アプデされた武器にも活躍してほしい!でもナーフ武器が主役のこの作品ではすごい困る!
ここで天才の私は閃いた、じゃあ両方いいとこ取りすりゃええやん、と。
よってこの世界では全パーツがナーフ一切なしでバフだけ乗っかります。大怪獣バトルだ!
いよいよCHAPTER2です また主要人物が増えて賑やかになるぞ~!
グリッド086侵入 わんぱくカーラ大暴走と可哀想なふたり
「あんだァ?見慣れたツラがシケたツラしてんなあ……ビジタぁ二人組がよぉ~~~……」
言葉の節々から、酒気を帯びたような酩酊感が伺え、何よりもその千鳥足が
私の彼に対する評価は、
そんな彼が此方と、
「ああ……。私の信用拡大のために、次は何処から借りるべきかと悩んでいてね……。正直、最近はあまり愛機との相性が良くない気がするんだ。」
片方は、ノーザーク。ドーザーでもないのに
片方は勿論、私だ。珍しくも二人揃ってグリッド086の居住区で、ぼんやりと外を眺めていた。
「ん……や、わたしは……ぼーっとしてた、だけ……。」
悩み悩んで疲れた私は、とうとうウォルターからも離反し、何をするでもなくRaDにビジターとして迎合していた。後から知った所話では、結局ウォルターの気遣いでカーラに面倒を見てもらっていただけだったのだが。
「おいおいおいおい、お前等なんでそんな暗いんだよぉ……俺まで沈み込んじまうじゃねえか、ちと話してみろや。何てったって、この俺は「無敵」のラミー様だ。相談事にだって無敵だぜ?」
間にどかっと座り込み、酔って紅潮している事を隠しもしないでお悩み相談を断行してくる。
「そうか、なら……今言った通りだ。ビタープロミスはいつだって、企業の最新製品を借り受け、その性能を喧伝することで信用を拡大させてきたんだ。だが、私の戦い方と今一つ……最近は噛み合っていない気がしてね。」
その一方、彼は常に最新の武装を用いる事ばかりに固執しているせいで、その時々によってはあまりにもちぐはぐな内容になったりもする。例えば、
或いはその逆で、EN出力や補正に秀でたヴェスパー開発のジェネレーターを積んでおきながら、全然EN武器を握っていなかったり。
「戦いが噛み合ってないだぁ?は、そりゃあよお……気合と気概が足んねーんだ、気合と気概!」
ばしーん、と強烈にノーザークの背をラミーが叩く。いたそう。
「うおぉっ!……つ、突き落とされるかと思ったよ。し、しかし気合と気概……とは?」
「サイシンセーヒン?とかなんだかわかんね~けどよぉ……重要なのはな、ココだよ
とんとん、と人差し指で心臓をつつく。豪快に笑いながら、片手に握ったスキットルを呷り、一息。
口元についた鮮やかな赤色の液体を袖口で拭う。コーラルだ、多分。
「そりゃお前はな、
『
「りゆーす、あんど、でべろっぷめんと……。」
「そうそれ!そのリーがナンタラでプーだ!つまりな、お前がモノを
何で養ってもらっているだけの居候の私が、所属して長い筈のラミーを差し置いてこんな注釈入れてる時点で色々どうなんだろうか、と思う。
そして、まだまだ言語能力に乏しい私のために注釈を入れてくれてありがとう、エア。とても役に立ちました。
いやでもドーザーだし仕方ないのか?……いやいや、仕方ないで済ませちゃ駄目な気がするんですけど。
「モノに、使われ……利用する。そうか……私は、利用しているようで、その実利用されて……。」
その言葉を受けて、ノーザークはぶつぶつと何かを呟き始めた。どうやらラミーの言葉は良い刺激になったようで、先程までの途方に暮れた様子はパッと消えていた。
「んで、ボスのお客人であるチビッコはどーしてそんなシケたツラしてたんだあ?言うてみ、ほれ、ラミー様に。」
