沢山の
作品の更新で報いることが出来るよう、私に出来る限りクイッククイックで行きます。
ほとんどのAC6小説でも主要人物や展開も大きく変わりだす転換期の名所、通称「壁」を落とします
「貴方ですか?レイヴンとかいう独立傭兵の代理人は。」
利発かつ落ち着きと威圧感のある、静かで凪のような声色が通信から聞こえてくる。
今回の仕事は、621をどちらの立場にも傾けないための、独立傭兵たらしめんとする為の参画だ。
前回の解放戦線への支援……は失敗したが、ダムでの裏切り、G4撤退支援、アーキバスグループへの仕事はあまり重要な位置づけのものを受けていない。
だが、それではいけない。飽く迄も621と俺は中立……どの立場にでもなれる、何でも選べる"独立"傭兵なのだ。重用されては飼い殺しにされる危険もある。
「ヴェスパー第2隊長スネイル、知己を得て光栄だ。」
企業が挙って「壁」を落とそうとしているのは周知の事実だ。あの場所はベリウスの中央部、当然ながら拠点としては最上であり、コーラル調査の強固な橋頭堡となる。
だからこそ、解放戦線も死物狂いで受け渡しを拒み、今に至るまで企業を退け続けている。ベイラムに関しては作戦が悪かろうが、それでもレッドガンの番号付きを見事押し返したのは事実だ。
「「壁越え」に参画したいということでしたね?技研の遺産を潰し、絶望的状況から重武装砲台を撃破しベイラムの番号付きを撤退させたそうですが、それが何だと言うのです。駄犬の飼い主如きが、厚かましいにも程がある。お断りです。」
押しも押されもせぬような、頑なな姿勢。聞き捨てならない発言を耳にしたが……言葉の節々から企業としてのプライドが滲んでおり、こういう手合は……"扱いやすい"。だからこそ、今は我慢する。
今までは想定外ばかりが連続したが、ここに来て想定通りの内容にしめたものだと内心ほくそ笑む。何よりこれは、極めて状況がいい。何故ならば―――
「今回も"
621の持っていたライセンス……"Rb 23 Raven"のもの。この身分にはいつの間にか"
青天井の財産を目の当たりにした時は度肝を抜かれたものだが、その後調べてみれば、このライセンスには驚くべき事柄が山程秘められていた。
今挙げた、天文学的なまでの財産。アリーナにおける実力証明のトップ。
しかしその全ては、事態を好転に導いてくれる。丁度、今のように。このように釣り糸を垂らせば、このような相手は……
「……ほう。貴方の駄犬にフロイトの代わりが務まるとでも?」
ほら見ろ、
「それだけの修羅場は潜り、何より
この手の相手は、まず間違いなく自社の戦力に絶対の自信を持っている。それを上回る相手がたった今、ここに居るのだ。
何時までも最高戦力に甘えきった攻略方針も、向こうとしては不本意だろう。自社戦力の試金石として用いたいという思惑もあると見た。幾らかの情報収集の末に、確かそう―――
「……まあいいでしょう、今回は
丁度、
────────────
「621、アーキバス本社から直々の依頼だ。企業達が「壁越え」と呼んでいる……そうだ、お前が昨日撤退を支援した作戦、その協力要請になる。」
頭は……もう痛まない。一日に満たない時間で復調出来るのは、強化人間と発展した治療技術の賜物か。作戦への参加が間に合ったことを感謝しながら、心して聞く。
内容はとっくのとうに知り得ているが、今回の作戦は……また沢山の事柄の引き金になる。
アーキバスからの注目、独立傭兵としての名声、そして―――ラスティとの邂逅。誰かの命を助けるという目的には関わらないものの、副次的に見れば多くの命に携わる切っ掛けだ。
要するに、
「私が立案した作戦に臨める事、光栄に思いなさい。」
とっくに全部頭に刻まれているブリーフィングの内容を聞き流しつつ、アセンを最適化してゆく。
