声優繋がりで、乙骨憂太の立場の碇シンジの呪術廻戦0。

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声優繋がりだけではなく、キャラ付けも似ているので妄想爆発。




乙骨憂太=碇シンジ

 

 

 

 

 

 時刻は夕方。日が陰り、シンシンと降る雨が窓を打つ音が響く。

 第2新東京市立第壱高校の教室で碇シンジは同級生四人に囲まれていた。

 

「久しぶりじゃないか、碇ぃ」

「こっちに来ないで」

 

 窓際の壁に追い込まれたシンジは、精一杯の抗議として顔を背けながら答える。

 

「おいおい、寂しいこと言うなよ」

「駄目だってば」

 

 シンジは壁を背にして俯いたまま悲痛に訴え続ける。しかし、その態度は四人の嗜虐心をより擽る態度でしかない。

 ジュルリ、とシンジの前で彼を追い込んでいた体格の良い同級生が舌なめずりをした。

 

「邪魔な鈴原や相田のいないこの時を俺がどれほど待ったか。どれだけお前のその可愛い顔を殴りたかったか…………もっと俺の気持ちを想像してくれよ、なあ!」

 

 血走った眼で同級生が顔を近づけると、シンジは身体を強張らせる。その様子を他の三人はニヤニヤしながら眺め、中には撮影でもしようとしているのかスマートホンを向ける者もいた。

 

「やめて」

 

 シンジは恐怖に唇を震わせて言葉を発する。その様は一層、彼らの嗜虐心を煽る行動でしかないが、不幸にもシンジも同級生達も気づいていなかった。

 興奮でもう我慢出来ぬとシンジの前にいた同級生が首に巻いていた学生服のネクタイを緩める。

 

「こんなに焦らされたら、うっかり殺しちゃうぞ?」

 

 同級生の手がシンジの胸元に向かって伸びる。

 そのまま掴み、まずは頬を殴りつける。同級生達の脳裏に思い描かれていた光景が実現することはなかった。

 

「来ちゃだめだ! 母さん!」

 

 助けを求めるにしても最も適さない名称を口にしたシンジの叫び声に、手を伸ばしていた同級生の手が止まる。

 

「は? 母さん?」

 

 疑問を口にした同級生を覆う影。シンジが背にした壁から何かが伸びてきて、教室の殆どに影を作り出す。

 同級生達は影を作り出すもの――――――それが巨大すぎる手(・・・・・・)であったことに気づけたかどうか。

 

「母さん、止めてよ!」

 

 

 

 

 

『 記録――――――――――2016年11月第2新東京市

  同級生による執拗な嫌がらせが誘因となり、首謀者含む4名の男子生徒が重傷を負う 』

 

 

 

 

 

 巨大な手に押し潰された机や椅子は粉砕され、1階でなければ床が抜けていただろうほどに陥没したそこ(・・)に同級生達が手足が歪な方向に捻じ曲がり血を流している。

 

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい――」

 

 無事な床に座り込んで膝を抱え込んだシンジは謝罪の言葉を繰り返す。その様は、さながら壊れた蓄音機のようですらあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこは暗い部屋だった。太陽の光は完全に遮断され、窓のような外界との繋がりを示す物は何もない。

 六つの障子が円を描くように存在しており、その中心に上下共に黒で統一した服を着る長身痩躯の若い男―――――――五条悟が立っていた。

 

「いきなり完全秘匿での死刑執行、あり得ないでしょ」

 

 部屋に五条の声が朗々と響き渡る。

 

「しかし、本人も了承した」

 

 一つの障子の向こうから嗄れた老人と思える声が五条の言うことを否定する

 

「未成年、まだ16歳の子供ですよ。逆に何人呪い殺されるか分かりません。現に2級呪術師が3人、1級呪術師が1人、返り討ちに遭ってるんです。だから僕にお鉢を回した。それをお忘れですか?」

「むぅ、ではやはり……」

「ええ、碇シンジは呪術高専で預かります」

 

 老人が深い溜息を漏らす音が空間に響き、やがて消えていく。

 

「国連の介入があるやもしれぬぞ?」

「あったとしても今の彼に、そして俺に何かが出来ると思いますか?」

 

 五条は老人の懸念に、肩を竦めて疑問に対して疑問を返した。

 

「特級の名は伊達ではない、か。だが、政治的な介入があった場合、我らも庇い立ては出来かねるぞ」

「そうなったらなったで、向こうも未成年の、それも本人が起こしたわけではない罪で死刑になるのを見過ごしてはくれませんよ」

『………………』

 

 事実その通りであったからこそ、静寂が部屋を満たした。

 

「17年前に起こったセカンドインパクトによって人類の半分が失われた。3年前に現れるはずだった使徒なる者がサードインパクトを引き起こすっていう預言書は外れたんだ。今更、国連が何かしてくるとは思えませんがね」

 

 そう言い残して五条は暗い部屋を出て行った。

 

「ネルフによって作られし、人型決戦兵器(エヴァンゲリオン)が呪いとして碇シンジに取り憑いている以上、可能性は消せん―――――――――――げに恐ろしきは母の愛か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部屋を移動した五条はまさに埋め尽くさんばかりの呪符によって覆われて、許可が無ければ出入りは許されない場所にいる碇シンジに会いに来た。

