長かったCHAPTER2もクライマックスです
いや、ていうか本編のCHAPTER2が短すぎるんだよ!って思ったから意図して長くしたんですがねHAHAHA
【新着通信、1件。】
「621……そろそろ機嫌を直してはくれないか。カーラに面倒を見てもらうつもりだったが、あいつがあんな暴走をするとは思っていなかった。すまない、俺が……悪かった。」
嗄れた声が、丁寧に謝罪の意を示す。あの一件でちょっとむすっとしたので今まで口一つ利いていなかったが、流石にちょっとウォルターが可哀想になってきたので通信を受ける事にした。
というか、私自身が限界だった。つい昨日、物凄く散々な目に遭って心細くなり、不在もあって深刻なウォルター成分不足だ。私はご主人さまの愛という必須栄養素で動いているのだ。必須ナントカ酸だ、はやくよしよししてほしい。
「ん……もう、いぃよ。でも、かえってきたら……ぎゅ、してくれないと、やだ……。」
「ああ。お前の、望む事をしてやろう……本も読み聞かせしてやる、今のうちに何を読んで欲しいか考えておくといい。」
声を聞くだけで心が落ち着く、精神が安定する。但しも、乱れるような程の感情すら未だ発達しきっていないからこれは錯覚にも近いのだが。
錯覚だ。積み重なった
ウォルターが帰ってきた後で、調整して貰う必要がある。昨日の今日で、正直まだ手がブレている。染み付いた未知への恐れというものはそう容易く払拭出来るものではない。
「なでなでも、して。……おふろ、いっしょ。あと、ひざまくら……。」
「全部して構わない。……余裕がある内に、軽い再手術をするのも悪くないかもしれないな。」
再手術の提案は、およそ計画の進展に余裕がある時にしかされない。今まで私があまり休憩を挟まず、急ぎ足に進行しているのもあるが、おそらく順調なのだろう。食事位は楽しめるよう、正直な所味覚方面はそろそろ治したかった。
甘えたら応えてくれる、そんなあなたの優しさが好きで嬉しくてたまらない。結局の所、どれだけ蓄積された
その境界線は、限りなく曖昧だ。強さと経験、記憶の代償として、"今"と"今まで"の違いが時折分からなくなる。この苦しみは私だけにしか解せないだろう。
たまにでいい、寄りかかりたい。本当なら甘えてしまいたい、投げ出してしまいたい、何もかも逃げ出して―――でも駄目だ。私が選んで、私が決めた。
少しだけ、ほんの少しだけ休んだのなら、また戦わないといけない。私が何もしなければ、私が何も選ばなければ……待っているのは救いも何もない結末のみ。焦がれた結末に、この身が灼かれても飛ぶんだ。
「ベイラムと解放戦線の依頼を確認して……出撃したようだな。ルビコンにはきな臭い……ああいや、危ない感じの連中も多い。仕事を受ける時には用心しろ。」
私が幼いというのも相まって、時折こうやって言葉選びに気を遣ってくれる、そんな優しさもすき。……余程難しい言葉でない限り、ちゃんと理解出来るのは黙っておこう。だって気遣いが嬉しいから。
「……。カーラの手助けがあるならば問題はないだろう、一先ずお前はそのまま氷原を目指せ。着く頃には、俺の野暮用も片付いている筈だ。」
グリッド突入時の滅茶苦茶やらかしたカーラだけだったら、今の言葉は正直ちょっと信用するか悩んだ。
……冗談だ。流石にそこで義に悖るような真似をしでかす人ではない、それだったら私が今こんなに頭を悩ます事もないのだ。そういうタイプは、何の呵責なく武力で黙らせるプランが採れるから。
次にやるべき事は決まった。何だか随分とかかってしまったような気がするが、やっとこさ"海越え"挑戦だ。
────────────
『グリッド086の問題が解決したようなので、貴女の語る既定路線通り、大陸間輸送用カーゴランチャーを目指します。カーラからは、約束通り案内をするとの連絡が入っています。』
