなったが。

大地へと衝突した際の衝撃は初めに、灼熱の嵐となって南アメリカ大陸を地獄へと変えた。

それは、かつて聳え立たように並ぶ山々を押し潰して谷とさせ、辺り一面の緑溢れる大地から数多の巨木、水、生命を消し去り、飛び散る岩石や丸裸となった土塊(つちくれ)は、爛々と輝きながらその熱を冷まさんとする溶岩へと変貌した。

衝撃は波となって再び地獄を生み出していく。

大地の底にある多くの歪みを呼び起こし、各地にある“未だ眠るべき”膨大なエネルギーを文字通り叩き起こした。

結果、山々から怒りの如く火を噴き溢し、生命の逃げる脚すらも絡めとる大きな揺れとなり、海へと伝搬し、その荒々しさを際立たせ、見上げてもなお限りが見えないほどの津波を引き起こした。

己が命を存続させようと、数多の生命は内からの地獄から外へと離れんとしていた処に、開けた海の向こうから檻のように高い波が押し寄せてきたのだから、逃げ惑い、畏れ、脚を竦ませた生命の命は、地獄に挟まれるようにして容易く摘まれていった。

そんな些事に気付くこともなく、“怪物”の生まれ持った力が自らの佇む空間を作り替え始める。

 

 

 

『水晶渓谷』作用開始

 

 

 

全てが変わる。

景色も、組成も、法則も、空間に属するあらゆる全てが“怪物”の住処だった『星』の環境へと作り替わっていく。

かつてあり、今消し去られた巨木に成り代わるようにして、地面から瞬く間に水晶が生え、成長するように巨大化し、草原かの如く次第に群生していく。

“怪物”の威容を彩るように。

己の領土と名乗りあげるように。

そうして1時間も経たぬ間に、溶岩の海の中心にポツンと『水晶の森』が完成した。

同時に、自らの移動速度が0となったうえで自らとは異なる組成(地球の重力圏内環境)を感知したことにより、“怪物”は再び活動を開始した。

 

 

 

再起動条件、全項目が充足域に到達。

 

心臓(核融合炉)』、活動再開。

 

主目的完遂の為の確認行動、再開。

 

観測範囲、惑星全体へと設定。

 

当該惑星抑止力(ガイア)*3の存在確認開始………確認されず。

 

観測目標を変更。

 

当該惑星の霊長生命体の無意識集合体(アラヤ)*4を捜索………確認されず。

 

 

観測対象を当該惑星内全域へ変更後、霊長生命体を捜索・分析開始。

 

東北東、0.000000012969040853199光年*5先、単一種族による大規模定住拠点*6を発見。

 

北西、0.0000000042472301812694光年*7先、単一種族による大規模定住拠点*8を発見。

 

東北東、0.000000011831063185279光年*9先、単一種族による大規模定住拠点*10を発見。

 

北、0.00000001767873003937光年*11先、単一種族による大規模定住拠点*12を発見。

 

西、0.000000016958796201308光年*13先、単一種族による大規模定住拠点*14を発見。

 

東南東、0.000000015478783633507光年*15先、単一種族による大規模定住拠点*16を発見。

 

各地点の単一種族の生体構造の近似性より、霊長生命体として仮説定義。

 

以下、単一種族間にて使用される呼称を流用、『人類』と名称を変更。

 

予備情報、獲得。

 

北北東、0.0000000093711897043205光年先*17、及び各『人類』の生存拠点の一部より、“未該当のエネルギー”を観測。

 

観測を精緻化、全生命体へと観測対象を変更…全生命体より閾値程度の“未該当のエネルギー”を観測。

 

 

 

 

そうして“怪物”は、観測された情報を基に推測を始めた。

惑星抑止力(ガイア)霊長生命体の無意識集合体(アラヤ)の両方が存在しないこと。

・『事前情報とは異なりながらも同一の生体構造を有する生命体』が霊長生命体として君臨していること。

・生命体内に“未該当のエネルギー”を観測したこと。

・恒星系外由来の生命体が存在しないこと。

 

これらの要素を鑑みて“怪物”は『同じ星の過去に到達した』という結論を出した。

もちろん“勘違い”である。

元いた世界(型月世界)のように魔法もなければ魔術が働く法則もない、たった一つの()()()()()をのみ残した地球に到達しただけである。

そんなことに気付くはずもなく…“怪物”は、来ることのないその時(over count 1999)が訪れるのを待つために、全機能を休止状態に移行させ、深い眠りに就いた。

 

 

 

 

 

そして、物語はここから始まる。

 

正真正銘の怪物にして極限の単独種。

 

彗星の究極の一(Ultimate One)にして輝ける唯一の存在(One Radiance Thing)が紡ぐ、瞬きのような御伽噺。

 

『理不尽で最強な“怪物”(ORT)が、“小さな出会い”(運命)によって、生き方を変える』物語。

 

未来へと流るる支流は四条に分かれ、紡がれる。

 

君は、どこに舵を切る?

 

 

 

*1
946,073,047.25808km≒約9億4600万km。地球から太陽までの距離の約6.3倍

*2
星の明るさ≒絶対等級は−10等~+17等級までで、太陽の絶対等級は4.83等級のため、等級の中央値である3.5等級に近似するため

*3
星そのものの抑止力。星の存続を第一義としている

*4
霊長の抑止力。霊長の世界の存続を願い、監視し、活動する

*5
12,269.66 km

*6
中東・バビロン

*7
4018.19km

*8
中国・夏王国

*9
11193.05km

*10
エジプト中王国・テーベ

*11
16.725km

*12
中南米・オルメカ

*13
16044.26km

*14
縄文後期・島根

*15
14644.06km

*16
インダス・モヘンジョ=ダロ

*17
8865.83km, イギリス・時計塔(ビッグ・ベン)






さて、書きたくなったシリーズ第4弾(1~3は温め中)です。

正直何も考えずになんとなく放り込んでみたかっただけ。

人間の矮小さを書いていきたいよね。
原作のアイツが最強すぎる故に、ちゃんと最強らしく表現できるかが難しいところ。
最強を表現するには、最強をぶつけないと表現できないというジレンマ。
どう解消していこうか…。



続き気になる!という方はお気に入りや感想など送っていただけますと作者(わたし)のやる気がすごくでると思います(多分…きっと…メイビー)。


一応頑張って情報を集めてはいるのですが、有識者の方がいましたら“怪物”や『鋼の大地』に関する情報提供をしてくれるととっても助かります!


…頑張って人間が定義したものを極力使わないようにしてるんで…リアリティを追求しすぎて逆に読みにくいのは許してね。


不定期更新になると思いますが、温かい気持ちで応援してくれると嬉しいです。


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