喉風邪がなかなか治らないので投稿頻度が落ちそうです、暫くはだいたい日刊になると思います
「ビジター、その節は世話になったね。あんたを上層に案内する約束だが……その前にひとつ掃除を頼みたい。」
酷い目に遭った。心底酷い目に遭った。
何故ここまで暴走したのか、というのを問いただした所、「ウォルターから
未だ処置をしておらず、感情が希薄なはずの今でさえ怒りを覚え、超おこった。あとウォルターには数日口を利かない事にする。
……というのはさておいて、だ。今回の仕事ではイグアスが襲いかかってくるのと、AMの手先であるゴーストが横槍を入れてくる。
此処での彼は、引き続きちゃんと脱出レバーを引いてくれるタイプの戦いであるため、武装を気にする必要はない。いつも通りに、ただ蹂躙するだけでいい。
正直に言えば、前回は
なので、
「誰かさんが暴れてくれたおか」
「かーら。」
「……ハイ。私がビジターの歓迎会を張り切りすぎて、此方の不始末ながらうちの警備はボロボロだ。そこを突いてくる商売敵のドーザーがいるのさ。」
流石にその責任転嫁は許さない。反省しなさい。
「「ジャンカー・コヨーテス」……連中は私らを目の敵にしていてね、いつも嗅ぎ回り、隙あらば噛み付いて来やがる。今回は絶好のチャンスという事で、うちの開発データから協働先の情報まで全部ぶっこ抜くつもりらしい。設置されたハッキングドローンを全て潰さないと、RaDの機密情報が盗まれちまうっつう寸法さ。」
あれだけ散々騒ぎを起こしたのだから、そりゃあ連中にとっては付け入る隙にもなろう。この人ちゃんと後先考えてやってるんだろうか。
今回に至っては、何やらあの面妖な兵器の数々を開発するに際して
……いや、というかあの変態兵器共を盗んだ所で実用化するのか?あんなものを?……しないとは思うが、万一にもされたらたまったものではないな、うん。
「何とも卑しいことを考えたもんだが、その価値が分かってる点だけは褒めてやろうかね。さて、この状況はあん」
「だれの、せいかな?」
「……。私のせいです、誠に反省しております。……ただ、こういう時に少しは頼れた筈のラミーとノーザークまで故障中、チャティはカウンターハックで手一杯、私も右に同じで頼れるのはビジターだけなんだ。此処は一つ、恩を貸し売りするって事で頼むよ!」
これ以上イジると可哀想だし、話が進まない。あと、結局カーラを助けたいのには変わりないし、計画の為には
私の目的に対しての、現状最大の障害。コーラル焼却派、揺るぎない意志の持ち主。それを突き崩すには、私という計画を一人で覆すような戦力となるカードを意識して貰う必要がある。それも、強く強く明確に。
計画の第二段階、
『あなたのハンドラーに無断での出撃が連続していますが……これも計画の一環ですね。引き続き、私がサポートします。』
「ん。えあ、がんばろ。」
【メインシステム 戦闘モード起動。】
「始めるよ、ビジター!卑しいコヨーテ共に設置されたハッキングドローンを残らず破壊するんだ。」
牽制とミスリード誘発のためにHAL826で構成していたR.I.P./Rは、使い慣れた逆関節に差し戻しておいた。
先の戦いでグッチャグチャに半壊しているグリッドに降り立ち、肉体と機体の同化を体中で受け止める。感覚は研ぎ澄まされ、まるで己そのものが機体と化したような錯覚すら覚える。
ディスプレイ越しに視界に飛び込む
実に、悪くない感覚だ。強化人間かくあるべし。
武装構築は右手に
『レイヴン、貴女の事前情報を元にドローンの座標、ならびにグリッドのマップ情報をマッピングしておきました。是非使ってください。』
何度も周回を重ねているお陰で、大体何がどう、何処にどうあるのかを把握している。先んじてエアとやり取りして、ほぼ完璧なマッピングをしてもらった。