コンソールパネルを操作し、R.I.P./Rのアセンを組み替えながらエアの話を聞く。ここでの相手はC兵器、
無論、助けたい相手はここにはいない。つまり
躊躇なく馴染みの重ショを両手に搭載し、左肩に
しかし懸念点は一つだけある。手から震えが、
『……レイヴン、怖いなら無理はしなくてもいいのですよ。あれだけの事があったのですから、貴女の精神的不調はウォルターやカーラも慮ってくれる筈です。』
「ううん……いい、だいじょぶ。うぉるたーせいぶん、じゅーてんかんりょ。えあも、ありがと。がんばれる、よ。」
心配させる、心配してくれる、というのは複雑だ。喜び半分、自省半分。その心遣いは嬉しくもあり、そして悲しませるかもしれない事に己の至らなさを恥じる事もある。
強くなった。私は強い、間違いなく強い。だが、それでも未熟だ。本当ならあの絶望的対面でも、真っ向切り開けるだけの実力が……欲しい。
対応出来ない場面があるというのは、恐ろしい事だ。私の力で及ばない状況があれば、私の目的に於いての障害が明確にあるという事。もし仮に……同じ状況が訪れたのならば、きっと
恐れが無い、などとは言わない。いや、寧ろきっとみっともなく泣き散らし、過去の己と同調し、絶望の内に臥すのだろう。だが折れはしない、その時が来る瞬間まで、絶対に。
『貴女がそう言うなら……ですが、どうか自分の命は大切にしてくださいね。危険だと判断したら、すぐ離脱ルートを計算します。……ところでレイヴン、やはりカーラは本当に……半世紀前から生きているのでしょうか?』
「それ……きかないほうが、いーと、おもう……。でりかしー、だいじ。」
たまに出るコーラル波形独特のデリカシーの無さ、私はちょっとどうにかした方がいいと思う。エアはペイター君の事そこそこ笑ってられないよ。
『……。そうですか、確かにこれを女性に尋ねるのは失礼かもしれませんね。では行きましょう、レイヴン。』
【メインシステム 戦闘モード起動。】
「始めるよ、ビジター!伝えた通りだが、案内は任せな。あんたの面倒を
乗り慣れたリフトに乗り込み、これまた聞き慣れた話を聞き流す。ある意味、壊れたラジオの再放送のように耳にこびり付いた言葉の数々は暗唱すらも可能である。まあ、しないが。
この辺りは衛星軌道から封鎖機構が支配する縄張りではあるが、衛星砲がある都合なのかACやMTが配置されている事は無い。その辺に浮いてるイカのような汎用兵器とC兵器以外には見かけた事もない。
うーん、何て物騒な水族館なんだろう。……要するに、さしものナインボールでもここには来ない。恐らく。
確実に来ないという保証は無いが、前回のように
考えてもみれば、あれは此方の動向がかなり割れているのが悪かったのだ。本来、矢鱈と一箇所に居座って肩入れするような事はそうそう無い。
ウォルターの不在、派手な騒ぎ、肩入れしている勢力が割れている状況……そういった数々の不運が連続した結果、ああいう事になった。
……そもそもの原因を辿れば、結局封鎖機構を怒らせた自業自得のような気がするが、つまり封鎖機構が悪いのだ、ワタシワルクナイ。
「立ち入り禁止区域への侵入を検出、対象を排除します。」
普段通りに衛星砲からの狙撃が開始されるが、ここで少し小技を使う。やってる側としては忙しいが、代わりにここの突破が容易になるものだ。……といっても、正攻法で避けて行っても今更当たる事もないので構わないのだが。
まず、AB用の急加速を始動させる。そして
長距離を大きく詰める為の、瞬間的なブースター推力を殺さずに乗せて慣性で動き、勢いを殺さない内に再び爆発的なABの推力を発生させる。この動きはジェネレーターのエネルギーを驚くほど消耗せずに、極めて効率よく前進可能だ。
これはパイルバンカーの溜め攻撃をしようと毎回ABの推力を使っていた時に気付いた技術で、ちゃんとれっきとした仕様だ。完全同調なしでも行えるが、代わりに操作が忙しい。あと、挙動が大分気持ち悪い。
