聖杯戦争。
それは七人のマスターと七騎のサーヴァントが織り成す魔術儀式。
「
「繰り返すつどに五度」
「ただ、満たされる刻を破却する」
英霊とは、幾多の伝承に語られる英雄達の影法師。
聖杯とは、英霊を生贄として奇跡を叶える蟲毒の壺。
「―――――
この白亜の城で今まさに英霊召喚を成そうとするのは、それを主催した魔術師のひとつ。
御三家と呼ばれるアインツベルンの愛娘、妖精のようなと形容されるほどの儚い少女。
「――――――告げる」
召喚陣に掲げられているのは、英霊と現世を結ぶ触媒と成りえる聖遺物。
それは剣というのもおこがましい、岩肌から削りだしたかのような長大な塊。
神話に語られる英雄が振るったとされる、荒々しくも洗練された斧剣。
「――――告げる」
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
凛と鳴る詠唱が響き渡る。
彼女には父がいなかった。母がいなかった。
十年前の聖杯戦争で母は亡くなり、父はそれ以来、自分の下へと帰ってこない。
「誓いを此処に」
お爺様だって、なんだか信用ならないけれど。
いなくなった父への復讐のために力を付けたのだ。
養子の子供なんかではなく、自分の事を見てもらうために。
「我は常世総ての善と成る者」
「我は常世総ての悪を敷く者」
――だがここに、イレギュラーがひとつ。
されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。
それは英霊を狂気へと誘う命令文。
少女はその一節を挟むようにと指示を受けていた。
「汝三大の言霊を纏う七天」
だが、少女はそれを選ばなかった。
ほんの少しの反発心。ほんの少しの我侭が、彼女の運命を大きく変える。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
瞬間、陣がまばゆい輝きに包まれる。
彼女は気付かない。
この場にある触媒がひとつではないことを。
その触媒の名は、逸話。
己の魂と引き換えに――聖杯の降臨と共に命を落とす、
ドイツの錬金術師が――イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが、
願いを叶える為――聖杯戦争に勝利する為、
降霊術によって――英霊召喚によって、
人ならざるものを呼び出した。
「お招きいただきありがとう御座います」
聞き覚えのない声が聞こえる。
――現れたのはドイツの民族衣装に身を包んだ黒髪に橙の瞳の少女。
「貴女がヘラクレスなの……?」
どう見ても触媒とされた剣を振るえるようには見えないその姿に、イリヤスフィールは疑問の声を上げた。
「いいえ、ワタシはドイツの出身ですよ。――【ハーメルンの笛吹き男】の民話はご存知でしょうか?」
にこりと笑ったヒトガタのナニカは、変わらぬ貌で虚言を揮うだろう。
そして、運命の夜が訪れる。
――願いを叶える、その為に。
キャラクターマテリアル
クラス:キャスター
真名:ハーメルンの笛吹き男
属性:秩序・善
筋力:E 耐久:E 敏捷:E
魔力:C 幸運:A+ 宝具:C++
クラススキル
劇場作成:D
陣地作成の互換スキル。聴衆が落ち着いて詩を聞ける場を整える技能。
魔術師としての陣地や物理的な建築技術ではなく、あくまでも心地よい場を整えるスキル。
楽器作成:C-
道具作成の互換スキル。魔術によって演奏のための楽器を作成できる。楽器自体に特別な力はない。
保有スキル
吟遊詩人:A+
彼女の生きた時代、生きた世界において比類なき歌声を披露した。
その唄は、演奏は、あらゆる人々を魅了し、知性なき獣でさえも我を忘れて聞き入るほど。
吟遊詩人は中世のマスメディアとされ、情報の拡散や編纂も一挙に引き受けた。
情報の流入に乏しい時代において、その正誤を判断することは極めて困難である。
彼女は紛れもなく一流の詩人であり、語り手でもあるのだから。