抜群の精度だ。流石エア、ずっとサポート宣言は伊達ではない。やっている事はほとんどカンニングもいいとこなのだが。
いつもならば隔壁にアクセスしている所を、当然ながらぶち壊れているのでそのまま侵入開始。目の前でふよふよと無防備に浮く機体へ先制攻撃、馴染みの顔である重ショットガンをノールックで叩きつける。
奥からの狙撃は横にQB、下に重ショを一発、前方へランセツをバースト射撃し粉砕。実に手に馴染む。
「セキュリティ突破状況は今のところ30%。……あの時のジャミングのせいでうちのファイアウォールが一部未だに寝ちゃっててね、数はせいぜい5機だろうけど侵攻が速いよ。」
全部自業自得じゃん、ほんとに何やってるんですかカーラさん。というツッコミを心中でしておきながら下部に設置されたドローンを撃って壊す。
『目標の破壊を確認、あと4機です。』
「早速ひとつ潰したようだね、その調子で頼むよ。」
いけしゃあしゃあと……いや、言うのはよそう。我慢我慢。
今までの、というか直接的に言うならば前回は何だったんだと言わんばかりに
このミッションの厄介な点は、グリッド086が入り組んでいる一点のみなのだが、その問題がエアと私の共同開発マップにより完全解決。ついでに、若干面倒な隔壁も粉砕なり何なりでアクセス不要で開通しているのだから、困る事は一切ない。
『これで5機。全てのハッキングドローンを破壊しました。』
途中にいた四脚MTも何ら問題なく撃破し、あっという間にズルして攻略完了。攻略マップは偉大だ。
「早いじゃないか、ビジター。ついでにカウンタープログラムも完走だ、連中と主要取引先のサーバーを全部焼いておいた。これでコヨーテスも、暫くは大人しく……」
ならないんですよね、
「待ちな。レーダーに敵影……増援か?」
『屋外からです。周回による事前情報が確かなら、AC ヘッドブリンガーが来るはず。迎撃に向かいましょう。』
前回はマトモなAC戦をこなせなかったので、これが少しばかり久々のAC戦となる。
ごめんねイグアス、あなたを実験台にしてるみたいでちょっと気の毒だけど、君なら
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ジャンカー・コヨーテス。数あるドーザー集団の中の一つで、RaDの商売敵。奴等が四六時中RaDへ嫌がらせを画策しているっつう話は有名で、今回の小遣い稼ぎも丁度その一環だ。
つい先日、RaDの根城であるグリッド086にビジターが一人押しかけて、見るも無惨な有様になるまで大暴れしたもんだとか。コヨーテスとしちゃあ棚ぼたで攻め入るチャンスが降ってきたっつう事になる。
最近ヘッドブリンガーの機体構築を大幅に弄り始めた俺は資金面に難が出ていたので、悪かねえと思ってこれを受諾。最近は丁度暇してたもんだから、良い機会だった。
―――が、問題が一つ。
「あ゛ァ……?てめえはガリア多重ダムの……。」
廃屋もかくやといった様相を呈するグリッドの出入り口から、
「ちょっとした小遣い稼ぎのつもりだったが……野良犬を潰せるなら、悪かねえ。」
お前を倒す為に、俺は強さを求めた。あの時の理不尽な蹂躙に対抗する為に、俺は
そっちが武装を変えたんなら、俺だって何もかも変わってきたんだ。今度こそは俺がお前に勝てるって証明してやる。
「壁越えの噂も聞いてるぜ……ますます調子に乗ってやがるってな。てめえはどうにも鼻につく……くたばりな、野良ッ……!?」
野良犬はヴェスパー部隊最強と名高い
ダムでケチを付けられ、壁越えには参加出来ず、いつの間にかまるで真逆の道を歩んでいるみてえだ。ふざけやがれ、俺とこいつの何が違う?同じ第四世代、同じ旧型、どうしてこうも差が出る?