「……。なんだか、いきてるいみ、あるのかな……って。ずっと、なやんでる。」
弱っていた私は、つい零してしまった。これがウォルター相手やラスティ相手、カーラやチャティの前であれば言う事は無かっただろう。彼ら彼女らの前で口にしたら、きっと負担になってしまうから。
私が一人苦しんでいて、私だけしか関わりのないこの無限の苦しみにきっと深い理由はない。そして解決策もきっとない。だから、そんな話をしたって、苦しめるだけなのだ。
じゃあ逆に、何で今零したのかと言えば、それは一周回って聞かれても構わないような相手だったから。この時点で、この二人にはさしたる思い入れはなかったから。
『……。レイヴン、私には貴女の苦しみを、どうすることも出来ません。ごめんなさい……だから、せめてどうか寄り添わせてほしいです。』
エアは、優しいなあ……。プライバシーもなく全部聞かれてしまうから、彼女にどうこうというのは諦めていた。諦めたからこそ、彼女の優しさも染みて、寄りかかってしまう。
この時は、自分の弱さが嫌になりそうだった。
「かーっ!か~~~っ!チビッコなのにそんな、お前そんな!おぉ、うおおぉぉぉ~~~ん!グスッ、グズッ……そ゛ん゛な゛つ゛ら゛か゛っ゛た゛の゛か゛い゛ま゛ま゛で゛え゛……。」
するとどうしたことか、急に号泣を始め、自分の事でもないというのに私の事を私よりも悲しいと言わんばかりに感情を発露させていた。
自分よりも大きい、男の人が、こんな事を。いきなり泣き始めている事も含めて、悩んでいる事がどうでもよくなりそうな衝撃を受ける。
『様子のおかしい人です。何故、急に泣き始めたのでしょうか。』
「ま、まって……どしたの、らみー……なんで、ないてるの……?」
「何と……貴女は、子供であろうに、これから沢山の信用を稼げるというのに、そうまで未来を悲観していると?」
先程まで悩んでいたノーザークもこちらに反応し、急に心配した顔を向けてくる。
金さえ絡んでいなければ、だいぶまともなのだ。金さえ絡んでいなければ。……そのギャップでちょっと調子が狂うし、だからこそ、その反応が意外にも嬉しかったりした。
「そりゃあお前……エグッ、こ゛ん゛な゛ち゛び゛っ゛こ゛が゛そ゛ん゛な゛こ゛と゛い゛う゛ぐ゛ら゛い゛い゛ま゛ま゛で゛つ゛ら゛か゛っ゛た゛ん゛だ゛ろ゛う゛が゛よ゛ぉ゛~~~!!」
「……貴女のような立場の強化人間が、如何な境遇からそうなったのかは察するに易い。だからといって、そこまで未来を悲観する事はない。安心してくれ、私のような独立傭兵だって沢山の信用を背負えるんだ!君だって、これから沢山の企業からその信用を貸し与えて貰える筈だ。」
号泣収まらぬまま、私の事を優しく抱きしめてよしよしと撫でながら感情を爆発させ、ひたすらに悲しんでいる。二人して、私の事を心配して、慮ってくれている。
一体何がどうなっているのだか、よくわからなかった。よくわからないが、よくわからないなりに、この人は自分に出来る形で私に
気がつけば、私の服背はラミーの涙でかなり濡れてしまっていた。ぐっしょり。あと、ノーザークの言うような形では間違っても信用されたくはないかなぁ……。
「う゛う゛ぉ゛ぉ゛ォ゛ん゛……こうなったら……えっと、どこやったけなあ……ここか?コッチか?コッチのほうがいいかなあ?……これもいいなあ。よし、これだ!」
一度涙を拭ってから、ラミーがやたらとポケットの多い作業服から何かを探し出し始め、取り出したのは中身の見えない一個のボトルだった。
それを開封した上で私に差し出してくる。
「……これ、なあに?」
「俺様
