HI-32: BU-TT/Aは二回まで攻撃できるので本日二回目の更新です
【新着メッセージ 3件】
抑揚のない無機質な機械音声が、誰かからの伝言の着信を告げる。多分、何となく
「ケッ……余計な事しやがって。てめえが手を出さなくたって、ヴォルタの野郎は自力で切り抜けられた。レッドガンを舐めんじゃねえ、あれは土着共が少し想定より数で勝ってただけだ。」
まあ、予想通りの相手だった。虚勢でも何でも、別に構わない。ただ今は、このメッセージが
「ガリアのダムでの借りはヴォルタと絶対に返す、そん時までせいぜいくたばるんじゃねえぞ。」
……本当に、めげない人だ。私はなんだか、その心が羨ましい。私は……幾度となく、数えきれないぐらい、
そんなイグアスでも、
寧ろ、好きなのかもしれない。いいや、好きな人の一人でもあるのだ。じゃなければ助けようなんて思わない。
実際、
羨ましいな。
「……ふん。さっきは世話になったな、
こっちも予想通り。……でも、ちゃんと生きている。うれしい。
未だ現実感のない、浮足立つ、そんな感覚の狭間にいる。だからこそ、確証を持てる言葉がすっと染み入ってくるようだ。
ハンガー内のACを整備する、ごちゃついた機械音も心地良い。とはいえそれの大半は
「命を救ったみてえな思い上がりなんぞするんじゃねえ、次に会う時は敵じゃねえ事をせいぜい祈ってやがれ。……じゃあな。」
今の私に、感情は希薄だ。それは間違いない。思考上は豊かに見えるが、見えているだけに過ぎない。内面と外面で大きな乖離がある。
だからこそ、内側だけでも喜びという残滓をなぞり、浸る。そうすることで、
大丈夫……大丈夫、今度こそ、もう私は絶対に間違えたりしない。自分自身の未来を選んでみせる。
「
……ミシガン総長直々のお言葉だった。ちょっとびっくりしたが、あの人の性格を考慮すると、まあある話か。
ベイラムの歩く地獄とか色々言われる人でもあるが、その実態はとてもとても優しい人だ。誰一人として隊員を粗末にせず、忘れず、そして―――だからこそ、本社に悪し様に扱われる人。
助けないといけない、あなたも欠けてはならない。絶対に、絶対にあなたに受けた恩の数々は忘れてはならないと叫ぶいつかの私がいる。無論、今の私もそうしたいと思っている。
「借りを返したつもりかどうかは知らんが、その心意気を買ってこの
あ、それはすごく嬉しい。621以外につけてもらった、2つ目の名前だ。
「ヴォルタの野郎がふざけた返事をしていたようだから、奴にくれてやった拳骨の代わりに俺が礼を言ってやる。遠足の同伴、ご苦労だった!この経験は奴の尻をカチカチ山の如く大炎上させた事だろう!」
……ああ、殴られたんだ、なむ。いたそう。ぜったいいたい。
ぷっくりと餅のように膨れ上がったヴォルタの頭部を想像し、手を合わせて祈っておいた。
【強化人間 C4-621 通常モード移行。】
一呼吸置いてから、
「621、今回の命令違反については……お前の選択を尊重し、不問としよう。結果として、損なった成果により得られた筈の名声を……穴埋めする事が出来ただろう。」
本当に甘い人だ。普通なら、あんな命令違反は即刻処断を下されても文句一つ言えはしない。それだけの事をやった自覚はある。
なのに、糾弾もせずこうして私の意志に従って、しかもそれで
「うぉる、たー。ごめん、なさい。……でも、ありがと。」
「……。お前が後悔しなかったのならば、それでいい。だが、次からは……俺に言ってから行動しろ。ちゃんと仕事として取れるよう、こちらで掛け合ってやる。」
……それは、その、ちょっと色々無理そう。"あなたはこれから死ぬから助けるために参加します"とか、普通にド級の電波発言にも程がある。
困った。折角ウォルターはこちらを尊重してくれようとしているのに、
し、しのびない……。
「うん……しんぱい、かけて、ごめん、なさ―――」
ふと。あたまが、ぷち、ぷち、ぷつり、ぶちんと音を立てた。
これは、なに―――?あつ、い?―――い、いたい……?