怒りを込めて右手の軽リニアを撃ちながら、横移動
おかしい、アラートはどうした。ACの機体構造上、一定以上の脅威と認められる威力を誇る攻撃……即ちグレネードやバズーカ、溜め射撃なんかは
訳も分からず直撃を食らい、機体のACS負荷が一気に危険域へと足を突っ込む。どうなってやがんだ。
混乱の最中、牽制のライフル射撃が飛んでくる。これ以上集中して被弾するのは不味いと思って斜め後方にQB
「ぐうぅッ!?ど、どういう事だ!てめえ、アラート一つ鳴らさずに……!」
更に負荷が重なり、既にデッドゾーン。あと一発でも直撃を貰えばスタッガーは免れない領域まで追い込まれ、理不尽な状況を打破せんと苦し紛れにマシンガンの弾をばら撒く。
だが、更に目を疑う光景が飛び込んでくる。奴の機体が逆関節の跳躍力を生かした横飛びをしたかと思えば、
構えを取らねば機体の動きにまで影響の出るバズーカを、
手も足も出ないまま、あっという間にスタッガー。それを織り込み済みのようにABで野良犬が突っ込みながら、重ショットガンとパルスブレードを構え―――
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『レイヴン、大量の熱源反応が接近しています!回避を!』
あと少しでイグアスを追い込み切れた所で、ある種予想出来た
数えるのも嫌になる程の、ミサイルの絨毯爆撃。振り切るのに急加速を要するそれに、たまらず身体のあちこちが打ち据えられて焼け焦げる。
痛い、熱い、苦しい。耐えられない訳ではない、逆関節機の跳躍力が幸いし、最低限度の被弾で収まったAPの損耗を確かめてから、熱源反応の方へと目をやった。
「抵抗する不法勢力に告ぐ。武装解除の意志なき場合、その勢力は例外なく排除対象となる。繰り返す、例外はない。」
『敵機について調べました。惑星封鎖機構の無人機体、
不測の事態が到来し、割って入ってきたそれらに対処せざるを得なくなる。おかしい、此処で来るのは
いや、思考するべきではない。そんな余裕はこいつらは与えてなどくれはしないのだから。
当たり前のように此方をマークしてくるナインボールのパルスライフル六連射に素早く大地を蹴り、斜め後ろへと下がって回避する。当然、この程度では振り切れずに二発ほど直撃を許す。
―――い、ッ……だ、いッ。奥歯を食い縛る、電撃が奔るような衝撃が身体を駆け巡る。実際の肉体は傷一つ付いてない、だが機体を抉られた衝撃が確かに、この身に響いてきた。
……大丈夫だ、耐えられる。こんな程度の痛みは
相変わらず冗談じゃない威力だ。……しかもこの状況はかなりまずい。衝撃残留の大きいミサイルが、バルテウスからひっきりなしに飛んでくる。
だが、
「何だこの……惑星封鎖機構だと!?チッ、背に腹か……野良犬!一時休戦だ、てめえも手を貸せ!」
こういう時、イグアスが最低限の理性的判断を下せる人でよかったと感謝する。だが、正直言ってどちらの相手も荷が重……いや。
今回のイグアスは、一味違った。少なくとも、武装から
「たかだかドーザーの一派を牽制に、封鎖機構がお出まし―――?……まさかあのコウモリ野郎共、
……展開が早い。要するに、コヨーテス達は既に惑星封鎖機構の軍門に下っていて、カウンターハックで突いた相手に封鎖機構がいて、怒った封鎖機構がこっちを潰しに来た訳だ。
交戦情報が既に抜かれていたのか、そもそも昨日派手にやりすぎたせいか、既にRaDに私……最優先排除対象が付いていると看破されているらしい。ナインボールが派遣されたのは間違いなくそういう事だ。
何時にも増して足場の不安定なグリッド086の足場を飛び回り、時折こちらに飛来するミサイルを丁度いい瓦礫にぶつけるように誘導し、合間を縫って
計算通りだ。如何に無人機体と言えどその制御はAIが使われている。超反応でアラート攻撃を回避しようとするならば、
向こうもインチキのような無停止グレネードを撃ってくるが、此方はそれ以上で対応する。そもそもバズーカとグレネード等で機体が足を止めるのは
だが、そんな反動すらも活かせるならば止める必要はないんじゃあないか?軽量機で反動を身に受ければ、それは推力として十分に利用可能なのではないか?