「おっと……それは、成る程、RaDの信用まで勝ち取ってしまうとは。やはりこうやって、私の信用が拡大していると実感するのは嬉しいことだな……頂こうか。」
不思議な匂いをしたそれを、受け取る。ちょ、ちょっとおもた……いや、中身が波々と注がれていて、それ以上に
特別な品を態々差し出してくれたのに、断るのもちょっと悪いので、我慢して持ち上げ……飲んでみた。ノーザークもまた、嬉しそうにしながら中身を飲み下してゆく。
『……!!あ、あの……れ、レイヴン!?そ、それは……そ、そんな……。わ、わた、わたし……レイヴンが、
「ふにゃぁ?……はへぇ、なんりゃか……ぽわぽわしてぇ、きもちぃ~……?」
「お、おぉ……?これは、なるほどこれが、コーラルドラッグ……。頂くのは初めてだが、アルコールとは違って……不思議な感覚だ。」
「ドーザー歓迎の儀、ナマのコーラルだぜぇ?勿論美味しく飲めるようにちっとばかり手を加えちゃいるがよお、解放戦線のボンヤリしたプーと違ってパチパチして気持ちいいだろぉ?」
あたまぱやぱやでぱちぱちぃしてぇ、しあわしぇ……。
「らみぃ~……こりぇ、おいひぃねぇ~♡もっとのんれ、いぃ~い?」
「へへへ、チビッコも気に入ったかぁ?そりゃ気に入るよなぁ、好きに飲んで好きに酔って、そんで……辛いもんパーっと忘れちまおうぜ?こんなちっちぇえのに、生きてるのがどうだこうだって悩むのはバカみてーだぜ。もっと、もっと頭クルクルパーでハッピーにしちまえばいーんだよ。」
「うへぇ~。もっといっぱいのむぅ~……んく、んくっ。ぷぁ……♡」
『れ、レイヴンが……わ、私達を、飲んで……。あ、あぁ……私と、レイヴンが一緒に……?私が、レイヴンの中に……。一緒になって……。』
「んにゃぁ~♡ふぇ、えへへへぇ~……ふわふわれぇ、なんらか、れんぶろーれもいぃ~♡」
「……ラミー、私は流石に気にした方がいいと思って聞くが、このような少女に原液で飲ませていいものなのか?」
「いぃ~んだよ俺がそうだったからなぁ!へへへへっ!」
「ねぇ~……ちゅうしよぉ?ちゅー、いっぱいしあわへになれりゅ、まほーのちゅー♡わりゃひが、これをのんれぇ……ちゅーでいっしょにのむのぉ♡」
「おいおい、口移しったあ随分とロマ……いやちょっと待てよぉ。何でこんなチビッコが口移しなんて事知って……?」
「というより、この泥酔具合はマズくないかな?ラミー。今にもグリッドの足場から身を投げ出して―――」
『れ、レイヴン!?待ってください、そっちに足場はありません!落ちて死んでしまいます!!』
「ま、待て待て待て待て!まずい!!やめろ頭クルクルパーでハッピーっつったのは俺だけどよぉ!ここまでパーになっちまうのは!!」
「落ち着け、落ち着くんだ!君が落下死だなんてしたら恐ろしい損失だ!私達がカーラさんからの信用を尽く失ってしまう!!」
「……といれぇ。」
「ちょっ、今ここでか!?が、我慢してくれ!落ち着け、トイレはここじゃな―――お、俺のオキニの作業着がぁぁぁーーーッ!!??」
……私はあの二人の、あの後のことをあんまり覚えてはいないのだけれど、少なくとも死んでほしいとは思わない程度に優しかった事を、確かに覚えていた。
一癖も二癖もある、関わる機会も殆どない。切っ掛けも薄ければ、たった数度しかまともに話した覚えもない。でも、やっぱり死んでほしくないな、って絆されるぐらいに、あの一瞬で寄り添ってもらったのを覚えていた。
あと、何故かこの後カーラに死ぬほどどやされた事も。
────────────
「見ろ、621。逆流から引き起こされたコーラルの局所爆発……その拡散には一定の指向性がある。向かう先は……アーレア海を越え対岸に位置する「中央氷原」。」
