進撃の赤い巨人   作:ヤン・デ・レェ

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共鳴者と傍観者 マルコ&ジャン

 

 

 

 

親衛隊幼年部第四期卒業生、その上位十名に見事入選したマルコ・ボットとジャン・キルシュタイン。この二人は全くの正反対の特徴を有していながら、不思議と意気投合していた。

 

その仲の好さは、皮肉屋で兎角、歯に衣着せぬ物言いをするジャンのことを、温厚で礼儀正しいマルコが誰よりも理解して接していたことに起因する。

 

何事につけても孤立しがちな…と言うより「俺に近寄るな」という険のある顔つきのジャンにとって、その実際の人間的弱さや努力家気質を理解して、気さくに付き合ってくれるマルコは盟友とも呼べる存在である。

 

時に、母親からの愛称が『ジャンボ』と言うことすら、ジャンはマルコに教えてしまうほどに、二人の仲は良好である。

 

しかし、何事も合わない部分というのは、エレン・イェーガーとジャンとの相性が合ったり合わなかったりするのと同様に、ジャンとマルコとの間にも変わらず存在した。

 

マルコとジャンの致命的な違い。それは「思想の有る無し」という一点に尽きた。

 

と言うのも、マルコは王政打倒以来、幼少期から変わらず熱狂的な同志コーバの『解放』思想への共鳴者であった。対して、ジャンは是と言って『解放』思想にも、反革命思想にも染まることなく、好意的な言い方をすればリベラルな、或いは思想無き…マルコの言葉を借りれば「弱い人のことを理解できる」…人物だった。

 

ジャンは物言いという点においては、良くも悪くも自分を曲げることのない部分が目立った。

 

事実彼は、『長いナイフの夜』において、急遽招集後、ミカサ・アッカーマン師団長率いる親衛隊第二師団、現『ライプシュタンダルテ・デア・フューラー』師団に編成され、彼女からの『反革命分子殲滅命令』に服する時でさえ、訓練課程を完全に修了していない自分たちを招集・編成した点、また同じ壁内人類に対して…その思想がどうであれ、銃を向ける点に疑問を感じていた。

 

ジャンの弱い部分とは、その疑問をマルコに愚痴としてこぼしていた点であろう。

 

ジャンは「なぁ、マルコ、師団長の命令に従うってのは本気なのか?」と、銃を握りしめながらマルコに言った。

 

これに対してマルコは、珍しく声を荒げて「反革命分子の処断は壁内人類生存のために、同志コーバが選択した果断な処置なんだ!」と叫んだ。

 

マルコの声は良くも悪くも響き、「同志コーバに心臓を捧げよ」という簡潔な文言で訓示を締めくくった、師団長であるミカサの耳にも届いていた。

 

ジャンは「眼をつけられたな…マルコの所為だぞっ」と短く零した。確かに、ミカサの視線の先にはジャンとマルコの姿があった。

 

マルコが堂々と胸を張る横で、ブレードを抜いたミカサが目の前まで歩いてくるのを、ジャンは生きた心地のしないまま直立不動で待った。

 

ミカサは目の前まで来ると、虚空を見上げて目線を合わせようとしないジャンに、敢えてその顔の真横から語り掛けた。

 

「人民には発言の自由が許されています。あなたは人民である以上、その権利を保障されている。けれど、同時にあなたは親衛隊の一員として、その隊規に従う義務がある」

 

「仮に、あなたが隊規を忘れていたとして」

 

「では、あなたは何の為に招集に応じたの?何のためにここにいるの?」

 

「私はあなたよりも強い。絶対的に強い。けれど個人の強さなど問題ではない」

 

「親衛隊は集団の強さを発揮するために、今日まで励んできたはずです」

 

「命令に服さない特別な理由、或いは何か疑問な点はありますか?」

 

ジャンは「ありません!」と声を搾り出した。

 

ミカサは「よろしい。では、殲滅作戦開始」と言い、ジャンの前から去っていった。

 

以来、ジャンはどういう因果かこの時の経験からミカサに対して、恐怖と憧れを抱くようになってしまった。マルコ曰く、「それはそれで思想かもね」とのことだが、ジャンに自分が何か特別に信奉するものがあるという自覚は芽生えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

上位十名に対する特別徽章授与式を終えて、ジャンとマルコはそれぞれ、里帰りを希望する書類を提出し、これは何の滞りもなく即日受理された。

 

成績抜群とまでは言えなかったが、立体機動や筆記、更には新たに追加された射撃訓練においても、常人以上の成績を収めたジャンにとって、特別徽章は確かに誇らしいものだった。故郷に錦を飾るという言葉の通り、母親に今度こそは『ジャンボ』とは呼ばせまいと誓って、ジャンはマルコと一旦別れた。

 

対するマルコにとっても、特別徽章は…ジャン以上に…特別な意味をはらんでいた。それは言うまでもなく、『解放』思想に、そして同志コーバへの自身の忠誠心を証明する物として、初めて形ある何かを授与されたという意味で、である。

 

授与式典では、同志コーバ直々に、その胸に徽章が授与された。

 

そして、握手をすると共に、同志コーバよりお言葉を頂戴したのである。

 

同志コーバは笑顔で言った。

 

「同志マルコ・ボット君、筆記試験では一位として抜群の成績を修めたと聴いているよ?素晴らしいことだ。ジナエ町出身とのことだが、今年はローゼ内地南区からの志願者も多くいた中で、君は中でも最高の成績を修めたんだ。ご家族にも是非とも報告してきたまえ。君のような聡明で優秀な士官候補生を親衛隊で確保できたことは、私個人にとっても、国家と民族にとっても何より名誉なことだよ」

 

マルコは自身の出身地だけでなく、同志コーバが知り得る、付随する総合的な情報量に圧倒された。同志コーバの『言葉』はその場凌ぎのものでも、マルコにのみ限定されたものでもなかったことが、首席から順に『言葉』をかけ続けていたことからも明らかだったからだ。

 

マルコは感激して涙ぐんだが、首席アニ・レオンハートによる忠誠宣誓を聞き届けてからは、自らも負けじと声を張り上げて同志コーバ個人への忠誠を誓った。

 

そんなマルコの横で、ジャンは誰よりも小さい声で、淡々と軍旗と国法に掛けて同志コーバへの忠誠を誓っていた。

 

熱烈な『解放』思想への共鳴者たるマルコ・ボットと、好く言えばリベラル…悪く言えば陳腐な悪にも善にも傾き得る、群衆の中の一人としての自覚を持つジャン・キルシュタイン。両者の間に結ばれた数奇な友情は、しかし、思想と言う点を除けば他の誰よりも堅いものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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