伝承審美:A
伝承、伝説といったものへの造詣の深さ。またそれを読み解き、情報として落とし込む技術。
たとえ秘されていたとしても、ほんの僅かな手がかりからそれを読み解き、語り始める。
魔術:C-
キャスターは氷の魔術を扱う。ランクは低いが一応これでもクラス補正で強化されている。
主な用途は簡易的な楽器の生成、演奏中の演出など。戦闘にはほとんど使用できない。
宝具
演奏をしながら練り歩き、それを聴いたものを誘引する【ハーメルンの笛吹き男】の逸話の具現。
民話において、ハーメルンの笛吹き男は音楽と共に練り歩き、町中のネズミを河へと誘引し溺死させた。
そして報酬を支払わなかった町への報復として、彼らの大切な宝、子供達を引き連れ暗い洞穴の奥へ消えたという。
彼女の演奏を耳にしたものは手を止めて聞き惚れ、音楽に誘引される。
対象は芸術審美スキルによって抵抗判定を行う。また演奏が続いている限りあらゆる行動に対して判定を要求される。
ただし、聴覚のない者には効果がなく、足の悪い者も魅了はされるが誘引されることはない。
――逸話の具現として、報酬の未払い、雇い主の裏切りに対しては強制的に発動される。
キャラクターストーリー①
ハーメルンの笛吹き男。
それは1284年6月26日に起きたと記録されている史実であり、伝承である。
当時のドイツ、ハーメルンの町でネズミが大繁殖していた。
そこに訪れた一人の男が、報酬と引き換えに鼠を退治してみせると持ちかけた。
男が笛を吹くと町中のネズミが彼の元に集まり、そのままヴェーザー川へと誘引、一匹残らず溺死させた。
――そして報酬を渋った町への報復として、子供達を笛の音で誘い、洞窟の奥へと消え去った。
キャラクターストーリー②
伝承に語られる姿とは異なり、キャスターの性別は女性であり、その衣装も色とりどりの服などではない。
あからさまに不自然ではあるが、その程度の差異は英霊召喚に良くあることと言われれば本当によくあるのだ。
彼女がハーメルンの笛吹き男を自称する以上、そう扱うのが適当だろう。
キャラクターストーリー③
演奏をしながら練り歩き、それを聴いたものを誘引する【ハーメルンの笛吹き男】の逸話の具現。
民話において、ハーメルンの笛吹き男は音楽と共に練り歩き、町中のネズミを河へと誘引し溺死させた。
そして報酬を支払わなかった町への報復として、彼らの大切な宝、子供達を引き連れ暗い洞穴の奥へ消えたという。
彼女の演奏を耳にしたものは手を止めて聞き惚れ、音楽に誘引される。
対象は芸術審美スキルによって抵抗判定を行う。また演奏が続いている限りあらゆる行動に対して判定を要求される。
ただし、聴覚のない者には効果がなく、足の悪い者も魅了はされるが誘引されることはない。
――逸話の具現として、報酬の未払い、雇い主の裏切りに対しては強制的に発動される。
クラス:キャスター
真名:メフィストフェレス
属性:秩序・善
筋力:E 耐久:E 敏捷:E
魔力:C 幸運:A+ 宝具:C++
クラススキル
劇場作成:A
陣地作成の互換スキル。聴衆を飲み込む詩を弄す場を整える技能。
彼女がそこにあるだけで、その場は須らく演ずるに足る舞台と化すだろう。
小道具作成:C+
道具作成の互換スキル。魔術によって演劇のための小道具を作成できる。
また、C-ランク以下の魔術系スキルを一時的に習得することも可能。
その場合、素体となっている少女の適正により氷の属性が付与される。
保有スキル
物語りの悪魔:A++
無数の悪魔伝承が集約されたのがメフィストフェレスという悪魔の原型であり、悪魔として処刑された少女もそのうちのひとつとして束ねられた。
演技をするだろう。神話を渡ることも、風聞を揺らすことも出来るだろう。
人々の情動を揺らすことも、もちろん、騙すことも。
このスキルはA+ランクの演劇、伝承審美、吟遊詩人、煽動、詐術スキルとして扱う。
無辜の配役:B-