休日という名を冠する、フロイトとの超強化合宿めいた模擬戦闘を終え、経過を見守った後に問題なしと判断された日。ウォルターから
あの戦いは、極めて有意義な結果を齎した。次に
今回、とても大きな出来事があった。そう、
その様相は、
無論、それで既存の武器が劣化するだ弱体化されただの事は一切ない。というか、別の製品売り込む為に売れ筋を弱くするだなんて馬鹿な話があるか。
という訳で、昨日の今日でありながら既にどんな武装をどう試すか、という事で悩みつつ、話半分で聞き流していた。どうせ聞いたことある内容なので、ごめんなさいウォルター。
『……改めて状況を突き付けられると、貴女の言った通りに事が進んでいるようですね。確かに我々コーラルは、中央氷原へ向けて移動を開始しています。』
「先の逆流に巻き込まれた影響は、概ね残っていないようだが……身体に不調があったら遠慮なくいつでも伝えろ、適切な処置を行う。」
無論、全く会話していない訳ではなく、
『コーラルを巡るこの戦いが、貴女の望む幸せな結末へ向かえるよう……ずっと全力でサポートします。まずは、そのためにも集積コーラルへ向かう準備を進めましょう。』
封鎖機構に抹殺を命じられていようが、日和見をする暇はない。コーラルを巡る争いは、私が何をしても進行する。その進行に関わり、食い止め、生かしていくには
「621、俺はこれからしばらく野暮用で外す。中央氷原に向かう件については、企業に情報を売ってパトロンが付いてからだ。戻るまでの指示を出す、ヴェスパーの所でまた模擬戦闘をしたり、或いは
ウォルターは既に不在のため書き置き、ならぬ置きメッセージを聞き終えてから考える。……あ、あれ?お、おかしいな。ここって普段なら、"暫く休め"って言われる筈じゃあ。あ、あれぇー?
『レイヴン、どうやら困惑しているようですね。ひょっとして、この指示は普段は起こらない話なのですか?』
はいそうです。な、なるほど……この前お邪魔した時に、そこそこ好感触だったお陰でウォルターとしてはヴェスパーへの模擬戦闘申請は
それと同時に、この話しぶりだとカーラには私のことを既に紹介しているようだ。……な、なんだろう、すごい嫌な予感がしてきたんだけど、気の所為?
非常に重要な事なのだが、そもそもカーラはOVERSEERである以前に、開発技術者だ。それもだいぶマッドな。具体的に言えば、
そんなカーラが、ウォルターの言伝で何かを頼まれているかもしれない?……。やめよう、今考えても始まらない。
『そうなのですか……ですが、貴女のハンドラーは予見通り暫く不在なのですね。こちらも想定通りに、ベイラムから依頼が一つ届いています。確認を。』
一先ずは目先の事、グリッド086への侵入。そのための口実にもなる依頼の確認と、今日のアセンを組む事だ。
『ベイラム・インダストリーからの依頼です。ウォルターが同社に持ちかけた、中央氷原におけるコーラル集積情報……その確証を得るため、あなたに先行調査を依頼したいとのことです。』
いつもの事、いつも通りの内容に目を通す。こういう変わらないものを見ている時は、目新しさもないが落ち着きはする。はっきり言うが、
今回は例によって、
幾度となく粉砕し、慣れた相手でもある
出来ることならば速攻勝負で粉砕するか、遠距離で近寄る事なくスタッガーでチャンスを取るかしたい。なので、両肩がワーム砲に占領されなくて済むのはそれなりに有り難い。ラミー、弱くてありがとう。
『広大なアーレア海を越える手段は、丁度今話された……カーラの待ち受けるRaDの根城、グリッド086上層のカーゴランチャーを利用しましょう。既に何度も経験している依頼のはずですが……何故でしょう、私も変な予感がしています。くれぐれも気をつけて、レイヴン。』
