要救出系ヒロイン、ついに登場。
評価、感想などありがとうございます。こういった公の場で作品を出すのは初めてですが、お楽しみ頂けていれば幸いです。
正直初めての体験なので筆者はどきどきしてますが励みになっております。
「ミシガン、621を預ける件についてだが。」
企業への顔売り、慣らし、名声の下積み。ウォルターはこれからの展望のために、地味な営業努力に奔走していた。
今回、古い友人の一人に持ちかけた交渉もその一環であり、ある種予定調和とも言える参画だった。
「全く、貴様の猟犬にクソほど煮え湯を飲まされたのにも関わらずよくもまあ連絡をして来れたものだな。何だ?訓練生を生かして帰したのだからと恩着せがましくも要件を押し通すつもりか?」
あちらは企業の子飼い戦力で、こちらは独自の目的を持つ独立戦力。過去、幾度か衝突を繰り返した事もあった。
不幸な衝突もあったし、協働する事もあった。だからこそ、こうして忌々しげに罵られつつも交流は絶えていない。
621が意図したように、前回受けた仕事の内容は彼の率いる部隊「レッドガン」に本来届けられる予定のACだったのだが、そのパイロットのみを生かして帰した。
本来ならば、ACとその運命を共にして爆散……が彼の運命だったろう。そこを覆してお情けとも取れる形で見逃したのだ。
実際、訓練生には才能があった。今は萌芽に過ぎないとしてもいつか芽吹くと期待されたからこそ、輸送にアサインされていたのだから。
その期待は裏切られる事となったものの、今後より一層激しくなる事が想定される、コーラルを巡る闘争に戦力として換算できる数は、一つでも多い方が良いのは違いないのだ。
ましてや、MTで遊ばせるよりACに乗る適正のあるような者であれば尚更だ。
「……そう受け取って貰っても構わない。第四世代だが、621は感情の波に異常が見られる。腕前はともかく、あいつには少し外からの刺激が必要だ。」
ウォルターは悩んだ。つい先日、621が見せたあの強烈な拒否反応と不安定な激情に、罪悪感を覚えずにはいられなかったのだ。だが、それでも621を出撃させる判断に踏み切ったのは、彼女が大丈夫と言ってくれた事と、背負った十字架を引きずってでも進まねばならないからだ。
しかし、AC相手との戦いに慣らすには、自分では出来ない。手持ちの戦力は621単独なのだから、模擬戦闘もへったくれも無いのだ。ではどうするか?
そうして白羽の矢が立ったのが、今交渉している相手であり、ひいてはその彼が総長の精鋭部隊「レッドガン」との協働だ。
直接対決するよりは、こうして横に並んで戦う事でゆっくりと慣らした方が621の為になるだろう、と判断した。荒々しい対応になるのは間違いないだろうが、ミシガンはこれでも繊細な男。決して部下を見捨てず、一々隊員の特徴や名前まで丸暗記しているマメな奴だ。口で言うより、悪いようにはされないだろう。そういう相手だと信用していた。
「媚を売られてもうちの役立たず共と同じ扱いしかくれてやらんぞ、うちからは
暗に"それでいい"と肯定を返す沈黙が、二人の間に流れた。悪くない相手だ、とも判断していた。
副長や末席のように過度でもなければ、過小でもない。聞き及ぶ所では、特にG5は同世代の強化人間だった筈だ、これが互いに良い経験となればいいのだが。
「言い忘れた事があった、ハンドラー・ウォルター。解放戦線の動きに変化が見られる。独立傭兵に粉をかけて回っているらしい。」
「621の仕事が増えるなら歓迎だ。それに、あれはAC戦に慣れる必要がある。」
……もしそうなれば、レッドガン二名との衝突となる。621の他の追随を許さないような卓越した腕前を見せられている以上、ミシガンには悪いが負けるとは思っていない。
しかしながら、その選択は……621がどうするか、幾らか思う所はあった。あのような錯乱を見せた後ではあるし、それを踏まえても"大丈夫"と言い切った。その言葉が偽りか否かを判断する好機にも成り得る……だろうか。