答えはこうだ、
尚、私はこの反動制御の練習中に調子こいて、予想以上の推力を考慮できずに一度壁に背中を強打した。あれはめちゃくちゃいたかった……。
『効いています、レイヴン。ナインボールの機体耐久は七割です。……後方より熱源反応、気をつけて。』
前回の装備相性が頗る悪かったり、一切の遮蔽がないウォッチポイント上での戦闘であったという諸々の相性の悪さが出ていはしたが、今回はかなり一方的に戦えている。
此方が受けたダメージは開幕の不意打ちと、時折被弾するパルスライフルの数発。ミサイルは遮蔽に誘導して往なし、グレネードは全身全霊で回避。
バルテウスからの横槍も思いの外イグアスが上手くやっているらしく、あまり気にならない。こちらの
―――そうだ、私は勝てる、こんな奴に負けていられない。お前なんかもう恐れはしない。
「クッ……またか、耳鳴りがしやがる……!この、中身のねえガラクタ共が……!」
心の中で、「それ
地味で地道な差し合いを制し、ナインボールが先にスタッガー。計算通りのタイミングで行動不能となった赤黒い死神に向かって勢いよくABし、勢いを載せた重ショとランセツを叩きつけつつ、ブレードに換装して二連斬撃。
その上で思い切り蹴り飛ばし―――削り八割、耐久レースで大きく突き放す。
だが、此処で
「……、……。」
『新たな敵性反応、"ゴースト"来ます!』
「!?クソが、このタイミングで新手だと!?」
嫌なタイミングで仕掛けに来るものだ。無数のレーザー照射に対して素早く残骸へ身を隠し回避、同時にレーダーを使用。
視界で確認できた、ゴースト独特の発光は3、レーダーに……合計6機。数が普段より多い。パルスアーマーを展開した近接型とそうではない遠距離型で3:3か。
先ずはこいつらから先に片付けよう、ナインボール相手に横槍とか正直やっていられない。狙撃の方向から位置情報を逆算し、遠距離型へと突貫する。
グリッドの状況が滅茶苦茶に変わっている上に、戦闘領域も普段の場所から大きく逸脱している。お陰様で敵機の位置取りカンニングは利かない……誤差の範疇だ。
周辺の瓦礫や鉄橋を遮蔽に背負い、あの鬼のようなパルスライフルを防げるよう常に意識。
【リペアキット、残数2。】
嫌でも嵩む被弾は、今までキープしてきたリペアでカバーする。皮膚が焼け爛れ、肉が抉れる苦しみを噛み潰し、十分に接近してから重ショ、ブレード二連撃―――1機撃墜。
遠距離型のゴーストは脆い、それだけは良いところだ。
「ぐ……待ちやがれ!てめえの相手は、この俺だ!」
しかしながら、いよいよ抑えられなくなったのか此方にバルテウスが突っ込んできた。
耐久を見てみれば、既に半分近く削れているではないか。イグアス……なかなかやる。
ではない。いきなり瓦礫の向こうから突っ込んできて火炎ブレードを振り回してくる。このままでは直撃―――なので。
人体に似せて作られた、AC。その機体と限りなく一つになった今でこそ出来る、三次元的な戦闘方法。
捕捉済みの射撃型ゴーストに向けて、その勢いを載せたブレード二連。
『ゴースト2機撃破、ヘッドブリンガーも1機撃墜しています。』
「また耳鳴りが……クッ、この赤黒い野郎……いつまで野良犬にばっか手ぇ出してやがんだ、俺を無視するとはいい度胸だな!」
妙にナインボールからのプレッシャーが減ったかと思えば、いつの間にかイグアスがちょっかいをかけている。軽リニアで手を出して……当然の事ながらあの訳の分からないホーミングの二連ミサイルとパルスライフルの嵐がヘッドブリンガーに襲いかかる。
好機だ、今のうちにアーマーを展開している個体を撃破しよう。すかさずレーダーを起動し敵影を―――
「そこ。」
グリッドを駆けずり回っている間に、遠距離型の近くを通っていたらしい。武器を切り替えたゴーストが襲いかかるが、振り返らずに重ショを一発、ランセツを一発。スタッガーした所にバズーカを叩き込みながら反動で飛翔。
飛んだ先にいるアーマー展開中の近接型にパルスブレードで斬りつけ重ショ。怯んだ所にランセツを接射、素早く蹴って追い打ちにまた重ショ。ぎりぎりだがこれで一体。
『ゴースト撃破、これで4機です。レイヴン、またミサイルが来ます!』
