XXXX度目の目覚め
何度、繰り返したのだろう。
何度、この問いを己にしたのだろう。
もう分からない。分かる事は、今回もまた繰り返したという事実。繰り返したという事は、何かをしくじったか、何かを終えたという事実。
何をどうしくじったのか、何をどう終えてきたのか朧げな記憶が緩やかに、穏やかに合一してゆく。
無数の記憶と経験、苦痛と苦渋、あらゆるものが綯い交ぜになったそれを受け入れ……自意識を取り戻してく。
「登録番号 Rb23、識別名 レイヴンによる認証を確認。」
聞き慣れた声が、何度経験しても慣れない意識の混濁から、ゆっくりと覚醒へ導いてゆく。
うんざりは、しない。いや、ある時期はしていたけれど、次第にこの音声の主に対して妙な憐憫を覚えるようになり、そしてある時期は"戻ってこれた"事への安堵を与えてくれたからだ。
好き放題やった末に、派手に足を踏み外した事があった。或いは、戦いの技量も覚束ない頃に死ぬより酷い目に遭わされた。その時の事は今でも思い出したくはないし、今はもう思い出せないようにした。トラウマが刺激されれば思い出す事もあるが、それももう、長らく無い。
「安否不明状態を解除。ユーザー権限を復旧します。」
時に、初めての友達を焼き払った。
時に、友達のために大切な人を裏切った。
時に、
どの選択も、確かに私の選んだ選択だったのだろう。けれど、定められた筋道からは逸脱しない。
「傭兵支援システム「オールマインド」へようこそ。レイヴン、貴方の帰還を歓迎します。」
借り物の翼が大罪人の名として世界に刻まれた事もあれば、解放者の名として焼けた空の希望を灯す事もあった。
それら二つすら選ばずに、世界へコーラルを解き放った事も。全てを見届けて、戻ってきた。戻ってきて、理解した。
私はもっと、大切な人達と生きていたかったのに、どの選択でも沢山死んでしまう。大切な人達が、生きていてはくれないのだと。
認められずに模索した、認められずに逃避した。逃避の末に、もっと好きで、大切な人が増えてしまった。或いは、もうみんなに生きていてほしいなとすら思うようになった。
「認証は通ったようだな。お前には十分な経験がある。この惑星にもすぐ適応するだろう。」
初老の男性の、とても落ち着く声が耳によく通る。私の、
先の妙に人間味のある機械音声が、自分でない自分と今の自分の摺合せを行うためのインターバルなら、この声は反省と実行のための時間。自分でない自分から、渡されたバトンを握り直すために自身を落ち着ける声。
この繰り返しの結果、大きく変わったものが一つ。最初から、ある程度の"背景"を背負うようになった。
元々私は、AC乗りとしての実力はそれほどのものでもなかった。なかったが、果ても見えない繰り返しが否応なく実力を養わせ、そして身についた経験が"最初からそうだった"事に変わっていた。
不思議で不可解な現象ではあるが、恩恵もある。私のご主人……ウォルターが、それを踏まえた評価をしてくれている。信頼の下地が、一定量存在している。
「早速だが仕事を取ってきた。確認しろ、621。」
いつものように、最初の実績作りが始まる。いつだって、ここからじっくりと始まってゆく。
今度こそ、今度こそは……私の大切な人達が幸せになれる、そんな結末を選び取る。そのためにまた、受け継いだんだ。
「うん。わかった……よ、うぉるたー。」
見つけに行こう、私の答えを。
初投稿です。
書けばケツに火がつく、システムはそう判断した。
AMばりのガバガバ見切り発車の拙作ですが、それでもよろしければお付き合いください。
最初に申しておきますが当方の621は白髪ロリです。