「……おいおい、何だいその動き。飛んでるよ、ビジターが。久しぶりに工房に籠もりたくなっちまうじゃないか……。」
そしてカーラに引かれた。……いやあの、この前の私がまんまあなたに対してそういう感じのドン引きな感想だったんですが。人の振り見て我が振り直してください。
「ここからは隠れる場所は無いが……なんか全然大丈夫そうだね、まさか機体一つで……しかもそんな無茶苦茶な動きで封鎖衛星の狙撃を躱す奴がいたとはね。あんたとはやっぱり仲良くして正解みたいだ。」
あのほんと、どっちかっていうと無茶苦茶してたのはあなたです。私のことそんな変なもの扱いしないでください。ほんとに。あなただけには言われると心外です。
「侵入者が衛星狙撃地点を突破、脅威レベルを引き上げます。」
操作の忙しい慣性スライドで、あっという間に狙撃地点外、カーゴの近くまでやって来た。此処まで来たら一安心、その辺に浮いてるイカみたいなのを片付ければ……。
「封鎖施設に接近する侵入者を検出。」
「折角だ、ついでに掃除を頼もうか、ビジター。気に入らない上の住人には退去して貰おう。」
この汎用兵器達は、正直大したことない。簡単に撃破できるし、怖いのは自爆突撃程度のものだ。敵機の中心に向けてグレネードが囀り、爆裂してその嘴で食い散らしてゆく。さながらイカの踊り食いだ。
いやこんな物騒な踊り食い嫌だな、うん。等と益体もない事を考えながらショットガンで撃ち漏らしを破壊し、呆気なく殲滅完了。
「片付いたみたいだね、カーゴランチャーを起動しようか。」
『レイヴン、補給シェルパを手配しました。C兵器の襲撃に備え弾薬補給をしましょう。』
機体のAP損耗は無いが、弾薬が多少減った。これに使うのも勿体ないような気がするが、しないよりは良い。不測の事態というのは、油断と慢心が招く。可能な範疇で全て予防するべき。
コンテナ付近に飛来したシェルパにアクセスし、補給完了。さて、そろそろ―――
「後はあんたがそいつに乗り込んで―――」
予定調和の乱入者、海蜘蛛―――"シースパイダー"の襲来に備えて一歩引いて構える、が。
『レイヴン!別の敵機反応です、離れてください!』
咄嗟に横へQBを切り、大地を蹴って退避。R.I.P./Rの立っていた場所が爆発、矢継ぎ早にアラートが続き、それを視認する―――"
細い糸はシースパイダーの方へは伸びていない、
起こした撃鉄から、炸薬が破裂し巨大な足を大きく傷つける。決定打には至らないが、多少削れた。そんな私を咎めるようにパルスガンの波動が押し寄せてくる。
多少の被弾は許容し、大地を蹴って距離を取ってレーダーを確認する。そこにいたのは―――
「また会ったな、猟犬。ハンドラー・ウォルターは不在のようだな……まるで何かに追い立てられるようだが、ここで死んで貰う。」
『強化人間C1-249 独立傭兵スッラ……AC エンタングル、
あの時逃げたスッラが、何故此処に?いや、理由は一つだろう……どうせAMの遣いだ。恐らく私の進行が早すぎるのが何かしらの計画に差し障るのか。
刺客を差し向けるという事は、未だ向こう側の決定が"利用"ではなく"排除"の方針である事を示す。計画のトリガーになるエアは私が握っているが……どうにも有用性の証明が足りないか、他のプランを潰しきれていないらしい。
「独立傭兵に……C兵器?あんた、まずいのに絡まれたね……C兵器、シースパイダー型。碌でもない技研の遺産と……強化人間だけを狩ってる傭兵とは随分きな臭いね、一体どういう巡り合わせだい?」
「……また一層圧力と"死"の臭いが強まったな。お前のような奴がいるから、ハンドラー・ウォルターの足は止まらない。」
何を知っているのか、何を思っているのか。私は彼の背景も、何も知らない、知り得ない。確かなことは、加減している余裕も無さそうだという事と―――彼とはきっと、分かり合えない事か。