「……!?621、どうした、しっかりしろ、621!」
ああ、だめ―――いしき、もたな―――
【強化人間 C4-621 脳波に脆弱性を検出。バイタル低下、応急処置を実行。】
その機械音声と共に、意識が
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たった一つの依頼、たった一日の出来事にしては、今日は多くの事が起こりすぎた。明確に言えば、依頼を二つもこなし、無補給でやり切ったというのだから驚くばかりだ。
解放戦線へ肩入れしたかと思えば、何処に鹵獲されたかも不明なC兵器が襲いかかり……それを的確に捌いたかと思えば独断で「壁」へ移動を開始。
何故かと思えば"助けたい"というのが動機で、そもそも「壁」を落としにかかったレッドガンが壊滅寸前だと感じ取った嗅覚も尋常ではない。
多くの予測不能の事態があったが、何とか向こうに掛け合って話をつけ、撤退支援を行うためにギリギリの戦いを……621は制して見せた。
途轍もない働きぶりだ。特に最後の驚くべき動き―――"FCSを手動照準に切り替え"、あまつさえ"人体負荷を無視した上半身転換をした"上で、"移動先を完全に読み切って攻撃を置いた"のだから、驚嘆に値する。
末恐ろしいまでのセンスと実力である、そう評価せざるを得まい。間違いなく俺の約束を果たすための、仕事をやり遂げるには無くてはならないのだと理解させられた。
621がいるならば、最早企業一つぐらいならば敵に回しても大立ち回りで撃破して見せるのではないだろうか。そんな大げさな錯覚さえも覚える。
……だからこそ、俺はその重荷を、こんな
「うん……しんぱい、かけて、ごめん、なさ―――」
だからこそ、せめて621を大切にして……こいつの望むことを沢山してやれれば、せめてもの償いに、なろうかと思考を巡らせた瞬間に。
目の前で、頭からたらりと血を流す621がそこにいた。
「……!?621、どうした、しっかりしろ、621!」
慌てて駆け寄り、意識を手放し力なく倒れんとする621を受け止める。唯でさえ身体の弱い621の肉体が、酷く熱を帯びている。
尋常ではない様子に気が動転する。痛みも抑制されている筈の621が、いつかのように苦痛と苦悶に顔を歪めている。
【強化人間 C4-621 脳波から脆弱性を検出。バイタル低下、応急処置を実行。】
俺の焦りをよそに、COMが621に取り付けられたスーツのマシンから粛々と緊急の生命維持と処置を実行する。
……助かったと言わざるを得ない。だが、このままではいけない。まずは俺が出来ることを済ませなければ。
「……これで、いいか。」
生命維持に必要な処置を一通り済ませ、ベッドに横たわる621を見守る。呼吸は安定し始め、バイタルも安定した。
思えば、
その上で、更に負荷のかかるような動きをした……そう考えるしか、この惨状に説明をつける原因が見当たらない。
果たして621が、この結果を理解した上で使用に踏み切ったのだろうか。だとしたら、それ程までに621を突き動かしたというのか。
……目が眩む程の無垢な想いと、それを叶える実力の程、そして……危うさ。己の身すら顧みない断行に、ただ……自分の写し身を見ているような、そんな感覚ばかりが深々と積み重なってゆく。
何故、俺はこのような少女を使わねばならない。俺は、何故こうまでして使命を全うせんとする……いや、それでも約束は、果たさねばならない。
果たさねば、ならないから……こそ。己の無力とままならない現状に、打ちひしがれる。俺は、何と無力なのか。
「621……すまない。お前は……本当なら、もっと……。」
無意識に口から出た贖罪と共に、そっと手を握ってやる。か細い、か弱い、あまりにも小さな手だ。俺の枯れ細った手よりも遥かに脆い。