また、もう一つ―――大切な事もある。それを明示する為にも、
『これより、グリッド086に侵入します。システムにバックドアを作成、垂直カタパルト ロック解除。スチームシリンダー接続―――射出します。』
グリッド086の最下層から、一気に下層部まで。慣れた手……手?つきでハッキングをしてもらい、長距離垂直カタパルトで上方向へと一気に跳ぶ。
勢いのままに前方向へ機体を寄せ、丁度そこにある足場へと
『さあ、レイヴン……仕事を始めましょう。』
「いこ、R.I.P./R、えあ。」
【メインシステム 戦闘モード起動。】
肉体の全ての感覚が、ぶわりと機械の四肢へ置換される。今までがそうであった以上に、指先一つ、血管一つに至るまで仔細なフィードバックが齎される。
フロイトとの長時間に至る戦いは、私に
―――ACとの完全なる合一によるマニュアルエイム化。私が今まで誰かを救う為に、特にヴォルタを救い出す時のジャガーノートとの戦いで最も酷使したこの技術を、完全に我が物へとする為の儀式を行ったのだ。
ナインボールの存在は、私に大きな危機感を覚えさせるに相応しいものだった。今までの常識に囚われない、より独自の強みを活かす必要があると強く思わせた。
私にとって、唯一無二と成り得るもの。考えついたのは
無論、これはデメリットもある。まず私の脳に莫大な負荷がかかり、長時間駆動により身体的負傷として現れる事。が、これは彼との長時間スパーリングで
もう一つの難点は、
だが我慢出来なくはない、よって歯を食いしばって耐える。以上だ。
『マーカー情報を送信しました、上層に繋がるリフトを目指しましょう。』
「ん、おっけ。」
前方向へとAB、勢いよく前進しながら
撃破確認、獲得COAMのスコアが視界の端に映り込む。ちゃんと倒せているし、ちゃんと当たっていた。
ACの戦いというものは、基本的にFCS、ならびに照準追従性能へ強く依存している。視界の正面に敵を捉える必要がある代わりに、強烈な自動補正が働き、相手の回避にすら補正を利かせ追従するのだ。
危険アラート機能もまた、敵機FCS制御下による照準ロックを検出して行われている。つまり翻って言えば―――
機械も人体も、そういった検出機能に大きく影響を受ける。
だが、その条件反射を齎す条件そのものが撤廃されればどうなるか。そうだ、先の
……なんでフロイトは一割も勝ってるんだろう、こわ……。しかもこれ、私がまだ順応しきってなかった序盤ではなく、しっかりと適応した後半での話だ。冗談きつい。やはり、伊達に最強の名は背負っていないのだろう。
無論、FCSによる自動補正の一環である先読みに合わせた攻撃追従は行われないが―――これも、
敵機の回避方向、回避手段、EN残量を見て回避可能かどうか、そういったものは良く観察すれば分かる。そこに合わせてただ、攻撃を置けばいいだけだ。簡単でしょう?……いや全然簡単じゃないんだけど。
といった所で、今回は丁度いいのでこの技術を慣らすために、割と長丁場であるグリッド086での戦いで使っていこうと思う。
ラミーの所に至るまでの道中、短距離ではあるものの難なく敵機を殲滅し、そこにたどり着いた。
……が、ここで問題が一つ発生した。
「なんだぁ?見ねえツラだな……そうか、お前が
見たこともない武装―――マッドスタンプの両背部を、全く見たこともない
なにこれ。
『アリーナ登録情報から、機体名「マッドスタンプ」と識別しましたが……背部の情報がありません。情報未登録の新製品かもしれません、気をつけて。』
すごい嫌な予感がする!