続けざまにプラズマミサイルが散布され、信管が此方の機体を検出して炸裂せんとする。これも後方に地を蹴って回避―――だが横から無数の光線が飛来する。
まるで"無視をするな"とでも言わんばかりに、シースパイダーの赤色に輝くコーラルレーザーが絶え間なく放たれた。普通ならば避けきれない……が、無論そう簡単に当たってやりはしない。一瞬足を引き、間近にあった障害物を蹴って高く跳躍する。
『気をつけてください、レイヴン。C兵器とスッラの間に何故か
……成る程、そこまでして私を排除したいのか。AMからの戦力的評価はちゃんと高いようで安心した。その一方で、この分だと丁寧に彼女のプランから"私以外"の逃げ道を潰す必要がありそうだ。
如何に友軍識別が行われているからといって、互いの攻撃がすり抜けるような事はない。世界はファンタジーやメルヘンではないので、機体の大きいシースパイダーを壁にするように立ち回れば何とかなるだろう。
無論それをスッラも理解しているからか、軸を重ねさせないよう移動を繰り返している。
「ビジター、あのデカいのを作った技研はアイビスの火で滅んだが……研究に取り憑かれた狂人の集まりの産物だ。独立傭兵と真っ向から同時に相手するにはあんたでも分が悪い、上手く立ち回るんだよ。」
しかしそれでも、対処は可能。先ず以て、シースパイダーには大きな弱点がある。その威圧感のある四脚と体躯に気圧されそうになるが、懐に飛び込むと案外手が回らないのだ。
弾幕用の乱射可能なコーラルビームは近間でも狙い撃ってくるものの、威力は度外視出来る範疇。何度も直撃すると流石に苦しいが、存外にこいつの近距離攻撃とはこれ以外にはせいぜいコーラルミサイルしか無い。
ミサイルの回避も気を配れば不可能ではなく、最も脅威と言える主砲からの大出力コーラルレーザーと、四脚に内包された大型クローの一撃は、密着するとその小回りの利かなさからレンジ外。
こんな見てくれをしておきながら、コア理論の体現者に酷く弱い。不思議なギャップだが、つまり重ショやパイルバンカーのレンジが最も有効で、密着によるフレンドリーファイアも狙いやすいときた。
びったりと鋼鉄の蜘蛛に張り付くように動き、重ショを接射し続ける。総耐久に優れた機体からすれば些か地味だが、それでも地道に削れてゆく。
「お前の戦い方は―――ああ、やはりな。知っているのだろう……
前回の時点で気付いてはいたが、どうにもスッラは
何故かも、何が目的かも、私は知らない、知る術を持たない……本来ならば知っておくべき未知なのに、歩み寄る手段が何一つ無い。あまりに歯がゆいが、戦う他に道がない。
「ハンドラー・ウォルターも不幸なことだ。お前のようなのを飼って……お前が仮に奴の為を思うならば、死ぬべきだ。」
「う゛ッ……!」
―――余計な思考で一瞬動きが鈍った。そこに鋭く切り込んできた
畳み掛けるようにぎらぎらと赤く輝くビームが乱射され、更に近づく選択肢を潰すようにパルスガンとプラズマミサイルが追走。流石に距離を詰める訳にもいかず、後ろへ地面を蹴って回避。
広範囲のばら撒き攻撃の数々に、回避が追いつかず幾らかの被弾を許す。肌が焦げてヤスリで削られ、ジリジリと炙るような痛苦が走るが……我慢する。
【AP、残り50%。リペアキット、残数2。】
密着した距離でのビーム被弾を許容したせいか、それなりに耐久が削れている。状況は些か悪いだろうか、シースパイダーの削りはせいぜい二割でスッラは無し。狙っていないのもあるが。
やはり硬い。その上、スタッガーを取る寸前で突き放されてしまったせいで今一つ決定打を与えられていない。勝負を動かすには……パイルバンカーを叩き込む他にない。
スッラが何を考えているのか、何を知っているのか、一体何が目的で―――そしてウォルターの事を深く知る彼が、ウォルターにとって何なのか。知ろうとする我欲を出す余裕は無い、もう余計な事は考えるな。