中距離からバルテウスが無数のミサイルポッドを展開し、一気に此方へ向けたのを目視。しかし此処は視野の開けたウォッチポイントではない、遮蔽の多いグリッド086……本当ならここもそんなに大量の遮蔽がある訳ではないのだが、損壊して遮蔽まみれのこの場所で大量のミサイルなど恐るるに足らない。こればかりは怪我の功名としてカーラに感謝してもいい……いややっぱ調子こくから絶対感謝してやらない、反省してください。
倒壊した区画に素早く身を隠し、半分ほど往なす。残る半分は壁を蹴って突き放し回避。こうやって容易く回避出来るのを思えば、如何にあの環境下でバルテウスを相手するのが最悪の状況であるのか理解させられる。
後はゴーストの残り2機を探―――
「クソッタレ―――こんな、無人機共如きに……!!」
視界の端に目をやると、光波が飛んできてイグアスがやられている。……それもそうだろう、初見で往なすのが困難な上に威力も衝撃力も高いパルスライフルの嵐、足を止めずに撃ってくるグレネード、やたらと高速で追従するミサイルに、光波付きのブレード。全部ふざけた性能なのだから、初見の彼が対処出来ないのも無理はない。
これらを踏まえた上で、向こうに付いているゴースト2機は近接型……即ちアーマー展開タイプだ。正直やってらんない。
さて、つまりもう私を集中狙いしてくるという訳だ。とあらば速攻勝負になる。如何に壁蹴りとバズーカの反動を活かした三次元移動が使えた所で、バルテウスとナインボール、ゴースト2機相手に正面衝突など無理だ。
よって
削れかけのパルスアーマーが砕け、ブレードを二発、反動での移動は不要なので足を止めてバズーカ一発。ランセツを溜め撃ちしてから蹴りを叩き込み再び重ショ。絶え間ない連携で勢いよく削れ、あっという間に残り二割―――ここで態勢を立て直すが、逃しはしない。
このまま素早くアサルトアーマーを放ち、爆発的なパルス衝撃波をぶつける。一気に再びスタッガーへ追い込み、ブレード二発。 間近で重ショをまた叩きつけて、バズーカ一発、蹴り一発で最後にランセツを溜めで三発。
……まるで流れ作業の如く削り切り、三体の接近前にバルテウスは粉砕。哀れにも思わない、おまえなんてもうこわくないぞにどとけんかうってくんなばーかばーか。
『バルテウス撃破、ヘッドブリンガーを撃破した3機が接近しています。応戦を、レイヴン。』
先んじて2機のゴーストが突っ込んで、鞭のようにしなる武器を振るってくる。正式名称不明のそれを回避しつつ……正面から飛来するパルス弾を後方へ引いて回避する。
予想通りだが、隙がない。隙がない上にこうやって横槍が入れられるのだから―――いや、ここで名案が一つ。
ナインボールの射角と、ゴーストの位置関係をある程度つぶさに観察する。観察しながら、ゴーストが飛びかかってくるタイミングで―――
「ここ。」
パルス技術を用いる武器と、アーマー。その性質は同じ技術を起点としている。故にアーマーはパルス技術の攻撃に相殺されやすい。ものの見事にアーマーは叩き割られ、余力を残してフレンドリーファイアがゴーストを粉砕する。
よく考えなくても、
要するに、
更に、ナインボールは無人機体、AIで制御され冷徹な判断を下す。そこに人間の絡む合理性に基づいた判断なんかは発生しない。人ならばこういう状況でトリガーの指が止まろうが、こいつらは止まらない。
よって、あと1機も―――
『"ゴースト"全機撃破、あとはナインボールだけです、レイヴン!』
こうなってしまえば、最早恐れる事はない。横槍は無くなった、戦場は前回より好条件、アセンも相性良し、技量も更に上がった。
畳み掛ける。真正面の残骸に向けてQBを切って直進、遮蔽で攻撃を往なして攻撃の打ち切りと共に更に直進。恐れない、パルスライフルはまだ撃てない、ブレードが飛んでくるが―――真隣の瓦礫を蹴って三角跳びで回避。
飛び越えた瞬間に
「……さよなら。」
バズーカを一発、綺麗に
『敵機、全滅を確認。……レイヴン、私達の勝利です。』
「んぃ、やったね。」
────────────
「また耳鳴りが……クッ、この赤黒い野郎……いつまで野良犬にばっか手ぇ出してやがんだ、俺を無視するとはいい度胸だな!」
