進撃の赤い巨人   作:ヤン・デ・レェ

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850~
粛清


 

 

 

 

「縦ひ全てに背くとも、同志諸君がこれより断行する全軍事的行動は、平和のための人道的な治安維持行為として処理される。同志諸君は安心して引き金を引き、或いは剣を振るい給え。全ては女神ユミルと我が聖名に誓って、絶対的に正義であり、また合法である」

 

「我が手にある憤怒の名簿(レッド・リスト)に名を連ねた者に人権など最初から存在しない。存在しない以上、彼らの死は適正であり、犠牲者などというものは存在しないのである」

 

「犠牲なき革命万歳!無血革命万歳!」

 

「諸君は鹿狩りに行くような緊張感と高揚感で、その手に銃を取り、その手に剣を取り、人民と人民による国家の敵を抹殺する狩人(イェーガー)なのだ」

 

「軍務への服従こそ誉れである。命令への服従こそ正義である。国家と民族の敵を抹殺することこそが、君たち兵士の第一の存在証明である」

 

850年年初。人民会議終了後の、親衛隊第一師団『ヴィーキング』及び第二師団『デア・フューラー』を前にしてのヨシフ・"コーバ"・ヴェトーによる訓示より抜粋。

 

 

 

 

 

 

 

 

グリシャ・イェーガー、アニ・レオンハート、ユミル。

 

この三名の証言に基づき、壁内人類の上層部は、改めて仮想敵国マーレの強大さを実感した。このことは、即ち壁内が壁外を知ったということである。

 

壁内が、世界の本当の広さを実感したことによって、壁内人類の指導者たちは、その殆どが同志コーバが掲げる『解放』思想に、その思想に基づくこれまでの指導実績に、改めて感動と納得を覚えると同時に内戦の無意味さ…否、その非合理的かつ反革命的であることを理解した。

 

しかし、全ての人間が多種多様の個性を持つことと同様に、人民会議の一部の面々からは強い批判の声が上がった。

 

その一部とは、主に旧王制時代の支配階層の人々であった。ブルジョワとして旧王制時代から甘い蜜を吸ってきた彼らの声には、多分に同志コーバへの直截的な否定が含まれていた。

 

壁外に対する姿勢に関して、最も強い反発運動を展開したのはウォール教の司祭ニックと、その後援者として資金・物資を提供したディモ・リーブス会長率いるリーブス商会であった。

 

単にこれらの運動が展開されるだけであったならば、同志コーバとそのシンパたちとて、多少の寛容さを示していただろう。

 

だが現実は理想的で民主的な自由からはかけ離れた対応を迫られる事態へと、驚天動地の展開を見せた。彼らは…反革命的な分子らは、一線を越えてしまったのである。

 

それは849年度の終わりと、850年度の始まりとのちょうど中間地点で勃発した、忌まわしき事態だった。

 

その忌まわしき事態とは、壁内で特権を甘受してきた上記の二名に加えて、旧王制時代の三兵団…旧駐屯兵団・憲兵団・調査兵団…の総統を務めていた、ダリス・ザックレー赤軍元大将を首魁とした、赤軍一個師団…約一千名…による、旧総統府…現赤軍総司令部…の占拠に端を発する、反革命分子による蹶起事件だった。

 

蹶起の時期に冬季を選択した理由は、想像に難くない。というのもこの時期、大半のミットラス赤軍を始めとする軍部隊の多くが、冬季軍事演習の為に首都ミットラスから離れていたからである。

 

ダリス・ザックレーは849年末の最後の人民会議の場で、堂々とコーバへの宣戦布告を行い、声明文を読み上げた。そして、その場で赤軍大将の階級章を剥がし捨てるという行為を以て、その旗色を鮮明なものとした。

 

最後の理性から、人民会議の場での武力行使を避けたことは評価に値するが、一方でこの蹶起に呼応する形で、公安警察軍の総司令官を務める公安警察総監であるナイル・ドークに率いられた公安警察軍の一部部隊が戒厳令を敷くと共に、公安警察軍の名称を王家直下の憲兵団へ、ミットラス赤軍の名称を白色ミットラス陸軍へ改称し、ダリス・ザックレー総統率いる反革命派への合流を果たしたことは、壁内人類にとっての悲劇であると同時に、850年年初における最大の重大事件だった。

 

反革命軍はロッド・レイスを神輿に担ぎ、総統府に立てこもった。彼らは声明文の中で『ヨシフ・ヴェトーの恒久的な追放』を要求した。

 

事ここに至り、ミットラスは内戦を目前とした緊張状態へ陥った。

 