脆いというのに、ああも強い。ああも……気高い。己の罪業全てが照らされるような、そんな眩しささえも……覚える。
許してくれと、誰が言える。誰に許しを乞う権利がある。この苦しみを、どうすればいい。いや、そんなものは最初から決まっている。俺はどうしようもない……屑でしかないのだ。
「うぉ、る……たぁ……?」
「621!目が、覚めたのか……。」
弱りきった、小さな機械補助音声に心臓が跳ねる。今はただ、無事であった事を何よりも、ただ喜ぶだけだ。
「わた、し……ま、た……しんぱい、かけた……?ごめ、なさ……。」
「いいんだ……いい、構わない……621。だが、あんな無理は―――……出来れば、しないでくれ。俺が、そうならないように……手配する。」
"するな"などと。誰の口が裂けても言える筈がなかった。その無理をこれから幾度となく強要する事になるのは、俺だ。俺しかいない。この
だが、それでも621は、俺の背にあるものを見透かしてか、手を伸ばし慰めんとする。
「だい、じょ……ぶ。うぉる、たー……わたし、がんばる……よ。しんぱい、しな……いで、いーから、ね。ま、かせて……。」
……俺の想いに、応えんとする。そのあまりにも弱く小さく無力なはずの手で、何よりも強いその手を以て、俺へ触れ、助けんとする。
大きすぎる。その度量と、優しさと、眩しさは。俺には……余りにも、過ぎたものだった。
そしてそれを無下にする事すらも、罪深い俺には許されない末路だ。甘んじるしか無い、甘ったれるしかない。こんな少女に、俺は……。
「……ああ。621、お前は……お前だけが、俺の唯一の……猟犬なのだから。だから今は、ゆっくりと休め……。」
「う、ん……おや、すみ……うぉる、……た……―――」
程なくして、穏やかな寝息が聞こえてきた。落命するような大事に至らず、心の底から安心した。
そして―――
「……うぉる、たー……ぱ、ぱ。わたし、たすけ……る……。」
……俺を
「……その言葉は、俺には、荷が勝ちすぎる。」
ただ、あまりにも救いと言うには―――目が眩んでしまうように、眩しく。
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「さて、俺は俺で……やるべき事をしなければな。」
容態が安定し、静かに眠っている間、やるべき事を済ませておくとする。
そう思い、口座を確認して溜め込んだ財産から振り込もうとした所―――
「……何だ、これは一体、どうなっている?」
―――
621
前回みたいな無法に強いムーヴがタダでやれていい訳ないだろ!
それでも621を重用しないといけない状況によりごすは更に曇る
ごす
621が無法に強いのはいいけど、無理をするとボロボロになるので曇らせが加速する
といった所でいきなりとんでもない周回&Sランのための試行錯誤が齎したカンストCOAMが目に入ってぶったまげる事に
ヴォルタ
621が通信で声出し上に「このつら」でちゃっかり面見せちゃったので中身を知った、そんな奴にボコボコにされたた上に助けられたため割と複雑な心境。おまけでごすの評価が本人の預かり知らない所で「いたいけな幼女すら手駒にしてるクズ」へ下がった。かわいそ……。
イグアス
作中きってのツンデレメインヒロイン。ヴォルタから縁起でもない通信が入ってきた時点でどう考えても助からないと直感したのに、助けられたと知って滅茶苦茶ホっとしている。
一方で反骨心はメラメラと燃え上がる一方。野良犬ゥ……
ミシガン
滅茶苦茶義理堅い総長。ふざけた事を抜かしたヴォルタには拳骨をお見舞いし、余計な噛みつきを見せたイグアスには地獄のアリーナ100先で徹底的にシゴいた
カンストCOAM
COAMの使い先なさすぎない?ぶっちゃけ余裕で人生買い戻せる。