今回の仕事は、アーキバスに顔を覚えてもらうためのものでもある。つまり名声稼ぎだ。なので、徹底的に―――
私の手は小さい。きっと解放戦線の一兵卒にだって遜れないものと大切なものも山程あるだろう。でも、残念ながら私はそれを
私はちっぽけだ。そして我儘で独り善がりだ。だから、
「―――先走り壁越えを果たそうとしたベイラム部隊は、ご存知でしょうが番号付きを除いてものの見事に壊滅しています。せいぜい犬死にしないように気をつけることです。」
部隊全部を助けようなんて、そんな事は出来ない。でも……だからこそ、
今確かに変える事の出来た結末に、
「ルビコン解放戦線の防衛拠点……通称「壁」を落とす。621、この前の借りを返してこい。」
「うん。まか、せて。しかえし、だ、R.I.P./R。」
「ミッション開始だ。まずは友軍アーキバス部隊の露払いを行う。街区への進行を阻むガトリング砲台と、その先のBAWS四脚MTを排除しろ。壁上からはこの前のジャガーノートが砲撃支援をしている、上手くかわしていけ。」
機動力重視の
「企業ども……何度来ようともこの「壁」は越えられんぞ!「コーラルよ、ルビコンと共にあれ」!」
その真意を読み違えられた可哀想な警句を聞き流し、あっという間に街区へ到達し正面の砲台を
「ガトリング砲台の破壊を確認、街区の制圧は友軍MT部隊が行う。621、目標四脚MTの排除に移れ……目標をマークした。」
そうして提示されたのは、1、2……5機。なるほど多い、これは多分キャノンヘッドを守って撤退成功したから、本来粘って破壊していたはずの四脚が破壊されていなかったのだろう。
だが、
「灰かぶりて、我ら―――ぐあっ!この独立傭兵、まさか昨日の……!!」
息つく暇は与えない、至近距離で
一機、二機体。手早く接近し更に三機―――途中で壁面に取り付いて昨日一掃した砲台を再び片付け、四機―――
「企業の、狗……化け物、め……!!」
「街区防衛部隊に報告!裏手と
えっ。
「BAWS四脚MTの排除を確認、街区における脅威は大きく減少した。次は隔壁から「壁」内部にアクセスし、上層部でジャガーノートを排除しろ。道中は閉所だが、お前ならばやれるはずだ。」
その言葉から信頼は感じ取れるのだが……えっ、もう一機のAC……ほんとに誰?
────────────
機動力に物を言わせ、裏手の警備を食い破るようにして散らかし、片っ端から杉風と嵐雪とプラズマミサイルを放ち蹂躙する。
企業にとっての重要攻略対象にして、解放戦線の要、「壁」。本来ならば私が此処に立って企業を退けねばならない場所を、私の手で蹂躙するのは快いものではない。
だが、全てはルビコンに新たな夜明けを齎す為、同志ミドル・フラットウェルが切り開いてくれた道だ。甘んじて同族殺しの誹りを受けるつもりで切り裂く。
今回の仕事は珍しく、あのスネイルが
しかしながら、目算より遥かに早いスピードで街区の制圧報告が上がっている。どうやら既に隔壁内部へ潜り込んだらしいな。
「聞こえるか、こちらV.Ⅳ ラスティ。速いな……どうやら話に聞く通りできるらしい。こちらもスピードを上げていく。」
噂によるところ、独立傭兵……Rb 23 Ravenはあの
しかも、その救出戦は解放戦線の移動拠点であるストライダーの護衛……と言うには不慮の事故だったが、技研の遺産と一戦構えた後に一切の補給なしで急行しての事だそうな。荒唐無稽で信じがたい話だ。
だが、この仕事の手際を見るに噂は真実であると見た。恐ろしい戦力だ……これが仮に、
「―――V.Ⅳ、応答しなさい。スネイルです。突然ですが、そちらに今V.Ⅰが独断で向かっています。」
「成る程……うん?……は?い、一体何故?」
急にとんでもない報告が上がってきて、頭を横合いに殴られたような気分になる。い、一体何故だ?