同志コーバこと、ヨシフ・ヴェトーは緊急でミットラス中央ソヴィエト及び人民会議に関係者を招集、書記長辞任に伴う王政復古による政権交代かに加えて、内戦か否かの決議を採った。

 

 

 

 

 

 

「諸君、我々は壁内人類を代表して、断固として内戦による戦力の摩耗を避けねばならない。我々の敵は壁内ではなく、壁外にいるのだから。虎視眈々と我々の有する巨人の力と資源を狙い、残虐極まる侵略行為を長きにわたり我々に行使してきた敵が、いるのだから。だからこそ、今は一致団結して国力を豊満にし、技術を醸成し、戦略を立案し、国防力の強化に邁進して然るべきなのだ」

 

「諸君、我々は決議の結果、内戦による白軍との全面的な闘争ではなく、極めて限定的な犠牲…国家の敵を粛清することを選択した。私は人民を代表し、ここに諸君らの英断に対して敬意と謝意を述べたいと思う。全ては私の不徳の致すところであるが、であるからこそ、私はこの壁内人類が直面している窮地からの脱却を約束しよう。例え、どんな障害があろうとも。例え、どんなに法と利害を侵そうとも。私は断固として、この反革命的な運動に、厳正に対処し、見事に乗り越えて見せよう」

 

「手始めに、この場を借りて我々の…即ち人民と人民による国家の敵の名を白日の下に晒し、私の憤怒のリストに名前を連ねた、忌々しい反革命分子の粛清を直ちに実行する。命令書へのサインこそが、我々人民が人民の手による壁内平和実現とその維持継続の為の第一歩であることを証明しよう」

 

「ここに緊急事態を宣言するとともに、ケニー・アッカーマン親衛隊最高指導者はミットラスに駐留する全親衛隊部隊に出動命令を下し、然るべき人民と国家の敵を可及的速やかに粛清せよ」

 

「第一目標、ロッド・レイス…現在は壁内の王を僭称している」

 

「第二目標、ダリス・ザックレー元赤軍大将…現在は総統を僭称している」

 

「第三目標、ナイル・ドーク元国家公安警察総監…現在は憲兵団師団長を僭称している」

 

「第四目標、ディモ・リーブス及びその一族」

 

「第五目標、ニック…ウォール教司祭」

 

「尚、これら目標には13の戦争犯罪行為と人民に対する背信行為の罪が断定されており、軍事法廷並びに移動裁判所の設置は不要である。即刻、その場で処断せよ」

 

「命令文各位への署名を確認し次第、以下の部隊への治安維持のための市街地における発砲許可、並びに対人立体機動戦闘を許可する」

 

「軍事単位及び命令指揮権の最高位より順に、親衛隊第一師団『ヴィーキング』、親衛隊第二師団『デア・フューラー』、ミットラス赤軍第一師団『グロース・ミットラント』」

 

「尚、親衛隊第二師団及びミットラス赤軍第一師団は冬季演習への参加命令を破棄、即刻部隊をミットラスに帰還させ、到着次第、本命令書に基づいた適正なる軍事行動に服すように」

 

「命令文終わり、現時刻を以て第一目標から第五目標までの反革命分子が有する基本的人権を永久的に停止・無効とする。以上、人民会議は一時的に解散。一切の敵愾行為を慎み、作戦行動終了まで謹慎せよ。命令送れ!」

 

 

 

 

 

 

 

850年年初、ソヴィエト=ミットラント人民共和国政府より発令された緊急命令によって、親衛隊第一師団『ヴィーキング』が首都ミットラスの駐屯地より出動。総統府を襲撃した。

 

第一目標ロッド・レイス及び第二目標ダリス・ザックレー元赤軍大将は、親衛隊第一師団所属の『アッカーマン戦闘団』により、総統府を攻略され、戦闘団指揮官リヴァイ・アッカーマンの副官ペトラ・ラルによる令状読み上げの後、その場で即刻処断された。尚、人道的配慮から、粛清は銃殺刑を以て執行された。

 

第三目標ナイル・ドーク元公安警察総監は、ダリス・ザックレー処刑後、その背信行為を咎められた後、妻帯者であることを鑑みて拳銃を手渡され、名誉ある自死を許された。しかし、最期の最期で拳銃をリヴァイ・アッカーマン親衛隊上級指導者に向けて発砲したため、弾丸を回避したリヴァイ直々に手討ちにされた。

 