折角野良犬にリベンジをするチャンスだと思ったのに、理不尽な差を見せつけられた。以前より遥か高みに飛んでいって、手一つ届きやしなかった。
勝ち目がない、同じ第四世代なのに影一つ踏めやしない。何が違う、何がこんなにあいつを強くする。
理不尽の権化みてえな奴が、もっと理不尽みてえな奴に襲われている。何だあの赤い機体は、見たこともねえ武器ばっか使って、どれもこれもイカレた性能してやがる。
そんな奴に付け狙われている野良犬が、或いはガン無視されているこの状況が気に入らなくて、俺はつい手を出した。出した結果、一瞬で圧倒された。
六連射、訳の分からん速度と大きさのパルス弾が飛んでくる。パルス弾なんぞ大した事ないと甘く見たのが間違いだった、理不尽な威力で機体のAPが抉れ飛んだ。
「ぐう、ッ……!ざけ、てんのか!?」
マトモに直撃を貰っていられない。しかも未だにステルスとパルスアーマーを展開した無人機野郎がちょっかいかけてきやがる。こんな奴に手を出した事を即座に後悔させられた。
耳鳴りに苛立ち、野良犬に苛立ち、横槍に苛立ち、理不尽な暴力の化身に苛立ち……何一つ、どれ一つとして解決出来ない己の無力が苦しい。
だが、それでも食らいつかんとステルス機へショットガンをぶつけ、マシンガンと軽リニアで削りを入れ続ける。その判断は間違いでしかない。
意識が雑魚に取られた時、全てが手遅れだった。一瞬のアラートの後、あの機体が
次の瞬間には、異様な追従を見せる二連のミサイルが回避しきれず直撃し、雑魚二体からの鞭を受けてスタッガー。接近してきた赤の無人機がブレードを構え―――
「クソッタレ―――こんな、無人機共如きに……!!」
……情けなくも脱出レバーを引かされ、ヘッドブリンガーはその首級をあげられてしまった。
距離があるから、と慢心した。あの位置ではブレードは届かない、と過信した。その油断は飛んできた光波みてえな、飛ぶ斬撃に真っ二つにされた。
そういう武器がある、と何処かで耳にした覚えはある。だが奴の持っているものはそういう武器ではない、と思い込んだ。
遠い。余りにも、余りにも遠すぎる。野良犬は、こんな化け物と正面きって戦っているのか。
戦域から離れて、鉄の機体からも離れて、その戦いを見届ける。ただ、呆然と……だが、必然として。
勝ちたい。強くなりたい。追いつきたい。何故、此処まで違う。何がお前をそこまで強くさせるんだ。野良犬、お前はどうしてあの時ヴォルタを助けた?
考えれば考える程に、何もかも思考が纏まらない。一つ確かに残った感情―――
「俺は、お前を……。」
その感情に名前を付ける事は、どうしても出来なかった。
621
とうとう壁蹴り解禁。と思ったらバズーカで足を止めないで反動から推力を得て飛んでくるようになった、お前はVal◯のレイズか。
完全同調は痛いが、我慢する。ただし我慢しきれない痛みというのは未経験。果たしてどう響くか。
R.I.P./R
反動は制御しない、身を任せ同化する。激流を制するは静水……。
急にフロムマジック爆発な挙動を始めた、反動を吸収しなければ逆説的に反動でぶっ飛べるのでは?と思いついた結果である。
完全同調
要するにAMS適正とかそういう話。621に才能は元来なかったが、積み重ねがその適正を磨き上げた。本作ではこれが壁蹴りとか諸々の挙動に必要になってくる。
エア
先の情報を色々知っている621から色々インプットし、カンニング攻略情報データベースと化した。ずるい。
イグアス
勝つ為に盾捨てたり近接に寄せたと思えば、滅茶苦茶に突き放された件。よって拗らせが加速する。野良犬ゥ……
グリッド086
引き続きボロボロの半壊状態。おかげで遮蔽物がいっぱいで助かった。
ジャンカー・コヨーテス
もう惑星封鎖機構に尻尾ふってる!判断が早い!
ナインボール
量産機なので当然その辺のLCやHC感覚でスポーンしてくる、やめてほしい。しかし機密保持という名目の再現でやられると爆発四散してしまうため鹵獲は不能。
バルテウス
かませ。出番奪われた挙げ句この始末、しかもグリッド086でやられたのでこの後RaDに鹵獲されました。絶対碌でもない事に使われる……。
ゴースト
ナインボールがパルスライフル持ってるのが悪い。