「ボス、見ててくださいよぉ~……この「無敵」で「特別」なラミーのマッドスタンプが、客人をもてなしてやりますんで……それじゃあ、行くぜえ?」
『―――!?危険です、レイヴン!逃げてください!!』
その言葉と共に、
「俺の新生マッドスタンブ゛お゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛―――――――――
……その全身からアサルトアーマーの衝撃波を
な、何あれ……ふざけてるの?一発目から面妖な変態技術を見せつけられた……。これ、絶対カーラの作品だ。100%言い切れる。
折角彼を生かす為にワーム砲を一枠潰してまで肩に積んでいたというのに、これでは何の意味があって搭載しているのか分からなくなってしまった。いや、別に弱くないし寧ろ強いからいいんだけれど。
「ビジター!好き放題やって……ああいや、これはラミーの奴が好き放題やった感じかね?あんたのハンドラーから話はされているだろうが、私の歓迎は気に入ったかい?」
「なに、あれ。」
「ふっふっふ……あれは私謹製、アサルトキャノンだ。アサルトアーマーを前方向に指向させ、ぶっ放すっていう笑える兵器……の予定だったんだが、こりゃ機体ごと飛んでいっちまったか。」
へ……変態だ。紛れもない変態だ。こんな変態技術と発想、絶対カーラだろうと思ったけどいざ突き付けられると変態としか言えない。
『……。レイヴン、貴女の話で聞くよりも、カーラという人物像に誤差が……その、相当な誤差があるようなのですが。普段からこのような、様子のおかしい事をしでかす人なのですか?』
違う……と、い、言いたい筈なのに言えない……。
『……貴女の波形から困惑の色を感じました。つまり、普段からこうではないのですね……少し安心しました。』
安心してる場合じゃない、絶対こんなんじゃ済まないって今回。どうなってんの……?
「ウォルターから話がついててね、あんたに
「……。」
う、ウォルター……うぉるたぁ~~~!
私は流石に激怒した。必ず、かの邪智暴虐のカーラとウォルターをおしおきせねばならぬと決意した。
私には兵器開発がわからぬ。私は、ただの強化人間である。機体を駆り、無限に人生を死に戻って来た。けれども今回に関しては、何てことしてくれたんだと怒っていた。
「私らRaDは来るものは拒まない。あのウォルターがよろしくと頼んだんだ、あんたに気に入って貰えるようせいぜい歓迎しようじゃないか。」
気が滅入る。私はこれからカーラのおもちゃにされてしまうのがほぼ確定してしまった。許さん、そしてやめてほしい。
『……。れ、レイヴン。恐らく今回はイレギュラーでしょうから、気をつけて行きましょう……。』
私の癒やしはあなただけだよエア。ありがとう、本当にいてくれてありがとう。心折れそう。
だが、その後も―――
「どうだいビジター!仮コード"OIGAMI"っていう、メリニットと最近共同開発した超巨大グレネードキャノンを搭載した新生トイボックスは!あっ、ちょっと待ちなよビジター……砲塔展開前に粉砕するなんて浪漫が無いねぇ……。」
有り得ないような大きさのグレネードキャノンを搭載したトイボックスを、肩にマウントしたパイルバンカーで展開前に粉砕したり。
というか、展開前のトイボックスの時点でびっくりするほど窮屈そうだった。
「さあ、見ていてくれカーラさん!あなたから頂いたこの信用……"試作型
ノーザークがはちゃめちゃにデカいブースターを背部に装着し、出会い頭に半端じゃあない速度で突っ込んで……遥か彼方へと見えなくなるまで飛んでいったり。
「どいつもこいつも不甲斐ないねぇ。ウォルターが目利きをした猟犬とは言え、あんた一人を雇った方が遥かに安く付きそうだ。で、どうだい?楽しんでいるかい?」
『……。レイヴン、私はなんだか混乱してきました。』
私も混乱している、ついていけない……。
といった事があってから。
「なるほど……あいつの目利きは確かなようだ。分かった、あんたの実力は分かったよ、ビジター。このままじゃグリッド086が滅茶苦茶になっちまうし、降参する、通してやるから行きな。」
花火会場はいつも通りだったが、いつも通りすぎて不気味だった。そこを乗り越え、やっとの思いでクリーナーの前までたどり着いた。
ていうか、グリッド086滅茶苦茶にしてるの九割ぐらいあなたのびっくり箱のせいなんですけど。私のせいにしないでほしい。
エアの制御で飛んでくる補給シェルパで回復をしながら、一度深呼吸する。道中死ぬかと思った事は多々あったものの、内容的には寧ろ簡単になっていて、被弾そのものは全然していなかった。
正直
ここまで好き放題やっておいて、クリーナーが手つかず……というのは考えにくい。考えたくもないが。
若干及び腰になりつつも、最奥へと足を踏み入れんとする。
「ビジター……あんた度胸あるね、気に入ったよ。それじゃ、最後のおもちゃ箱をひっくり返すとしようか。ちゃんと楽しんでおくれよ?万一にもやられちゃあ、ウォルターにどやされるんだからさ。」
そう思うなら加減しろ馬鹿!!!