「……弱者には弱者の戦略がある、レッドガンとしては叩き潰すのみだがな。」
牽制されはするものの、この点について彼は621を信用していた。
所属不明の機体を看破し、圧倒する嗅覚。訓練生と言えどACを前に手も足も出させずに、しかもその上で生かして帰すために相当手を抜き、それを可能とする技量。どちらも申し分ないのだから。
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「621、仕事だ。ベイラム本社の作戦に参加する、ブリーフィングを確認しろ。」
来た。これから先の"みんなに生きていてほしい"という願いを叶える為の、とても大切な
今までの戦いは、正直に言えばこれから戦う事となる彼らの口にする"慣らし"と大差がない。助けたいと思う相手もいない汎用兵器とMTしか相手にせず、唯一のAC戦も真正面から不意を打って速攻出来る訓練生のみ。まともな戦いなどしていない。
無論こちらを殺傷し得るような相手も居らず、ほぼ無傷で完勝するだけだった戦いも、いよいよこれで終わりだ。……つまり今後の戦いは、如何に
気を抜く事はない。だが、それでも死ぬ時は死ぬ……とても嫌だ。昨日ウォルターのお陰で記憶の奥底に苦痛を追いやったが、あんな思いはしたくない。それに、今までがそうだったからと言って、また死んでも繰り返す……そんな保証はない。
これで終わりだと思え。次など二度とないと思え。だから気を抜くな、全ての戦いで
そしてこの戦いは、前の仕事で訓練生にしたような難易度の高い方法で助ける必要のない、貴重な機会……つまり武装を気にせずに押し付けられる、数少ない戦い。ヴォルタもイグアスも、ちゃんと脱出してくれる。ある意味気が楽だ。
故に、この後考える"生かすための戦い"の為にもここは立場を……少なくとも最低限、後にヴォルタには言う事を聞いて貰える程度には、きっちりと上下関係を叩き込まないといけない。故に今回必要な
重四重ショ重ショハクスリーハクスリー三台バーゼル
ケー
……いつぞやの私が、仕事だの何だのも死ぬとかも全部嫌だ、と何もかも放り出して、死ぬ恐れのないNESTと呼ばれる場所で鬱憤晴らしを込めて戦いに没頭していた時に辿り着いた
駄犬の私曰く、数ある
何度か繰り返して、この内容でほぼ全ての相手に問題なく圧勝している。順当にやればいい、順当に叩き潰すまで。向こうがレッドガンの流儀で迎えてくれるのだ、その流儀を以て返礼するとしよう。
要するに―――
「ウォルターから話は聞いているな!?では作戦内容を説明する、一字一句聞き漏らすな!」
重々しく威厳に満ちて、それでいて何処か優しさもある声が聞こえる。
彼は助けたい人の一人であり、間違いなく
声一つで、身が引き締まる。
「今回ベイラムは解放戦線の治水拠点、ガリア多重ダムを叩き潰すことを決定した!ライフラインの破壊により、連中が泣いて詫びる損害を与えるのが目的だ!」
出た、これはレッドガンの流儀、"泣きを入れたらもう一発"だ。この頃から徹底しているんだなぁ。
でも、そうなっては困る。ここで解放戦線に弱られてしまうと、結局アーキバス優勢の一助になってしまいかねない。それでは結局、運命が変わらない。そんな結末、私はもう選ばない。
色々思う所はあるが、ここはいつかの私にミシガンへ心の中で懲戒処分して貰う事にしよう。なむー。
……恐らく私が晒してしまったAC戦後での無様な醜態を受け、ウォルターが"慣らし"として用意してくれた一面もあるのだろう。そう考えると今から四名の顔に泥を塗りたくる羽目になるので結構しのびない。が、割り切る。しのびないと言っても六文銭は出てくるとかそういう話でもない。にんにん。
「我がレッドガン部隊からは
……あ、あれ。安いおまけじゃない?なんで?