「私に分かる訳がないでしょうが!……ええい、フロイトめ、また
……いや、理由なんて考えるまでもなかった。そうだ、そうだろう。長らくアリーナ首位だった自分を抑えて
たちが悪いのは、その
全く以て、とんでもないオマケが付いてきてしまったものだ。元アリーナ首位とアリーナ首位、内情をよく知る私……自負するのも何だが、とびきりの精鋭三名に襲撃されるなど、たまったものではないだろうな。
などと思いながら、裏手を蹂躙しつつ上層部へと侵入を開始する。
────────────
さて、果たして一体ラスティ以外は誰が来ているのだろうか。もし敵ならば……まあ、今回は
隔壁にアクセスし、吹き付ける雪風を機体で感じながら―――降り立つ影を目視する。
「……!君がレイヴンか。……
特徴的な流線型の機体に、軽量上等の武装構築。穏やかさと渋さ、その内に秘めた
一段、心臓の鼓動が高鳴る。会えて嬉しいし、救わないといけない。……絶対に、あなたには
それと同時に、あと一機―――この識別コードは。
「お前がレイヴンか……ウォルターの猟犬、その腕前を見たくて来た。退屈させてくれるなよ。」
あー、あ~……あぁ~~~……。しまった、そうか。
失念していた。そういえば、
かなりイレギュラーだ。この状況、数える程度しか遭遇したことがない。本来ならば別の所で作戦実行している筈の人員だが、その機体の軽い損耗を見るに……
考えてもみれば、そうもなるか。何せ私はアリーナ首位、長らく頂点だった彼に代わっていきなり台頭してきた
勘弁してほしい。確かに
そういうのは……その、ちょっと困る。別に、戦っていて悪い相手ではないのだが……今目を付けられるのは、そんなに想定していない。
「予定外の参加者まで来ているが……これも巡り合わせだ。ともに……「壁越え」と行こうじゃないか。」
……だが、予定は変わらない。ある意味ここで彼に注目されるのは、後の事を考慮すれば好都合なのかもしれない。
であれば―――やる事は、
「重装移動砲台ジャガーノート、存じているだろうが正面から攻めるのは得策じゃない。スティールヘイズのスピードで撹乱する、二人は背後から叩いてくれ。」
いつもの申し出があって、率先して囮を買って出てくれる。如何に機動力に長けたR.I.P./Rでも、両肩の武装……つまり重量の兼ね合いで幾らか劣る。素直に彼に任せるのが得策だろう。何なら、突き詰めれば速度は逆関節より、ラスティの今使っている
無論そうする事で、
「言われるまでもない、こんな
正面からぎりぎりまで
「遅いな、欠伸が出る。」
畳み掛けるように
「えい。」
両手の散弾銃、両肩の拡散レーザーキャノン、両手の散弾銃、両肩の拡散レーザーキャノン。合間から常にロックスミスが
はっきり言って、
「魅せてくれるな……流石はウォルターの猟犬だ。」
「代われ、これでトドメだ。」
ダメ押しにもう一後退、再び躍り出たロックスミスが最後にレーザーブレードをひと振り―――爆散。
なんか、こう、過去嘗て無い蹂躙がそこにはあった。
「ジャガーノートの撃破を確認。「壁越え」は成功だ、621。」
でも、すっきりした。昨日はよくも
「……猟犬の戦い、見せてもらった。残党の掃除はこちらでやっておく、縁があれば、また会おう。」
「なるほど、そういう動きもあるのか……こちらに急いで正解だったな。」
その一方で、フロイトが興味深そうにこちらをじっと見つめている。ああ……うん、予想通りだけど目を付けられてしまった。計算外の計算通りだ。ちょっと困った。
「お前の戦い方……猟犬、ではない。猟犬はもっと追い立て、獲物に対して獰猛だ。だが鴉でもない……奴等はもっと狡猾に高く舞う。その動きは……。」
……だが、その好奇の眼差しが、ぐるぐると私を睨めつけるように見据えている。何か、分析されているような……いや、分析されているんだ。
この人は、
外、或いは敵に回している側からすればたまったものではないのだが、その貪欲である意味無頓着な在り様は、すごく……刺激的で、
「そうか。お前はまるで、既に見ているようだな。機械みたいで、しかしちゃんと人間だ。それも―――」
……み、見抜かれた?まさか、今の一瞬で?
「フロイト、スネイルから命令が出ている。あまり遊んでいると流石に大目玉を食らうぞ……すまないなウォルターの猟犬、彼はどうにも楽しくて興奮しているらしい。」
何かを言いかけた所で、ラスティが制止した。まあうん、多分命令違反ですっ飛んできたのだろうから、当然か。
心の中でラスティに感謝を述べながら、一息つく。
離脱していく二機を見届けながら―――作戦成功を噛み締めた。
621
ヴォルタを狙われたので全力の八つ当たり。結果として
ごす
優しいのは飼い犬にだけで、それ以外には毒づくのも口先でやり込めるのも辞さないイケおじ。スネイルみたいなのはやりやすそう。
スネイル
まんまと口車に乗せられた、だって図星だし……。挙げ句出し惜しんでた戦力が命令無視で遊びに来た、キレそう。
戦友
その戦いぶりから何か思う所があるようで……?スタンス的には
作中では微妙に噛み合ってないアセンとかでイジられがちだけど、普通に考えてアリーナの1位なんだから強くて当然だろ、という思想のもと強さが一段か二段ぐらい格上げされた人。目利きが凄すぎて621が周回してる事に気付きかけている。
ところで唐突に申したいのですが、ALBAフレームってカッコいいですよね、特に頭。現場からは以上です。
三人に勝てる訳ないだろ!!