忠誠宣誓、そして…。
面白かったら『ypaaaaaaaaaaaa!!!!!』又は『Sieg Heil!!!』を( `・∀・´)ノヨロシクお願いします。
850年。春の目覚めと共に、エレン・イェーガーやアルミン・アルレルトらは親衛隊幼年部第四期を卒業した。
卒業後、最終的な総合成績順位が発表され、上位十名には特別徽章授与式への参加資格が与えられた。与えられた、ということは拒否権も存在するという意味を含んでいた。
式典の開催場所は首都ミットラスを象徴する、ソヴィエト=ミットラント人民共和国政府の国会議事堂、その地下壕大広間にてだった。
上位十名は一位から順に、
首席 アニ・レオンハート(立体機動並びに体術で一位、筆記試験三位)
次席 ライナー・ブラウン(体術二位、作文で圧倒的一位)
三位 ベルトルト・フーバー(体術三位)
四位 マルコ・ボット(筆記試験一位)
五位 ジャン・キルシュタイン(立体機動二位)
六位 エレン・イェーガー(立体機動三位)
七位 アルミン・アルレルト(筆記試験を僅差で二位)
八位 コニー・スプリンガー(火砲術・弾道計算術二位)
九位 サシャ・ブラウス(火砲術・弾道計算術で圧倒的一位)
十位 ユミル・レンズ(立体機動・体術五位)
尚、本年度は人材的に極めて豊作であった。
アニ・レオンハートが抜群で首席卒業を果たしたが、二位以下の順位はほぼ僅差でのものであった。
特筆すべき事項として、サシャ・ブラウスとコニー・スプリンガーのコンビは、火砲術・弾道計算術のカリキュラムにおいて歴代最高記録を叩き出した。筆記試験では十位以下となったが、以上の理由から十位圏内に残ることが出来たことをここで補足する。
また、最終年度を前に、幼年部総長の交代が執り行われた。ヒストリア・レイスの親衛隊上級指導者への昇進・任期満了に伴い、849年度以降は、旧訓練兵団でも教官を務めたキース・シャーディス国防軍予備役中将が、親衛隊幼年部総長に就任し、業務を引き継いだ。
ヒストリア・レイスの親衛隊幼年部総長交代には、一部からは怨嗟の声が上がったが、ヒストリア自身の熱望もあり、滞りなく執り行われた。尚、ヒストリア・レイス上級指導者の850年度最新の所属は、親衛隊第二師団『ライプシュタンダルテ・デア・フューラー』付き参謀長である。これは国防軍少将または中将に相当する大任であった。
加えて、親衛隊幼年部在籍中、第四期生のユミルが、同志コーバを通じてヒストリア・レイスの養子となり、その姓名をユミル・レンズに改めるという珍事が起きた。尚、これはヒストリア・レイスから同志コーバに提案した経緯もあり、ヒストリアとユミル…両者の間に不可思議な絆が芽生えていたことは全くもって微笑ましい偶然の産物であったと言えよう。
◇
地下壕大広間での特別徽章授与式典には、上位十名の内八名が参加し、二名…ライナー・ブラウンとベルトルト・フーバー…が『体調不良』を理由に辞退した。
首席アニ・レオンハートは、参加を希望し、また首席であることを鑑みて上位十名を代表し、式典の場を借りて同志コーバ個人への忠誠宣誓を執り行った。
大粛清を終えて、肌寒い春の訪れる季節に、式典会場となった国会議事堂地下壕には熱気が充満していた。
特別徽章を、同志コーバが一人一人に直々に授与、握手した後で、親衛隊幼年部第四期生の忠誠宣誓式が厳かに始まった。
代表・首席アニ・レオンハートは一列に並び、誇らしげに胸を張る八名の中から一歩進み出るや、『心臓を捧げよ』の最敬礼を取り、事前に構想した通りの、伝統的口上を述べた。
「私、アニ・レオンハートは、ソヴィエト=ミットラント人民共和国の書記長であり、壁内人類及び全エルディア人人民並びに国家と民族の指導者であり、親衛隊・国防軍・人民保安部の最高司令官たる総統であるヨシフ・ヴェトーに無条件で永久的に忠誠を尽くし心臓を捧げます。私は如何なる時と場合にも、彼の命令と意志を尊重し、その命令と意志に無条件で服する用意があることを誓います。この神聖な宣誓は絶対的かつ永久的なものであり、もしも、この誓いに背くことがあれば、私はヨシフ・ヴェトー閣下と人民による国家が定める法に則った懲戒と、人民による軽蔑を甘んじて受け入れることを女神ユミルの聖名にかけて、ここに誓います。革命万歳!勝利万歳!同志コーバ万歳!」
アニの万歳三唱に続いて、爆発的な拍手喝采が巻き起こった。見事な忠誠宣誓は、紅蓮に染まりし自由の翼…軍旗…と、我らが同志コーバを前に堂々と全うされた。