「セットである貴様には、そんな貴様のお陰で一昨日空きが出たラッキーナンバー、コールサイン
えっ。あ、そういう。やっぱりこの番号、元々は訓練生にあげるつもりだったんだ。優しいなあ……。じゃなくって、媚売りが功を奏しているのか、その時やった内容を知っているのか、腕前を考慮されたのだろうか。安いおまけからセット品に昇格?値上がり?していた。
なんだかよくわからない。多分嬉しいことなんだけどよくわからない。
「復唱したか!では準備を始めろ!愉快な遠足の始まりだ!」
ごめんなさい、これから愉快な遠足ぶっ潰します。ほんとごめんなさい。
「G13か……名前が増えたな、621。あまり気負わずに行け、レッドガンの流儀を堪能してこい。」
「うぃ。がんばる、ね。……やる、よ。R.I.P./R。」
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【メインシステム 戦闘モード起動】
「これよりベイラムグループ専属AC部隊、レッドガンによる作戦行動を開始する。突入しろ!役立たずども!」
一喝と共に、勢いよくブースターを吹かす。
「独立傭兵かよ。野良犬の世話をしろってのか……レッドガンも舐められたもんだ。」
「関係ねえ、俺たちで終わらせればいい。」
よく聞いた二人のやり取りを尻目に、手早く変電施設に強烈な散弾を見舞い、粉砕。毎度思うが、MTやこういった
「目標、1基破壊だ。」
ここのMTは二人が片付けてくれると踏まえて、淀みなく次の施設へ。道中は両肩の
「よう、野良犬。お前のような木っ端は知らんだろうがな、俺たちレッドガンは「壁越え」にアサインされている。この仕事は慣らしだ、終わったら土着どもの要塞を落としにかかるのよ。」
うん、知ってる。そしてそんな軽率な発言が……こ、こんぷら?てんぷら?違反だとかでどやされる羽目になるっていうのも。
「前線のMTは片付いたか。」
後ろではきっちり殲滅してくれたのだろう、これでMTは片付いた。たまに取りこぼしがあると引き返す羽目になるので面倒だ。
「G5!セットとの交流に余念がないようだな。ついでに仲良く刺繍でもして、そのよく回る舌を縫い付けておけ!ついでに舌を動かす位ならば貴様は手を動かせ!G13は1基目で貴様が亀のように悠長にしている間で敵を殲滅している!」
あーあ、やっぱりどやされた。なむ。
「やるじゃねぇか、ズブの素人って訳でもねえな。」
とか言っている間に施設に二回ほど蹴りを叩き込み粉砕。この後に備え、武装の状況を確認する。
「前線の施設も片付いたようだな。」
「G4!一体いつ貴様が素人でなくなった?批評家はレッドガンには要らん、改めろ!さもなくば荷物を纏めろ!準備運動でちんたらしている内に、貴様らの仕事はG13が掻っ攫っていったぞ!」
手早くやりすぎてヴォルタまでどやされた。ちょっと悪いことしたかも……いや、この後ものすごく悪いことするから
「けっ……野良犬が。」
あ、普段より悪態つかれた。でも、イグアスは向上意欲があるし、勿論あなたが挫折する要因の一つをちゃんと取り除いてみせるから、めげずに頑張ってほしい。……これからめげるぐらいボコボコにしないといけないけど。
「準備運動は終わりだ、続けるぞ!役立たず共!」
叱咤を受けて急ぎ足で前線から奥地に向かう二人をよそに、"例のもの"を待つ。
「……待て、621。暗号通信が入った。」
……来た。
「独立傭兵レイヴン、我々はルビコン解放戦線だ。単刀直入に言おう、こちらに付き、レッドガン2名を排除してもらいたい。報酬はベイラム提示の2倍、色好い返事を期待している。」
これがなければ、態々
だから、この取引が来なければ全て御破算になってしまう所だった。
「……なるほど。621、無理をしなくて構わないが……出来ると言うならば、ここはお前が決めろ。」
少しこちらを気にかける素振りがあるのは、やはりあんな無様を晒したせいだろう。見ていてウォルター、その評価をここで覆すから。
私が選んだ選択は、勿論―――
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最初から、気に食わない話だった。
俺達が働いたおこぼれに預かろうだなんて、冗談抜かすんじゃねえ。こんなおまけのせいで、どう転んでもケチの付く仕事になってムカつくぜ。奴が働けば評価が上がり俺達がダシになる、俺達が働いてもおまけとして企業に目を付けられる。気に食わねえったらありゃしねえ。