と言いたいのをぐっと堪えた。えらい私、ほめてほめてウォルター、エア。いややっぱウォルターは後でゆるさない。
……そして、嫌な予感はちゃんと的中してしまった。もう勘弁してよ~……。
最奥で構えていたのは、右腕に馬鹿でかいキャノンとそれに連結された外付けジェネレーターを搭載し、左腕はこれまた馬鹿でかい上に六連結したチェーンソーを構え、溶鉱炉があった筈の部分にはやはり馬鹿でかいレーダーを搭載した……もう原型が正面のキュートな顔?っぽい部分しか残っていない、見るも無惨なクリーナー君の姿だった。
へ、変態……。
「こいつはスマートクリーナーを改造して、試作中の……仮コード
せ、積載過多!積載過多!!クリーナー君がちょっと動こうとするだけで結構ギシギシ悲鳴を上げている!ていうか、あのキャノンやばい!!
既に発射準備をほぼ終えているキャノンの真正面から、ABを使用して全速力で逃げる。その後僅かな間を置いてから―――
ドガアアアアアアアアアアンッ!!!!
……と、半端じゃない破壊音を轟かせ、後方の広間と扉が粉々に粉砕されていた。じょ、冗談じゃ……。
『ど、ドーザーとはいえ、カーラはここまで手段を選ばないものなのですか……?あれは、解体作業を行う無人重機……の、はずでしたが、改造されていて原型を留めていませんね。どの武装も巻き込まれたら一溜まりもないでしょうし、装甲も厚そうですが……。』
そうだね、一つとして巻き込まれたらもう助からないね。でも不思議だね、弱点が丸見えな気がするよ。
もう、何も言うまい……。
「グレートクリーナーが笑えるのはここからだよ。さあ、
そう言って、かつて溶鉱炉があった部分に積載されたレーダーが輝きを増して、凄まじい範囲へとジャミングが放たれた。
逃げ場一つない、グリッド086全域を覆うのではないかと思える範囲のジャミングパルスに、あっという間でFCSが黙らされた。
……その、申し訳ないですが、それ私に全く効果ないんですけど。
「さあ、こいつは最初から最後の武器まで全部がとっておきだ。たんと味わいな、
「えい。」
FCSなしで的確に、両手に握り込んだ軽リニアの溜め撃ちを背部のジェネレーターへと叩きつける。
その攻撃で破損したジェネレーターで異常が発生したのか、右腕に接続された六連結チェーンソーから火花が散り、小さな爆発と共に連結部が破壊。
「なにっ?あんたFCS無しなのに、手動照準で」
「……もう、つかれた、おわりにする。」
そのまま隙を突いて一気に距離を詰め、肩にマウントしたパイルバンカーを溜め、その剥き出しの弱点へと遠慮なくぶちかまし、おまけでワーム砲で追い打ちをかける。
強烈な一撃でジェネレーターは爆発し、あえなくクリーナー君は動きを停止。相当ぎりぎりの出力で動かされていたのだろう、あっさりと物言わぬガラクタと化した。
破綻した設計の、妥当な末路だった。
『敵機システムダウン、完全停止です。』
「ああ、私の特製クリーナーが……。ま、まあいいとしようかね。どうだいビジター、楽しんでもらえたかい?あんたとは仲良くした方が賢明みたいだから、ウォルターの頼みもある。上層に行くん」
「かーら。」
「……。な、何だいビジター?」
「あとで、じっくり、はなそ?」
「……。わ、わかったよ、ビジター。」
今日この日は、歴代の周回の中で、最も酷い一日だった。
エア曰く、あの時の私には「日本という国の"
────────────
「ウォルター、ビジターについて一つ聞きたい事があるんだ。あいつの使っていたフレーム、実はあんたの愛機の筈のHAL82」
「カーラ。」
「……な、何だいそんな鬼気迫る声色で。あんたがそんな声を出すなんて珍し」
「621から暫く口を利いてもらえなかった。」
「……そ、それがどうしたんだい。」
「あの621がだぞ。お前、まさか何かとんでもない事をしたんじゃないだろうな?」
「……。」
「何とか言ったらどうだ。」
「ハイ。」
621
未処置で感情が希薄なはずの621、キレた!