喝采が沈静する頃、改めてアニに続いて、上位十名の内の残り七名による忠誠宣誓が、アニによるものと全く同様に執り行われ、全てが軍旗と、書記長兼総統たるヨシフ・ヴェトーにかけて宣誓された後で、第四期生上位十名への特別徽章授与式は無事に閉幕した。
◇
式典終了後、第四期生達には届出制での里帰りが許可された。実に三年越しの家族の元への凱旋である。
エレン・イェーガーとアルミン・アルレルトは、その胸にキラリと輝く…鉄十字を刻まれた鉄兜を象った…特別徽章を誇らしげに携えて、隣り合うシーナ内地の実家へと三年ぶりに帰宅した。
◇
エレンが少し緊張を抱えて、遠慮がちに実家の…一軒家の…ドアを開き、零れるような声で「ただいま」と言うと、そこには、少し老け込んで見える父グリシャの姿があった。
「エレン!お帰りなさい。三年ぶりだが…その様子だと、好いことがあったみたいだね…立派になって…ふふ、涙脆くなっているのかな?私も年だなぁ…」
グリシャはそう言って、エレンを抱きしめた。エレンは実感が遅れてやってきた様に、戸惑いがちに実の父を抱き返した。
「ただいま!父さん!俺、俺やったんだよ!何百人もいた四期生の中で六番だったんだ!見てよ、この徽章が証拠なんだ!」
エレンは少し目を潤ませながら、父に向けて指し示すように、胸を張った。
グリシャは眼鏡をはずし、目元を押さえながら、少し鼻にかかったような声で息子に応えた。
「あぁ、あぁ、知っているとも!今朝の号外でもう読んでいて、実は知っていたんだ!誇らしいよ、本当にッ…嗚呼、今もこうして生きて居られることが、どうしようもなく嬉しいよ!カルラ!カルラ来てくれ!エレンが帰ったよ!立派になって、私たちの元へ帰って来てくれたんだ!」
グリシャは泣いていた。その涙には、息子のエレンにさえ話し尽くせない深い理由が縒り合っていたが、それでも、とにかくグリシャは嬉しかった。
緊張と興奮で手汗で端々がくしゃくしゃになった号外を見せながら、グリシャは何度もエレンを抱きしめ、その頭に手を遣った。
間もなく、母のカルラが二階から降りてきた。つい今の今まで洗濯物を二階のベランダで干していたらしい。ストン!と編み籠を落として、カルラもエレンに駆け寄った。
「お帰りなさい。エレン…嗚呼、夢みたい…でも、本当に何はともあれ無事で好かったわ。心配したのよ?三年間も!本当に、本当に無事でよかった!三年ですっかり立派になって…ふふ、でもまだまだ子供なのね?母さん、そうだと嬉しいかな」
「母さん…俺はもう大人だよ!見てよ、軍服だって、こうして立派に着こなせてるでしょう?」
エレンが胸を張って、最敬礼をして見せると、カルラは微笑まし気にグリシャの方を見た。
「強気になっちゃって、でも出会ったばかりのお父さんにそっくりね。尖っちゃってまぁ…」
「カルラ!その話はエレンの前では止してくれ!父親の威厳が…」
「そうだ!お父さんもね、実はエレンみたいに昇進したのよ!」
カルラはグリシャの腕を引っ張ってくると、エレンを抱きしめて、グリシャを急かすように言った。
「本当なの?父さん」
「ふぅ~…あぁ、実はね、中央大学で教授をする傍ら、大学病院の院長兼医長に任じられちゃってね…はぁ、それはもう忙しくてね!」
「凄いや!中央大学と言えば、ゾエ学長の所でしょ!アルミンが知ったらきっと質問攻めにされるに決まってる!」
グリシャはエレンが三年間で成長したのと同じように、実績を重ねて、849年末には、同志コーバと同志ハンジ・ゾエの推薦で、ミットラス中央大学病院…壁内最先端の病院…の院長兼医長に就任していた。大昇進であったが、同時に実際に現場でランセットを振るう医者として、とても多忙な日々を送っていた。
年度末、業務の移行期間に設けられた休暇が、エレンの帰宅に重なったから、こうして家族三人が揃うことが出来たのである。スケジュールを管理する総務部長のモブリット・バーナーに、グリシャは心の中で何度も頭を下げた。
「まずは、改めてお帰りエレン!夕飯時まで、ゆっくり話を聞かせて欲しい!積もる話は山ほどあるんだろう?」
グリシャはカルラが台所に向かったのを見送ると、エレンの肩を抱いて、卓に向かい合って座った。
エレンは父の手の温もりに、じんわりと温かい気持ちになりながら、強く頷いて言った。
「勿論だよ!ジャンや、マルコ…新しい戦友も沢山出来たんだ!コニーとか、面白い奴も沢山いて、俺の世界は三年で、それはもう広がったんだ!」
◇
エレンが両親との再会を果たしている頃、隣の一軒家ではアルミン・アルレルトが、両親と祖父との再会を果たしていた。
「お帰りなさい。アルミン!どうだった?何か新しい発見はあったかい?」
「フフフ、お父さんったら燥いじゃって…それで!どんな発見に巡り会ったのかしら?」
