呪術高専東京校生1年の転生アーサー(今生での名「熊本アーサー」)、背後に美少女(特級呪霊)連れて歩いてると言う話
pixivより転載

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【呪術聖杯】特級呪霊「沙条愛歌」と、獣を追い続けた結果ちょっとキャラ崩壊して転生したアーサー・ペンドラゴン

 ここは男子寮と聞いていた。虎杖は思う。

 なのに、なぜこうも堂々と少女がここにいるのだろう。

「あら、新入りさんね」

 その少女は、鈴を転がすような声で言って微笑む。薄い色の髪に水色のドレス。全体的に古びたこの建物の中ではとても浮いていた。胸元は大きく開いており、そこには赤い傷跡がある。それの意味を考えてていたところで、

「おい虎杖、どうした」

 と声がかけられる。振り返ると伏黒がいた。そして彼の背後には――金髪の美少年が立っていた。虎杖にはとても日本人とは思えない。緑色の目が吸い込まれるようだと彼は思った。柔らかく微笑んでいる彼を示して、伏黒は言う。

「丁度良かった。こいつ、昨日まで出張に行ってたけど帰って来た奴。俺らと同じ1年生。熊本アーサーだ」

「宜しく。虎杖くんだっけ? 五条先生から話は聞いてるよ」

「虎杖でいいよ。ところで2人とも、あの子は――」

 どうやら英語圏にルーツを持つ少年らしいと虎杖は考える。アーサーがにこやかに笑うのを見ながら、彼は背後を振り返ろうとして――

「アーサー、お帰りなさい。お疲れさま、私の王子様」

 少女が少年の方に駆け寄り、そう言って彼に抱き着こうとした。

 それを少年はひょいと避ける。つんのめりそうになった彼女の服を掴んだ。そして笑う。

「お帰りなさいも何も、出張先にもついてきただろう君は」

「相変わらずつれないのね、アーサー」

 体勢を立て直して服を整える彼女。それらのやりとりを見ていた虎杖は、伏黒に囁いた。

「なぁ、あいつらってなんなんだ。特にあの女の子の方、ここ男子寮だよな?」

「愛歌に関しては気にしなくていい。いや、気にするべきことはあるが」

 「愛歌」という名前らしい少女は、アーサーに纏わりついている。それを犬か猫をいなすように避けるアーサーを示して、伏黒は耳打ちした。

「絶対にアーサーに害をなすようなことはするな。死ぬぞ」

「え……そんな怖い人なの……?」

「アーサーは怖くない。あいつが怖い」

 そう言って、伏黒は愛歌と呼んだ少女を示した。

 虎杖の目には、ごく普通の少女にしか見えなかったが――

「ここに乙骨先輩がいればわかりやすかったんだが……」

 

 理由は、たった今わかった。

「もう、アーサーに手を出すなんて」

 そう言ってぽこぽこと怒ってみせる少女の足元には、呪霊だったものが転がっていた。次第に消えていくそれら。

 虎杖たち1年生が派遣されたのは、某県の山奥の村。そこで子どもが消えていると言う話を受け、人手不足だったので呪専生1年が派遣されて来たのだった。

 助手席にアーサー、それに彼の膝に愛歌。虎杖、伏黒、釘崎は後部座席に陣取っており、釘崎は「あの女なに? アーサーとかいう奴の彼女?」と伏黒に耳打ちしてきたものだった。

 そしてなんだかんだとやってきた先。行方不明者の最後の目撃場所である廃神社に階段を上ったとき、「領域」に引き込まれた。

 その領域の中には子どもがたくさん転がっており――中央には、名状しがたい何かがいた。虎杖たちが身構えており、アーサーは刀を取り出し――そのアーサーが、真っ先に狙われた。顔を。

 国宝級の顔に傷がついた。恐らくいるだろう女性ファンは悲鳴を上げるのではないかとこのときも虎杖は呑気に考えていた。

 ――瞬間、領域が解けた。

「へ?」

 それは領域の主が殺されたことを表している。

 そしてそれは当たっていた。それまでアーサーの傍に立っていたはずの彼女――愛歌が、領域の主の首を掲げていた。そしてそれは音もなく潰れて、霧散する。返り血すら残らない。呆然とする虎杖たちの前で、アーサーは納刀しながら呑気に声をかける。

「こら、愛歌。虎杖たちが呆然としているだろう」

「あら、ふふ、ごめんなさいねみんな。私、アーサーのことになると前後が見えなくなっちゃうの」

 そう言って微笑む彼女は、爆弾発言をする。

「『今』のアーサーは私のご主人様。アーサーに仇為すものは人だろうと呪霊だろうと鏖殺するわ」

 そう言い切る彼女に、虎杖は思わず尋ねた。

「あの……愛歌、さん」

「愛歌でいいわ」

「じゃあ、愛歌。あんたは何者なんだ?」

 虎杖の問いかけは尤もだった。「伏黒、説明してなかったのかい」とアーサーが問いかけてくる。「わかるかと思った」とは伏黒。

 その伏黒が、言った。

「彼女は特級呪霊『沙条愛歌』。アーサーに纏わりついている且つ、彼に仇為す存在は例外なく排除される。五条先生ですら祓えないと言われる呪霊だ」

「改めて宜しくね、虎杖くん、釘崎さん」

 ふふ、と鈴を転がすように微笑む彼女。その背後では刀を片手に、頬の傷を拭うアーサーが「さて、あとは子どもたちの保護だね」と淡々と仕事をこなそうとしはじめていた。

 

 

 

特級呪霊「沙条愛歌」

・由来不明、名前は本人が名乗ったもの

・アーサーと言う少年が呪専生として東京校に入って来た時に当たり前のようについてきたことで存在が発覚

・勿論アーサーは秘匿死刑されそうになったが、「アーサーに傷ひとつつけたらこの世界がどうなるかわからないわよ」と脅されたことでアーサーは一命をとりとめた

・命を望めば命を溢れさせ、死を望めば死を溢れさせる 明らかに呪霊の規格を超えた存在

・そもそも、呪術師の定義で「呪霊」とされているだけあって、「本当に死んだ人間なのか?」という点が議論されている

 

熊本アーサー

・獣を追い続けた結果、すっかりスレて転生したアーサー王

・愛歌の所業もちゃんと憶えているが、現在はアーサーに害をなさなければ何もしないと言うことがわかっているので基本的に愛歌のことは放置している。

 


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