というのは差し置いて、前回のフロイト君相手にものすごい技術を体得し、FCSすら不要となった、弱点は痛覚フィードバック。
エア
現状最大の敵と言えなくもないカーラが、稀に見るとんでもないはっちゃけを見せた事でカーラへの評価が大きく揺らいだ。もう何がなんだかわかりません……。
レイヴンがコーラルを接種した時の反応がかなりアブナイ奴だった。様子のおかしい私です。
R.I.P./R
実はカーラに対する牽制やミスリードの誘引を狙い、フレームが全身HAL826になっている。のだが、そんなのが全部どうでもよくなってしまう事ばかりが起こった。
ちなみにちゃんと効果はあったようだ。
AC完全同調
文字通り、ACと血管一本に至るまで一体化する完全集中状態。半端ではない負荷が脳にかかり、やりすぎるとブッ倒れる。挙げ句痛みが肉体に跳ね返る諸刃の剣。
ただし完全マニュアルエイムによる副次効果として、正面以外にも可動範囲が許す限り自由な攻撃が可能、アラート音が一切鳴らない、などの様々なメリットも発生する。フロイトはこれを使う621に対して勝率一割を誇った、怖……。
ごす
大☆戦☆犯
カーラ
全ての元凶、面妖な変態技術者。なお、グリッド086はカーラのせいで勝手に滅茶苦茶になった。
メリニット
共犯A。無茶苦茶気持ちいい花火を撃てる武器が作れて恍惚としている。
ファーロン・ダイナミクス
共犯B。こいつが一枚噛んでない訳がないのでやっぱり恍惚としている。
RaD
面妖な変態技術者共。ボスが楽しそうにしていたので全員ウキウキで共謀したが、何をやらされたのかはコーラル酔いでほとんど覚えていない。
チャティ
ボスが楽しそうで何よりだが、今回の一件でRaDの貯蓄の八割が吹っ飛んだ。これからは浪費を控えるべきだ。
ラミー様
何もしてないのに生存した男A、無敵のラミー。ただし全治一週間ぐらいの酷い怪我を負った。
ノーザーク
何もしてないのに生存した男B、借金王ノーザーク。ただし全治一週間ぐらいの酷い怪我を負った。
グリッドに勝手に隠れ住んでいるのを盾に、体の良い実験台としてこの周回ではこき使われている。ノーザークは信用の拡大と認識しているので実はWin-Winの関係。まさかそれがこんな事になるとは……。
クリーナー君
相当の被害者。ウルトラ積載過多だし出力ギリッギリだしでもう大変。
幻のオーバードウェポン、超広範囲ジャミングレーダーまで搭載していたが、出力不足の大部分はお前のせいである。
グリッド086
最大の被害者。カーラのせいで半壊した。
アサルトキャノン
面妖な変態技術の賜物A。ただし現状は調整不足でアサルトアーマーと共に猛スピードで光の弾丸と化してカッ飛んでいく不良品。
面妖な変態技術の賜物B。この製品の作成を持ちかけられた時、メリニットとファーロンは狂喜乱舞して二つ返事で受諾した。
試作型
面妖な変態技術の賜物C。殺人的な加速を特殊なパルスアーマーによって軽減し、ヤバい速度でカッ飛んでいく。こんなに速度いらねーよ!
試作型
面妖な変態技術の賜物D。当然ながら不明なユニット、しかしいつかはACに搭載するつもりで作っているカーラの本命作品群でもあり、だからこそクリーナー君に搭載した。621にぶっ潰されたので全部パアである。
無濾過コーラル
アプデについて
前書きの通り、アプデで強化された武器やパーツはその強化内容だけ適応し、ナーフは完全無視。好き放題レギュレーション!
えらいギャグ回になってしまった気がする。