そのくせ、聞く所によると俺と同じ
苛立ち混じりに二手に分かれ、雑兵共を殲滅していく。あの奥にある変電施設、野良犬なんぞに手柄をやってたまるか。俺が先に―――
ガツン、と。不意に強烈な衝撃が
「!?てンめェ……何しやが……ぐっ!」
息もつかせぬ連続攻撃に、反撃の体勢を整えるのが追いつかねえ。僅かな隙を縫ってリペアキットを働かせるのがやっとだ。
「抱き込まれやがったか!?」
異変を察知したヴォルタの野郎がこちらに急行してくるのをレーダーで確認する。幸い、その距離はさほどでもなかった。すぐに合流して、
だろう、が。
「そう来るか……
遊び……これが遊びだと?ふざけやがれ。びったりと
確かにシールドは相手の攻撃を緩和出来る。だが、展開中はダメージをACS負荷に置換するせいで、すぐ限界が訪れる。そうなりゃ痛烈な一撃をお見舞いされ、たまらずリペアキットを使わずにはいられない。
圧倒的なジリ貧……ジリ貧と言うには性急すぎる。尋常じゃねえ速度で
「クソが、びったりと密着しやがって……イグアス、退きやがれ!お前が邪魔で撃つに撃てねえんだよ!」
「黙ってろヴォルタ!クソッタレが……調子に、がっ!乗り、やがって……!」
打開が、出来ねえ。普段は
【AP 残り30%】
駄目だ、やられ―――
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「クソッ、野良犬如きが……!!」
ヴォルタの合流が迅速だった時はどうなるやらと思ったが……これはひどい。あまりにも
とか思ったが、勝つためには致し方ない。誉で命は拾えない。蓋を開けてみれば、ビタビタだったお陰で誤射を恐れたヴォルタが撃ち控え、まあ圧倒してしまった。
「イグアス!格下ナンバーにやられたぞ、数学はできるか?相手はいくつ下だ!?貴様はいつまでその番号をしゃぶっているつもりだ!」
……その言葉は私にも刺さる。数学ぜんぜんできない。何なら算数もむずかしい。やめて。
「ヘッ、ざまあねえなイグアス……ぬおっ!?」
巻き添えで精神ダメージを負いつつ、返す刀でキャノンヘッドへ突っ込んで蹴りをお見舞い。ひたすら密着し、蹴り、斉射、蹴り、蹴り、斉射。
生憎の所、相手は
逃げる間も息をつかせる暇も与えない。スタッガーから回復しても、
「こいつ……タダモンじゃ……み、ミシガンの野郎……!何を―――チッ、機体がいかれやがったか……!離脱するしかねえ!」
……本当に、これはひどい。何なんだろう、ほぼ最初から二人同時に相手していた筈なのに、この速攻っぷり。リペアキットにも余剰があるし。
「G4 およびG5、レッドガン2名の撃破を確認した。……ミシガン、機体の修理費は俺に回しておけ。」
これで、私がもうAC戦を恐れてなどいないと証明出来れば。もっとウォルターに、信用……信頼してもらえれば、いいのだが。
「ふざけた遠足にしてくれたな、ウォルター。授業料の分は差し引いておくぞ。」
あと、ミシガン総長、ごめんなさい。ほんと、ごめん。
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【新着メッセージ 1件】
「……ケッ。調子に乗るなよ、野良犬。ラッキーパンチが当たっただけだ、てめえの実力じゃねえ。俺達レッドガンは「壁越え」を果たす。せいぜい指をくわえて見ていろ。」
予想通り送られてきたメッセージは、何だか
ごめん。お願いだから、めげずに頑張ってほしい。イグアスには悪いけど、
……「壁」でヴォルタを守った後、ちゃんと向こうにも
誉は浜で死にました。遊びもクソもへったくれもないようなガチアセンばっか擦ってる闇落ちタイプ。
ケー
重四重ショ重ショハクスリーハクスリー三台バーゼル
車椅子ネビュラネビュラニドミサニドミサ128ジェネ
空母カーラミサカーラミサコーラルミサコーラル盾大コーラルジェネ
ケー
レディー
ケー
どうして部屋名とかコメント使えないの……?
ミシガン総長
ほんと、ごめんなさい。
イグアス
メインヒロインその1。最終的にあんな堕ち方する彼はこの先生きのこる事が出来るのか。
ヴォルタ
要救出系キャラ。普通にガチアセンで強いからもうちょっとまともな作戦だったら壁は落とせたんじゃないかな……。
訓練生
G13は彼のものになる筈だった、と筆者は解釈している。ただしそれはACが無事に輸送完了していたらの話で、今後のご活躍をお祈り申し上げます。
筆者はイグ6推しです。♂でも♀でも構わん頼むからもっと流行れ。