第四目標ディモ・リーブス及びその一族は、軍需物資の不正運用の罪、脱税の罪、人民に対する背信行為の罪を問われて、商会本部に急行、これを攻略した赤軍第一師団『グロース・ミットラント』によって捕縛された。ディモ・リーブス商会長とその息子フレーゲルは、第一師団師団長並びに赤軍臨時総司令官ドット・ピクシス臨時大将の命令によって、人道的配慮から新設された収容施設へ移送後、銃殺された。リーブス商会は解体され、関係者は反革命分子と見做され、収容施設での百二十年間の無償労働に服することを命じられた。尚、自死は固く禁じられた。

 

第五目標ニック司祭及びウォール教関係者は、急遽編成された親衛隊第二師団『デア・フューラー』による教会本部への重火砲砲撃により、その大半が潰滅された。第二師団師団長ミカサ・アッカーマン親衛隊上級指導者は、麾下師団にウォール教…地ならしの発動に肯定的な者の全て…の殲滅を命じた。尚、改心した教会関係者は殲滅対象外とされ、人道的配慮に基づき、氷爆石を無期限で採掘する労役への従事が認められた。

 

 

午前零時丁度から開始された粛清は夜を徹して行われた。首都ミットラスでは散発的な戦闘が繰り広げられたが、死者は粛清対象者を除いて民間人・軍属を含めて一名として出ることもなく、負傷者が百名弱に留まるという極めて穏便な結末を迎えた。

 

粛清完了後、同志コーバの名のもとに作戦完了命令が発令されると同時に、戒厳令が解除された。

 

人民の日常が再会される頃には、この日はソヴィエト=ミットラント人民共和国で一番長い一日となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

850年年初。『長いナイフの夜』と噂された大粛清が完了したことで、人民会議が改めて招集された。

 

この場で、同志コーバは文人として書記長に改めて就任すると同時に、軍人として最高司令官たる総統に就任した。

 

人民会議の場では、ケニー・アッカーマン親衛隊最高指導者の提案により、ミットラス赤軍はミットラント国防軍に改称、公安警察は人民保安部に改称された。

 

また、ドット・ピクシス臨時大将は今回の功績を認められて、正式に国防軍大将に就任した。この際、ドット・ピクシス国防軍大将の積極的意志によって、旧赤軍第一師団『グロース・ミットラント』の指揮権は同志コーバに全面的に委譲された。

 

ドット・ピクシス国防軍大将は続けて、同志コーバへの軍警察権の全権委任を提案、これにケニー・アッカーマン最高指導者並びに多くの人民会議議員が賛同したことで、親衛隊、国防軍、人民保安部の三軍の総統…最高司令官…として、同志コーバが就任した。この際、同志コーバは三度就任を固辞したが、人民会議の全会一致を受けて、四度目にして全権委任法案に同意、その責務を身に負った。

 

 

 

 

 

 

850年度年始と同時に、親衛隊訓練課程を完全に修了した第四期生を中核にして、正式に親衛隊第二師団『デア・フューラー』は『ライプシュタンダルテ・デア・フューラー』として組織された。

 

ヨシフ・"コーバ"・ヴェトー書記長兼総統は、親衛隊第一師団『ヴィーキング』及び第二師団『ライプシュタンダルテ・デア・フューラー』の指揮権を掌握すると共に、実質的な私兵部隊として自身直属のエリート師団への、即ち大粛清作戦従軍への勇気と忠誠を讃える特別勲章を全要員に授与した。

 

この勲章は親衛隊英雄勲章として親衛隊第一師団及び第二師団に授与されると共に、国防軍第一師団『グロース・ミットラント』にも、国防軍鉄十字勲章として同様に授与された。

 

同志コーバは勲章授与の後、親衛隊幼年部第五期生並びに第六期生を中核として、親衛隊第三師団を組織すると共に、壁外行動軍(=特殊作戦軍)『突撃(デア・アングリフ)』師団を既存部隊から抽出された精鋭により組織する予定であることを発表。親衛隊の規模拡充に加えて、国防軍に特設『装甲教導(デア・パンツァー・レール)』師団を、人民保安部に督戦部隊を組織することを宣言した。

 

新年度の始まりと共に、ケニー・アッカーマン元親衛隊最高指導者は、最高指導者を辞任し、人民保安部総監に就任。同志コーバは親衛隊最高指導者をも兼ねることが人民会議により追認された。

 

 

 

 

 




ようやく『総統』も兼任したので、今更ながら主人公の設定開示。

名前 ヨシフ・"コーバ"・ヴェトー

年齢 秘密

身長 174センチ

体重 約60キロ

好物 甘い物と美人

嫌物 孤独と無思慮な貴種

イメージはスターリンとヒトラーの好い所だけを抽出して掛け算したような存在です。名前はラテン語で拒否権を指すVetoをそのままに、音感がチトーに似てるのにしました。


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