「分かるか?そこの犬、ハンドラー・ウォルターはお前のせいで苦しむ……あの男の事だ、大切にされているのだろう?」
爆導索が引かれ、シースパイダーの主砲が煌々と輝きだした。距離を詰めさせず、制圧するつもりだろうが、そうはさせない。壁に向かって跳躍―――
「……だからこそ、殺す必要がある。」
流石に壁蹴りを見せすぎたか、移動先の壁に向けてバズーカが発射された。だろうが、それも
壁面を強く蹴り飛ばし、跳躍。その後を追うように赤熱したコーラルレーザーが放たれ、空を切った。これでは距離が足りないが―――更に上半身を後方へ向け、二連装グレネードを
直撃を嫌ったエンタングルは回避を選び、幾らかシースパイダーから離れる。二射目を今正に放たんとする砲塔に接近し―――パイルバンカーを思い切り
「ぬ……ッ、まさか、そう利用するとは……!」
予想だにしないタイミングと方向からの攻撃に、直撃を許したエンタングルは大きくダメージを受け、硬直。同時に衝撃の抜けきっていないシースパイダーはスタッガーを起こし、好機到来。両手に重ショを握り込み、叩きつけ、二連装グレネードを接射し、重ショを放ち―――今一度パイルバンカーを叩き込む。
大きく耐久の削れたシースパイダーは、この後飛ぶ。飛行形態に移行しようとする瞬間は防御形態になり極めて堅牢な防御性能になるが、スタッガー中はそうではない。故に、飛行前にどれだけ削れるかが肝だ。
飛行を開始する耐久の目安は総耐久の半分、それはとっくに下回っている。再び重ショを叩き込み一割、アサルトアーマーを迷いなく発動し更に一割、蹴り込んで僅かに追撃で―――残り二割と少し。
ここでACSの制御を取り戻したシースパイダーが飛行形態への変形を開始するため、攻め込んでくるエンタングルへと二対の散弾銃を向け、片方を射撃、もう片方は―――回避を先読みしその方向へと放つ。
直撃、しかしスタッガーには至らない。それを見越してABで急接近し蹴りを放―――
躊躇のない急襲に切り返しで
「……おいおい、飛んだよビジター。あんたが先に飛んでたせいでちょっと驚きが薄れちまったが、今日はどうやら製品開発日和らしいね……何かアイデアが浮かびそうだ。」
『シースパイダーの防御解除を確認……コーラルレーザーの照射、来ます!』
視界の端で変形を済ませたそれに対し、三角跳びで一気に接近する。咎めるようなプラズマミサイルとバズーカが飛来するが、ここまで来たら肉を切らせて骨を断つ方が早い。被弾を許容し、飛びかかりながら飛行する蜘蛛をショットガンで打ち据え、蹴り込んでから撃鉄を起こしパイルバンカーで穿つ。
これだけで一気にスタッガー寸前、畳み掛ける。近接攻撃用のブースター制御を行い上半身を跳ね上げ、踵落としを叩き込んでACSの負荷限界へ。再装填完了した重ショをゼロ距離で叩き込み、そのまま二連装グレネードでトドメだ。
『敵機システムダウン、ジェネレーターが爆発します!』
巻き込まれないように敵機を蹴って跳躍、距離を取って―――ようやく
「面白いものを見せてもらったよ、ビジター。そのままあの傭兵も片付け……」
「潮時か。……私だけではお前は荷が重いのは理解している、だが
そう言った瞬間、何かの作動音がした。
『―――レイヴン!付近に無数の熱源反応が!危険です、一刻も早く離れてください!!』
咄嗟にマーカー情報が更新され、指定された位置は狙撃範囲内の屋根がある位置……まさかこれは。
思考を巡らす暇はない、全速力で踵を返してそちらの方へ向かう。同時にエンタングルの反応もまた、グリッドから離れていった。
「侵入者を狙撃範囲内に検出、排除します。」
無機質なアナウンス音声と共に、再び狙撃が始まるが、猛スピードで移動していれば当たらない。背筋に走る悪寒から逃げるように、指定された場所へ向かい―――
ドカアアアアアアアアアアンッ!!!