キャスターは伝承に語られる悪魔そのものではなく、
中世を生きた吟遊詩人が悪魔ではなかったと証明する手段は、現代には残されていない。
このキャラクターは真名とスキルを任意に偽称出来る。
それによって能力が変化するわけではないが、多才な彼女は与えられた名を器用に演じきるだろう。
宝具
メフィストフェレスは模範的な物語の悪魔であり、ファウスト博士から言葉巧みに魂を奪おうと試みた。
しかしながら、それは彼の願いを叶えなかったということではない。
メフィストフェレスは彼の魂を貰い受けることを対価に、確かにその取引を全うしたのだから。
召喚時に自動発動。令呪一画分に相当する強制力を受け、召喚者の願いに行動を縛られる。
その願いが全うされたとき、召喚者から魂を奪う。また、願いを叶えなくとも魂を騙し取ることが出来る。
彼女は願いを叶える悪魔として現れた。
呼び出したのはアイリスフィール・フォン・アインツベルン。
その願いは【家族と共に生きていたい】。
捨てられるはずだった、奥底にしまわれたささやかな願いは、悪魔によって暴かれた。
戯曲ファウストの最終章。メフィストフェレスはファウスト博士の魂を奪うことに失敗した。
その要因となったのは、既に天国へと旅立っていた彼の最初の妻グレートヒェンの無垢なる祈りであった。
自身の宝具による対価の徴収を無効化する。
発動条件は、
キャスター自身がその条件に該当するため、彼女を同意の上で殺害すれば代償の踏み倒しは可能となる。
キャラクターストーリー④
ハーメルンの笛吹き男を自称するキャスター。
その真名は――メフィストフェレス。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ作、戯曲ファウストに登場する悪魔。
並びに、それを核とした無数の悪魔伝承の集合体、その一片である。
キャラクターストーリー⑤
吟遊詩人は中世のマスメディアとされ、情報の拡散や編纂も一挙に引き受けた。
その時代において彼らの言葉は、真実よりも真実として流布される。
力なき戦士に勇猛な英雄譚を、知なき君主に名将の物語を。
そして口減らしの人買いには、奇怪な男の伝承を。
いつしか彼女は、願いを叶える存在と噂されるようになった。
キャラクターストーリー⑥
■■■■
ドイツの寒村に商家の娘として生まれ、鍛冶師の幼馴染と共に育つ。
土着の魔術師に才能を見出され師事。
その後、すくすくと音楽方面の才も開花させると、吟遊詩人の真似事を始める。
小さな村では飽き足らず各地で演奏を繰り広げ、土地を治める領主すら彼女の歌を認めることになる。
しかし、いつしか奇妙な噂が出回り始める。
あの音楽は、異形の才は、悪魔の力によるものだと。
鍛冶師の少年は信じなかった。
信じなかったからこそ、信じる為に調査を続けた。
そして、真実であるという、確証を得てしまった。
少女は悪魔として処刑された。
少年の打った剣は、悪魔殺しの聖剣と呼ばれるようになった。
キャラクターストーリー⑦
彼女は献身的に振る舞い、無償で願いを叶えるだろう。
やり口自体はちょっとアレだが、その行動原理にブレはない。
そして別れの際にこう言うのだ。
「あなたの幸福に一点の曇りを」
物騙りの悪魔からそう告げられて、疑わない人物はいるだろうか?
彼女が本当に何もしなかったのだと信じることは出来るだろうか?
証拠など存在しない。本当に彼女は一切の瑕疵なく尽くすのだ。
それが彼女の本来の願い。
其の名に相応しいと人理に認められた精神性は、常人から大きく外れている。
恣意的に歪めることなく、言外の思いも汲み取り、願いを完璧に叶えた上で
キャラクターストーリー⑧
余談だが、キャスターの幸運はA+。
大抵のことが彼女に都合のいい展開になるレベルの運命力である。
彼女を悪魔として処刑したのは、させたのは。
はたして誰の思惑だったのだろうか。
これにて完結となります。
最後までご覧いただきありがとう御座いました!