「身分は手に入れた。次は実績作りだ……行くぞ、621。」
「うん。まか、せて。」
何時聞いても、落ち着く声だ。そう考えながらも幾度となく終えてきた仕事の一つに取り掛かる。無名のままの名義に、確かな存在感を刻み込むための大切な儀式。
アーキバスとベイラム、ルビコン3を……ひいてはコーラルを巡って争う大企業の一角に肩入れする事になる依頼。後の事を考えれば汚染市街とベリウス地方に大きな意味は無いのだが、自身を売り込む切っ掛けの一つだ。
体裁のよい謳い文句を掲げてはいるものの、どうせ最後は使い捨てるつもりのアーキバス。だが、そうはいかない。今度の目的は、寧ろこちらがそっちを体よく使い潰す必要がある。特に、
……何度振り返っても、気の毒だ。
それに、今回の仕事には一つだけ、先の依頼と比べても今後の為にやらないといけない事がある。
【メインシステム 戦闘モード起動。】
市街に背を向けて、かつて通った道を踏み進む。武装は前回と
「ミッション開始だ、大豊のMT部隊を殲滅しろ。」
「ん。」
肯定の意を短く示し、隔壁にアクセス。開くや否や目の前の汎用兵器にマルチロックのミサイルをばら撒き、着弾までのインターバルを経て殲滅。
「敵襲!ACが一機!」
「おそらくアーキバスグループの雇よ……うわああっ!!」
マルチロック、斉射。ロック、狙撃。ロック、狙撃。斉射、殲滅。
「ど、どういう事だ!?ヴェスパーでもないのに、これほどの戦力を……!」
「狼狽えるな!敵は単独、攻撃を集中しろ!包囲して叩けば……」
効率よく叩くことで、こちらを甘く見た相手が
そんな事をすれば、プラズマミサイルのいい的だというのに。手間が省けて助かる。
「敵は量産型のMTだ。一蹴しろ、621。」
既にこちらの実力をある程度把握してくれたウォルターが、信用の意を込めて背中を押してくれる。順調だ、このまま私にもっと頼ってもらいたい。
無論、それに応えるようにしてまんまと近寄ってきたMTと汎用兵器に対して
レーザーとプラズマ、二つの複合エネルギーが炸裂し爆発。盾持ちもそうでないものも、区別なく一体残らず消し飛ばした。
……かっこいー。これで、もうちょっとこう……軽かったり弾持ちが良かったりしたら、なー。
「目標の殲滅を……待て、新たな敵影がこちらに近付いている。増援のようだな、対処し」
知っている。が、ここは一旦スルーして、密航の落下地点まで全速力でブースターを吹かしていく。
「何処に行く、621。敵は逆方向だぞ。」
「うぉるたー。むこう、なんかいる。」
「……何?」
恐らく争って間もない、炎上中の機体の中心まで辿り着き―――
「…… 、……。」
ざらつくノイズを撒き散らす機体が降りてくるや否や、パルス波形の波濤が直撃。直ちに
畳み掛けるように両手の武装を叩き込み、念入りに蹴って瞬殺。
「なんだ、今の機体は……迷彩か?これを看破していたのか、621。……不明機体の撃破を確認した、仕事に戻れ。」
こんな機体を使う相手なんて、一人……ひとり?……一人しか心当たりがない。だから、今回は態々
今回も、これでしっかりと向こうから食いついてくれればいいのだけれど。
後は残った増援を始末すれば、仕事は完了だ。
何てことはない。今回も無傷のまま、きっちりとこちらの武威を示させて貰う。
かっこいいよね。でも何でこんな重くしたん?今回は露骨に潜伏してるアレに対する威嚇として持ち込んだ。
最初はそりゃもう恨み節全開だったが、周回を何回も重ねてその立場のお労しさを理解した。かわいそう。今回も多分かわいそうな事になる。