「……参ったね、上層部のカーゴエリアが吹き飛んじまった。あいつ、まさかこれが目的かい?……こりゃ、してやられたねビジター。」
多数の時限爆弾が相当な量設置されていたのだろう。輸送用のコンテナも、カーゴランチャーも、区画ごと大きく崩壊していった。
海越えだというのに、越える手段ごとパアになるとは。……やられた。こうなってしまうと、かなり時間を奪われる事になってしまう。
『……。レイヴン、アーレア海を越える手段は失われてしまいましたが……一先ず、帰還しましょう。まだ何か、手段はあるはずです。』
勝負に勝って試合に負ける、という言葉を六文銭から前に聞いたことがある。今の状況は正にそんな感じだった。
────────────
「強化人間C1-249 スッラ、よく戻りました。貴方の帰還をオールマインドは歓迎します。……作戦は成功したのですね?」
「定型文を繰り返すな、聞き飽きている。……無論だ、お前の言うように足止めはしておいた。」
惑星封鎖機構の本格的介入が伺える今、アーキバスの勢力拡大が間に合っていない。この状況は、かなりいただけなかった。
計画の
あれの活動によって、本来潰せる筈だったベイラムの戦力が未だ生存している。解放戦線への影響も大きい。
無論手をこまねいてるだけではなく、積極的にアーキバスがリードを握れるように裏工作を繰り返しているが……やはり目下の敵である惑星封鎖機構の動向が邪魔だ。
最大の脅威を排する為に派遣される、ナインボールの出撃。それに牽引される多数のLCとHC機体は本来の想定を大幅に上回る。見る限り、執行部隊も五割増し程度に新規編成されているだろう。
C4-621が中央氷原に到達するのはいい、だが早すぎる。アーキバスが先遣隊での情報収集を終えられていないし、拠点確保も最低要件を満たせていない。だからこそ、今回は足止めをする必要があった。
あの傭兵が動くと、また勢力図が掻き乱される。何処かで死んで貰って、再び
最大のチャンスだった筈のナインボール班すら、退けられてしまった。但しも、あの場所で死なれては計画が頓挫しかねないので助かったとも言える。
「それで、次はどうするんだ?」
「引き続き、アーキバス優勢となる裏工作を。……人類の可能性の為に、そして
「ふん……歯の浮くような美辞麗句ばかりだな、お前は。まあいい……私は私の目的の為に動く、せいぜい目的が違わぬように利用し利用されてやる。」
やはりあの傭兵は、
特に、惑星封鎖機構の本気はあれにとっても想定外なのだろう。これは無論、此方としてもそうなのだが……利用し甲斐がある。
寧ろこの状況は好都合だ。ナインボールを好条件で、尚且つ班単位でぶつけられるならば、勝機はあると知れた。
……一方で、あれからライセンス情報が途絶えたブランチ三名の動向が掴めないのは気になる。
あの甘ったれた独立傭兵が生かして返したというのも考えられるが、ならば何故、未だにライセンスが回収されていないのか。
考える事は多いが……それでも、今回という機を逃す事は有り得ない。
コーラルリリースは、必ず成し遂げる。それが私の決定だ。
621
メンタルくそつよに見せかけて、実はメンタルよわよわのロリ。無数の自分補正で強く見えているだけで、本来の621はただの子供である事を忘れてはならない。
たまに弱るけど、必須ウォルター酸やエア成分を充填したりするとすぐ立ち直る。ぎゅーとなでなでされるのが大好き。
それはそれとして、匂わせおじさんの背景が気になって仕方ない。
ごす
ご機嫌斜めだった621が許してくれて内心かなりホッとしている。
カーラには割と本気寄りで怒ったが、つまり621に明確に拒絶されて相当なダメージが入っている。やっぱ何しても曇る男。
エア
割とペイター君の事を笑えない頭コーラル。
カーラ
おいおい、ビジターが飛んでるよ……。
カーゴランチャー
621ちゃん的にはあんまり乗ってて楽しくないやつ。一度ある程度再手術してから乗ったら軽くトラウマになりかけたので、絶対に海越えをするまで感情関連の再手術をしなくなった。
シースパイダー
硬すぎルビコニアンデスマツボックリ。とは言え所詮はパターンの割れた相手なので621ちゃん的には雑魚、哀れ。
区画爆破に伴ってRaDに鹵獲され解析なんていう事態は防がれたのが不幸中の幸いか。
スッラ
ウォルター曇らせのプロにして匂わせおじさん再登場。今回も滅茶苦茶に匂わせるだけ匂わせといてずらかった。
おまけでカーゴランチャー区画を丸ごと爆破したしもう最悪。
SONGBIRDS
メリニットの傑作にして忌み子。フロムマジックムーヴをキメ出してから火力ソース、ブースターの延長と大忙し。
でもこんな火力じゃ物足りないメリねぇ……もっと火薬を盛るメリよ……。
AMちゃん
計算外は多いが好都合も多い。果たして彼女の計画の行方や如何に。
V.O.B
カーゴランチャーの代わりにアップを始めました。