 室内に足を踏み入れた五条は、床に直置きされた幾つもの灯篭の光だけが光源となっている中で、椅子の上で三角座りをしているシンジと相対する。

 

「初めまして、碇シンジ君」

 

 五条が声をかけてもシンジは顔を上げない。

 仕方なく、五条は床に落ちていた物を拾い上げて会話の種とすることにした。

 

「これは何かな?」

「ナイフ、だったものです」

 

 拾い上げる時に落ちた金属音で示した物が何かを察したのだろう。シンジは顔を上げることなく答える。

 

「死のうとしました。でも、母さんに邪魔されました」

 

 柄の部分だけが残ったナイフは、刃に当たる部分がガラス片レベルに粉々に潰されていて今は五条の足元にあった。

 

「暗いね」

 

 囁くように言葉を発するシンジに、五条はもう用のないナイフの柄をその辺に放り投げる。

 

「今日から新しい学校だよ。東京都立呪術高等専門学校だ」

「呪術?」

 

 初めてシンジが顔を上げる。

 第3新東京市立第壱高校の学生証に映っている写真よりも顔色が悪く隈も酷い。眠れていないのだろうし、食事も取っていないと聞いていた五条はさもありなんと内心で呟く。

 呪術、と口の中でもう一度繰り返したシンジは、しかしどうでもいいと心の扉を閉じるように顔を膝の間にまた伏せようとした。

 

「…………どこだろうと行きません。もう誰も傷つけたくありません。だからもう、外には出ません」

「でも、1人は寂しいよ」

 

 ビクリとシンジの肩が震え、伏せかけた頭の動きが止まった。

 

「君にかかった呪いは、使い方次第で、人を助けることも出来る。力の使い方を学びなさい。全てを投げ出すのは、それからでも遅くはないだろう」

「僕に出来るわけがありません」

 

 まるで父親が我が子を諭すかのように優しく語りかける五条の言葉にシンジは再び顔を伏せて、今度は拒絶の言葉を吐き出した。

 

「君自身のことだ。他の誰にも出来ない」

 

 しかし、五条は構わずに言葉を重ねる。

 

「無理ですよ。呪術だ、呪いだって言われても、見たことも聞いたこともないのに出来るわけがない!」

「その為に僕らがいる。説明するし、教え導くのが僕ら教師の役目だ」

 

 シンジの心の扉に五条の言葉が染みこんでいく。

 

「そんな…………出来っこないよ」

 

 次の瞬間に発せられたシンジの声は酷く弱々しいものだった。

 

「逃げるな、呪いから。何よりも自分から」

「分かってますよ。でも、出来るわけないよ!」

 

 今度こそシンジは完全に顔を上げた。その顔には怒りにも似た感情が浮かんでいる。

 

「呪いに守られた君を誰も殺せない。このまま餓死したとして、君の呪いがどうなるか誰にも分からない」

 

 五条はそれこそがシンジの心を開く鍵だと理解すると畳みかけるように幼い子供に言い聞かせるような口調で言葉を重ねる。

 

「君の死と共に消滅してくれるならいいが、最悪暴走した呪いがどれだけの被害を周りに与えることになるか。君も二年前のように(・・・・・・・)瓦礫と化した第三新東京市の二の舞(・・・・・・・・・・・・・・・・)は嫌だろ?」

「っ!?」

 

 シンジの息を呑む音がやけに大きく響き渡った。

 使途襲来に備えていた第3新東京市は今は瓦礫の都市と化して放棄された。そうなってしまったのは父に呼ばれて赴いてしまったシンジの行動が発端だった。

 

「あの事件で君に責任はないだろう。けど、今の君は再び起こり得ると知ってしまった。出来る出来ないじゃない。君は、やらなくちゃならないんだ」

 

 自分の所為ではないと反論しようとするシンジの思考を読み取ったのか、五条は畳みかけるような言葉を被せた。シンジはその圧力に、ついには言葉を紡ぐことが出来なくなる。

だが、その代わりに湧き上がってくる感情があった。それは怒りにも似た激しい負の感情だった。

シンジは自分の胸を中心に力が広がっていくような感覚に陥る。しかしそれも一瞬のことだった。直ぐにその感覚も消えてなくなり、後には沈黙だけが横たわる。

 

「…………僕はどうしたらいいんですか?」

 

 だから、シンジは顔を覆ったままか細い声音で五条に尋ねるしかなかったのだ。

 

「僕は既に道を示した。決めるのは君だ、碇シンジ君」

 

 このままここで果てるか、それともこの部屋を出て行くか。どちらを選んでも地獄が待っているかもしれない。

 

「逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ!」

 

 ただ、選ぶことすら放棄してしまうのは、もっと辛いことになるとシンジは知っている。それが自身の経験からくるものであることを理解しながら、シンジは何かを決意したかのように拳を強く握り締めて五条を見つめる。

 

「行きます。僕は呪術高専に行きます」

 

 

 

 

 






色々と伏線を張りつつ一旦はここまでです。



現在『ダンまち×ドラクエ』を連載中です。よろしければどうぞ。



10月1日までにお気に入りが1000件を超えたら続きます。


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