アルミンの両親はエルヴィンが学長を務める科学技術アカデミーで飛行船開発の、父は設計技師として、母は実験を担当する技術者として活躍しており、半年前には既に、壁内で最初に空を飛んだ人間として一躍有名になっていた。
「父さん!それに母さんも!まだ背嚢も降ろしてないんだよ?少し落ち着いてったら!」
好奇心の強い両親に、帰還の報告より先に、どんなに真新しい発見があったのかと詰め寄られて、アルミンはたじたじだったが、それでも、どうにも嬉しい様子が隠せないでいた。
アルミンが困りながらも、眼を爛爛とさせて自分に詰め寄る両親に、愛情を噛み締めていることを、一人だけ見抜いている人がいた。
「父さんと母さんに捕まって、アルミンが困っておるよ。…だが、その様子だと、本当に実り多い三年だったようだね、アルミンや」
「おじいちゃん…うん。本当に、何から何まで、話し尽くせないくらい、沢山のことを学んできたんだ!」
学者気質な両親とは打って変わり、古本を集めては一人静かに知識を積み上げることを好む祖父を、アルミンは尊敬していた。そんな祖父に、文字通り心の内を見抜かれて、アルミンは自分がまだまだ子供らしいや、と少し照れくさそうに頷いた。
「実は父さんと母さんも報告があってだな!」
「そうそう、実は…」
アルミンの両親が揃って拳を作って、今にも壁内最先端の研究談義に花を咲かせようとしていると、間に入るように祖父が言った。
「おっと、その話は先ず夕飯をゆっくり食べてからにせんか?私はもう、腹ペコだよ…どうだね、アルミンも…今日は一日気を張って疲れただろう?」
祖父の有難い言葉に、アルミンは感謝しつつ、両親に改めて向き直ると真正面から抱き着いた。
「おじいちゃんの言う通りだけど…背嚢を下ろしてから、ちょっとだけ父さんと母さんの話を聞きたいな。いいでしょ、おじいちゃん!僕、本当に色んなことを、新しいことを学んできたんだ!父さんにも、母さんにも、おじいちゃんにも、そのことを話したくて話したくてウズウズしてたんだ!ね?お願い!ちょっとだけだよ!」
アルミンは背中の重い荷物を下ろすと、手に入れた特別徽章の話も忘れて、両親と、それから祖父と語り合った。
結局、アルレルト一家が何時も夕飯を食べ終わる頃になって、ようやくアルミンと両親の話が一段落ついた。話し尽くした気はしないが、流石に祖父も、それから両親とアルミン自身の腹の虫も鳴いて仕方がなかった。
「父さんと母さんが空を飛んだ話は一旦ここまで、さぁ、温め直したシチューを食べよう!今日の主役はなんてたってアルミンだ!昨日アカデミーの帰りに買っておいた鶏肉をゴロゴロ入れて煮込んであるんだ!お祝いと、それから寝るまで話し込む体力を恢復させなければ!」
アルミンの父はそう言って早速、アカデミーで開発したばかりのガス式コンロの試作品に火を入れた。
「試供品だが火力は十分なはず!スミス学長の御父上が設計したらしいが、大したもんだよ!私たちも負けてられないね」
アルミンは勢いのついた両親を困り顔で見守りながら、ようやく、我が家に帰ってきたのだと実感を得ていた。
ほろりと涙が出そうだった。思えばエレン以外とは面識もない仲間と共に、三年間もよく頑張ったものだと、今更ながらに思い始めていた。
「学科試験で二位を取った話をまだ聞いとらんかったな。なぁ、アルミン?」
祖父が温かい目でアルミンを見守っていた。キラリと胸元で特別徽章が光を放った気がした。
温かい家。三年ぶりの家族との再会。
アルミンは、どうしていいのかわからない程、今という瞬間が大切に感じられた。
「えへへ、一位はとられちゃったけど…そうだ、マルコの話をするよ!彼は凄い奴なんだ!僕、自信があったんだけど、最後のテストでも彼に負けちゃったんだ!」
負けた話なのに、アルミンは嬉しそうだった。三年間、本当に色んなことがあった。アルミンはまだまだ話し足りない様子だった。
シチューが温まる頃、制服を脱いだアルミンと両親が活発な議論を重ねていた。議題は『もっと速く』『もっと頑丈で』『もっと小さい』飛行船。そして、更にその先…飛行船よりも新しい空を駆る乗り物についてだった。
「アルミン、それから父さんも母さんも、折角のシチューが冷めてしまうよ?」
祖父はそう言い、匙を口に運びつつも、楽し気な三人を、温かい目で見守っていた。
◇
アンケートに含まれなかったフリーダやピークの話は、書ける時に書きますので。
面白かったら『ypaaaaaaaaaaaa!!!!!』又は『Sieg Heil!!!』を( `・∀・´)ノヨロシクお願いします。